ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2019年9月

21件の記事があります。

2019年09月19日塩見岳で高山植物保護活動

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

914日から16日の3連休で静岡県事業として三伏峠の防鹿柵修繕作業を、環境省事業として塩見岳の伏工作業を静岡県ボランティアネットワークのみなさんと行ってきました。

初日は三伏峠の防鹿柵に設置されている通年設置の防鹿柵の修繕を行いました。通年設置の防鹿柵は季節型の防鹿柵と違ってポールからネットを外すという作業ではなく、雪圧でひしゃげてしまった支柱の打ち直しや高さが足りなくなっている金網部分を持ち上げる作業を行いました。元々はまっすぐ設置されていた支柱や金網は雪圧でぐにゃと曲がっており、大人1人の力でも修復が難しい状態でした。雪圧恐るべし。

  

金網の修復で金網が目に飛んだり、支柱の打ち直しで頭に支柱や杭打機が当たるのを防ぐために、作業時はゴーグルとヘルメットを、もちろん足元は高山植物への影響を少なくするために地下足袋着用です。三伏峠・塩見岳の作業では社会人だけでなく、大学生や高校生も参加してくれたので、大人数で作業を進めることができ、あっという間に作業が終了しました。

柵の中には少し枯れ始めてしまってはいますが、タカネマツムシソウがたくさん咲いていました。

春先にはミヤマクロユリやシナノキンバイ、ハクサンチドリなどの高山植物でいっぱいになります。三伏峠から烏帽子岳、小河内岳方面へ向かう際はこのお花畑の真ん中を通ります。季節に応じて、たくさんの高山植物が咲くスポットなので、夏季に通過される際は注目して見てください。

2日目は塩見岳東峰にて伏工の作業を行いました。塩見岳東峰付近ではシナノキンバイやハクサンイチゲが咲き誇るお花畑でしたが、ニホンジカの採食圧や踏圧によって植生の変化が進み、やがてニホンジカが好まない植物すらなくなり、山肌がむき出しになってしまいました。氷河跡地の上部は土壌が薄く、一度表土が剥がれ落ち、土壌侵食が起きてしまうと、植生の自然回復は困難になってしまいます。そのため、2009年(平成21年)から毎年、塩見岳東峰付近ではヤシマットの設置を行っています。

三伏峠を出発し、塩見小屋から一人ひとり歩荷したマットをお花畑の裸地部分に敷きます。

  

塩見岳直下のガレ場や東峰斜面のきつい傾斜での作業で落石による事故防止のため、この作業でもヘルメットは必須。すでにむき出しになっている斜面は傾斜がきつく、足元が非常に悪いです。四隅や途中部分に張りピンを木槌で打ち、シュロ縄で固定します。最後に石を置いて完成です。マットで覆うことによって土壌が流れにくくなるほか、保温性を高めることができます。地面の温度変化が穏やかになると、飛んできた種から芽が出やすくなる効果もあります。石はマットを押さえるだけでなく、石によってできる影によって、日影を好む植物、日向を好む植物がそれぞれ育ちやすくなるそうです。

昨年設置したヤシマットにはオンタデやイワツメクサが根付いており、ヤシマット設置の効果を感じました。すぐに効果が出るわけではなく、地道な作業ではありますが、続けていくことに意味があると思っています。かなりの時間を要すると思いますが、いつかこの場所に緑やお花畑が戻ってきてくれることを願います。

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2019年09月18日富士山の植物(吉田ルート編)

富士箱根伊豆国立公園 小西 美緒

あっという間に9月になったかと思ったら、富士山が閉山してもう1週間です。
本当に時が過ぎるのは早いです。

沼津管理官事務所の山田アクティブ・レンジャーが静岡県側の富士山の植物紹介をしていましたので、山梨側の紹介もしたいと思います。

富士山というと岩ばかりであまり植物の印象がない方も多いかと思いますが、すでに静岡県側でも紹介したように、様々な植物たちが過酷な環境で生きています。

■吉田ルート■

吉田ルートは全体の6割の登山者が登るルートです。スタート地点のスバルライン五合目の標高は2,305mです。階段を登ったりするだけで息が切れ、空気が薄いことを感じます。

