2020年5月
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2020年05月18日#STAYHOME 尾瀬国立公園とニホンジカの今 その2
尾瀬国立公園 片品 尾池こず江
みなさん、こんにちは。片品自然保護官事務所の尾池です。
コロナウイルスの影響で、静かにゴールデンウィークが過ぎ去りましたが、どんな世情であろうと野生動物達は尾瀬で活発に活動を始めているようです。シカは栃木県、群馬県、福島県と県境をまたぐ移動をしています。移動を自粛していただきたいものですね。
1月10日に尾瀬のニホンジカの取組について書きましたが、今回は春と秋に日光と尾瀬を移動するシカについて紹介したいと思います。
尾瀬のシカの多くは、夏は尾瀬、冬は日光に生息していることが分かっています。
その距離は、なんと約30㎞!!長距離の季節移動をしています。尾瀬の雪解け頃になると、日光方面から尾瀬にやってきます。彼らにとって尾瀬は旬な高級食材が揃うビュッフェなのかもしれません。ミズバショウ、ニッコウキスゲ、ミツガシワ等々好きなものから食べてお腹いっぱいにしているように思えます。
尾瀬では、シカにGPSを付けて調査をしていますが、今年は3月中旬頃に日光から移動を開始し、現在は調査中のほとんどのシカが尾瀬方面に向かっています。
▲日光から尾瀬方面へ移動するシカ(春の移動)
夏は尾瀬で過ごし植物を食べてしまいます。稀少な植物への被害も目立つので、関係者一丸となり柵の設置や捕獲を行っています。尾瀬の象徴的な景色でもある「下ノ大堀のミズバショウ」も食害にあっており、今年度から環境省で柵を設置する予定です。
秋になり尾瀬に雪が降る頃、冬を越すため日光方面へ移動します。尾瀬は、数メートルもの雪が積もり、食べるものもなくなってしまうためです。越冬地は男体山、足尾、利根町根利などです。
▲尾瀬から日光方面へ移動するシカ(秋の移動)
上記の写真はセンサーカメラが撮影したものです。
環境省では、集中通過地域にセンサーカメラを設置し、シカの頭数等を調査しています。
集中通過地域とは、ほとんどのシカが通る地域のことでボトルネックともいわれています。
センサーカメラは、カメラの前を動物が通ると、その動きや熱を感知して自動で撮影してくれる優れものです。24時間365日撮影可能で色々な動物が撮影されます。
▲クマではなく、カメラ点検に来た私です。
(おまけ)
今回紹介したい花は・・・
▲ヒメシャクナゲ
花言葉は「危険・警戒・尊厳」
ヒメシャクナゲは、シャクナゲの仲間でこんなに小さくても樹木なんだそうです。
葉には毒があるためこのような花言葉がつけられているようです。ピンク色の花が下向きに可愛く咲いていますが、油断してはなりませんね。
2020年05月14日公時の宿石
富士箱根伊豆国立公園 高木俊哉
AR日記をご覧の皆様、こんにちは。
富士箱根伊豆国立公園箱根地域の高木です。
今回は、前回の記事でも少し触れた金時山の、ある不思議な岩についてご紹介したいと思います。
金時山は箱根外輪山の最高峰でもありますが、麓には公時神社がありこちらは登山をせずに参拝することが出来ます。
『まーさかり担いだ金太郎』
でおなじみの金太郎のモデルであり、
平安時代後期の武士、源頼光(みなもとのよりみつ)に仕えた四天王の1人でもある、
坂田公時(さかたのきんとき)が、祭神として祀られています。
その神社を通り過ぎ登山道を進むと、途中で少し道から逸れたところに大岩があります。
金時蹴落石(きんときけおとしいし)です。
突然目の前に直径2mほどの大きな岩が現れるので最初は少し驚きましたが、迫力のある岩を身近で感じることが出来ます。
冒頭でも触れた金太郎にまつわる伝説のある大岩で、金太郎が山頂から蹴落としたと言われています。
さらに登山道を進んでいくと、
真っ二つに割れた巨大な岩が現れました。
先ほどの金時蹴落石が小さく見えてしまうほどの大きさで直径10m以上はあるでしょうか。
