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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

トキの顔

2019年07月25日
佐渡

皆様、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の近藤です。

<佐渡市金井地区>

 新潟県佐渡市では、7/16(火)に今期最後の野生下のトキのヒナが巣立ち、繁殖期が終わりました。現在、佐渡の各地で今年誕生したトキの幼鳥たちが確認されています。

 今回は、「トキの顔」についてお話します。

 トキの顔、よく見ると案外いろいろなことが分かるんです。

たとえば、こちらの2枚。

 


 トキのモニタリングを行っている職員は、この写真から、どちらが野生下で生きているトキで、どちらが放鳥されたばかりのトキ(つい最近まで飼育されてたトキ)かが分かります。

何を基準に判断しているのか。判断の決め手は「眼の色」です。

 

<野生下トキ>              <放鳥されたばかりのトキ>

 野生下で生きているトキの眼("虹彩"と呼ばれる黒目の周りの色)は濃いオレンジ色をしています。一方、放鳥されたばかりのトキの眼にはほとんど色がありません。

 放鳥されたばかりのトキは、生存確認のため、特に注意してモニタリングされています。個体識別用の足環(あしわ)が草に隠れて見えなくても、顔を見れば注意して観察しなければいけない個体だと分かります。

 眼の色は、トキが食べるエサによって変化していると考えられています。エサの種類が限られる飼育下トキに比べ、野生下トキは季節・環境に応じて様々な種類のエサを食べています。その結果、眼の色が濃く発色するようです。

 最後に、こちらの1枚をご覧ください。

 顔がオレンジ色で眼が黒く、後頭部の冠羽(かんう)が短いこのトキ。これは巣立って間もない幼鳥です。

 6~7月は、トキの巣立ちラッシュ。幼鳥たちが佐渡の各地で観察され始めます。

 水田でトキを見かけたら、遠くから静かに双眼鏡を使ってじっくり観察してみてください。幼鳥と出会えるかもしれません。

 観察を続けていると、様々なことが見えてきます。身近な生きものを継続して観察すると、思いがけない発見があるかもしれません。あなたのまわりの自然にも目を向けてみてはいかがでしょうか。