~吉田ルートの植物~

【フジハタザオ】

ハタザオは地方変異が多い種だそうですが、フジハタザオは富士山の砂礫地に自生する固有種です。シーズンの最初の頃に花を咲かせています。背丈は小さいですが(10~25cm)、背丈の割に大きい花びらは登山道を歩いてもよく目立ちます。六合目~八合目でよく見かけますが、白い清楚な花がいつも疲れをいやしてくれます。富士山でしか見られないと思うと、なおさら見ると嬉しくなりますね。


【ベニイタドリ】

前回の富士宮編で紹介した「オンタデ」と同じくらい富士山でよく見かけるのが「イタドリ」です。オンタデと見た目もよく似ています。薬や食材としても利用される植物です(ただし、富士山では採取禁止です!)その中でも本変種の赤いものを「ベニイタドリ」と言いますが、風流な「メイゲツソウ」という別名もあります。
長いものでは3mに達する根を持ち、水分に乏しい荒原に適応しています。見えない地中に根を延ばして一生懸命生きていると思うと、応援したくなりますね。小さな赤い花が集まってとてもかわいらしいです。吉田ルート五合目の御中道でよく見ることができます。


【タカネバラ】

「高嶺薔薇」。高山に自生するバラです。7月下旬頃に、それほど数は多くはありませんが、五合目から六合目の間の登山道脇で見ることができます。鮮やかなピンク色をした4~5cmの花が目を引きます。園芸種の派手さはないですが、清楚で感じがとても素敵な花です。秋には赤い実をつけます。かすかな甘い匂いがしますので、見かけたら是非嗅いでみてください。

【ヤナギラン】

「柳蘭」。葉が柳に、花が蘭に似て鮮やかなことから名が来ているそうです。七合目の日ノ出館に登る階段の山側に咲いています。長い茎についた鮮やかなピンクの花が風に揺れる姿は思わず見入ってしまいます。登山シーズンの後半になると咲いてくるので、私はこの花を見ると登山シーズンの終わりが近づいてきている事と秋の訪れを感じます。


【フジアザミ】

富士山周辺に多く分布していることから、名前にフジを冠しています。夏の終わりにスバルライン沿いや砂礫地で見かけます。地域によっては根を食用にするそうです(富士山では採取しないでくださいね!)。大きな(10cmほど)の紫色の花を重そうにして下を向いている姿がとても目立ちます。ころんとして形状もかわいらしいです。私にとってはヤナギラン同様、登山シーズンの終わりを感じる植物です。


今回は須走ルート編、富士宮ルート編で紹介しなかった植物を取り上げましたが、静岡県側で紹介した花も吉田ルート側でも見ることができます。

登ることに一生懸命になってしまって、なかなか花を見る余裕はないかもしれませんが、富士登山の成功のコツの1つは「ゆっくり登ること」です。そのためにも、足元や登山道脇に目を向け、立ち止まって花を楽しむことはとてもいい方法だと思います。

今シーズンは本日で閉山ですが、来シーズン登られる方は富士山という過酷な環境に生きている植物もぜひ楽しんでいただけたら、と思います。

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2019年09月17日ウミガメの泳ぐ海 八丈島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

先日の台風15号による被害に遭われた方に、お見舞い申し上げます。

報道されているように、伊豆諸島でも大きな被害が出ています。

当事務所のある大島では、家屋損壊が多数、一部地域で停電や断水が続き、倒木や土砂崩れによる通行止めが数カ所あるような状況です。停電については、今日から大島全域で復旧したようです。

観光で伊豆諸島を訪問される予定の方は、宿泊先や訪問予定の施設が復旧しているかどうかご確認ください。

被害・復旧・支援などに関する情報を確認できる、各島の役場や観光協会のホームページのリンクを紹介します。

大島町  https://town.oshima.tokyo.jp/

利島村  http://www.toshimamura.org/tourism

神津島村 https://vill.kouzushima.tokyo.jp/

新島村  https://www.niijima.com/

式根島観光協会 https://shikinejima.tokyo/

さて、台風の襲来する前週に、八丈島へ行って参りました。

八丈島は、東京から南へ約287km、羽田空港から約55分、竹芝港から約10時間20分の場所にあり、面積は約69.11平方キロメートルと、伊豆諸島では伊豆大島の次に大きい島です。島はひょうたん型をしていて、北に八丈富士、南に三原山の二つの山がそびえています。