赤丸で囲んだ部分が先ほどの写真とほとんど同じサイズの標識で、高さは1.2mほどです。
この巨大な岩が、タイトルにもあった公時の宿石(きんときのやどりいし)です。
金太郎が育ての親の山姥と一緒に住んだと言われていますが、
昭和6年に轟音を響かせ突如割れてしまったようで、今は反対側の景色も見えてしまいます。
植物が生い茂り、樹木が岩に根付いている様子と、金太郎伝説が相まってとっても神秘的に見えますね。
自然の偉大さと不思議な伝説について触れられる、そんな場所のご紹介でした。
<ご注意>
感染症対策の為の自粛要請に伴い、現在金時山頂の山小屋および公衆トイレは閉鎖されています。
これまでの生活が制限され、自粛疲れも出てくる頃ではありますが、一刻も早い感染症蔓延の収束と皆様が自然に触れ楽しめることを願っております。
2020年05月13日野生下のトキのヒナへの足環(あしわ)装着
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
佐渡では田植えの最盛期を迎えています。
この時期のトキたちは子育て真っ最中!
トキのエサとなる生きものが豊富な時期でもあるので、ヒナを育てるには好都合なんです。
<モリアオガエルとサドガエルの2匹を同時に捕まえたNo.251>
そのような中、今期初となる「トキのヒナへの足環(あしわ)装着」を本日行いました。
野生下で誕生したトキのヒナに足環を装着することで、個体ごとの生存や繁殖の状況を追跡調査できるようになります。こうした調査で得られた情報はトキの野生復帰に活用されます。
それにしても、いったいどうやって野生下のトキのヒナに足環を装着するのでしょうか。
答えは、
「トキの巣がある木に登り、巣にいるトキのヒナを捕獲して足環を装着し、ヒナを再び巣に戻す」
です。
請負業者の方にトキの営巣木に登ってもらい、ヒナを捕獲して地上へ降ろします。
地上では、獣医師を含む職員が足環装着作業を行います。
<トキのヒナと装着された足環>
足環装着作業が終了したら、ヒナを再び巣に戻し、速やかに林を出ます。
<巣内のヒナ>
足環装着作業は2班に分かれて行います。
1班は林内で足環装着作業をする班、2班は林外の離れた位置から親鳥と巣の様子を広角で観察する班です。
親鳥は、オス・メス交替で巣にいてヒナを守っていますが、作業が始まると人が木に登って巣に近付くため、驚いて飛び立ってしまいます。
2班は作業後、この飛び立ってしまった親鳥が巣に戻り、ヒナの世話を始めるまで観察を続けます。親鳥が普段通りヒナの世話を始めたら、作業終了です。
(※野生下トキのヒナへの足環装着は2013年から行っていますが、親鳥が戻って来なかった事例はありません)
私たち佐渡のアクティブ・レンジャーは、ヒナが誕生する前の親鳥の動向から追跡し、ヒナ誕生から巣立ちまで見届けます。そして、ヒナが巣立って2年後、成鳥となり繁殖を始める様子を観察することがあります。
誕生したヒナは、巣立つ前に天敵に襲われたり、親鳥が何らかの理由で死亡し、ヒナまでも死んでしまったりと、巣立ちへの道のりは決して平坦ではありません。
<メスに羽繕いされるNo.136。2017年撮影(左)、No.136の死体回収現場。2019年撮影(右)>
(※No.136は2019年4月、天敵に襲われ、ペアの抱卵中止が確認されました。)
また、巣立って間もないトキは、上手く飛べなかったり、エサを見つけられなかったり、逃げ足が遅かったりするので、成鳥よりも生存率が下がります。
そうした困難をいくつも乗り越え、ヒナだったトキが親になり、新たに命をつなぐ様子は、観察する私たちに感動と励ましを与えてくれます。
佐渡の人たちの100年以上におよぶ熱心な保護により、約400羽のトキが佐渡の野生下で暮らしています。
来年の今頃は何羽のトキが佐渡の大空を飛んでいるのでしょうか。
引き続き、見守っていきたいと思います。
<トキのヒナ>
2020年05月12日#STAYHOME 山梨百名山って?
