ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年7月 2日

3件の記事があります。

2020年07月02日初夏の箱根植物たち

山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

今回は箱根の初夏を彩る植物たちのご紹介です。

最近は、春の花が結実し、実がたくさん観察できます。

そして、これらを食べる鳥たちも元気です。

【箱根ビジターセンター周辺で観察された果実たち】

初夏の箱根で、ドライブ中に箱根の山々を見渡すと、緑の中に「白」がたくさん見えます。

これは大半がヤマボウシです。

【ヤマボウシ 箱根の地方名はコウサ】

学名はCornus Kousa 、この「Kousaコウサ」は箱根での地方名が学名につけられたものです。

箱根は、ヤマボウシの木がとても多いことでも有名です。

他にも、各種ウツギの花やホオの花、ヒメシャラの花と、樹上に咲く白い花は美しいです。

ですが散策路にある樹上の花は、花が落ちた時に初めて気が付く、そんなことがよくあります。

歩いていると、見えにくいのです。

移動ドライブ中の景色でも、是非花を探してみてください。

(事故には気を付けてくださいね。)

こんな花も。

【サルナシ】

白い花と赤い茎、緑の葉の3色があでやかで、夏っぽいですね。

箱根の散策ルート、各所で見られます。

この後に実る果実はキウイフルーツのようにおいしい、マタタビ科の植物です。

国立公園内での採取は禁止ですが、思わず食べたくなってしまいます。

そしてこちら。


【ハコネコメツツジ 環境省RDB:絶滅危惧Ⅱ類(VU)/箱根町天然記念物】

【こちらは環境省RDB検索サイト情報】

ハコネコメツツジの名前は、箱根で初めに見つかったことから名づけられたそうです。

岩肌にひっそりと咲いています。

小さな花で、かわいい!(私の指と比べてください)

葉もよく観察すると、毛がたくさん生えていて、おもしろい植物です。

時期的にはこれからが花のシーズンです。

もう少しすると、ヤマユリも美しく咲き、香りが漂うことでしょう。

あっという間に季節は変わっていきます。

これからやってくる盛夏の箱根も、楽しみにしていてください。

★最近、マスクのごみが山中に増えています★

【散策路のマスクゴミ】

そして、山頂付近の食事ごみ放置も増えています。

自身の持ち物、ごみ類は、必ず自宅まで持ち帰ってください。

絶対のマナーです。

落書きも増えています。なぜでしょう。悲しいです。

景観が台無しになるこれらのごみ。

動物たちが荒らすと、人との関係性が悪化することがあります。

更に山のごみは、川を流れて海までたどり着き、自然界に大きな影響を与えます。

自然環境を美しく平和に保つのは登山者1人1人の行動次第です。

ごみを山に置いていかないでくださいね。

もしくは見かけたら、1つでいいです。是非拾ってください。お願いします。

「箱根湿生花園」では、箱根仙石原湿原の植物たちやそこに暮らす生き物たちに出会え、学ぶことが出来ます。これからの季節は、蝶やトンボが乱舞しています。

箱根湿生花園HP ⇒ http://hakone-shisseikaen.com/

湖尻にある箱根ビジターセンターは、現在開館しています。駐車場も使えます。

ただし、状況が変わった際には変更があるので、箱根を訪れる際には情報を必ず確認下さい。

「湖尻」にある箱根ビジターセンターHP →http://hakonevc.sunnyday.jp/

今後の親しむ運動イベント情報 →http://hakonevc.sunnyday.jp/shitashimuundou.html

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2020年07月02日【那須】 雲上の桜庭園

日光国立公園 那須 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺です。

春先の那須の大風には驚かされましたが、割合に天気に恵まれて、ここまで巡視を数多くこなしてきました。今回は報告が少々遅れましたが、528日に巡視した日の出平について紹介します。

那須のシンボル「茶臼岳」(1915m)から南につながる頂上を日の出平(1786m)と言います。この日はミネザクラの開花にあわせて巡視しました。那須の山々の登りは、「つづら折り」と言うよりは直線的に登りあげる登山道が多く、意外にキツイところがあります。しかしキツイ坂の途中にも、癒やしはあります。

<癒やし①> 咲き始めたアズマシャクナゲ



 

        <癒やし②> クロサンショウウオの卵塊と成体

 

