ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

2020年5月

23件の記事があります。

2020年05月01日#STAYHOME 「花言葉」

尾瀬国立公園 片品 尾池こず江

 緊急事態宣言が発出され、みなさんどのようにお過ごしでしょうか。

今の世情を踏まえ、それぞれの人が今できることは何か、日々新たな取り組みを考えているのではないでしょうか。できることは限られてしまいますが、少しでも心の和む日記をお届けできたらと思っています。

 今回は、過去の尾瀬シーズン幕開け頃の写真を「花言葉」と共に載せます。

▲下ノ大堀のミズバショウと至仏山(しぶつさん)2019.5.28 撮影

花言葉「美しい思い出、変わらぬ美しさ」

尾瀬と言ったらミズバショウ。雪解けとともに顔を出します。

▲リュウキンカ 2019.5.28 撮影

花言葉「必ずくる幸せ」

ミズバショウと共に咲くリュウキンカは知名度が低いかもしれませんがとても綺麗です。

 皆さんもぜひ、「花言葉」を調べてみてはいかがでしょうか。

-----「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」について-----

 利用者の皆様におかれましては、入山自粛へご理解・ご協力いただきありがとうございます。

 尾瀬では「#STAYHOME」の取組に賛同し、「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しています。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛により、国立公園を訪れていただくことができない状況の中で、来訪を楽しみにされていた方に向けて、また、収束後に国立公園の美しい自然や文化を満喫したいと思っている多くの方に向けて、国立公園の魅力をインターネット上で広く情報発信することを進めていきます。

ページ先頭へ↑

2020年05月01日#STAYHOME 火山荒原に咲く春の花 大島 伊豆諸島地域

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

あっという間に4月も過ぎ、暖かい日も増えてきましたね。

4月中旬の三原山では、溶岩流や火山礫の隙間のあちこちで、スミレやリンドウが咲いていました。

荒涼とした風景の中で咲く小さな花を見つけると、あまりのかわいらしさに思わず笑顔になります。

今回は、火山荒原に咲く小さな春の花の写真をお届けします。

フデリンドウの花。花弁の青色と花粉の黄色が鮮やかで美しい。

▲フデリンドウ

ススキなどの株の中や陰に咲いています。

黒、茶、緑の景色の中で鮮やかな青い花がぱっと目を引きます。

コケリンドウの花。淡い水色の小さな花。

▲コケリンドウ

火山礫の隙間に顔を出していることが多く、狭い範囲に群生していることもあります。

花の大きさは1cmほどで、淡い水色のかわいい花です。

シチトウスミレの花。花弁は薄い青紫色。

▲シチトウスミレ

本州に分布するタチツボスミレが伊豆諸島に渡り、島の環境に適応した、島嶼変異型と呼ばれるタイプです。

一般的なタチツボスミレと比べて葉が厚く、大きいと言われています。

葉はハート型、花は淡い青紫です。

アツバスミレの花。三原山では濃い紫色のタイプが多かった。

▲アツバスミレ

スミレが海岸に適応したもので、伊豆諸島、小笠原諸島、太平洋岸にも分布しています。

矢印のような形の葉が特徴的です。

三原山のカルデラ内では、花の色が濃い紫のタイプが多く見られました。

溶岩に覆われた三原山内輪山の斜面。溶岩の隙間には先駆植物であるススキやイタドリなどが生えている。

▲三原山中央火口の西側斜面。斜面を覆う溶岩流の隙間にはススキなどが生えている。

中央火口丘の周りは、百数十年周期で繰り返し噴き出す溶岩流や火山礫の影響を受け続けています。土には養分が無く、乾燥していて、日差しや風も強く、植物にとっては厳しい環境です。こうした環境では、厳しい条件で生き抜く戦略を持ったススキやイタドリ、ヤシャブシなどの植物(先駆植物)が最初に芽を出して育ちます。

初めて三原山を歩いた時は、カルデラ内には先駆植物だけが生育しているというイメージを持っていたので、スミレやリンドウなどの可憐な花が咲いているのを見て驚いたことを覚えています。

先駆植物の周りでは、植物の死骸が養分になる、強い日差しや風が少しさえぎられる、種子や花粉を運ぶ鳥や虫が行き来するようになる、などの環境変化が生まれ、スミレやリンドウなどの植物が入りやすくなるのかもしれません。