登龍園地から見渡せる八丈島中心部、八丈富士、八丈小島の景色

▲登龍園地からの景色。三原山中腹にある登龍峠からは、八丈島の中心部、八丈富士、八丈小島を見渡せる。

八丈島の海はとても綺麗で、シュノーケルで泳いでいける範囲でもサンゴやウミガメを見ることができます。

また、冬期にはザトウクジラも訪れます。

今回は、国立公園の海域調査のため、島の東側にある底土海水浴場へ行きました。

底土海水浴場の景色。海岸には砂浜があり、海へ入りやすい。

▲底土海水浴場。

テーブルサンゴの広がる底土海水浴場で海藻を食べるウミガメ

▲海藻を食べるアオウミガメ

テーブルサンゴの広がる底土海水浴場で泳ぐウミガメ

▲テーブルサンゴが広がる

海の透明度は高く、砂浜から数mの場所には、なんとテーブルサンゴが広がっています・・・。

サンゴの間には様々な魚、そして、ウミガメが泳いでいます・・・!!

周辺には複数頭のアオウミガメが生息しているようで、1時間程度で2回遭遇することができました。ゆったりと泳いで海藻を食べるウミガメの姿を見ていると、なんだか幸せな気持ちになります。

アオウミガメ(学名:Chelonia mydas mydas)は、環境省のレッドデータブックに絶滅危惧Ⅱ類として掲載されている種です。インド洋~太平洋、大西洋、地中海と、世界の広い範囲に分布していますが、日本は北縁の産卵海域であり、大切な餌場でもあります。

底土海水浴場では、観光客がウミガメに触れたり、ウミガメの行動を妨げたりする行為も見受けられるようです。ほどよい距離を保ち、ウミガメに出会える環境を大切にしていきたいです。

八丈島は、海だけでなく、八丈富士や三原山のトレッキングコースも魅力的です。

次回は、八丈富士山頂のトレッキングコースについて紹介したいと思います。

底土港沖から眺めた八丈富士

▲底土港沖から見た八丈富士

※八丈島へのアクセス、観光情報はこちらです。

八丈島観光協会 http://www.hachijo.gr.jp/

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2019年09月13日【報告】子どもパークレンジャー第3弾!「第4回箱根町子ども体験教室(自然体験)」(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 三瓶雄士郎

こんにちは。富士箱根伊豆国立公園管理事務所の三瓶です。

先日からご報告しております当事務所が行っております「子どもパークレンジャー」のラストを飾る第3弾をご報告いたします。

今回の第3弾「第4回箱根町子ども体験教室(自然体験)」では、箱根町教育委員会生涯学習課が箱根町内の小学生を対象とした夏休みのイベント企画の一つで、子どもパークレンジャー事業とタイアップして活動したものです。

 テーマは「富士箱根伊豆国立公園の成り立ちを知ろう!」です。

第1回目や第2回目は火山噴火の仕組みやその歴史、箱根地域の動植物について学びました。

第3回目の今回は、富士箱根伊豆国立公園の成り立ちを地図で地形を学び、岩石を使った実験で地質や歴史を学びました。

【(左)巨大な赤色立体地図/(右)箱根みいつけた!】

神奈川県と静岡県が描かれた赤色立体地図。陸地の他にも海の地形が書かれていて、富士山、箱根、伊豆半島、伊豆諸島が海底で一つの山のような尾根で繋がっている事や南海トラフ、相模トラフの場所なども教えてくださいました。

【(左)国立公園の紹介/(右)箱根地域のシカ問題の紹介】

岩田 国立公園管理官より、国立公園についてどの場所が特別保護地区なのか、箱根のシカ問題について箱根ビジターセンターの展示を使って教えていただきました。

 地元の子ども達なので、ジオラマを使うことで実際に見える山の形で金時山の特別保護地区や仙石原湿原の特別保護地区の場所を理解していただく事が出来ました。

【地質パズルから学ぶ地層年齢】

国立公園内の富士山、箱根、伊豆はそれぞれ誕生の仕方が異なるため、地質パズルを使ってどの地域の地層が古いかパズルに当てはめながら学びました。

ちなみに同国立公園内一番古いのは太平洋沖で誕生した伊豆半島地域。伊豆半島が地殻変動によって本州と合体したときに箱根火山が誕生し、その後に富士山が噴火し完成しました。意外にも南のほうが地質が古いんですね。

