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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

「順化ケージ」で稲刈り

2017年10月23日
佐渡

皆様、こんにちは。



新潟県佐渡市では、朝晩冷え込むようになりました。

トキたちも、年に一度の羽の生え変わりの時期を迎え、美しい「とき色」が目立つ季節となりました。

佐渡各地で稲刈りも終盤に差し掛かった10月17日(火)、「順化ケージ」で稲刈りを行いました。

佐渡自然保護官事務所がある施設内には、「順化ケージ」という、敷地面積80m×50m、高さ15mの巨大なケージがあります。

<順化ケージ正面>

ここでは、放鳥したトキたちが自然界で生きていけるよう、飛翔/採餌能力・社会性などを身につけるための訓練を行います。そのため、ケージ内は、実際の佐渡の里地里山の環境を再現した棚田も作られています。この棚田では、例年、実際に米作りを行っており、田植えをする人間の姿をトキに学んでもらうほか、田植え直後の稲をトキが踏んでしまうことで起こる稲踏み被害の実態調査も行っています。

<順化ケージ内部 8/19撮影>

9/22日に今年の放鳥が終了し、トキがいなくなった順化ケージで、飼育トキを担当している新潟県佐渡トキ保護センターの職員の方々と一緒に稲刈りを行いました。


 

<順化ケージ内棚田での稲刈りの様子>



順化ケージ内には、カエルやバッタなど、トキのエサとなる生物もたくさんいました。トキを頂点とする小さな生態系ができており、自然に近い環境であることが分かります。





 

順化ケージでの稲刈りは、手刈りで行います。鎌を使っての稲刈りは初めて。水田の生き物を間近で目にする良い機会でした。トキの足跡やくちばし跡が稲の根元に集中しており、水生生物がどこにたくさんいたかが、よくわかりました。

<稲の根元にトキのくちばし跡の穴が集中しています>

放鳥されたトキたちも、この棚田で学んだ経験を野外で活かし、力強く生きていってくれることを願います。