2020年9月
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2020年09月03日【花の名、改めて命名】
日光国立公園 那須 善養寺聡彦
みなさま、こんにちは。日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺です。
以前から山野草の観察をして、できるだけ多くの植物の名を覚え、見分けられるようになりたいと思っています。これまでは決まったシーズンにしか時間がとれず、それぞれの植物の決まった時期の様子ばかりを見てきました。今回アクティブレンジャーになって、1つのフィールドでシーズンを通して過ごすことになりました。すると、1つの植物の季節的な変化を追って観察できるようになり、それぞれの植物について、より深い理解ができるようになりました。今回は、今までやや疑問を持っていた、「植物の名」に納得がいったことについて紹介します。扱う花の季節は過ぎていますが、来期に確認していただければ有り難いと思います。
その①【イワカガミ】
名前に漢字を当てれば「岩鏡」で良いと思われます。その名の由来は、「岩場に咲く鏡のように輝く葉を持つ植物」。といったところでしょう。
しかし、私が今まで出会ってきたイワカガミは、まあこんなもの。
まあ葉に光沢はあるけど・・・。
「鏡」?・・・。
もっと鏡っぽい葉は他の植物にも多いけど・・・。
まあいいか。
と、思っていました。
しかし、那須連山を歩く中で、鏡のように輝く葉に出会いました
本当はもっと光る葉なのですが、
光りすぎて上手な写真にならなかったので、
この写真にしています。
「鏡、と言ってよし。」と感じました。
ここで改めて私が命名します。 「岩鏡」 と。
その2【ショウジョウバカマ】
「ショウジョウバカマ」、初めてこの名を聞く人は、
思わず、「え、 なんと言いました?」と聞き直してしまうかもしれません。
漢字では「猩々袴」。
なおさらわからない。
猩々は、「髪や顔が赤い想像上の生き物」、「オランウータンや類人猿」、「酒好きな人」など様々に使われるようですが、まあ赤い顔ということで、赤~ピンクの花と理解できます。
では「袴」は?
おそらく葉が袴状ということなのでしょうが。
うーん、袴というか・・・。
もちろん現代的な衣類はない時代の命名なのでしょうから、
現代の感覚で計ってはいけないのですが・・・。
などと、ずっと悩んでいました。
ところが那須の岩場で、しっかり袴をはいた猩々に出会いました。
改めて私が命名します。 「猩々袴」 と。
2020年09月03日【お知らせ】南アルプス市芦安山岳館でアクティブ・レンジャー写真展開催中!
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
9月1日から9月28日まで、南アルプス市芦安山岳館にて「環境省 アクティブ・レンジャー写真展‐国立公園・野生生物の姿‐」を開催しています!
アクティブ・レンジャー写真展では関東地方環境事務所管内の自然の素晴らしさや大切さ、国立公園の魅力、環境省職員であるアクティブ・レンジャーによる自然環境保全や適正な利用促進の業務について紹介しています。
南アルプス自然保護官事務所からはライチョウや赤石岳のV字谷など、計4枚の写真を展示しています。各国立公園などのパンフレットの配布も行っています。子どもたちに人気の「冒険手帳」もありますよ♪
★ 南アルプスユネスコエコパークのホームページにも掲載いただきました!
ホームページ内には南アルプスユネスコエコパーク関連の最新情報が掲載されています。
ぜひ、こちらからご覧ください。
また、会場である南アルプス市芦安山岳館では8月より、無料エリアが設けられています。
(参考:https://www.minamialps-net.jp/cat_news/340770)
アクティブ・レンジャー写真展はこの無料エリアの中で開催されています。
無料エリアには山岳関係の図書コーナーや塗り絵を楽しむコーナーなどがありますので、そちらもあわせてお楽しみいただけます♪
南アルプス国立公園はもちろん、関東管内の国立公園および国指定鳥獣保護区の魅力をたくさんの方に知っていただきたいと思います。夜叉神峠の帰りや芦安に遊びに来られた際にはぜひ、お立ち寄りください!!
◆ 南アルプス市芦安山岳館では新型コロナウイルス対策を実施しています。
下記リンクをご一読いただいた上で入館するようにしてください。
2020年09月02日【那須】増えすぎて困っています。
日光国立公園 那須 菅野敬雅
こんにちは、日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。
8月は暑い日が続きましたが、那須連山では既に秋の花々が見頃を迎えようとしています。
▲光を浴びるカリヤスモドキと茶臼岳 ▲道端に咲くオヤマリンドウ
(いずれも8月28日撮影)
さて、今回は那須平成の森で実施している中型・大型哺乳類調査のお話の第3回目です。
1. ○○○○○と○○○○が急増中!