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
みなさんは山梨百名山をご存じですか?平成9年2月にできたもので、大菩薩・道志山系、南アルプス山系、富士・御坂山系、八ヶ岳・秩父山系の4エリアに分け、そのうちの100山を山梨県が選定したもので、南アルプス山系では27座が選定されています。今回はその一部を紹介します。
■日向山(ひなたやま) <標高 1,660m>
樹林帯ではセンジュガンピやイワカガミなどの植物を楽しみながら、山頂では想像もしていなかった、一面に広がる砂浜!山にいるのに海に来たような気持ちになれます!山麓から見ると夏でも雪を被っているように白く見えます。甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山と同様、花崗岩が風化したできた白砂が広がり、甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳が一望できます。
■櫛形山(くしがたやま) <標高 2,052m>
髪をとかす¨くし¨の形に似ていることから櫛形山と呼ばれるようになりました。主に北尾根、中尾根、南尾根、池の茶屋の4つの登山口があります。夏期はアヤメやマツムシソウなど数多くの高山植物が咲きます。コメツガやサルオガセなどが自生し、「これぞ、南アルプス!」といった雰囲気を楽しめます。また、富士山や白峰三山、甲府盆地などの眺望も楽しむことができます。
■アサヨ峰 <標高 2,799m>
名前の由来は朝日が当たる峰から来ているのだとか。栗沢山と鳳凰三山を結ぶ早川尾根上にあり、甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳、北岳の展望を横目に2,700mの稜線歩きを楽しむことができます。南アルプス北部の主峰に囲まれながら歩く、なんとも贅沢ですね♪登山者があまり多くないエリアなので、静かな山歩きを楽しむことができます。
■北岳 <標高 3,193m>
南アルプス国立公園を代表する高山、北岳。富士山に次ぎ、2番目に高い山として知られています。北岳にしか咲かないキタダケソウや南アルプス固有種のタカネマンテマやタカネビランジなどたくさんの高山植物が咲きます。また、ライチョウの生息地にもなっています。
他にも前衛峰では雨乞岳、甘利山、山伏、南アルプス国立公園内では鳳凰三山、間ノ岳、鋸岳などが選ばれています。選定されている27座の中には南アルプス国立公園はもちろん、南アルプスユネスコエコパーク内の山もあります。山梨百名山 詳しくはこちらから!
山梨百名山の他にも長野県では信州百名山、静岡県では静岡の百山などそれぞれで百山を選定しているようです(必ずしも県が選定しているわけではありません)。コロナウイルス感染拡大防止の為のため登山が困難な地域も多いなか、お住まいの県の百名山を調べるのも面白いですね。
2020年05月12日5月GW明けの箱根植物 (箱根地域)
富士箱根伊豆国立公園 箱根 山口光子
皆さん、こんにちは。
富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。
STAYHOMEが徹底されたGWを終えて、箱根に初夏が訪れ始めました。
緑が輝いて、芦ノ湖がまぶしいです。
【芦ノ湖】
そんな中、見頃の植物も変わってきました。
今回はこの時期見頃の植物を一部紹介します。
来年の為の下勉強として、ご自宅でお楽しみ下さい!
はじめはこちら。
【ハナイカダ】
この植物は、なんと葉の真ん中に花が咲きます。
イカダに乗った様に見えるお花が、なんとも可愛らしいです。
【ハナイカダ アップ】
実は雄花と雌花があります。
複数の花が付いているこの木は、雄です!
雌花は、通常花は1つ。
夏期には結実し、黒い実がイカダに乗ります。
次はこちら。
【ギンリョウソウ】
箱根でも見られます。この時期には少し早めですが。
先日、うっかりビニールゴミを拾おうと手を伸ばしたら、ギンリョウソウでした。
自分でもびっくりしました!
