2019年12月 9日
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2019年12月09日白峰三山、白くなりました
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
朝晩の冷え込みが強くなり、ようやく冬らしさを感じられるようになってきました。下界から見る白峰三山も白くなってきたようです。晴れ間を狙って、夜叉神峠登山口から火事場跡(鳳凰三山縦走路の途中)まで歩いてきました。夜叉神峠は鳳凰三山縦走路の通過点になっており、頂上では日本第2位の高峰、北岳をはじめとする白峰三山を眺めることができるスポットで、登山口から約1時間で登ることができます。登山初心者の方にもオススメのトレッキングコースです。
夜叉神峠から見た白峰三山です。昨年よりも雪の付きが良く、白く輝いていました。間ノ岳の中心にある細沢カールにもしっかり雪が付いています。夜叉神峠周辺の木々は葉を落とし、物寂しい雰囲気もありましたが、白くなった白峰三山と雲一つない青空がよく映えていました。夜叉神峠までの登山道はうっすら雪が付いている程度なので、まだアイゼン等は必須ではないかと思います。
夜叉神峠から少し足を伸ばして火事場跡まで。ここ数日、冷え込みが強かったせいか、ふかふかの新雪を楽しむことができました。
今の段階では写真の通り積雪量は少なく、軽アイゼン等を使用しなくても歩ける状態です。今後、積雪量が増えたり、冷え込みによる凍結が考えられますので、軽アイゼン等を携帯するようにしてください。
登山道を歩いていると、雪がキラキラ綺麗!!思わず写真を撮っちゃいました。
太陽の光具合によっては宝石のようにキラキラ輝いていました。風が吹くと雪が舞い、寒さよりも綺麗だなぁ、という気持ちが大きかったです。とはいえ、気温は1度を切っていたので、長く立ち止まったり強く風が吹くと寒かったです。
10月の台風により、多くの方がご存じかと思いますが南アルプス山域は林道や登山道ともに大きな影響がありました。例年であれば年末年始営業をする山小屋もありますが、今年は営業をしない小屋も多くあります。計画をされる際は、各山小屋へ事前に問い合わせるようにしてください。
また、12月から山梨県の一部の山域で登山計画書の提出が義務になりました。
引用:山梨県警察
南アルプス山域内では以下の通りです。
白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)、小太郎山、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、鋸山、アサヨ峰、鳳凰山、千頭星山、笹山(黒河内岳)、笊ヶ岳
詳細:https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/tozan_sangakujouhou.html
登山計画書を提出することによって遭難したときの手がかりになり、早期発見に繋がります。夜叉神峠登山口入り口の東屋では登山計画書を提出できるようになっているため、現地での提出が可能です。ただ、各登山口に必ずしも登山計画書を提出できるようになっているわけではないので、事前に提出することが望ましいです。雪山登山の装備も大切ですが、登山計画書の提出もしっかりして、楽しく安全に雪山登山しましょう。
皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
先週は、佐渡最高峰の金北山(きんぽくさん:1,172m)を有する大佐渡山地から平野部にいたるまで広く雪に覆われ、佐渡にも本格的な冬がやって来ました。
<雪に覆われた大佐渡山地>
佐渡のアクティブ・レンジャーは、早朝、トキがねぐらから飛び立つ様子を観察し、午前10時頃までトキの動向を追跡・記録するモニタリング業務を行っています。この時期の身を切るような寒さは、早朝のモニタリングを辛いものにしますが、ガンカモ類の渡りの時期だけあって、幸運にあずかることがあります。
先日、水田でトキを観察(※)していると、私の車の横に見慣れない色のカモがおりてきました。大きさはカルガモくらい。頭は白く、首から腹・背中にかけて鮮やかな橙赤色(とうせきしょく)。翼は黒と白のコントラストが美しく、観賞用に品種改良されたカモの仲間でもやってきたのかと思いました。
(※佐渡ではトキの生態に影響がないよう車内から観察を行っています)
このカモの正体は、「アカツクシガモ」。全国的にも珍しく、佐渡では2004年以来、15年ぶりの確認となりました。
<アカツクシガモ 2019/11/20撮影>
アカツクシガモの多くは、ユーラシア大陸中部で繁殖し、冬期、インドや中華人民共和国などのユーラシア大陸南部へ渡り、越冬します。日本には希な冬鳥、または旅鳥として飛来が確認されています。
漢字では「赤筑紫鴨」。日本では、「ツクシガモ」と「アカツクシガモ」が確認されていますが、どちらも西日本、特に九州北部(筑紫の地域)での確認が多いことが名前の由来になっているようです。
ちなみに、英名は「Ruddy Shelduck」。赤い(Ruddy)ツクシガモ(Shelduck)を意味します。ツクシガモの配色を知っている人には、Sheld(多彩な)+duck(カモ)でShelduck(ツクシガモ)と英名になっているのもうなずけるのではないでしょうか。
その後、このアカツクシガモが佐渡で再確認されることはなく、15年ぶりの飛来を確認したのは、私だけでした。
寒い日のモニタリング中に突然舞い込んできた幸運。鳥好きの私には、まるで夢のような出来事でした。
この時期の朝は辛いですが、朝日を浴びて輝きながら飛んでいくトキや、赤く染まる金北山は、いつ見ても息をのむ美しさで、よくよく考えれば、毎日こんな景色を見ながら仕事ができること自体が幸運だなあと思いました。
<光を浴びて飛ぶトキ>
自然の厳しさと美しさが溢れる冬の佐渡。夏とはまたひと味違った佐渡を一度体験してみてはいかかでしょうか。おどろくような幸運が巡ってくるかもしれません。
<冬の外海府>