ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2019年12月24日

3件の記事があります。

2019年12月24日アクティブ・レンジャー写真展開催中です in Q-STA(富士山駅)<富士五湖エリア>

富士箱根伊豆国立公園 小西 美緒

こんにちは。
日が短くなりましたね。事務所を出るころにはすっかり真っ暗で、帰路はシカの飛び出しに注意しながらの運転です。


富士五湖管内での「アクティブ・レンジャー写真展」は、前回の富士吉田市民会館から、富士急行線「富士山駅」に隣接している駅ビル「Q-STA」に場所を移して今年度第4回目の開催です。

写真展会場としては初めてのQ-STA

隣では、ほっこりした気持ちになる「絵手紙交流展」と「ぼくたちわたしの富士山」も開催中です。

地元のこどもたちが書いた富士山、一人一人個性があり思わず見入ってしまいます

車社会の富士五湖エリアでは電車を利用するのは主に旅行者や学生ですが、ビルにはクリニックや日用雑貨店、本屋さんなどが入っていて地元の人も訪れるので、色々な人に見ていただけたらな~と思っています。

<開催期間>2019年12月20日 ~ 2020年1月8日 10:00 ~ 20:00
<場  所>富士山駅ビルショッピングセンター Q-STA 2F(山梨県富士吉田市上吉田2丁目5−1)
 アクセス方法はこちら 
 写真展の詳細についてはこちら

 
Q-STA最上階6Fには富士山展望デッキがあります。真正面にドドーンと富士山、そして視線を右に動かしていくと、南アルプスの山々を望むこともできます。

広々として気持ちのいい展望デッキ

展示内容については前回(11月20日付アクティブ・レンジャー日記)にてご紹介していますので、今回は富士山駅周辺をご紹介したいと思います。

富士山駅のすぐ横には日本三大奇祭である「吉田の火祭り」の日には数多くの松明が並ぶ国道139号がのびています。

金鳥居越しの富士山

この辺りは江戸時代に栄えた富士山信仰「富士講」の基点となっていたエリアでした。登山の前後に信者が宿泊する「御師の家」が江戸時代の最盛期にはなんと86軒もあったそうです。

富士山に向かって進んでいくと、いまでもその名残を随所に見ることができますし、歩いて15分ほどで、世界文化遺産の構成資産として登録された「御師旧外川家住宅」等があり、当時の様子を垣間見ることができます。

世界文化遺産「御師旧外川家住宅」

そして、そのまま進み、突き当たった国道138号を東に行くと、富士山頂への「吉田口登山道」の基点でもある「北口本宮冨士浅間神社」があります。

300mある参道の両脇には杉の巨木と苔むした石塔が立ち並び、歩いているだけで厳粛な気持ちになります。その奥にある大鳥居は木製の鳥居としては日本最大級だそうです。

日本最大級の大鳥居

北口本宮冨士浅間神社 拝殿

このように、上吉田地区は富士山の信仰を感じるスポットが多くあり、改めて富士山が世界文化遺産であることを感じさせてくれます。いらした際には、自然だけでなく文化・歴史にも触れてみてください。

***周辺情報***
<御師旧外川家住宅>
  住所:山梨県富士吉田市上吉田3丁目14-8
  詳細:ふじさんミュージアムHP

<吉田の火祭り>

  詳細:吉田の火祭り公式HP
<北口本宮冨士浅間神社>
  住所:山梨県富士吉田市上吉田5558
  詳細:北口本宮冨士浅間神社公式HP
<ふじさんミュージアム>
  住所:山梨県富士吉田市上吉田東七丁目27-1
  詳細:ふじさんミュージアムHP

