ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2019年6月

24件の記事があります。

2019年06月06日尾瀬高校での出前授業と最近の尾瀬の様子

尾瀬国立公園 尾池こず江

 環境省関東地方環境事務所と尾瀬高等学校(尾瀬高)は平成30年2月に連携協定を締結し、その協定の一環として2回目の出前授業を行ってきました。

 保護管理と環境教育の点から、今回は自然保護官から環境省全体についてのお話や国立公園について講義した後に、今年度から片品自然保護官事務所に着任したシカ対策専門員から野生動物全般のお話や今尾瀬国立公園で問題となっているニホンジカについての講義を行いました。

 これから野生動物にかかわる職業に就きたい人に向け自分の経験をもとにアドバイスをするなど、高校生も興味深く聞いていた様子でした。

 講義のあとは座談会を行い、熱心に様々な質問をしている様子をみていると高校生からのパワーを感じました。また、高校生の新鮮な発想はこちらとしても貴重で、とても勉強になりました。

 

 さて、最近の尾瀬の様子はというと、尾瀬シーズンも始まり尾瀬ヶ原では有名なミズバショウをはじめ次々とお花が咲き始めております。

【テンマ沢】

【下ノ大堀川】

【木道の間にはリュウキンカ】

【ひっそりと咲くザゼンソウ】

新緑が綺麗な季節になり、これからますます暑くなりますので熱中症には気をつけて、

是非尾瀬にお越しください!

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2019年06月04日珍客「サドコブヤハズカミキリ」

佐渡 近藤陽子

皆様、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の近藤です。

新潟県佐渡市ではトビシマカンゾウやイワユリが見頃を迎えています。


<佐渡弥彦米山国定公園にも指定されている長手岬のイワユリ>

佐渡は朝晩涼しいですが、日中は30度近くになる日も多くなりました。

そんなある日、事務所1階の階段で、とある昆虫が発見されました。




カミキリムシの仲間の「サドコブヤハズカミキリ」と思われます。

日本海に浮かぶ佐渡島。

佐渡で暮らす昆虫の中には、こうした閉鎖的な環境で世代交代を繰り返し、翅が退化して飛ぶことができなくなった種も多いそうです。

サドコブヤハズカミキリも翅が退化し、飛ぶことができません。

事務所の階段に現れたサドコブヤハズカミキリ。林から出てきて、とことこと駐車場を横切り、事務所の建物の中までやって来たようです。

職員みんなで観察したのち、林へ返しました。

佐渡の生きものと言えばトキが思い浮かびますが、トキ以外にも多くの貴重な生き物がいることを思い起こさせる良い機会でした。

<佐渡固有種/固有亜種>

・サドノウサギ

・サドモグラ

・サドトガリネズミ

・サドカケス

・サドガエル

・サドマイマイ など

  

サドガエル            サドカケス

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2019年06月04日一足早く広河原へ

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

5月下旬に一足早く、広河原の巡視へ行ってきました。今シーズン初の広河原なので、私自身、どんな景色が見られるのかわくわくでした!!この日はとても天気が良く、芦安では30度近くまで気温が上がっていたようですが、広河原は20度!涼しくて、芦安に戻るのが嫌に思ってしまうほど居心地が良かったです!

広河原からみた北岳です。白い筋は大樺沢の左俣ルートと呼ばれる主要ルートの1つです。まだまだしっかりと雪がついていますね!開山後もこのあたりでは残雪を楽しむことができます。あまり雪がなく、黒っぽい斜面は北岳山頂へ続く、高さ約600mの「バットレス」と呼ばれている岩登りの対象の大岩壁です。左俣ルートを歩いているとクライマーが登っているときもあります!開山後、左俣ルートでの登頂を目指す方は、12本アイゼンとピッケル等の冬山装備が必要です!