腐生植物といって、葉緑素を持たずに菌類と共生することで栄養をもらう為、暗い森でも成長できるという、白く輝いて見えるツツジ科植物です。
ちなみにツツジと言えば、こちら。
【ミツバツツジ】
この時期美しい山の花の代表です。ギンリョウソウが、ツツジ科とは不思議ですね。
最後にこちら。
【ズミ】
別名、コリンゴ、コナシとも言うそうです。
蜜が甘いのでしょうね、ハナムグリや他の虫たちが沢山食事に集まっていました。
更にその虫たちを食べに、キビタキが現れたりと、木の周りはたいへん賑やかです。
さて現在も箱根がある神奈川県は、コロナ感染症の影響によりまだまだ外出は自粛継続中。ですので、公共の駐車場が5月31日までほぼ閉鎖されています。近隣の静岡県は自粛がやや緩和されつつありますが、お客さんに「来て下さい」と大きな声で呼べる状況ではまだまだありません。
今はこのAR日記を通して、ご自宅で箱根の初夏を楽しんで頂ければと思います。
STAYHOME、もう少し続けていきましょう。
「湖尻」にある箱根ビジターセンターHP →http://hakonevc.sunnyday.jp/
今後の親しむ運動イベント情報 →http://hakonevc.sunnyday.jp/shitashimuundou.html
2020年05月11日#STAYHOME 尾瀬の花を紹介します!
尾瀬国立公園 檜枝岐 細川有希
みなさん、こんにちは!檜枝岐自然保護官事務所の細川です。
緊急事態宣言が延期されたため、今後の尾瀬国立公園内の施設も昨年とは大幅に運営状況が変わってきております。
今のところ入山自粛は変わりなく、宿泊やキャンプの利用はできません。
御池登山口より前の御池ロッジに入る分岐の道路は封鎖されております。
外出自粛中に息抜きすることはなかなか難しいところですが、この状況が終息した際には是非、尾瀬に遊びにいらしてください!
そこで今回は、尾瀬に咲いている花の中で「私が好きな花ベスト4」を紹介します!
1位「コオニユリ」
7月下旬から8月下旬にかけて湿原によく見られる尾瀬の夏を代表する花の一種。
鮮やかなオレンジ色に黒い斑点がたくさん付いており、晴れたとき青空をバックに撮影するとオレンジと青のコントラストがとてもきれいに見えます。
しかし、花は下向きに咲いているので下からのぞき込むように撮影することをオススメします。
2位「ワタスゲ」
花の後の花穂は白い綿に包まれており、風が吹くとワタが舞い上がり幻想的な雰囲気になります。群生している姿は雲の上にいるような感覚で、低い位置から見るとさらに密集具合がよくわかります。似た植物に「サギスゲ」があり、こちらはワタが癖っ毛のように跳ねて尖った印象です。
3位「ギンリョウソウ」
葉緑素を持たないため光合成をせず、栄養を菌類から取っている腐生植物と呼ばれる植物です。森林内に生育しており、目の前にいきなり現れたように出会うことがあるので少し驚きます。見た目や生態も不思議な植物ですね。
4位「サワラン」
湿原に咲く花で一輪に1~2個付く花は大きく開くことはないですが、色鮮やかな濃いピンク色をしています。絵の具で塗ったかのように目立つ色のため、小さい花ながらも見つけやすいかと思います。
以上、「私が好きな花ベスト4」でした!