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2019年12月24日野生復帰を支えたトキたち

佐渡 近藤陽子

 皆様、こんにちは。

 佐渡自然保護官事務所の近藤です。

 ここ数年、佐渡の野生下では、多くのヒナを誕生させてきたトキたちが、1羽また1羽と姿を消していっています。少しずつ世代交代が始まっているのかもしれません。

 トキには個体識別用の足環が装着されていて、日々のモニタリングによって1羽1羽の動向が記録されています。そのため、どのトキが姿を消しているのかが分かります。

「トキが姿を消す」=「生存扱いから外れる」には、2パターンあります。1つは、死体が確認されたとき。もう1つは、モニタリングで1年以上観察されなくなったときです。

 今日は、野生復帰を支えたメスのトキ3羽についてお話します。

【No.78】

<左からNo.68、巣立たせた幼鳥、No.78 2015/6/1撮影>

出生:2010年、野生復帰ステーション生まれ・メス

放鳥回:第4回放鳥(2011年3月11日放鳥)

最終確認日:2018年8月29日

 子育て上手な大ベテランペア、No.68(オス)とNo.78(メス)は、モニタリングチームでは「ろくはちななはち」と呼ばれ、雌雄セットで親しまれていました。毎年3羽以上のヒナを巣立たせる子だくさんペアとして有名で、2014年から2017年の間に合計13羽のヒナを巣立たせました。2018年の夏を最後に、No.78の確認はなく、残されたNo.68は、足環のないメスを新たな相手として迎え、現在も佐渡の野生下で暮らしています。

【No.80】

<左からNo.80、No.67 2015/10/9撮影>

出生:2010年、トキ保護センター生まれ・メス

放鳥回:第4回放鳥(2011年3月12日放鳥)

最終確認日:2015年12月26日

 2012年、36年ぶりに野生下でトキのヒナが誕生しました。この時、No.67(オス)No.80(メス)「ろくななはちぜろ」ペアも、みごと3羽のヒナを巣立たせました。この年に野生下で誕生したヒナは全部で8羽。この8羽には、佐渡市が全国から募集した愛称、「みらい」「きぼう」「ゆめ」など8つが付けられ、佐渡市に出生届も提出されました。67/80(ろくななはちぜろ)ペアは、2012年から2015年の間に計11羽のヒナを巣立たせました。毎年同じ集落のスギ林で営巣し、地域の方々に愛されたペアでした。残されたオスのNo.67はNo.95という新たなメスを迎え、現在もNo.80と過ごしていた地域で暮らしています。

【No.127】

<水田で採餌するNo.127 2018/5/7撮影>

出生:2011年、出雲市トキ分散飼育センター生まれ・メス

放鳥回:第9回放鳥(2013年9月29日放鳥)

最終確認日:2018年8月27日

 孵卵器内でふ化し(人工ふ化)、人によって育てられた(人工育雛)トキは、野外での繁殖成功率が低いことが分かっています。人工ふ化・人工育雛のトキを、モニタリングチームでは、人人(じんじん)と呼んでいます。No.127は人人ですが、2014年から2017年の間に8羽のヒナを巣立たせました。多くの人人個体が繁殖に失敗する中、これは驚異的な数字です。No.127は人人トキの中でも際立って優秀なメスでした。2018年の夏を最後にNo.127の確認はありません。

※近年の放鳥個体の多くは、トキのもとでふ化し(自然ふ化)、トキに育てられた(自然育雛)個体です。

 私たち佐渡のアクティブ・レンジャーは、日々野生下に生きるトキの動向を追跡・記録しています。モニタリングの経験から、どの地域に何番のトキがいるのか、何番のトキがどこの餌場を好むのかなど、個体ごとの特性を把握しているため、長く観察している個体ほど愛着がわいてきます。そうした個体が見られなくなったり、死体で発見されたりすると、「よく頑張った。ありがとう。」という気持ちになります。野生下を逞しく生き抜き、人知れず消えていくトキたち。私たちは君たちの活躍を忘れない。

 日々トキたちの姿を見守る者として、佐渡のトキ野生復帰に大きく貢献したメスたちをご紹介させていただきました。

<No.127の娘、No.A11とA11が誕生させたヒナ 2018/5/25撮影>

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2019年12月24日伊豆山稜線歩道『仁科峠~天城峠』

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

朝晩の気温が一桁の日が続いていますが、日中は20℃を越える日があったり、この辺りではまだキレイに紅葉している木が見られたり、お隣の山梨県では大雪が降ったり変な感じの年末です。

