2020年6月
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2020年06月17日城ケ崎海岸の『奇石』
富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子
みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。
沼津では梅雨入りしてジメジメした日が続いています。梅雨の蒸し暑さは得意ではないですが、この時期に見かける紫陽花はとても好きな花なので、巡視の途中で見かけるようになった紫陽花を楽しみながら梅雨を乗り切ろうと思っています。
今回は、静岡県伊東市の城ヶ崎海岸にある奇石を3つ紹介したいと思います。
城ヶ崎海岸は、およそ4000年前の大室山の噴火によって流れ出した溶岩が、海水で冷え固まりできた全長約9㎞にわたる溶岩岩石海岸です。
海岸沿いには、ハイキングコースが整備されていて、季節の花や、つり橋、灯台など見どころ満載なのですが、そちらはまた後日紹介したいと思います。
まず一つ目は「いがいが根」です。名前の通りいがいがした岩が続く岬です。見た目はテーブル状で歩きやすそうですが、実際歩いてみると足の裏に岩がチクチク刺さるような感じです。この岩はクリンカーと呼ばれ、噴火で先に流れた溶岩が冷えて固まり、その固まった溶岩の表面の殻が熱い溶岩におされバラバラに砕かれ出来るそうです。
溶岩が流れ出し、冷えては砕かれながらこの場所が出来たことを想像すると、4000年前の伊豆半島の成り立ちに少し触れられた気持ちになりました。
【 いがいが根 】
次は「ポットホール」です。ポットホール自体は他にも見られる場所がありますが、城ヶ崎海岸のポットホールの中には大きな球体の岩が残っています。
ポットホールとは、岸壁の亀裂に入った岩が、打ち寄せる波によって転がり、周りの岩が削られ円形の穴になります。城ヶ崎海岸のポットホールの中の岩は、とっても美しい球体で、自然と波が作り出した奇石(奇跡)です。
【 かんのん浜のポットホール 】
※ポットホールは波打ち際の崖の下にあり遊歩道などがありません。見学の際はガイドツアー等、安全な方法で見学してください。
▼伊豆半島ジオガイド協会
https://www.izugeoguide.org/model.html
最後は「柱状節理」です。城ヶ崎海岸沿いの遊歩道を歩いていると、断崖に見事な柱状節理を多く見かけますが、大淀・小淀と呼ばれるこの場所は、柱状節理の頭の部分です。
階段で海岸に降りると、亀甲模様の磯が見えてきて、その上を歩くことが出来ます。この場所にはいくつか汐溜りがあり、天然の海水プールとして親しまれているようです。
【大淀・小淀】
紹介した以外にも、「俎(まないた)岩」や、「クジラ岩」、他にも面白い形に見える岩があるので、巡視の際に何か見つけたらまたご紹介したいと思います。
【 城ヶ崎海岸の断崖 】
海岸にある岩からたくさんの歴史を知ることが出来ました。いつも行く身近な場所も見方を変えると、その場所の様々な歴史を知ることが出来るかもしれません。
2020年06月11日第22回トキ放鳥が行われました!
佐渡 菅野萌
皆さんこんにちは。
佐渡自然保護官事務所の菅野です。
あっという間に6月ですね。夜は涼しくても、日中は蒸し暑く感じる事が多くなってきたので、そろそろ半袖のレンジャー服を着ようか、長袖のままでいようか毎日迷ってしまう今日この頃です。
▲見ごろを迎えたトビシマカンゾウの花
そんな中、6月5日に第22回トキ放鳥が行われました!
通常であれば、放鳥の日はモニタリングボランティアの方々と共に、放鳥されたトキの様子を観察します。
しかし、今回は新型コロナウイルス感染症対策のため、環境省職員等の少人数で見守りました。
新規放鳥されたトキは今年の3月12日から「順化ケージ」と呼ばれる、佐渡の里山を模した大きな施設の中で順化訓練を受け、野外で生きていくために必要な「飛翔」や「採餌」などの能力を身につけてきました。
トキたちが約3か月間過ごした順化ケージの扉を開けるのは朝の6時。
▲放鳥口を開きます
トキ保護センターの職員が放鳥口を開き、放鳥口付近の池にドジョウを給餌します。
その後は誰も順化ケージには近寄らず、管理棟内のモニターでトキの様子を見守ります。
どんな風にトキたちは飛び立つのでしょうか?