【(左)岩石調べ/(中央)標本板作り/(左)岩石標本板】

 富士山は玄武岩、箱根は安山岩、伊豆半島は凝灰岩とそれぞれの地域では特長のある岩石が見ることが出来ます。その岩石を学ぶため、その岩石の特長にあった実験を行い、岩石を見分けました。

 また、箱根のお隣にある丹沢山地は伊豆半島と同じく太平洋沖で誕生したことや、同県内にあるため、その岩石(石灰岩)を一緒に調べることになりました。

 実験では鉄分を多く含む玄武岩、安山岩を調べるため、磁石がくっつくかの実験(安山岩、玄武岩はこれで分かる)、塩酸を垂らして反応するかの実験(石灰岩はシュワシュワと音を立てて溶ける)をしました。

 分類できたところで、岩石をハンマーで細かく砕き、板に貼り付けて「岩石標本板」を作成しました。これで夏休みの宿題は完成かな?

本イベントはこれにて終了。今年も子どもパークレンジャーを通じて、箱根ジオについて、国立公園について少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

 来年も開催を検討中!ぜひご参加ください!

〈今回のイチオシ写真〉

【雨宿り・・・?】

箱根ビジターセンター周辺の園地で出会ったアカガエル。実際雨は降っておらず「蛇に睨まれた蛙」の如く、自分のカメラに睨まれて身動き出来ない様子でした。怖がらせてごめんね。

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2019年09月11日北岳で秋のお花が咲き始めました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

9月6日に北岳へ巡視に行ってきました。天気予報で6日、7日ともに天候が大きく崩れる予報がなかったせいか、平日にも関わらず多くの登山者で賑わっていました。9月に入って夏の花が終わり、徐々に秋の花が咲き始めています。今回の巡視で見られた植物を紹介したいと思います。

【オヤマボクチ】

北岳には数多くの植物が生育しているのはみなさんご存じですよね。ピンクや黄色、白色で綺麗な花が多いというイメージをお持ちの方が多いかと思います。このオヤマボクチは色としては地味ですが、花は大きく鋭くトゲ状になっていてとてもユニークです。由来は、葉の裏に生える繊維が火起こし時の火口(ほくち)として用いられたからだそうです。よーく目をこらして探してみてください。

【ノコンギク】

秋の低山を代表する植物の1つです。咲いているところによって濃い紫色や少し白っぽい色などさまざまです。群落で咲いていることが多く、鮮やかな紫色がとても綺麗です。広河原で多く見られます。ヨメナという花に似ていますが、ノコンギクには葉や茎に毛が生えていることが特徴です。

△二俣周辺からの北岳

この日は広河原からも北岳山頂がよく見えて、大樺沢ルートを歩いている最中も北岳を見ながら歩くことができました!雨が続いていたせいか、登山道には水が流れこんでいました。靴底が濡れたまま岩の上を歩くと滑ることもありますので、歩行の際は十分に気をつけてくださいね。登山道脇ではトリカブトやサラシナショウマ、二俣周辺にはキオンやミヤマアキノキリンソウ、ヤマハハコが咲いていました。

△白根御池小屋から見た北岳方面

午後になると一変し、北岳山頂はガスの中。ついさっきまで晴れていたのに、一瞬にして真っ白になってしまいました。午前中は晴れていても午後になったらガスに包まれたり積乱雲が発達して雷が発生したり、¨天気予報は1日晴れ予報だったけど雨が降った¨などは山でのあるあるです。今週末は3連休!予報を見ると大きな崩れはなさそうですね。大きな崩れがないからといってお昼過ぎから歩いたり、重くなるから雨具を持ち歩かないということがないようにしてください。早出早着を心がけ、天気予報に関わらず雨具を携帯するようにしてください。みなさんにとって素敵な3連休になりますように♪