夏の終わりから数回に分けて伊豆山稜線歩道を紹介してきましたが、今回の日記では、まだ紹介していない仁科峠から天城峠のスポットなどを紹介したいと思います。

まず、仁科峠の標高は800mほどで展望台があります。"富士山がある風景100選"に選ばれた場所の1つです。

展望台から富士山の方に目を向けると、眼下に牧場があり、天気のいい日は放牧された牛が草をはむ姿や鳴き声を聞くことができます。力が抜けてゆったりとした気持ちになると思います。カメラの望遠や双眼鏡を使って見るのもオススメです。

「仁科峠の駐車場」から15分程度クマザサに覆われた歩道を歩くと展望台に行くことが出来ます。

【 仁科峠展望台より(10月31日撮影)

仁科峠から天城峠に向かう途中に、「(ねっ)()岳山頂の池」があります。この日は霧に包まれていて幻想的でした。「猫越」は「ねっこ」と読みます。なかなか読めませんよね。名前の由来は、この付近が根っこで覆われているからや、噴火の際に猫が驚いて越えたなど諸説あります。

猫好きな私は、「猫」の漢字なので、猫が関わる何かが由来になっているのではないかと勝手に思っています。

この池はかつて火口湖だと言われてきましたが、最近の調査で溶岩の上に出来た池だということが分かりました。池では水生植物のヒルムシロが生えていて、池をのぞき込むと見ることが出来ます。初夏の頃には、池の脇の樹木に天然記念物のモリアオガエルの産卵も見られます。

猫越岳を進み、猫越峠を越えるとブナの森になります。ブナの巨木が点在していて思わず目を奪われます。

【 猫越岳山頂の池 】

【 ヒルムシロ 】

【 ブナの巨木 】

天城峠の手前では、歩道から富士山を眺めることが出来ます。冬の山は植物も少なく咲いている花もあまりないので、登山をしない方が多いと思いますが、いいこともあるんですよ。

下の①の写真のように落葉した木の枝の隙間から頻繁に富士山を眺めながら歩く事が出来ます。草木が芽吹く頃は②の写真ように木の切れ間から時々見えるくらいです。利用者も少なく歩きやすいですし、冬の空は空気が澄んでいて遠くまでよく見ます。

【 古峠~天城峠で見える富士山① 】※落葉後に富士山が見えるポイント

【 古峠~天城峠で見える富士山② 】※一年中富士山が見えるポイント

今年は一度天城山で積雪がありましたが、現在は伊豆山稜線歩道、天城山の全ての歩道に積雪はありません。気温も例年より高めです。ただ、朝晩と日中の寒暖差が大きいので脱ぎ着出来る服装がおすすめです。霜が降りた歩道が日中の温かさで溶け滑りやすくなっている場所もありますので、橋や階段等気をつけて通って下さい。冬は富士山が見えるポイントが多いので、歩きながら富士山を見ていると滑落の危険があります。写真撮影等は立ち止まって行うようにお願いします。

今日まで3回にわたって伊豆山稜線歩道を紹介してきましたが、全体的に歩きやすい場所が多く、明るく開けた稜線と、天城山に近づくにつれて山らしい森の中を通るので、登山初心者の方でも、登山経験者でも満足できると思います。稜線上に"富士山がある風景100選"に選ばれた眺望ポイントがあったり、季節の花々を見られる場所もありますので一年を通して何度も訪れたくなる場所です。

ここ数日、読みにくい気候が続いていますので積雪があった場合は、しっかりとした雪山装備で無理のない登山をお願いします。

▼富士箱根伊豆国立公園"富士山がある風景100選"

http://kanto.env.go.jp/to_2017/post_94.html

▼伊豆山稜線歩道ガイドマップ

http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=2406

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