放鳥口付近に設置したカメラの画像でお見せしたいと思います!
▲放鳥口付近の池に給餌されたドジョウを食べに集まるトキ
▲何かの拍子に・・・
▲飛び立った!
私は野外で放鳥トキを観察する役割だったので、後でビデオの映像を見たのですが、何がきっかけで飛び立つのか全くわかりません。
もしもトキと話すことができたら「あの時、何がきっかけで飛んだの?」と聞いてみたいものです。
今回は順化ケージでソフトリリース方式による放鳥を行いました。トキが自ら順化ケージの外に出るのを待つため、放鳥終了までかかる時間や日数はわかりません。
前回のソフトリリース方式による放鳥では、放鳥初日に1羽だけ順化ケージ内に残ってしまい、翌日まで延びてしまいました。
ところが、今回は6時に扉を解放してから9時52分までに全羽が飛び立ったのです!
放鳥されたトキは順化ケージ周辺を飛翔したり、木にとまったりしており、特に事故等は確認されませんでした。
▲飛翔する放鳥トキNo.402
今のところ新規放鳥トキは順化ケージ周辺で見られることが多いですが、これからどのような動きをしていくのか、楽しみです!
2020年06月11日#STAYHOME シカから守る大江湿原の柵設置
尾瀬国立公園 檜枝岐 細川有希
尾瀬国立公園 檜枝岐自然保護官事務所の細川です。
尾瀬や檜枝岐も今週辺りから日差しが強い日が続き、初夏を感じる季節になりました。
6月10日に尾瀬沼の近くにある大江湿原のシカ柵を設置しに行きました。
ニホンジカが大江湿原内のニッコウキスゲなどの芽を食べてしまうため、平成26年度から全長3.5㎞の柵を設置しています。毎年、一般のボランティアを集めて設置作業に取り組んでいましたが、今年は感染防止のため関係者のみの設置となりました。
△柵設置作業の様子
約3mの金網をロープに引っかけ、紐で結ぶという作業を繰り返し、湿原を囲う柵を作ります。
設置後もシカの移動する10月頃まで定期的に巡回し、柵が壊れていないか、隙間がないかなどを確認します。
昨年は、数年に一度のニッコウキスゲの群生が見られ黄色一色に染まる大江湿原が非常に美しく感動しました。
今年も旬の7月から8月にかけて、たくさんのニッコウキスゲが見たいですね。
△昨年の大江湿原
【お知らせ】尾瀬への入山自粛について(2020.6.11現在)
https://www.oze-fnd.or.jp/archives/99378/
-----「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」について-----
利用者の皆様におかれましては、入山自粛へご理解・ご協力いただきありがとうございます。
尾瀬では「#STAYHOME」の取組に賛同し、「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しています。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛により、国立公園を訪れていただくことができない状況の中で、来訪を楽しみにされていた方に向けて、また、収束後に国立公園の美しい自然や文化を満喫したいと思っている多くの方に向けて、国立公園の魅力をインターネット上で広く情報発信することを進めていきます。
2020年06月11日石仏群と千条の滝 (箱根地域)
富士箱根伊豆国立公園 箱根 山口光子
皆さん、こんにちは。
富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。
5月下旬になり、神奈川県の緊急事態宣言が解除されました。
箱根館内の登山自粛願いも解除となり、梅雨の時期を目前に、少しずつですがハイカーが戻ってきています。
実際の状況把握も兼ねて、巡視を行いました。
【「石仏群と歴史館」⇒「鷹巣山」⇒「小涌谷駅」 片道約6km程度のルート】
このコースの見どころは、鎌倉時代の遺跡「石仏群」です。
元箱根石仏群として国重要文化財にも指定されています。
富士箱根伊豆国立公園の中でも、箱根独特の景観です。
【磨崖仏二十五菩薩(西側)】