                <癒やし③> 咲き始めたミネザクラと尾瀬の山々


頂上が近くなると坂は緩やかになるとともに、植生が変わります。樹木はなくなり、笹原となります。

冬場の雪と強風のため、また火山性ガスのため、森林が成り立たないのだと理解されます。

ところが、

いよいよ頂上に出ると、なんと樹林帯になっているのです。

           頂上が平らな日の出平は、まばらな森林が成立している。

冬は雪に覆われ、強風が吹き抜ける頂上になぜ樹林が成立するのか? 不思議です。

むしろ頂上の手前では森林が成立していないのに・・・

地形などからくるわずかな違いが、植物の生活に大きな影響を与えているのだろうと思います。

そして、この森の代表が、ミネザクラ。

なんとこの環境の中に桜の庭園があるのです。

             これがミネザクラです。

             桜?

             梅じゃないの?

             なにこの枝振り!!

過酷な環境に耐える桜の姿がここにありました。

あれ、でも・・・

大丈夫!    花も咲いています。

                     花つきが悪い?

                     そんなこと言わないでください。

                     この環境で頑張って咲いているのですから!

                     今年は花が少ないそうです。

                     また、木によって花つきが異なり、

                     今年はほとんど咲かないものがあるそうです。

                     花芽がほとんどない木もあります。

おわかりいただけますでしょうか? この枝振り



                風の吹き抜ける方向をしっかりと指し示しています。

こんな中、今年花をつける木と花をつけない木があるのです。

ふと、足下を見ると、

                  コミヤマカタバミ

頑張っているのは、桜だけではありませんでした。

最後に、ツーショット!

                 「ミネザクラ と 茶臼岳」

                 これぞ、那須のシンボル!!

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2020年07月02日仙丈ヶ岳 馬の背で防鹿柵立ち上げ作業

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

6月下旬に仙丈ヶ岳の馬の背周辺にて防鹿柵立ち上げ作業を行いました。南アルプス国立公園の中でも仙丈ヶ岳の馬の背はお花畑が広がる場所でしたが、ニホンジカによる植生の衰退や踏圧による裸地化が進んでしまいました。このことから、南アルプス自然保護官事務所では、平成20年度から防鹿柵を設置しています。

前日は大雨。作業ができるかどうか不安に駆られましたが、当日はどんより曇り空スタート。今回は同じ馬の背に防鹿柵を設置している南アルプス食害対策協議会のみなさんと一緒に登りました。馬の背までのルートは大平山荘より藪沢経由で登ります。どんどん標高をあげていくと、、、

雪!雪渓です。もう7月になるというのに雪に出会えました。下界ではもう夏のような暑さですが、時折風が吹き、雪渓の上は涼しさを感じました。

雪だー!と喜んでいるのもつかの間。雪渓のあちこちにニホンジカの足跡がしっかりありました。

6月上旬にこの藪沢を通過し、馬の背周辺を訪れているニホンジカの足跡でしょうか。今回の行程ではニホンジカの姿を見ることはできませんでしたが、雪が多く残るこの時期でも高標高まで登ってきているということを再認識しました。

防鹿柵の設置現場に到着し、作業開始。


仙丈ヶ岳に設置している防鹿柵は夏季(初夏から晩秋のみ)に設置する季節型の防鹿柵です。お馴染みの杭にポールを差し込み、ネットをくくりかける作業です。前回の三伏峠の作業時はポールの高い部分に手が届かず、作業への貢献ができずじまいだったわたしですが、今回は手が届いたので、一生懸命頑張りました!(おかげで腕が筋肉痛になりました)

△シナノキンバイ

△ヒメイチゲ

防鹿柵の中にはシナノキンバイやヒメイチゲ、キバナノコマノツメが咲いていました。一時は部分的に裸地化し、高山植物があまり咲いていない状態でしたが、防鹿柵設置後は種数が増え、現在は植物の高さが回復してきています。環境省が馬の背に防鹿柵を設置してから12年ほど経ちますが、驚くほどの変化は見られずとも、少しずつ変化を感じられるようになっています。「花の仙丈」の愛称で多くの方に親しまれている仙丈ヶ岳。いつの日かその愛称の通り、高山植物が咲き乱れる仙丈ヶ岳に戻るといいですね。

どんより雲り空で始まった今回の防鹿柵立ち上げ作業ですが、下山時には青空が広がり、栗沢山を見ることができました!

このあと、栗沢山にはガスがかかってしまいましたが、ほんの一瞬、山からご褒美をもらった気持ちになりました♪

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