2015年8月
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2015年08月26日富士登山と自然を楽しむために
富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子
富士山の夏山登山シーズンも後半。
お盆を過ぎた途端、富士山は秋の気配が漂い始めました。
青空が広がり太陽の陽射しが照りつける富士山頂でも、風が冷たくなり、日陰にいると寒く感じるようになりました。
これから富士山登山を考えていらっしゃる方は、防寒対策をしっかりとしましょう。
●自然現象
8月24日(月)の早朝、御来光前から登山者の様子などを確認するために巡視をおこないました。
下の写真は、朝4:00過ぎの富士山富士宮口頂上の様子です。
(8月24日4:33 撮影:橋本)
濃い霧に覆われて、ヘッドライトもぼんやりしています。
実際に歩くと、数メートル先が霧で見えない状態です。
こんな状態でしたが、たくさんの人が御来光を見るためのポジションを求めて、山頂歩道上を行き来していました。
これでは御来光が見られないだろうと思いがちですが、この日は風が少し強く吹いていて、5時頃には眼下に雲海が広がるのを見ることができるようになりました。
そして御来光もこの通りです。
(8月24日5:11 撮影:橋本)
雲海から快晴の空に昇る太陽を確認した後、太陽に背中を向けると火口側には雲がかかっていました。
その雲の中に珍しい自然現象が発生していました。
(8月24日5:37 撮影:橋本)
ブロッケン現象と白虹(霧虹)です。
何度も富士山の巡視をおこなっていますが、ブロッケン現象と白虹に出会えることはなかなかないので、この日は貴重な体験ができました。
この日、富士山頂にいた人がみなこの現象を見たのかというと、そうではありません。
その時にいた場所、その時の体調、その時見ていた方向などによって変わってきます。
●装備・準備はしっかりと
富士山登山を楽しむためには、やはりきちんとした装備と準備が必要です。
富士山はもう秋です。
暖かい服装や装備を整えて行けば、寒さに震えながら待つことはありません。
また高所順応をする、きちんと睡眠を取る、水分補給はしっかりと、といった体調を整える準備をすれば、具合が悪くなる可能性を減らすことができます。
そして、同じグループで行動する時は、できるだけ一緒に行動する、離れそうな場合は連絡が取れるようにする、合流場所をきちんと決めておくなどの対策をして、全員が楽しく過ごせる富士登山になるよう心がけましょう。。
2015年08月21日奥秩父最高峰
秩父多摩甲斐国立公園 野崎 拓
8月19日に山梨県山梨市に位置する北奥千丈岳まで巡視に行ってきました.
北奥千丈岳は2601mで奥秩父山塊最高峰であり、秩父多摩甲斐国立公園内でも最高峰となっています.
山頂までは車で行ける最も近い登山口の大弛峠から1時間程度で登れ展望も素晴らしく、気軽に高山帯の環境を楽しむことができます.
(上:北奥千丈岳山頂 下:山頂からの景色)
登山道を歩いていると不思議なものが目に入ってきました。
(ベニテングタケ)
毒キノコですが、とても魅力あふれる外見をしています。
他にも数多くのキノコを見ることができました。
8月は、キノコ好きにはたまらない季節かもしれませんね!
この日は開花している植物は少なかったものの、実を付けたものはたくさん見られました。
(左:コガネイチゴ 右:コケモモ)
山でも実りの季節を迎えているようです。
登山口がある大弛峠からの帰り道、林道でアサギマダラが数十匹飛び交っているのを見つけました。一体どんな場所からはるばる旅をしてきたのでしょうか。
(アサギマダラ)
大弛峠には定期的に訪れているのですが、来る度に新しい発見があって飽きることがありません。次回はどんな物が見られるのか、今から楽しみです!
2015年08月21日シマホザキラン
小笠原国立公園 沼田伸一
台風16号が接近中の小笠原です。
まだ台風の外側もかかっていないのに、風がびゅーびゅー。。。
ランの仲間のであるシマホザキランは夏に開花をむかえます。
とても小さな可愛いランです♪
残念なことに遊歩道沿いには生育していないので、一般の方は見ることが出来ません。
父島と北硫黄島にしか生育していないとても希少なシマホザキラン。
しかも父島には6株しかありません。
とてもとても小さなラン、訪花昆虫もきっと小さいのでしょう。
しかし、父島にはグリーンアノールが蔓延していて、小さな昆虫は軒並み全滅しています。。。
そこで我々アクティブレンジャーが訪花昆虫となって人工授粉を行っています。
花粉は肉眼では見えないので、ヘッドルーペを装着して人工授粉。
歳のせいか年々見えづらくなってきたような...