この石仏群周辺は、箱根を通過する国道1号線(旧東海道)沿いで最も標高が高く、寒くて風が強い場所です。そして、700年ほど前の鎌倉時代から旅人が往来する旅路でありながら、当時は周囲から噴煙が上がり、噴石も転がる荒野でした。箱根越えで最も過酷な場所「地獄」と呼ばれたそうです。その地獄を、旅人が無事通り抜けられるようにと、祈りを込めて噴石に石仏が彫られ、今もその姿を眺めることが出来ています。
ありがたい石仏です。
コロナ禍の中で、早くこの混乱が治まりますようにと、ついお祈りしてしまいました。
実は国道沿いにもあるのですが、意外と気が付かず皆さん通過しています。
【国道1号線沿いからも見える、磨崖仏二十五菩薩(東側)】
巡視は平日だった為、まだ人出は少なかったですが、途中数組のハイカーさんたちとすれ違いました。
それぞれ少人数で、皆さん気を使いながらのハイキングを心掛けているようです。
少しお話をした、よく箱根を訪れるというハイカーさん。
写真をとってもいいよ!と言われ、背中をパシャリ。
緑が本当に気持ちよさそうでした。
【鷹巣山山頂付近】
このコースのもう一つの見どころが「千条の滝」です。
【千条の滝】
昨年の台風被害で壊れた部分は修復され、今はとてもきれいです。
滝も美しいのですが、その上に大きなイタヤカエデの木が立派に育っていて、これがまた素敵。
【コゴメウツギ】
道中はコゴメウツギのかわいらしい花も、至るところで咲いていました。
まもなく梅雨、そして夏の盛りがやってきます。
箱根の山々は新たな季節に向けて、また変化をしていくのでしょう。
楽しみですね。
湖尻にある箱根ビジターセンターは、6月1日より開館しました。
駐車場も使えるようになっています。
ただし、状況が変わった際には変更がありえます。
まだまだ安心せずに、ソーシャルディスタンスと手洗いうがいを心掛けていきましょう。
箱根を訪れる際には情報を確認してからお越し下さい。
「湖尻」にある箱根ビジターセンターHP →http://hakonevc.sunnyday.jp/
今後の親しむ運動イベント情報 →http://hakonevc.sunnyday.jp/shitashimuundou.html
2020年06月11日オオルリ来島 大島(伊豆諸島地域)
富士箱根伊豆国立公園 竹下実生
こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。
蒸し暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
大島でも、気温と共に湿度が少しずつ高くなりはじめました。大島で春~夏に吹く南西の風が湿気を運んできて、三原山の山頂部は雲や霧に覆われることが多くなってきました。
さて、先日の巡視で林の中を歩いていると、どこからか清涼感のあるきれいなさえずりが聞こえてきました。これはもしや・・・と立ち止まって探してみると・・・いました!オオルリです!
▲枝の上でさえずるオオルリ(成鳥・雄)
オオルリは夏鳥で、繁殖のために東南アジアから日本へ渡ってきます。
はるばる東南アジアから、どのようなルートで大島まで渡ってくるのでしょうか。とても気になります。
大島では5月上旬頃からさえずりが聞こえていました。
夏の間にオオルリを写真に撮りたいと思い、さえずりを聞く度にカメラを構えて姿を探していましたが、なかなか見つけることができずにいました。すぐ近くからさえずりが聞こえているのに、瑠璃色と白色の体が薄暗い林の中に意外と上手く溶け込んで、どうしても姿が見えないのです。
▲そっと反対側へ移動してカメラを向けても、こちらをちらちら見ながらさえずり続けていた
今回出会ったオオルリは、比較的開けた場所の低い枝でさえずっていたので、すぐに見つけることができました。おまけに、かなり長い時間留まっていたので、ゆっくりと撮影することができました。
あとで図鑑を見てみると、繁殖期のオオルリは縄張りを持っていて、その周りにはいくつかの見張り場兼さえずり場があり、雄は一定時間さえずっては移動する、と書いてありました。このオオルリも、縄張りを守るための仕事をしていたのかもしれません。
蒸し暑い日でも、オオルリのきれいなさえずりを聞くと、すっと涼しい風が吹いたような気持ちになります。皆さんの周りにも、オオルリは来ているでしょうか?
