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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

山頂に広がる絶景!神津島 天上山 (伊豆諸島地域)

2019年06月01日
伊豆諸島

皆さま、はじめまして。

4月1日より、富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島管理官事務所のアクティブ・レンジャーに着任しました、竹下です。どうぞよろしくお願いします。

今回は、5月上旬に巡視を行った、神津島天上山についてお伝えします。

天上山は、神津島の中央にそびえる標高574mの「白い山」です。山頂部には、総面積80haほどの火口原が広っています。

山頂部は広いため、すべてのポイントを見て回ると、約6時間~7時間のトレッキングとなります。

登山口は、白島側登山口、黒島側登山口の二つあり、どちらも神津島港から車で約10分、徒歩約40分でアクセスできます。

それでは、天上山の風景を紹介していきます。

今回は、白島側登山口から出発しました。まずは森の中の登山道を、新緑を楽しみながら進みます。しかし程なくすると、樹木の背丈が低くなりはじめ、徐々に、高山帯のガレ場のような風景になっていきます。岩の隙間に咲くヒメハギの花に励まされて斜面を登りきると、目の前に広がるのは「不入ガ沢(はいらないがさわ)」です。

       岩の隙間に咲くヒメハギ。花のつくりが個性的です。

昔々、伊豆諸島の神々がこの窪地へ集まり、「水分け」の相談を行ったと言われています。

相談の場に一番乗りで到着した御蔵島の神様は、最も多くの水を得ることが出来ました。しかし、寝過ごして遅刻した利島の神様は、残っていたほんの少しの水しか得られませんでした。怒った利島の神様は、水の中で暴れ回り、その時にたくさんの水が飛び散ったおかげで、神津島ではあちこちで湧き水が出るようになったそうな...。

神聖な窪地であることから、入ってはならない沢、「不入沢(はいらないがさわ)」という名前が付けられたようです。

【詳細はこちら】

○「伊豆諸島を知る事典」樋口秀司 東京堂出版(2010)

○特定非営利活動法人 神津島観光協会 神津島観光ガイドhttps://kozushima.com/sightseeing/mizukubarimonument 

不入沢を左手にして山頂部の縁をまわり、山頂中央部へ入っていくと、なだらかな火口原が始まります。

火口原にはいくつもの大きな火口跡があり、現在は人の背丈ほどの樹林の育つ、「緑の窪地」となっています。窪地を横断するように登山道が延びており、オオシマツツジやシャリンバイなどの花を眺めながら、樹林の中を歩くことが出来ます。

山頂部東側と中央部には、「白い砂漠(表砂漠・裏砂漠)」が広がっています。オオシマツツジを中心とした「緑の島」が点在する様子は、ここでしか見られない独特の風景です。

火山の噴火後、最初に育ち始めたのがオオシマツツジでした。そこに他の植物の種が飛んできて根付き、強風に耐えながら育った結果、半球系の緑の島ができあがりました。

砂漠を抜け、背の高い樹林帯を進んでいくと、「千代池」が現れます。

火口跡に雨水が溜まってできた、天上山最大の池です。渇水時には干上がってしまいますが、千代池周辺には霧のかかることが多く、そのおかげで湿気が保たれ、湿地の植物が命をつないでいます。

千代池から下ること約1時間、黒島側登山口に到着です。

天上山では、5~6月中旬にかけてオオシマツツジ、6月中旬~7月にかけてハコネコメツツジ、7月中旬から下旬にかけてはサクユリが見頃となります。皆さんもぜひ、天上山に遊びに行ってみてください。

【天上山トレッキング情報・マップ】

○特定非営利活動法人 神津島観光協会 神津島観光ガイドhttps://kozushima.com/recommend/mounttenjocourse