とても骨が折れる作業ですが、結実した時はものすごく嬉しいです!
早く皆さんの身近に感じられるほど増えますように。
2015年08月21日南アルプスの動物
南アルプス国立公園 大石佳織
みなさん、こんにちは。
お盆を過ぎてから、芦安を吹き抜ける風が少し爽やかになり、秋の気配が
感じられるようになってきました。
さて、私は事務所のある芦安で暮らしているのですが、先日、自宅の外で
夕涼みしながらメールをしていたところ、背後でカサカサと音が。
周辺にはサルの群れが住み着いているので、きっとサルだろうと思い、
振り返りもしなかったのですが、サルにしてはのんびりとしたカサカサ音。
もしかしてカモシカかも♪などとのん気に振り返ると・・・
そこにいたのはなんとツキノワグマ!!その距離、約5m!!!大ピンチ!?
幸い、クマと私の間にはガードレール等があり、また、クマの方が先に私の
存在に気が付いてくれていたようで、いそいそと山へ登っていきました。
(夕闇の中、山を登っていくツキノワグマ。)
芦安でさえ、たくさんの野生動物に出会います。
当然、南アルプスの山々はクマをはじめとするさまざまな野生動物が生息して
います。稜線上でクマを見たという話はあまり聞きませんが、沢沿いなどでは
遭遇する方がときどきいらっしゃるようです。
野呂川広河原インフォメーションセンターでは、クマの目撃情報も確認できるので
両俣方面など沢へ行かれる方は、情報を確認してから出かけるといいかもしれませんね。
もしもツキノワグマに遭遇してしまったら、
・近づかない
・クマから目を離さず、静かに、ゆっくり後退する
など、クマを刺激しない行動をとることが大切です。
登山される際は、野生動物の生活の場にお邪魔しているのだということをお忘
れなく!
ここで、今シーズン私が出会った南アルプスの生きもの(うち撮影できた
ものの一部)をご紹介します。
(左:赤石岳のライチョウ。人の存在おかまいなしで歩き回ります。邪魔を
しないよう、こちらが気をつかいます。
右:北沢峠のニホンカモシカ。林道の法面から登山者の様子をじっと見て
いました。)
(左:荒川岳稜線のニホンザルの群れ。荒川岳ではよく出現するそうです。
右:広河原の吊橋にいたニホントカゲ。口からごはん(チョウの口吻?)が
はみ出していますが、カメラを向けたらポーズをとってくれました。)
この他にも、ニホンジカ、ノウサギ、テン、オコジョなど、身近な(?)生きもの
から南アルプスならでは生きものまで、さまざまな動物が生息しています。
運がよければ、あなたも動物に出会えるかもしれませんよ!
2015年08月20日「バリアフリー観察会」今年も開催します!
富士箱根伊豆国立公園 箱根 後藤香奈
秋のバリアフリー観察会が今年も開催されます!
前年度は残念ながら雨で中止となってしまいましたが、
今年度は快晴になるように祈っております。
平成27年10月3日(土)
「バリアフリーで楽しむ秋の箱根」自然観察会
・主催:箱根ボランティア解説員連絡会・環境省
・協力:箱根リハビリテーション病院・一般財団 自然公園財団箱根支部
【箱根ビジターセンター周辺(バリアフリー観察路)】を
箱根に詳しいパークボランティアと一緒にゆっくりと歩きます。
からだの不自由な方も高齢の方も小さなお子さまも、
「におい」や、「音」など五感を使って動植物を観察しましょう!
ネイチャーゲームなども実施しながら、秋の箱根を皆さんで楽しみませんか?
詳しくは環境省のページを、
開催場所の情報は箱根ビジターセンターのページからご確認ください!
なお30名を越えた場合は抽選となりますのでご了承ください。
多くの皆様のご参加をお待ちしております!
2015年08月17日登山口でもオオハンゴンソウ駆除活動!
日光国立公園 吉川 美紀
前回のAR日記(8/3)では、「那須高原も30℃近くなって暑いです!」とお知らせしましたが、少し天気が悪くなるととたんに25℃以下にまで気温が下がり肌寒ささえ感じるようになりました。リンドウやトリカブトも蕾をつけ始め、もう秋が近づいてきていますね。
さて、今回も特定外来生物・オオハンゴンソウのお話です。
標高1100m地点に位置する那須岳登山口の1つである「三斗小屋宿跡」、那須塩原市指定の史跡にもなっている場所に、なんとオオハンゴンソウの大群落があります。
登山口にオオハンゴンソウが生えていると、種子が登山者にくっついて運ばれ、山の上に外来生物のお花畑ができてしまう恐れがあります。
那須岳の貴重な自然を守るためにも、優先的に駆除を行いたい場所の1つです。
(三斗小屋宿跡・作業前)
一面が、まさにオオハンゴンソウの黄色いお花畑。
これを一つ一つ手で抜いていくのはムリ!ということで、今回は草刈り機で全て刈り払ってしまいます!