【ご注意ください】
令和2年5月25日に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が解除となりましたが、伊豆諸島では、自治体ごとに来島自粛の継続、緩和などの対応が異なっている状況です(6月10日時点)。伊豆諸島へ旅行を計画されている方は、自治体のホームページで現在の自粛状況や渡航の条件などを必ず確認してください。
大島町 https://town.oshima.tokyo.jp/soshiki/seisaku/mayor-news11.html
利島村 http://www.toshimamura.org/news/1568
神津島村 https://vill.kouzushima.tokyo.jp/
三宅村 https://www.vill.miyake.tokyo.jp/
2020年06月10日塩見岳、標高改定!
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
今年1月、国土地理院が塩見岳の標高を改めました。塩見岳は長野県と静岡県にまたがっていて、南アルプスの北部と南部の真ん中に位置する山です。
塩見岳は西峰と東峰に分かれている¨双耳峰¨です。西峰の標高は3,047メートル、東峰は3,052メートル。東峰のほうが高いですが、三角点があるのは少し低い西峰。そのため、国土地理院はこれまでは西峰の3,047メートルを塩見岳の標高としていましたが、最近の調査資料を基に確認したところ、今年1月に東峰の標高3,052メートルに改められたとのことです!
参考:https://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/kihonjohochousa41189.html
この写真は西峰より東峰を撮影したものです。東峰のほうが高いということは多くの登山者に認識されているため、大体の方は東峰で記念写真を撮られます。ご覧の通り、多くの登山者で賑わっています。
ここで3,052メートルの東峰から見られる景色を紹介します!なんといっても南アルプスの北部と南部の真ん中に位置する塩見岳。天気がいい日には南アルプスオールスターの大展望が広がります!
写っているのは北部方面です。仙丈ヶ岳や間ノ岳、農鳥岳、奥には小さく甲斐駒ヶ岳も見えます。目の前に見える稜線は北岳や仙丈ヶ岳へ向かう「仙塩尾根」です。「仙塩尾根」は仙丈ヶ岳と塩見岳を結ぶ稜線で、それぞれ頭1文字をとっています。登山者が少ないルートで、南アルプスの山深さを感じられる稜線です。
こちらは南部方面です。目の前に見える大きな山は悪沢岳(東岳)、中岳、前岳の三山から成る荒川岳です。後ろに見える山は聖岳、兎岳です。この写真を見ているだけで次はどの山に行こうかな?とワクワクしちゃいます。
目の前には・・・
富士山も見えちゃいます!!!南アルプスの山々と富士山が一望できるのはなんとも贅沢です。昨年、塩見岳に登ったときは写真のように天気が良く、下山するのがもったいないくらいでした。
塩見岳は南アルプス(中央構造線エリア)ジオパークにも含まれており、展望だけでなく地質の観点からも楽しめます。山頂や天狗岩付近では赤石山脈の由来にもなっている赤色チャートや緑色岩を見ることができます。
南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク
→ https://minamialps-geopark.jp/
日本ジオパークネットワーク
→ https://geopark.jp/geopark/m_alps/
南アルプスの成り立ちや日本各地のジオについて知ることができます。あまり興味がない方でも見てみると新しい発見があったりと、おもしろいと思います♪
◇ ◇ ◇ 塩見岳および周辺の山へ登山計画されている方へ ◇ ◇ ◇
