ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年1月

14件の記事があります。

2020年01月15日三原山山頂口展望台から眺める富士山と伊豆半島の山々 大島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

先週は、新年最初の巡視で三原山へ行ってきました。

三原山山頂口の駐車場付近にある展望スポット「三原山山頂口展望台」では、この冬一番の景色を見ることができました! 今回は、この三原山山頂口展望台から見える山々を紹介します。

三原山山頂口展望台からの景色(写真左下は元町港

▲三原山山頂口展望台からの景色(写真左下は元町港)

三原山山頂口展望台から見える主な山と街

▲三原山山頂口展望台から見える主な山と街

展望台からは富士山が大きく見えるほか、箱根~伊豆半島東部の山並みを見渡すことができます。

この日は前日の嵐で空気が掃除されたのか、南アルプス赤石山脈まではっきりと見えました。

離れた場所から本州の起伏を眺めてみると、改めて富士山の高さ、大きさを感じます。

三原山山頂口からの風景は「富士山がある風景100選」に選ばれています。「富士山がある風景100選」とは富士箱根伊豆国立公園の指定80周年を記念して選出された展望地です。伊豆大島からは、

・三原山山頂口展望台

・港の見える丘

・万立浜

の三地点が選ばれています。他のポイントにも、ぜひ足を運んでみてください。

【富士山がある風景100選】http://kanto.env.go.jp/to_2017/post_94.html

富士山宝永火口

▲大島からは富士山宝永火口がよく見える!

望遠レンズで撮影すると、富士山の表面の形がよく見えます。

山腹の正面には、宝永火口が見えています。この火口は、富士山の一番最近の噴火、江戸時代の1707年(宝永4年)に起きた宝永噴火によってできました。都内から富士山を見ると、この火口を横から見る形になるため、富士山の稜線がでこぼこしているように見えます。大島から見ると宝永火口が真正面に来るため、綺麗な形の富士山が見えるのです。

大室山と赤石山脈(南アルプス)

▲大室山と赤石山脈(南アルプス)

 富士山から左へ視線を移していくと、個性的な形の大室山(580m)が見えます。約4000年前の噴火でできた火山で、直径250300mほどの火口を擁しています。表面が滑らかに見えるのは、伝統的な山焼きによって、斜面が草原の状態に保たれているからです。山全体が国の天然記念物の指定を受けているため、現在は徒歩での登山は禁止となっていて、山頂へはリフトでアクセスできるようです。

 大室山の背景には、雪を被った赤石山脈が壁のように連なっています。春~秋にかけてはぼんやりとしか見えず、初めて見た時は横長になびく雲かと思いました。大島から見える峰の名前が分かるようになりたいです。

伊豆半島にそびえ立つ天城山

▲伊豆半島にそびえ立つ天城山

展望台のほぼ正面には、天城の山々、伊豆半島最高峰の万三郎岳(1,406m)、万二郎岳(1,299m)、遠笠山(1197m)、矢筈山(816m)などが見えます。天城山は、格好良く尖った万二郎岳、万三郎岳を中心に、稜線が左右に大きく広がっています。伊豆半島にどっしりとそびえ立つ姿は、海を挟んで見ても迫力があります。展望台から見ると、天城山は距離的に一番近いように感じられるので、勝手に親近感を持っていつも眺めています。

天城山の様子については、沼津管理官事務所 山田さんのアクティブ・レンジャー日記で紹介されています。

http://kanto.env.go.jp/blog/2019/11/post-785.html

遠くに見える山を知っている人が歩いているかもと思うだけで、なんだか嬉しいような感じがしませんか?

三原山山頂口展望台は、バスや車で簡単にアクセスできます。

大島にお越しの際、晴れた日には、ぜひお立ち寄りください。

 

【大島へのアクセス情報】

大島観光協会 http://www.izu-oshima.or.jp/

【三原山山頂口展望台へのアクセス情報】

・大島バス http://oshima-bus.com/

「元町港」より乗車→「三原山山頂口」で下車(約25分)

・展望スポットは駐車場海側。

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2020年01月10日尾瀬国立公園とニホンジカの今 その1

尾瀬国立公園 片品 尾池こず江

 事務所付近では、年末なかなか雪が積もらず、年が明けてやっと20㎝程度積もりました。

尾瀬では、これから数メートルもの雪が積もり、長い冬を迎えます。

▲冬の尾瀬(至仏山から尾瀬ヶ原)

 今回は尾瀬のシーズンも終わり、落ち着いたところで尾瀬国立公園とニホンジカについて少し書きたいと思います。

 近年、シカは全国的に生息数が増加しており、国立公園においても様々な被害が報告されています。尾瀬地域は、元来シカによる影響を受けずに成立した生態系であると言われていますが、1990年代半ば頃から本格的な調査により、シカによる被害が確認されています。

本州最大の高層湿原である尾瀬では主に2つの被害があります。

【被害1】植物の採食

・シカが湿原や林内の植物を食べてしまうことによって、希少な植物を含む植生の生育に影響が出てしまいます。

▲シカの食害を受けたニッコウキスゲ

【被害2】裸地化

・シカが土壌を掘り返して泥浴びをしたり、踏み荒らしたりしてしまうことで湿原が露出してしまいます。

また、ミツガシワという植物をシカが根を掘り起こして食べてしまうことも裸地化の一因になります。

そこで、尾瀬では被害軽減に向けた様々な取組を行っているのですが、シカと植物の調査をもとに、対策を実施しています。どんな調査を行っているかというと、大きく3つの調査を行っています。

【調査1】シカの生息数の傾向を知る

・ライトセンサス調査

(夜間、湿原に出没するシカをライトで照らし、シカの数をカウントします)