サワランをどうしても入れたかったのでベスト4まで紹介しました。
他にも紹介したい植物がたくさんあるので今後も楽しみにしていてください。
-----「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」について-----
利用者の皆様におかれましては、入山自粛へご理解・ご協力いただきありがとうございます。
尾瀬では「#STAYHOME」の取組に賛同し、「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しています。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛により、国立公園を訪れていただくことができない状況の中で、来訪を楽しみにされていた方に向けて、また、収束後に国立公園の美しい自然や文化を満喫したいと思っている多くの方に向けて、国立公園の魅力をインターネット上で広く情報発信することを進めていきます。
2020年05月07日#STAYHOME ニホンジカ被害状況確認 in 夜叉神峠
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
今回は先日の夜叉神峠巡視で確認したニホンジカの被害をお伝えします。普段の巡視はわたし一人ですが、今回は生態系保全等専門員の金丸さんと。専門的な知識をお持ちの金丸さんと巡視できることはとても心強いです。
登山道を歩き始めてすぐに新芽の食害を確認。状況把握のため、登山道を少し外れてみるとあちこちに糞を見つけ、金丸さんがニホンジカを発見!かなり遠くにいたので撮影はできませんでしたが、「ピィー、ピィー」と警戒音を出していました。
再び歩き始めると状況がかなりひどい樹皮剥ぎを見つけました。樹皮剥ぎをするのはだいたいクマかニホンジカのどちらかです。クマ剥ぎかシカ剥ぎかを見分けるポイントがあります。
●クマ剥ぎ
剥いだ樹皮と樹木が繋がっていること、樹木に残っている跡が垂直
●シカ剥ぎ
(今回発見した樹皮剥ぎ)
剥いだ樹皮が地面に散らばっている、いろんな方向に剥がれている、つるつるしている
南アルプス山域でよく見られるのはシカ剥ぎです。森や山に入るとき、探してみてください。
今回夜叉神峠の感想を金丸さんに聞いてみました。
今年は暖冬で雪が少ないと言われており、暖かい日が続いているので高山での残雪量が気になるところです。残雪量が少ないと植物の開花が早くなります。そして、ニホンジカが高山へ登っていく時期も早くなります。そうなると、ニホンジカに植物が食べられてしまう割合が多くなるかもしれません。場所によっては防鹿柵の設置も行っていますが、人間による作業のため、安全確保ができていないと作業が実施できません。大きな課題です。残雪量が少なくても高山へは登らず、里山でのんびりしていて欲しいものです。
◇ ◇ ◇ 芦安ニュースレターに掲載されました! ◇ ◇ ◇
芦安地域おこし協力隊の佐藤さんと芦安集落支援員の加賀美さんが作成しているこの芦安ニュースレター。芦安地域のイベントや地域おこし協力隊の活動についてなど芦安の情報がたっぷり詰まっています。4月号に南アルプス自然保護官事務所の職員や仕事内容について掲載していただきました。あまり人に直接会えない状況の中での地域おこし隊就任となったため、せめて紙面で地域の方に情報を発信したいという想いで今回作成されたそうです。
(クリックすると大きい画面で見られます♪)
南アルプスの山々への玄関口に位置する芦安の住民はこうした情報を知っておくべきだと感じたので、なるべく図や写真を多くしてわかりやすく表現することを心がけて作成されたそうです。説明がなかなか難しい国立公園の¨保護¨と¨利用¨についてとても分かりやすいですね!他にも2代目芦安地域おこし協力隊の佐藤さんの紹介や手作りマスクの作り方などが掲載されていますので、ぜひご覧ください。2020年4月 芦安ニュースレターはこちら!(容量が大きいのでご注意ください)
2020年05月01日「STAY HOME」伊豆半島のお家大好きな生き物たち 第3弾 #STAYHOME
富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大
みなさん、こんにちは。洋菓子作りに使用するバターの量に驚きを隠せない齋田です。
新しいことに挑戦すると、今まで知らなかった(目を背けていた)色々な発見に遭遇しますね。
外出自粛中は部屋にこもりきりで退屈に感じるかもしれませんが、これを機会に少しだけ自分の世界を広げてみるのも楽しいことだと思います。
さて、今回の日記でも、前回前々回の日記に引き続き、これまでの巡視で出会った引きこもりが得意なインドア系の生き物たちをご紹介します。
休日を自宅で過ごしているのはヒト科のみなさんだけではありません。
今回みなさんにご紹介するのはこの生き物!
