関東地域のアイコン

関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

トキからのおくりもの

2018年10月10日
佐渡 原奈緒子

みなさんこんにちは、佐渡自然保護官事務所の原です。

佐渡では稲刈りが終盤をむかえて、刈田が目立つようになりました。秋ならではの茶色い風景ばかりかと思えば、畑には橙色に色づいてきたおけさ柿が収穫の季節真っ盛りです。

▲柿畑で採餌するトキ(2018/9/28撮影)

佐渡にいればどの季節でもトキを見ることはできますが、一年の内で最も美しい「とき色」を見るなら今がベストです。なぜなら、「とき色」の成分であるカロテノイドは紫外線によって分解されてしまうため、夏から秋にかけて行う換羽が終わったばかりの今が最も鮮やかな色をしているからです。冬になり、繁殖期に入ると2歳以上の個体は首から分泌される物質をこすりつける世界でもトキしか行わない方法で羽色変化を行い繁殖モードにはいります。つまり真っさらなとき色を見ることができる期間は9月末から12月中頃までの3ヶ月程度ということになります。

▲繁殖羽のトキ(2017/02/08 撮影)

▲換羽後のトキ(2017/11/01撮影)

トキといえばどちらの方がイメージしやすいでしょうか。

私は繁殖期の方がより長い時間観察をしていることもあってか、繁殖羽のトキがしっくりきます。繁殖羽は営巣する林の中でカモフラージュの役目もあるようで、刈田にいても背景と同化して見逃しそうになることがあります。一方で今年生まれの幼鳥は冬になっても繁殖羽にはならず、とき色が成鳥に比べると薄いため群れで飛翔していても見分けることができます。

さて、前置きが長くなりましたが、今回はトキからのおくりものについてです。

それはこちら

▲トキの羽

運がよければ田んぼのあぜや道路際に落ちている事があります。休日に神社の参道で羽毛が落ちているのを見つけたこともありました。羽毛はほとんど白色をしていますが、よく見ると羽軸がとき色になっています。トキの羽をみつけたら持ち帰ることは構いません。水道水などで洗って、日陰で乾かして保管しましょう。ただし、トキは希少野生動植物種として「種の保存法」で守られているため他の人に売ることや、タダでもあげる事は法律で禁止されています。おくりものは大切に持っていましょう。

◇環境省ホームページ「希少な野生動植物種の保全について」

https://www.env.go.jp/nature/kisho/index.html

◇放鳥トキ情報 野生下のトキに関する最新情報を毎週更新中!

http://blog.goo.ne.jp/tokimaster

◇公式ツイッター 「佐渡の車窓から」好評連載中!

https://twitter.com/kankyoshosado01?s=09