【ご注意ください】

伊豆諸島では新型コロナウイルス感染拡大への対応のため、すべての島で観光施設などを閉鎖し、来島の自粛を強く呼びかけています(430日時点)。観光産業の盛んな伊豆諸島地域としては、とても苦しい状況での呼びかけですが、伊豆諸島で暮らす人々を守るために、今は来島をお控えくださるようお願いします。

#STAYHOMEについて】

信越自然環境事務所から動き出した「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に賛同して、今回より、ハッシュタグ#STAYHOMEをつけて投稿しています。

現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛により、一般の方に国立公園を訪れていただくことができない状況が続いています。このプロジェクトは、国立公園への来訪を楽しみにされていた方、収束後には国立公園を楽しみたい!という方へ向けて国立公園の魅力をインターネット上で発信し、自宅で国立公園を楽しんでいただこうというものです。

当日記でも、大島の自然の風景をおうちで楽しんでいただけるよう、発信を続けていきたいと思っています。

#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」

http://chubu.env.go.jp/shinetsu/pre_2020/stayhome.html

ページ先頭へ↑

2020年05月01日那須探訪事始め

日光国立公園 那須 善養寺聡彦

 みなさま、こんにちは。そして初めまして、那須管理官事務所の善養寺です。4月1日より那須管理官事務所に赴任しました。よろしくお願いします。那須はかなり昔、2回ほど訪れたことがありましたが、あまり詳しくはありませんでした。今回那須で暮らし、フィールドを歩くようになって、今まで持っていた那須のイメージが大きく変わりました。アパートの窓の向こうは那須野を代表するコナラとアカマツの森。まだ木々は芽吹いておらず、見通しの良い明るい林内。そこから毎日、というよりは1日中聞こえるドラミング。アカゲラが数羽飛び交っています。しかしこれは以前のイメージ通り。

 よく知らなかったことは、扇状地のため大きな水無川である蛇尾川があること。水利が困難なことはその土地の農産業に大きく影響し、那須の牧畜の発達につながることをうなずかせます。そして活火山である茶臼岳をはじめ那須連山が若い山岳であり、その裾野の森には常緑樹はほとんどなく、広大な落葉樹林になっています。もっともこれには、人の活動(放牧や薪炭林としての利用)の影響も多分にあるようです。そしてもっとびっくりしたのは、「風の強さ」。冬季の北関東のからっ風は知っていましたが、ともかくここは風が強く、

毎日のように吹く(誇張?)。那須湯本温泉の近くにある那須管理官事務所は標高およそ880m、茶臼岳を目の当たりにします。その山を超えてくる強烈な風。これに雪雲ものってくるので、山頂付近は毎日のように雪が降っています。しかしこの時期の雪はすぐに溶けてしまい、茶臼岳は毎日化粧のし直しをします。

               【茶臼岳(残雪の様子が毎日変わります)】

 4月16日、その茶臼岳に巡視に行ってきました。ロープウェイ山頂駅から少し登るとあっという間に山頂、そしてお鉢。緩やかな山麓の様相とは打ってって変わって、ゴツゴツ、ガラガラの岩、そこに絡む雪。「こんなに簡単にこの景観に出会えるのか」と驚きました。

【お 鉢】

【山頂辺は荒々しく砕けた奇岩でいっぱい】

 

 ここで風の強さを物語るものものを見つけました。山頂付近の岩には所々に着氷が見られます。その形は不思議というか芸術的。あるものは何かのエンブレムに採用されそうです。

                 【岩々には不思議な形の着氷】

         

 岩だけでなく、標識も下の写真の通りです。強い風が吹き抜けて行く様子を 想像させる造形です。

       

  【上の標識を横から見たところ】

 

 

 

 さて、ここで疑問? 「風がどちらから吹くとこうした着氷・造形ができるのでしょうか?」

 それからもう一つ造形物を見つけました。平らなところに岩の列が何列もできています。人が並べたのか、自然の造形なのか、不思議な景観です。

                   【きれいに並んだ岩に列】

 しかしこれは、かつての硫黄採掘の遺構だそうです。石をトンネル上に積んで、その中に硫黄を含んだ蒸気を通して、硫黄を昇華させたのだそうです。

 これから四季折々のたくさんの那須の自然にふれられると思います。なぜこの地形になるのか? なぜこの生物はここにいるのか? 悩みながら楽しみたいと思います。

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