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2019年09月08日富士山から見える雲海

富士箱根伊豆国立公園 箱根 池田興平

こんにちは!富士山の開山シーズンは残り数日となりました、少し寂しいですね。

今年度の富士山の開山シーズン中に私が登った中で、感動した富士山の風景を共有できればと思います。

私は富士山から見る雲海の風景がとても好きなのですが、富士山は日本で一番標高が高い山ということで条件さえ揃えばとても素晴らしい雲海に出会えることができます。

雲海とは、高い場所から見下ろしたときに層状の雲が海のように広がって見えることを指します。雲の種類は様々ありますが、最も低い位置にできる雲は層雲や層積雲です。これらの雲は約2000m以下で発生するので、一応の目安で各ルートの吉田六合目(2,390m)、須走新六合目(2,420m)、富士宮口五合目(2,380m)、御殿場新六合目(2,590m)などの標高からとても綺麗に雲海を見る事ができます。

私が今年度の富士登山で目にした美しい雲海の一つ目ですが、吉田ルートの五合目から六合目にかけての登山道を歩いていて東からの朝日がグングン上がる時間帯に雲海を見たときでした。その瞬間を人も背景の一部の構図として写真を撮ると朝日の逆光で人の影がくっきりと表れるのでとても絵になりました。

【8月17日5時28分 吉田ルート六合目付近】

吉田ルートの本七合目にある鳥居ですが、雲海が見られる条件で撮影をすると鳥居と雲海のセットが美しく映えて幻想的な写真を撮ることができました。

【8月17日8時54分 吉田ルート本七合目】

最後に下りの八合目ですが、斜面を見下ろす様な視点になるため、登山道を見通した先に雲海が広がっている景色は、陸から見える広大な雲の海そのものだなと感じました。

【8月17日12時48分 吉田ルート下山道八合目】

いかがだったでしょうか。素敵な雲海に出会えるタイミングを予想するには、天気予報で前日に濃霧注意報と発表されていれば雲海を見られる可能性が高いです。ぜひ富士山に行く際の参考にしてみてください。

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2019年09月06日【報告】子どもパークレンジャー第2弾!「箱根ジオパーク2019 国立公園を守る子どもパークレンジャーになろう!」(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 三瓶雄士郎

こんにちは。富士箱根伊豆国立公園管理事務所の三瓶です。

今年は残暑が少なく、気温が20℃を下回る日もあります。涼しいを通り越して、肌寒いです・・・。

さて、★2019年08月01日 【報告】子どもパークレンジャー第1弾!「サマースクール」(箱根地域)でもご報告しました毎年当事務所では「子どもパークレンジャー」のイベントを無事、全3回を終えることが出来ました!

今回は第2弾「箱根ジオパーク2019 国立公園を守る子どもパークレンジャーになろう!」をご紹介します。

このイベントは環境省主催で「箱根ジオパーク」「国立公園」「箱根の自然」の3つのテーマで、それぞれの講師の方に箱根の自然や火山、国立公園について学び、体験する終日イベントです。

〈箱根火山と水槽実験(講師:箱根町企画課 箱根ジオパーク推進室 笠間 先生)〉

箱根火山の歴史や現在の火山活動の様子をご紹介していただき、野外で実際に火山が噴火するとどのような現象が起きるのか、水槽を使った疑似噴火実験をしていただきました。

【箱根火山の特長をご説明してくださる笠間先生】

【水槽実験の様子】

 水槽に濃い食塩水と真水を交わらないように入れて、2層にすることで、水槽内に大気層(塩水:地上の空気、真水は大気圏などの高層域)を再現。

 そこに食塩水より比重が軽い液体(チョーク1本分を溶いた液体:緑色)と比重の重い液体(チョーク3本分の液体:黄色)をチューブへ流し込むと、実際に火山が噴火したような現象が起きました。

 緑色の液体は火山灰を表現しており、比重が軽いため真水(高層域)まで到達するのだそうです。

 一方、黄色の液体は火砕流を表現しており、高温の溶岩片、火山灰、火山ガスなどが一体となるため、空気より重く、高速で地表を這うように降りてくるのだそうです。

 雲仙普賢岳の噴火(1991年)では実際にこの現象が起き、1000℃以上にもなる火砕流が時速100kmで数十km先まで噴火口から下り、周囲の建物が倒壊し、森林地帯は火災が発生したそうです。