今年度はコロナウイルスの影響により、伊那市、大鹿村、静岡県は登山の自粛を求めています。各登山道、山小屋、および伊那バスによる鳥倉線(松川インターから鳥倉登山口)は休業・運休となっていますので、入山の計画をされている方は、ご注意ください。
2020年06月08日箱根の動物発見(5月)
富士箱根伊豆国立公園 箱根 高木俊哉
AR日記をご覧の皆様、こんにちは。
箱根事務所の高木です。
最近は雨が降ることも多くなり、春が明けて季節の変わり目を感じるような日が続いていますね。
今回は、最近行った巡視の中で出会った動物たちをご紹介したいと思います。
【ヒガシニホントカゲ】
歩いていると道の脇をカサカサッと動く影を見つけました。
よーく目を凝らしてみると、いました。
まだ幼体で尾が青いですね。
同じ爬虫類のヤモリと間違われてしまうこともありますが、トカゲは体に光沢があるのでそこが一番の見分け方のポイントになるかと思います。
【ハンミョウ】
青赤緑の美しい色に白の斑点、長い肢と大きな顎。
肉食で2㎝前後のオサムシ科、春過ぎから10月頃まで見ることが出来るようです。
よく地面を歩いていて、人が近づくと飛んで少し先に逃げる習性から「ミチオシエ」や「ミチシルベ」の異名があります。
この時も、少しばかり道案内をして頂きました。。。
いかつい顔をしてますね。
【オオセンチコガネ】
こちらも登山道の目立つところを歩いていました。
2㎝前後のセンチコガネ科、観察時期はハンミョウと同じのようです。
背面は光沢のあるブドウ色、近畿では青や緑の個体もいるようですが、
写真では色が完全に伝わらないのが残念です。
糞に集まるいわゆる糞虫なので、動物の糞を探している途中だったのでしょうか。。。
【ニホンジカ】
休んでいたのか、反芻をしながら座っていました。
カメラの撮影音に驚き、この後すぐに走って逃げてしまいました。
実は箱根にもシカがいます。
個体数増加による影響も出てきているようで、当事務所でも神奈川県唯一の湿原
仙石原湿原などを守るための対策を地域と協力して行っています。
このお話については、また次回の更新でお話しできればと思っています。
皆さんも身の回りの動物たちに思いを馳せて頂く機会になればと思います。
<ご注意>
緊急事態宣言が解除され、地域の公共の駐車場も開放されるようになってきましたが、
未だ感染症の収束にもなっておらず感染拡大の第2波も懸念されています。
県外からの来訪自粛やマスクの装着などは怠らず、一刻も早い感染症蔓延の収束と皆様
が自然に触れ楽しめることを願っております。
2020年06月03日【小笠原】海ごみゼロウィーク開催中
小笠原国立公園 小笠原 近藤希
こんにちは。小笠原自然保護官事務所の近藤です。
現在小笠原では、5月30日(ごみゼロの日)から6月8日(世界海洋デー)までの
海ごみゼロウィークで、ビーチの海ごみ回収を実施中です!
海ごみゼロウィークとは、世界中で増え続ける海洋ごみの問題に取り組むべく、日本財団と環境省が共同で、一斉清掃活動を推進するものです。
https://uminohi.jp/umigomi/zeroweek/
昨年は、参加者を募り一斉清掃のイベントを行いましたが、今年は新型コロナウイルス感染症対策のためイベントは実施しません。ビーチへお出かけの際には、ぜひ海ごみ回収にご協力をお願いします。拾ったごみは、ビーチに設置してある回収BOXに入れてください。
(回収BOX設置場所:宮之浜、大村海岸、製氷海岸、扇浦)
今日はさっそく、現場の帰りに海岸でごみを回収してきました!
村民の憩いの場である大村海岸は、大きなごみは少なくとてもきれいですが、
小さなプラスチックごみなどがまだまだたくさん落ちている様子でした。
▲拾ったごみは回収BOXへ
▲マイクロプラスチック専用BOX
もちろん、海ごみゼロウィークの活動は小笠原だけでなく全国で行われています。
この機会に、私たちの大切な海を守るため、ごみを出さない・捨てない・拾うことについて、考えて行動に移しましょう!