今回の駆除活動も、地元のボランティアさんたちにご協力いただき実現することができました。みなさんで一斉に草刈り機で刈っていただいた結果...!
(←駆除活動前/駆除活動後→)
高さ1~2mを誇るオオハンゴンソウ花畑は、見事なぎ倒されました。スッキリです。
駆除活動は丸1日行ったのですが、お昼ご飯はなんと、ボランティアさんの1人・お茶屋のお母さんが色々とお弁当を作ってきてくれました!みんなで机を囲んでまるでピクニック!こんな楽しい時間を過ごすきっかけになったオオハンゴンソウには少し感謝してもいいかな...。駆除はするけどね。
(お昼休憩♪)
草刈り機での駆除は地中に根っこが残るため、来年にはまた根から再生したオオハンゴンソウが生えてきます。これを衰退させていくためには、この先10年以上の駆除活動の継続が必要となるでしょう。今年はその一歩を踏み出せたところです。
『標高1100m地点に位置する那須岳登山口の1つである「三斗小屋宿跡」、那須塩原市指定の史跡にもなっている場所に、なんとオオハンゴンソウの大群落がありました。』
そう言える日を目指して、地元の方と一緒に那須の自然を守り続けていきたいです。
2015年08月13日富士山頂お鉢めぐり
富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子
富士山の夏山シーズンが始まり早ひと月半。いよいよお盆です。
お盆の時期は、仕事が休みとなる人が多いためか、富士山も普段より混雑します。
8月10日~11日に巡視を行った際に朝方の富士宮口登山道を確認したところ、写真のように光の列ができていました。(写真中、下の光が登山者の列。上は下界の街の灯り)
(8月11日4:09 撮影橋本)
そんな富士山の山頂には【お鉢めぐり】という1周約3kmの歩道があります。
1周すると、日本最高地点3776mの剣ヶ峰はもちろんのこと、世界文化遺産の構成資産に指定されている信仰遺跡を見ることができます。
下の地図は富士山頂お鉢めぐりを表示したものです。
(番号は下記にご紹介している名称の位置です)
①富士山本宮浅間大社奥宮
②金明水
この他にも③久須志神社や④銀明水などがあります。
日本一高い場所まで登ってきて、空気が薄い場所での移動は体力的になかなか厳しいものがありますが、お鉢めぐりを1周して世界文化遺産の構成資産をぜひともご覧いただきたいと思います。(くれぐれも無理はしないで下さい)
今年は猛暑と言われています。
富士山も昼間は少し暑く感じられることがありますが、早朝や夕方はかなり寒くなります。
8月11日早朝に山頂を巡視した私の格好は、フリースを着てさらに防寒着を着用し、冬用の暖かい帽子をかぶりネックウォーマーという出で立ちでした。
御来光をご覧になる方は、水分補給とともに暖かい服装は必須です。
きちんと準備をして富士山登山に望みましょう。
2015年08月07日平成27年度「国立公園・野生生物フォトコレクション」
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
平成27年度「国立公園・野生生物フォトコレクション」のご案内です。
環境省関東地方環境事務所では、平成22年度から、管内のアクティブ・レンジャーが撮影した管内の動植物や風景の写真を紹介し、自然の素晴らしさ、大切さを伝え、自然保護や国立公園について普及啓発を行うことを目的に、巡回写真展「国立公園・野生生物フォトコレクション」を関東各地で開催しています。
佐渡では、第6回目となる写真展を、8月5日(水)から8月26日(水)まで、トキの森公園資料展示館で開催しております。
関東地方環境事務所管内の11の事務所で勤務するアクティブ・レンジャー合計16名が新たに撮影した写真計48点を展示し、活動現場からの雄大な自然や活き活きとした生き物の姿をご紹介します。
佐渡自然保護官事務所からは、私たち2名のアクティブ・レンジャーが撮影したトキ等の写真6点を出品しております。
また今回は、写真展に合わせて、今年撮影したトキの写真4点、本年度の野生下のトキのヒナへの足環装着の様子もご紹介しています。
トキの森公園へご来場の際は、トキ資料展示館へも足を運んでみてはいかがでしょうか。
2015年08月06日『2015夏』の思い出を作りませんか?