 準備が大変でしたが、それ以上に分かりやすい実験に参加した子ども達もとても驚いたと共に噴火の違いとその恐ろしさを体験できる良い実験でした。

〈噴火実験と岩石観察(講師:NPO法人ホールアース研究所 津田氏)〉

【コーラで噴火実験(左)/岩石観察(右)】

毎度おなじみになってきましたね。コーラをマグマに見立て、振る(地震が起きる)とどんなふうに中身が噴出するのか実験し、噴火のメカニズムを学びます。どうしても良い写真を撮りたい自分は、この位置に立つことによって素敵な写真を撮影することが出来ましたが、その代償に身体中ベトベトです・・・笑。

岩石観察では、金太郎岩周辺を訪れ、火山岩の一種である安山岩に含まれる鉄分を紹介するため、磁石がくっつくか実験しました。

〈箱根の自然の紹介(講師:箱根地区パークボランティア(以下:PV))〉

【観察会の様子(左)/ソーセージみたいな種子が生るツチアケビの観察(右)】

 今回は植物に詳しいPVに対応していただき、カルデラ地形と箱根特有の多湿による植生について、多雨地域の屋久島と似た植物が生息するなどをお話ししていただきました。

〈国立公園の紹介(講師:環境省富士箱根伊豆国立公園管理事務所 岩田 国立公園管理官)〉

当所の岩田 国立公園管理官より富士箱根伊豆国立公園の説明や箱根地域の特長、保全地域やその取り組みについてお話ししていただきました。

他にも火山灰の観察や、岩を割る際に穴を開けた「矢穴跡」の観察、流山の紹介、マグマケーキ作りなど内容が盛りだくさんで紹介しきれませんが、各方面で活躍される方々より貴重なお話や実験をしていただき、参加した子ども達にも良い刺激になったのではと思っております。

 次回の日記では子どもパークレンジャー第3弾をお知らせします!

〈今回のイチオシ写真〉

【秋雲のぞむ鷹巣山】

明日開催予定の自然観察会「初秋の湯坂路と石仏石塔群を訪ねて」のコース下見会での風景。

当日も晴れますように。

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2019年09月06日雲が広がって景色を楽しめない、そんなとき

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

今年はカラっと晴れている日が続くということが少なく、どんよりしているときが多いですね。空に雲があって景色を楽しむことができないそんなとき!足元に目を向けて見ましょう。登山道でたくさんの高山植物があなたを出迎えてくれます。ときには登山道の真ん中に咲いているときもあります。広河原では登山をしなくとも、植物を楽しむことができます。時期はズレてしまっていますが、8月中旬に見られた広河原周辺に咲いていた植物を紹介したいと思います。

【ソバナ】


花は鐘のような形をしています。名前の由来は葉がソバの葉に似ていることから「蕎麦菜」と言われるようになったとか。写真のように薄い紫色もあれば、濃い紫色があったりと、場所によって色が多少異なります。いろいろな色のソバナを見つけてみてはいかがでしょうか。

【コウシンヤマハッカ】

ブナ帯の林内に咲くことが多いです。コウシンヤマハッカは山梨県と長野県南部にしか咲いていません。この花と似ているもので¨イヌヤマハッカ¨がありますが、大きな違いとして、コウシンヤマハッカのほうが葉の幅が広くなっています。南アルプスでは北岳の他に三伏峠の登山道などでも見ることができます。

下を見て歩いていてもお花を見つけることも難しい場合は、登山道脇を流れる川を眺めながら歩くのもオススメです。水が豊富な南アルプスでは登山道や山小屋の周辺で沢があることが多いです。水が流れる音を聞きながら、南アルプスの大自然を満喫してください!


雨が降った後には水かさが増え、水の勢いや水量が増えるので見応えがあります。ただし。大雨の後は濁流になり、近づくと流されてしまいますので、その場合は近づかないようにしてくださいね。

9月になって山の上ではこれまでと異なり、朝晩がかなり冷え込みます。山小屋泊、テント泊などで計画されている方は着替えはもちろん、暖かい服装を準備してください。日帰り登山の場合も汗をかいた身体に風があたるとすぐに冷えてしまいますので、こまめに汗を拭いたり、さっと羽織れるウェアがあると便利です。標高が高い山々では9月中旬から紅葉が始まります。南アルプスの山々で紅葉狩りの計画を立ててみてはいかがでしょうか?