お家を背負った究極の引きこもり、でんでんむしむしカタツムリでおなじみの「マイマイ属」です。
【マイマイ属 2019.07.05 静岡県南伊豆町】
雨の日に多く見かけるカタツムリ。その愛らしい見た目から、子どもの頃に飼育した方も多いのではないでしょうか。大きなお家を背負ってのそのそと這う姿は見ているだけでとても癒やされますね。
「家を背負っているから"引きこもりが得意なインドア系の生き物"として紹介するのは短絡的だ」と思われたかもしれませんが、第3弾にしてネタが尽きたわけではありません。実はカタツムリの殻のようにもう一捻り理由があるのです。
さてさて、そんな可愛らしいマイマイ属ですが、彼らの多くは同種であっても殻の色彩や形状の地域変異が著しく、環境調査の現場では同定(生物の分類学上の名称を明らかにすること)が非常にやっかいな調査員泣かせの生き物としても知られています。
写真の個体はその特徴的な色彩パターンからミスジマイマイのように見えますが、撮影地は伊豆半島最南部の南伊豆町。こちらにはミスジマイマイの亜種であるシモダマイマイが広く生息しています。
陸産貝類の同定ポイントにはしばしば生殖腺の形状があげられますが、残念なことにミスジマイマイの亜種にはその形状に顕著な差がみられないことが多く、同定にはDNA解析が用いられることが少なくありません。
お家を背負っている姿だけでなく、同定には研究室にこもって室内分析を行う必要がある彼らは、まさに究極の『インドア系の生き物』と言えるのです。
次回も伊豆半島でみられるお家が大好きな生き物をご紹介します。お楽しみに♪
■タイトル末尾のハッシュタグ #STAYHOME について
新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛を受けて、国立公園の魅力をインターネット上で広く情報発信することを目的とした『#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト』が令和2年4月23日(木)より始動しました。
当日記においても、かねてより「STAY HOME」を呼びかけてきましたが、新型コロナウイルス感染症の収束をより一層に願い、日記タイトルにはプロジェクトの象徴であるハッシュタグ #STAYHOME を追加してお送りしています。
2020年05月01日スミレを探して (箱根地域)
富士箱根伊豆国立公園 箱根 山口光子
皆さん、こんにちは。
富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。
今回は、本来であれば4/25(土)に開催を予定していた"箱根地域自然に親しむ運動「スミレを探して春の仙石原を歩く」"というハイキングイベント報告の予定でしたが、コロナ禍の影響を受けイベントは中止となっています。ですが、箱根のスミレたちは元気に咲いています!紹介せずにはいられません。
▲タチツボスミレ4種、ケマルバスミレ、エイザンスミレ、アカネスミレ、ツボスミレ
様々なすみれ色が美しいですね。個人的には、エイザンスミレのピンクがかったすみれ色が好きです。これだけではなく、他のスミレも咲いています。
▲ナガバノスミレサイシン。葉の形が特徴的です。
▲タチツボスミレ群生
タチツボスミレは各所で華やかに咲き誇っています。
▲ビジターセンター周辺芝生のスミレ群生
お昼のお弁当をここで食べると幸せですよ。
スミレは、日本に50種以上も自生し、変種を含めると100種にもなるという私たちの身近に普通に咲く花です。この花は、春早くに咲くことでハナバチたちを集めて受粉を助けてもらい、また種子に付いているエライオソームという甘みでアリたちを引き寄せ、種子を遠くに運んで生息域を拡大するという、実はいろいろな動物たちとも関わりあって生きる植物です。箱根の湖尻地域には毎年たくさんのスミレが咲きますが、それはスミレがこれだけ繁茂できる生態系が残されているということかもしれません。スミレは普通の花ですが、いつまでも普通種であるように、周囲の虫たちも含めて自然全体を大切にしたいですね。
箱根を彩るのはスミレだけではありません。
▲クロモジ(緑)、ボケ(朱)、キランソウ(青)、モミジイチゴ(白)