(参考)海洋ごみについて
世界中では年間約500万トンから1300万トンの海洋ごみが発生しており、2050年にはプラスチックをはじめとする海洋ごみの量が、魚の量より多くなるとも言われています。
この海洋ごみの約8割は、街で発生したものが川を伝って海に流れ出したものとも推定されています。みなさんも一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、マイクロプラスチックはプラスチックごみが細かく崩れ、5mm以下になったもののことです。有害な化学物質が含まれる可能性があり、生態系や人体へ悪影響を及ぼすことが懸念されています。
私たち一人ひとりがこの現実を知り、行動に移すことが大切です。
2020年06月02日トキの卵についてきたミクロな生きもの
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
先日、回収したトキの卵殻(※)の写真を撮影していると、不思議な生きものがいるのに気が付きました。
<撮影していた卵殻。卵殻には土などが付着してきます。>
大きなハサミをもったミクロな生きもの。
アップで見てみると...
<青い目盛り1つが1mmです>
大きなハサミの他に脚は8本。サソリ?何だ、これ?
調べてみると、カニムシの仲間ということが分かりました。
カニムシは、地表や土の中にいて、ダニなどの小さな動物を補食するそうです。
ミクロの世界の捕食者、カニムシ。
生きものの世界の奥深さを垣間見たようでした。
アクシデントで採取してしまったカニムシは、心苦しいですが、トキの卵殻と一緒に佐渡自然保護官事務所の冷凍庫に保存されています。
※野生下のトキの卵殻回収について
野生下のトキが繁殖をやめてしまった場合等に巣の下へ行き、卵殻回収を行います。産卵数や有精卵率などを調べ、得たデータはトキ野生復帰事業に活用します。
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
6月上旬に長野県伊那市を経由で北沢峠周辺の現地確認に行ってきました。下界は30度前後でとても暑かったようですが、標高2,000mほどある北沢峠はなんと16度!とても快適でした。
林道を車で走っていると、ある動物に出会いました。
立ち止まってこっちを見ている子
こちらに気づいて一生懸命逃げている子
人がいても逃げることなく、毛づくろいをしている子
多くの方がなんの動物なのかお分かりかと思いますが、ニホンジカです。今年は積雪量が少なく、林道バスが運休していて人の出入りがないことから、ニホンジカにとっては楽園のような状態になっています。ニホンジカ対策に取り組んでいる関係機関のデータによると、6月上旬くらいに仙丈ヶ岳の標高2,500m地点のあたりまで登っている個体がいるようです。6月下旬に仙丈ヶ岳の防鹿柵の立上げ作業を行いますが、高山植物が食害に遭っていないことを心から祈ります。
今回はニホンジカとの遭遇が多かったですが、他にもこんなステキな出会いがありました。
【コミヤマカタバミ】
コミヤマカタバミは花びらに脈が帯び、人間の血管のように見えます。小葉は夜になると閉じて、睡眠運動をします。花びらに人間のような血管模様があって睡眠運動する。・・・勝手に親近感を感じています。ちょこんと足元に咲いていることが多いので、踏んでしまわないように気を付けなければなりません。
【ザゼンソウ】
ザゼンソウと聞くと、尾瀬などの湿原で見られるイメージがあり、南アルプスでは見ることができないだろうといつも諦めていたのですが、なんと!見ることができました!生まれて初めて見るザゼンソウ。感動しました。ザゼンソウは座禅を組んだ僧の姿に見えることが由来になっています。そういわれると、そう見えてきますね。
今年度の北沢峠周辺ではバスが運休、山小屋が休業になり、各市町村から入山自粛が求められています。元気に咲いている高山植物をみなさんに現地で見ていただくことができず、とても残念ですが、このアクティブ・レンジャー日記を通して、現地の様子をお伝えしていきたいと思っています。