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2019年09月05日8月末の富士山の様子

富士箱根伊豆国立公園 沼津 松岡宏明

皆さまこんにちは!

沼津管理官事務所の松岡宏明でございます。

 富士山閉山も間近に迫ってきました(閉山は9月10日です)。開山からあっという間に二ヶ月が過ぎ去っていった気がします。

 さて、先週8月29日に富士山巡視へ行ってきました。富士宮口五合目に到着し、山頂を見上げてみると、その付近の雲がとても早く移動していて、猛烈な強風が山頂付近に吹き荒れていることを示唆していました。五合目から標高を上げるにつれて、風速もどんどん上がり、八合目に差し掛かる頃には立っているのがやっとなほどの強風に加えて、スコリアが飛ばされてバチバチと身体にめがけて飛んでくるような状況でした。さらに、上空には異様な形をした雲が現れていました。(どうやらこの雲は吊るし雲というものらしいです)

▲上空に現れた異様な形をした雲(吊るし雲)

 状況をみて、身の危険を感じたので、山頂までは行かずに八合目で引き返して、下山しました。

 皆さんもご存知だと思いますが、富士山は標高3776mの日本で一番高い山です。そして、独立峰なので遠方の気象状況の影響も受けやすいことから、非常に雲の動きや天候等が非常に読みづらい場所です。なので、事前準備や下調べはもちろん必要ですが、現場での咄嗟の判断も必要になってきます。

 また、登山等で自然の中に入っていくことは、とても楽しいことですが、リスクがあるということも忘れてはいけません。リスクを感じたら、引き返す・下山するという選択肢もあることを認識しておいてください。

 登山時には風に吹かれてしんどい思いをしましたが、下山時に通った宝永山の風景がとても綺麗で癒されました。

▲宝永山の風景

 このように、富士山の側火山や山麓にも素晴らしい風景があるので、無理に登頂しようとはせずに、登山途中で身の危険を感じたら計画を変更してみてください。

 閉山まであと少しとなりました。最後まで登山者の皆さまが無事に下山出来ることを願っております。

沼津管理官事務所 松岡宏明(まつおか・ひろあき)

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2019年09月04日尾瀬サミット2019

尾瀬国立公園 尾池こず江

 先日9月3日に、尾瀬の保全や利用推進について話し合う「尾瀬サミット2019」が開催されました。「尾瀬サミット」は、平成8年から新潟、福島、群馬の3県が毎年持ち回りで開催しており、今回は新潟県魚沼市が会場となりました。3県知事のほか、林野庁や環境省などの関係者らおよそ160人が出席しました。

環境省からは、菅家環境大臣政務官と関東地方環境事務所長が出席しました。

 政務官は、昨年度策定した「新・尾瀬ビジョン」で掲げている「みんなで守る」観点から、ニホンジカ対策を強化するため今年の8月に尾瀬・日光国立公園ニホンジカ対策広域協議会を新設したことや、「みんなで楽しむ」観点から、利用施設の再整備を進めるとともに、尾瀬の地域資源を活かしたエコツーリズムの推進をしていくことなどを説明し、シカ対策を一層強化していくことや尾瀬の多様な楽しみ方の提案を進めていくことを話されました。

 今回は、「新・尾瀬ビジョン」の中の行動理念の一つとして掲げている「みんなの尾瀬」をテーマに、尾瀬の魅力の再発見と情報の発信の在り方について魚沼市の女性2名が女性からの視点で発表し、尾瀬での自然体験学習に取り組む魚沼市の小学生らが尾瀬学習で感じた様々なことを発表をしました。

▲尾瀬サミットの様子

▲集合写真

 「新・尾瀬ビジョン」の「みんなの尾瀬を みんなで守り みんなで楽しむ」を行動理念に、これからも「みんなに愛され続ける尾瀬」でありますように。

▲奥只見湖の遊覧船

 新潟県からの尾瀬の入山口は、魚沼市の奥只見から入るのが唯一のルートで、船とバスを乗り継いで入ります。奥只見湖は、紅葉スポットにもなっているようですのでぜひ遊覧船で尾瀬に行ってみてはいかがでしょうか。

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