2018年11月 6日
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2018年11月06日鳳凰三山巡視(後編)
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
先週の「鳳凰三山巡視(前編)」の続きになります。先週の記事はこちらから。
23日は夜叉神峠登山口から薬師岳小屋まで、24日は鳳凰三山を往復で歩き、夜叉神峠登山口まで歩くというロングコースです。23日の夜は雨が降ったので、朝方の冷え込みにより登山道が凍っていないか心配でしたが、歩いてみると凍っているところはなく、今回はアイゼンの出番はありませんでした。
△砂払岳と富士山(薬師岳付近から撮影)
標高2,780mの薬師岳は薬師岳小屋から歩いて10分ほど。薬師岳付近からは富士山が見えました。雨上がりだったせいか、空にはどんよりとした雲がかかっていました。砂払岳は鳳凰三山には含まれていませんが、薬師岳小屋から10分くらいの場所にあります。山のてっぺんにあるごつごつとしている岩は鳳凰三山と同様、花崗岩でできており、地面も土から花崗岩の砂に変わります。普段の鳳凰三山の稜線部は花崗岩の砂でさらさらしていますが、雨が降ったことにより砂がぎゅっと締まり、歩きやすさを感じました。
薬師岳から鳳凰三山の最高峰観音岳(標高2,840m)を通過し、1時間ほど歩くと赤抜沢の頭に着きます。ここは、高嶺や早川尾根方面へ抜ける登山道と地蔵ヶ岳(標高2,764m)へ向かう分かれ道になっています。私が個人的にオススメしたいオベリスク絶景スポットはこの赤抜沢の頭から見るオベリスクです!地蔵ヶ岳をまるっと見ることができる場所なのです!!
△赤抜沢の頭から見たオベリスク
どうでしょう!このダイナミックなオベリスク!ほんの少しですが、紅葉している木があり、この時期ならではの光景です。赤抜沢の頭に着く頃には、どんよりしている雲は無くなり甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳、八ヶ岳連峰もよく見えました。
△薬師岳から見る白峰三山
観音岳から薬師岳の稜線では北岳、間ノ岳、農鳥岳から成る白峰三山を横目に歩くことができます。なぜか北岳山頂部分の雲は1日中取れず、お目にかかることはできませんでしたが、間ノ岳や農鳥岳はちらちらっと顔を出してくれました。夜叉神峠から見る白峰三山もいいですが、鳳凰三山から見る白峰三山はより雄大さを感じることができます。白峰三山にも雪が定着してきました。真っ白になった白峰三山になるのが楽しみです♪2日間とも雨に降られることなく歩くことができ、素晴らしい景色を見ることができたので大満足でした!
鳳凰三山の登山口は主に夜叉神峠登山口、青木鉱泉、御座石温泉があります。季節的な道路規制もなく1年中アクセスできるのでアプローチは比較的簡単に行えます。ですが、夏期でもどのルートも歩行時間が長いです。積雪期になってきますと夏期よりもさらに時間がかかるのでしっかりと計画を立てて登るようにしてください。鳳凰三山にある山小屋も営業形態が夏期シーズンと変わっているので、事前に確認を取るようにしてください。また、アイゼンやピッケル等の冬山装備を携帯して入山するようにしてくださいね。
皆様、こんにちは。
新潟県佐渡市では、紅葉が見ごろを迎えています。
▲赤玉線 2018/10/25撮影
「トキといえば佐渡」という印象が強いのですが、実は本州へもトキは飛来しています。
以前No.264というメスのトキが長野県安曇野市で確認されたことをご紹介しました(この個体は11月5日現在、富山県黒部市にて確認されています)。このNo.264の前にも、多くのトキが本州へ渡っています。
本州へ渡ったトキたちは、その後どうなったのでしょうか。
佐渡島から日本海を渡り、本州へ飛来したトキたちの一部をご紹介いたします。
※トキの生存扱いについて
6ヶ月以上未確認:行方不明扱い、1年以上未確認:死亡扱い
■No.03 (第1回放鳥、佐渡トキ保護センター生まれのメス)
本州飛来地:新潟県、長野県、山形県、福島県、富山県
生存状況:2016年9月17日に佐渡市で確認されて以降、未確認のため、現在死亡扱い。
個体情報:下記No.04と姉妹。佐渡-本州間を1日で往復したり、繁殖期と非繁殖期で島内を広範囲に移動したりと、神出鬼没のトキで、出没する各地域でとても愛されていました。
▲2016年1月26日 雪の中でミミズを捕食したNo.03
■No.04(第1回放鳥、佐渡トキ保護センター生まれのメス)
本州飛来地:新潟県、福島県、宮城県、山形県、富山県、福井県、石川県
生存状況:2016年9月11日に石川県輪島市で確認されて以降、未確認のため、現在死亡扱い。
個体情報:上記No.03と姉妹。初放鳥翌年の2009年から本州で確認されるようになり、1羽で本州各地を移動しながら生活していました。長期間滞在していた富山県黒部市では、愛称「トキメキ」として親しまれ、特別住民票を発行されるなど、佐渡にとどまらず、本州の多くの地域の方に愛されていました。人や車を恐れない度胸があり、電柱や屋根にとまるなど、他のトキでは見られない多くの奇抜な行動が印象的なトキでした。04が行方不明扱いになった時は、ニュースにも取り上げられ、多くの関係者がショックを隠せませんでした。
▲2009年3月26日 まだ佐渡島内にいた頃のNo.04
■No.A45(2016年4月に42年ぶりに野生下生まれ同士のペアから誕生し、巣立った「純野生トキ」のうちの1羽のメス)
本州飛来地:新潟県新潟市
生存状況:現在も佐渡で継続的に確認されている。
個体情報:2017年4月13、14日に新潟市で確認されたが、同日14日に佐渡でも確認されました。今後の繁殖のための本州視察だったのでしょうか。
▲2016年6月10日 間もなく巣立ちを迎えるNo.A45
■No.269(第15回放鳥、佐渡トキ保護センター生まれのメス)
本州飛来地:新潟県弥彦村、燕市、新潟市、三条市
生存状況:死亡確認
個体情報:放鳥された翌月に新潟県弥彦村で確認されましたが、放鳥2ヶ月後には、新潟県三条市内で死体となって確認されました。
▲2016年9月23日 放鳥当日のNo.269
多くの鳥類で、メスはより良いオスを求めて、若い個体は新天地を求めて、広く飛び回ることが知られています。本州へのトキの飛来例は、現在までに23あります。そのうち17例がメスで、2例が1歳未満の若いオスでした。
現在、本州で確認されている唯一のトキ、No.264。No.264が本州でも愛され、多くの人の記憶に残ってくれることを願います。そしていつか、本州でも大空を舞うトキの群れが見られる日が来ますように。
▲枯れスギのてっぺんにとまるトキと虹 2018/11/1撮影