富士箱根伊豆国立公園 箱根 後藤香奈
今年も開催しております!
特にお子さま連れのご家族におすすめのイベントお知らせです♪
現在、箱根ビジターセンターの多目的ホールにて
箱根パークボランティアによるクラフト体験
【木の実キーホルダー】や【木の実ブローチ】【竹とんぼ作り】【ランタン作り】
が開催されています。(各200円、ランタン作りは電池別売り(200円))
※現在、多目的ホールはジオミュージアム特別展示とクラフト体験が同時に行われており、
クラフト体験はホール奥で開催しております。
凄い作品ですね!!
私も木の実キーホルダーを作りましたが、木の実を選ぶのも並べるのも
真剣になって、とても楽しいですよ!
この木の実はなんだろう?やなんでこんな不思議な形なんだろう?など
皆さんも楽しめるのではないでしょうか。
また、天気の良い日は作った竹とんぼを外で飛ばして遊べます。
天気の良い日に飛ばす竹とんぼも気持ちいいですね。
他にも、
『深良水門観察会』
箱根ビジターセンターから深良水門までの観察会を一日二回開催中。(雨天中止)
・午前 10時から ・午後 13時から
・集合:箱根ビジターセンター
『早朝散歩』
早朝に箱根ビジターセンター周辺で鳥観察会を開催中。(雨天中止)
・午前6時から7時
・集合:箱根ビジターセンター
夏休み期間に開催されるこの活動は8月23日(日)正午までとなります。
☆今年の夏休みの思い出に☆
お立ち寄りの際は、ぜひ体験してみてください!
日光は、お盆を過ぎてから秋のような気候です。しとしとと秋雨のような天候が続き、ぱったりと扇風機は不要になりました。今年は二十四節気の通り、"立秋"とともに秋に入った感じで、空気も雨も冷たいです。
そんな秋雨が続く中、束の間の晴れ間が見えた日、滝の巡視をしてきました。その滝は、度々民間のガイドツアーなどで案内されてはいるものの、地図では名前が載る程度でルートが記載されておらず、歩道は整備されていません。そのため事前に情報を集め、当日は国土地理院の地図やGPSなどを持って、時間や地形図などを確認しながら足を進めました。
一部歩きやすい区間もありましたが、途中からは不明瞭になり、有志の者による目印はあるものの見落としもしやすく、わかりづらくなっています。そのため、地図と現地の地形を頼りに確認をしながら足を進めることが何より大切になります。歩道として整備されていない分、人の気配もあまりないので、道中、無邪気な動きをする黄テンに遭遇したり、ツキノワグマの糞を発見したりしました。
滝への道中は自ずと沢を上るのですが、沢なため地形の変化もあり、右岸や左岸を行ったり来たり、途中渡渉もあります。そして、ゴーッという音がする滝に近づく間際にはちょっとした岩場を上る場面も...。
岩を上るとゴォォーッと、滝の音は大きくなります。それでも姿は一切見えないから不思議です。「カクレ滝」、その名のとおり岩に隠れていました。滝を見るために渡渉は必須。膝丈まで水に浸って正面に立つと、目の前に白い滝と美しいブルーの滝つぼが、小雨のようなミストと共に現れます。神秘的であり、どこか人を寄せ付けない雰囲気がありました。その姿を見届けると、足場や戻る方向など十分に注意を払って帰路につきました。
涼しくなって活動しやすい時期になりますが、歩道整備の有無に関わらず、地図や必要な装備をもって自然の中へお出かけください。便利な機械もありますが、バッテリーや衛星状況などどうなるかわかりません。アナログな地図やコンパスも持つこと、使い方を知ることをお勧めします。クマの生息域でもあり、単独行動は避け、経験不足な方は経験のある方との同行やガイドツアーに参加するなどして、安全に楽しく自然を満喫して頂きたいです。
【おまけ】
休憩中、成獣の雌ジカ1頭と出会いました。とても人に馴れており、自ら距離を縮めてくるほど。追い払うように近づいてもほとんど逃げません。真相はわかりませんが、何か餌付けされてしまった個体である可能性も否定はできません。もしそうなら、それは野生動物の彼女にとってはとても不幸なことです。休憩された後は、餌付けはもちろん、食べたものが落ちていないか、汁など捨てていない(汁ものは空いたペットボトルなどに入れてお持ち帰り下さい)か、周りにそのような落としものをしていないかお気をつけください。