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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

「STAY HOME」伊豆半島のお家大好きな生き物たち 第2弾

2020年04月20日
齋田滉大

みなさん、こんにちは。今月に入って文庫本を2冊も水没させた齋田です。

本たちも休日昼間の入浴を楽しみたかったのかもしれませんが、水中への外出は控えて頂きたいものです。

さて、前回の日記に引き続き、巡視で出会った引きこもりが得意なインドア系の生き物たちをご紹介します。休日を自宅で過ごしているのはヒト科のみなさんだけではありません。

今回みなさんにご紹介するのはこの生き物!真っ赤なボディがかっこいい「ベンケイガニ」です。

【ベンケイガニ 2019.07.08 静岡県松崎町】

その厳ついビジュアルから武蔵坊弁慶の名が付いたといわれるベンケイガニ。

派手目のカラーを身に纏ったいかにもクラブで遊んでいそうなこのカニですが、彼のどこが『引きこもりが得意なインドア系』なのかというと、暗く湿った物陰が大好きで、日中に明るい場所に出ることがほとんどない習性にあります。

普段は狭く薄暗い巣穴にこもっていて不要不急の外出は行わない彼らですが、採餌の際に出歩く場合にも、巣穴近くの木の根や岩の隙間といった身を潜めることのできる場所からめったに離れることはありません。

そして、少しでも身の危険を感じると、すぐにサササッと物陰に姿を眩ましてしまうのです。それはもう見事な早技で、天敵は彼らを捕らえることが容易ではないでしょう。

上の写真は、彼らに負けじと物陰に息を潜めながら撮影した1枚です。こちらの気配を察知するとすぐに外出の自粛を始めてしまい、その後しばらくは巣穴の外に出てこないため、撮影は本当に大変でした...。

少しばかり臆病な性格のベンケイガニですが、むやみな遠出を控える姿勢や危険が去るまでお家で静かに過ごす様子は、私たちもぜひ見習いたいものですね。

次回も伊豆半島でみられるお家が大好きな生き物をご紹介します。お楽しみに♪

■生き物豆知識 -カニがいるのは水のなかではないの?-

カニといえば、海や河川で暮らすイメージが強いかもしれませんが、彼らの生息域は水中だけではありません。

淡水域や汽水域で幼生期を過ごし、変態後に上陸してからは森林を主な生活の場とする、いわゆる「陸ガニ」と呼ばれるカニの仲間が日本国内には数多く生息しています。

伊豆半島南部の林内では、今回ご紹介したベンケイガニの他にも、生態的特徴がよく似た「クロベンケイガニ」や「アカテガニ」といった種類のカニが多くみられます。