・カメラトラップ調査

(林内に設置した自動撮影カメラに写ったシカの撮影頻度から生息数を把握します)

【調査2】シカの行動を知る

・GPS首輪

(シカの行動を知るために捕獲したシカにGPS首輪を装着して移動経路を追跡します)

GPS首輪を付けたシカと遭遇

【調査3】植物への影響を知る

・植生被害調査

(シカに食べられた植物を数えて被害状況を把握します)

・裸地面積の把握

(ドローンで湿原を空撮し、裸地面積の増減を把握します)

こうした調査の結果をもとに、大きく2つの対策を実施しています。

【対策1】捕獲

・くくりわなや銃器による捕獲を行い、シカの個体数調整を実施しています。

【対策2】柵設置

・調査の結果等から優先防護エリア(優先的に守るエリア)関係者で決め、

 各機関で分担しながら防護柵の設置をすすめています。

尾瀬国立公園の貴重な生態系を未来に残すため様々な関係者が連携、協力をして取組を行っています。

次回は、春と晩秋に尾瀬と日光を移動するシカについて更新したいと思います。

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2020年01月07日冬の足跡

尾瀬国立公園 檜枝岐 細川有希

檜枝岐自然保護官事務所 細川です。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

さて、冬の間も私たちは檜枝岐村の自然保護官事務所で勤務しております。巡視などで体を動かしていた夏とは違い冬はほとんど動くことがなく、早く春が来てほしいと待ち望んでいます。

唯一体を動かすのは雪かきの時で、重い雪を持ち上げては投げ持ち上げては投げを繰り返すので筋肉痛になります。しかし、今年の雪は例年よりも少なく所々路面が見えているほどで、雪かきの回数も少なく生活は楽ですが、雪が十分に降らないと雪の下の植物たちが栄養を吸収しきれずそのまま春になるため開花の期間が短くなったりするので、雪が少ないのも困りものです。

動物のように冬眠したくなるような毎日ですが実は夏よりも冬の方が野生動物の痕跡を見つけやすいのをご存じでしょうか。

雪が積もる地域では、地面を見ると時々可愛らしい足跡が残っていることがあります。

(クマの足跡 111日)

(シカの足跡 511日)

夏には足跡の外にもクマ剥ぎや動物が草木を食べた跡、フンなどもよく見られます。

(クマ剥ぎ 黒岩山方面 718日)

(カモシカ 尾瀬 裏燧林道)

(シカ 尾瀬 木道脇)

足跡を見つけたらどんな動物が歩いていたか想像すると楽しいかもしれません。

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2020年01月06日南アルプスの山から初日の出

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

明けましておめでとうございます。南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

本年もアクティブ・レンジャー日記、よろしくお願いいたします。

さて、みなさんは年末年始どのように過ごされましたでしょうか?今年は晴天が続き、お出かけ日和でしたね。わたしは年末年始に鳳凰三山の薬師岳で初日の出を拝んできました。1日目は夜叉神峠登山口では晴天かつ無風でしたが、夜叉神峠に着くと風が強く吹いており、薬師岳小屋手前の砂払岳では雪が降り始め、相変わらず風も強く吹いていました。2日目の朝も風が止まず強く吹いていたため、三山縦走は諦め、薬師岳直下で初日の出を見ました。今回の景色をみなさんにお伝えしたいと思います。

6:30、薬師岳小屋を出発し薬師岳直下にて初日の出を待ちます。薬師岳小屋から薬師岳までは約10分。夜叉神峠登山口からの距離はありますが、1日目で薬師岳小屋まで登れば、お手軽に日の出を拝むことができます。

朝日が昇る前の白峰三山です。グラデーションがとても美しいです。ここ数年、鳳凰三山で初日の出を拝み、白峰三山を見ていますが、雪を被った白峰三山は雄大でいつ見ても圧倒されます。

標高が高い部分は雪で覆われているのが分かります。間ノ岳の細沢カールや北岳の左俣も真っ白。よく見ると北岳山荘や北岳肩ノ小屋、白根御池小屋が見えます。目をこらして探してみてください。

白峰三山から少し右へ視線をずらすと見えてくるのが仙丈ヶ岳です。こちらもグラデーションが美しいです。

仙丈ヶ岳といえばカール。カールは別名「圏谷(けんこく)」といい、氷河によって山頂付近が削られてできたもので、スプーンで削ったように丸みを帯びたゆるやかな谷地形が特徴的です。ここから見えるのは大仙丈カールと小仙丈カールでしょうか。どちらも真っ白になっていて綺麗です。朝日が昇る前は見るたび色が徐々に変わっていき、グラデーションの変化がとても美しく見えました。

朝日が昇り始めました。手前に見える山は砂払岳です。鳳凰三山と同様、山全体が花崗岩で覆われているため、夏場は砂浜のようになっています。中心に見えるのはご存じ、富士山です。

初日の出が昇ると、他の登山者からは「おぉー!」と歓声が挙がっていました。今年も無事、初日の出を山で拝むことができてよかったです。今年も健康で楽しく登山できるといいなと思っています。

■登山道状況(年末年始時)

夜叉神峠登山口を登り始めてすぐから積雪があります。夜叉神峠から火事場跡間で凍結箇所がありました。日が入りづらい場所で凍結していることが分かりづらい場所もありますので、通過される際はお気を付けください。

上の写真は11日の写真です。苺平や南御室小屋付近ではさらに積雪があります。年末年始でたくさんの登山者が通過したため、歩きやすかったですが、今後積雪が増えた場合はノートレースかつラッセルを強いられる可能性があります。アイゼンの携帯はもちろん、場合によってはワカンが必要になってくるかと思います。登山計画書をご提出の上、ご自身の体力に見合った冬山登山をするようにしてください。

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