まずは下の折れ線グラフをご覧ください。
▲那須平成の森で確認された哺乳類の出現数の経年変化
ニホンジカとイノシシの急激な増加が一目瞭然です!
那須平成の森ではニホンジカがH27~H30にかけて毎年約1.5倍ずつ増加、なんとH30~R1にかけては約1.8倍も増加しています。イノシシはおおよそ2年ごとに倍増する傾向がみられています。
2. ニホンジカが増えると。。。
樹皮剥ぎによって樹木が枯死してしまったり、林床植生が食べ尽くされてしまったりする恐れがあります。
右下の写真は、那須平成の森から直線距離で25km南西に位置する塩原地域の林床の様子です。塩原地区ではここ10年間で林床植生が激変してしまったそうです。那須地域でもこのままニホンジカが増加していけば、林床から植生が失われてしまうかもしれません。
▲樹皮剥ぎ(那須平成の森) ▲林床植生の衰退(塩原地域)
3. イノシシが増えると。。。
地下茎を食べるために掘り起こすので、地面の荒廃が目立っていきます。
▲イノシシによる掘り起こしの様子(左図は那須平成の森、右図は那須平成の森近くにある八幡園地)
森林の生態系を守るために私たちに何ができるのか、考えさせられます。
2020年09月02日箱根の植物発見(8月)
富士箱根伊豆国立公園 高木俊哉
AR日記をご覧の皆様、こんにちは。
箱根事務所の高木です。
今回は、8月の巡視の中で見つけた目を引く植物たちの紹介をしていこうと思います。
まずは、ツチアケビです。
初めてこの植物を見たときは、真っ赤な唐辛子かウインナーかのような姿にとても驚きました。
箱根では、広葉樹林のうっそうとした環境で目にする印象です。
真っ赤な部分は果実で、結実する前は対照的にやや地味な黄色い花を見ることが出来ます。
次に、ヤマユリです。
花の直径は20㎝程の大きさにもなり、箱根地域でも道路沿いや登山道など比較的多くの場所で目につきます。
高さも1m程になるので、とても目立ちますね。
花も真っ白な色に淡い黄色い線がとても綺麗です。
最後に、ヤマホタルブクロです。
ホタルブクロの変種で、花の色がやや濃いことや「がく」の間の反り返りがないことで同定できるようです。
花びらが分かれていない合弁花で、ふっくらとしていて可愛げがある花です。
箱根では、登山道沿いや道路沿いでも見ることができます。
箱根地域では、これから秋に向けて、夏とは違ったさまざまな植物を見ることが出来ると思います。
ぜひ涼しい箱根で、3密には気をつけつつ秋を堪能してみてください。
【小笠原】Buteoを探して
こんにちは!小笠原の鈴木です。
私が来島した6月頃と比べると、日が暮れるのが随分早くなったような気がし、秋の訪れを感じます。
先週、8月中旬に父島で保護されたオガサワラノスリの放鳥を行い、その個体の巡視を1週間にわたって実施していました。
【オガサワラノスリ(幼鳥)】
巡視は放鳥を行った地域を中心に実施したのですが、見つからない。
オガサワラノスリを見つけてもかなり遠くにいて放鳥した個体かどうか識別ができなかったり、巡視を始めた途端に大雨が降りはじめたりと大苦戦。
結局、最終日まで放鳥した個体を見つけることはできず、元から簡単なことではないと分かっているつもりだった、大自然の中で1個体を探すことの難しさに気づかされました。
ちなみに放鳥したオガサワラノスリですが、放鳥後しばらくはその場にとどまっていたものの、数時間後には遠くへ飛んでいったようなので、すでに人目につかない場所まで移動していたのかもしれません。
いつの日か元気に小笠原の空を飛び回っている姿を見つけたいと思います。
【オガサワラノスリ Buteo buteo toyoshimai】
小笠原で繁殖が確認されている唯一の猛禽類で年間を通して父島と母島どちらの有人島でも見ることができる小笠原の固有亜種です。
父島では比較的簡単に見ることができるオガサワラノスリですが、生息範囲が狭小なため個体数が少なく、国内希少野生動植物種に指定さています。