すみれ色以外にもたくさんの花色が、箱根の春を華やかにしています。今年は、AR日記を通して、皆さんにこの花たちを楽しんで頂けると嬉しいです。花たちにパワーをもらって、次の春こそ安心して楽しめるように、今はしっかりSTAYHOME!GWを乗り切りましょう。
※4/29-5/13の期間、箱根ビジターセンター駐車場は閉鎖しています。状況によっては期間を延長する場合もあります。詳しくは箱根ビジターセンターHPにてご確認下さい。
「湖尻」にある箱根ビジターセンターHP →http://hakonevc.sunnyday.jp/
今後の親しむ運動イベント情報 →http://hakonevc.sunnyday.jp/shitashimuundou.html
みなさん、こんにちは。
自宅にいる時間が長いせいか、すっかりネットショッピングにはまってしまった齋田です。
最近は気にいった雨具を手に入れたため、あれだけ嫌いだった梅雨の時期が少しだけ楽しみに思います。
さて、「伊豆半島のお家大好きな生き物たち」シリーズも、早いもので今回が4回目となりました。
次回の更新からは平常通りの内容をお送りできることを祈りつつ、今回の日記では、とっておきの生き物をご紹介したいと思います。
今回みなさんにご紹介するのはこの生き物!
植物の形態形成を巧みに操る引きこもり集団「モンゼンイスアブラムシ」です。
【イスノキ 静岡県下田市】
青々とした艶のある葉がなんとも美しい立派なイスノキですね!これぞ常緑高木といった様相です。
(どうして唐突に木本の写真?と感じた方が多いとは思いますが、この写真だけで理解してしまったマニアな方は暫しの間お付き合いください。)
アブラムシ(アリマキ)といえば、甘露をアリ等に提供することで外敵から身を守ってもらう「共生(複数種の生物が相互関係をもって生活すること)関係」が有名ですね。一般には、テントウムシからアリに守ってもらいながら植物の汁を吸う小さな虫というイメージが強いと思います。
実は、アブラムシの仲間には植物に寄生して虫こぶをつくる種も少なくなく、このモンゼンイスアブラムシもイスノキに虫こぶを形成することで外敵等から身を守って暮らしています。
さて、写真のどこにモンゼンイスアブラムシたち(の虫こぶ)がいる(ある)か、みなさんはもうお分かりですね?
虫こぶの中で究極の引きこもり生活を行うモンゼンイスアブラムシ。
単純に引きこもるだけならヒト科のみなさんや他の生き物たちと同様ですが、彼らの驚くべきところは、植物の形態等を操作して自分たちにとって都合の良い楽園に変えてしまう点にあります。
モンゼンイスアブラムシの寄生により植物細胞の成長や分化に異常が生じることで形成された虫こぶは、彼らを外的要因から守るだけでなく、同時に食物の供給源にもなるのです。さらに、彼らの排出物は虫こぶの内壁により吸収除去されることが最近の研究で明らかとなっています。
閉鎖された虫こぶの中でほぼ全ての生活を完結させてしまう姿は、これぞまさに引きこもりの究極系と言えますね。
今回は、外部環境と隔絶された虫こぶの中で「STAY HOME」を実施するアブラムシのご紹介でした。
本来であれば、いつもの通り『お家でじっとしている姿は私たちもぜひ見習いたいものですね』で締めくくるところではありますが、虫こぶ内で1,000匹を超える仲間たちと暮らすのは、「密閉」・「密集」・「密接」のいわゆる3密を満たしますので、みなさんは植物の性質を改変しての「STAY HOME」はお控えください。
■タイトル末尾のハッシュタグ #STAYHOME について
新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛を受けて、国立公園の魅力をインターネット上で広く情報発信することを目的とした『#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト』が令和2年4月23日(木)より始動しました。
当日記においても、かねてより「STAY HOME」を呼びかけてきましたが、新型コロナウイルス感染症の収束をより一層に願い、日記タイトルにはプロジェクトの象徴であるハッシュタグ"#STAYHOME"を追加してお送りしています。