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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2018年11月22日

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2018年11月22日三原山ルートネーミング企画

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 椋本 真里奈

島全体(一部集落を除く)が国立公園の伊豆大島は、2010年から日本ジオパークにも認定されています。「大地の公園」を意味する「ジオパーク」とは、地球を学び、丸ごと楽しむことができる場所のことです。

伊豆大島は若い活火山の島であり、噴火の歴史が形作った大地(ジオ)や、溶岩の上で再生を繰り返す生態系(エコ)、厳しい環境の中で島民が築いてきた文化や歴史(ヒト)の繋がりを体感できます。

そんな伊豆大島の見どころはなんといっても三原山カルデラ内側の山頂エリア!

1500年間の噴火で作られたさまざまな溶岩地形があちこちで見られ、その原始的な景色から国立公園でも最も重要なエリアとして特別保護地区に指定されています。

そんな山頂エリアにおいて、伊豆大島ジオパーク推進委員会による「登山ルートのネーミング企画」が行われました。ネーミング対象は、利用者が多いにも関わらずこれまで決まった呼び名のなかった一本道および周辺の注目ポイントです。

(※公園事業道路としての名称は以前からあります)

216件もの応募から選考された5つの愛称が先月発表されたので、各所の見どころと一緒に紹介します!

1】再生の一本道

ここは、かつての噴火で吹き出した真っ黒い溶岩の大地の上に、数百年をかけて再生した植生が見られるエリアです。この一本道を歩くだけで、草原から森林へと植生回復の過程が辿れます。

これをさらに2つの区間に分けて、以下の愛称が付けられることになりました。


「こもれびトンネル」

三原山火口から離れた、噴火の影響が少ない場所から植生は再生します。

この区間では木々が歩道を覆うようにして育ち、登山者へ優しい木漏れ日を注ぎます。ひんやりと涼しいので、夏季は真昼でもヒグラシがたくさん鳴いています。


「いつか森になる道」

木々の茂るこもれびトンネルから山側へ抜けると、徐々に景色が開け三原山が望めます。

歩道の両側には、ハチジョウススキ(準固有種)やオオバヤシャブシ(準固有種)など、再生の初期段階の植生が見られます。


初期段階とは言え、それぞれの季節で開花も見られます。

写真は、4~5月に咲くシチトウスミレ(固有種)です。スコリア(黒い火山噴出物)の隙間から顔を出していました。

ここに照葉樹の森ができるのと次の噴火が起きるのは、どちらが早いでしょうか。

2】ジオ・ロックガーデン

1986年に起こった割れ目噴火の溶岩流のしぶきが、3m以上も降り積もって固まった奇石のエリアです。

黒い水面がピタリと動きを止めたようで、大迫力ですね。

3】裏砂漠・風の丘

さらに三原山へ近づいていくと、そこにはまだ植生回復が始まっていない一面スコリアの丘が!

植生が再生しているカルデラ床と海が一望できる絶好の望見スポットです。遮るものがないので風に乗って遠くの音まで聞こえてきます。


足元には稀にこんな溶岩も落ちています。

噴火で吹き出たマグマが空中で急激に冷やされるとキラキラしたガラス質になると言いますが、これもそうしてできたものなのでしょうか。碧くきらめいてとても綺麗です。とても綺麗ですが、カルデラの内側は全域が特別保護地区のため、石や植物の採取は一切禁止されています。(自転車を含む車両の乗入れもいけません。)目で楽しんだ後は、どんなに綺麗でも持ち帰らず、その場に置いていきましょう。

いかがでしたでしょうか。

いずれも、その場所の景観が感じられる&爽やかな印象の素敵な愛称ですね!

夏季は山が雲に包まれる「島曇り」と呼ばれる現象が起きやすいですが、冬季は空気が澄んでいて海やその向こうの富士山まで見渡せるので、三原山登山はまだまだ楽しめます。

今回新たにネーミングされたルートの他にも、山頂へ向かう道はいくつかあります。

観光協会やジオガイドさんに相談して、お好みのルートを見つけてみてください。

<参考>

伊豆大島ジオパーク公式サイト:http://www.izu-oshima.or.jp/geopark/

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