広河原の標高は約1500m。夏期は北岳などの標高が高い山に登らずとも、さまざまな種類のお花を楽しむことができます。北岳の登山道へつながるつり橋を渡った先でいくつかのお花が咲いていたので、紹介します♪

  

左はオオカメノキ。容姿がアジサイに見えませんか?葉が大きく亀の甲羅によく似ており、夏には赤い果実をつけます。虫が好んで葉を食べることから「ムシカリ」とも呼ばれています。右はニリンソウ。この時期を代表する植物というイメージがあります。広河原山荘周辺や北沢峠に続く林道の脇に群落を作っていました。今年は春先に雪が降って寒かったせいか、まだつぼみのニリンソウもありました。

広河原から奈良田(早川町方面)に抜ける橋の上から野呂川の上流部を撮影しました。奥に見える山は栗沢山です。頂上付近がほんの少しだけ白くなっていますね。(栗沢山についてはコチラ)川を流れる水の音、鮮やかな新緑に心が癒やされました♪

今月末には山梨県側の交通機関の運行が始まり、このあたりも多くの登山者で賑やかになることでしょう!

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2019年06月01日山頂に広がる絶景!神津島 天上山 (伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 竹下実生

皆さま、はじめまして。

4月1日より、富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島管理官事務所のアクティブ・レンジャーに着任しました、竹下です。どうぞよろしくお願いします。

今回は、5月上旬に巡視を行った、神津島天上山についてお伝えします。

天上山は、神津島の中央にそびえる標高574mの「白い山」です。山頂部には、総面積80haほどの火口原が広っています。

山頂部は広いため、すべてのポイントを見て回ると、約6時間~7時間のトレッキングとなります。

登山口は、白島側登山口、黒島側登山口の二つあり、どちらも神津島港から車で約10分、徒歩約40分でアクセスできます。

それでは、天上山の風景を紹介していきます。

今回は、白島側登山口から出発しました。まずは森の中の登山道を、新緑を楽しみながら進みます。しかし程なくすると、樹木の背丈が低くなりはじめ、徐々に、高山帯のガレ場のような風景になっていきます。岩の隙間に咲くヒメハギの花に励まされて斜面を登りきると、目の前に広がるのは「不入ガ沢(はいらないがさわ)」です。

       岩の隙間に咲くヒメハギ。花のつくりが個性的です。

昔々、伊豆諸島の神々がこの窪地へ集まり、「水分け」の相談を行ったと言われています。

相談の場に一番乗りで到着した御蔵島の神様は、最も多くの水を得ることが出来ました。しかし、寝過ごして遅刻した利島の神様は、残っていたほんの少しの水しか得られませんでした。怒った利島の神様は、水の中で暴れ回り、その時にたくさんの水が飛び散ったおかげで、神津島ではあちこちで湧き水が出るようになったそうな...。

神聖な窪地であることから、入ってはならない沢、「不入沢(はいらないがさわ)」という名前が付けられたようです。

【詳細はこちら】

○「伊豆諸島を知る事典」樋口秀司 東京堂出版(2010)

○特定非営利活動法人 神津島観光協会 神津島観光ガイドhttps://kozushima.com/sightseeing/mizukubarimonument 

不入沢を左手にして山頂部の縁をまわり、山頂中央部へ入っていくと、なだらかな火口原が始まります。

火口原にはいくつもの大きな火口跡があり、現在は人の背丈ほどの樹林の育つ、「緑の窪地」となっています。窪地を横断するように登山道が延びており、オオシマツツジやシャリンバイなどの花を眺めながら、樹林の中を歩くことが出来ます。

山頂部東側と中央部には、「白い砂漠(表砂漠・裏砂漠)」が広がっています。オオシマツツジを中心とした「緑の島」が点在する様子は、ここでしか見られない独特の風景です。

火山の噴火後、最初に育ち始めたのがオオシマツツジでした。そこに他の植物の種が飛んできて根付き、強風に耐えながら育った結果、半球系の緑の島ができあがりました。

砂漠を抜け、背の高い樹林帯を進んでいくと、「千代池」が現れます。

火口跡に雨水が溜まってできた、天上山最大の池です。渇水時には干上がってしまいますが、千代池周辺には霧のかかることが多く、そのおかげで湿気が保たれ、湿地の植物が命をつないでいます。

千代池から下ること約1時間、黒島側登山口に到着です。

天上山では、5~6月中旬にかけてオオシマツツジ、6月中旬~7月にかけてハコネコメツツジ、7月中旬から下旬にかけてはサクユリが見頃となります。皆さんもぜひ、天上山に遊びに行ってみてください。

【天上山トレッキング情報・マップ】

○特定非営利活動法人 神津島観光協会 神津島観光ガイドhttps://kozushima.com/recommend/mounttenjocourse

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