2020年10月 9日
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2020年10月09日東北最高峰「燧ヶ岳」の登山道紹介!
尾瀬国立公園 檜枝岐 細川有希
みなさんこんにちは!
尾瀬国立公園 檜枝岐自然保護官事務所の細川です。
感染症の影響で開山が遅れた尾瀬でしたが、シーズンも終わりに近づき段々と草木が紅葉を始めました。
今年も、季節ごとに様々な姿を見せてくれた尾瀬ですが、今回は燧ヶ岳について紹介しようと思います。
一般に燧ヶ岳と呼ばれている山頂は2,356mの柴安嵓(しばやすぐら)のことを言いますが、すぐ隣に俎嵓(まないたぐら)と呼ばれる標高2,346mの山があります。標高差が10m程度で2つの山の間を20分程度で行き来できるのでふたつをまとめて燧ヶ岳と呼ぶこともあります。
燧ヶ岳に登るには4つのルートがあります。
①御池から熊沢田代を通り俎嵓に到着するルート(コースタイム3時間30分)
②尾瀬沼の浅湖湿原から俎嵓に到着するルート(コースタイム4時間)
③沼尻から俎嵓に到着するルート(コースタイム3時間)
④尾瀬ヶ原見晴地区から柴安嵓に到着するルート(コースタイム3時間30分)
<燧ヶ岳を登る4つのルートの色別>
①は檜枝岐村の御池登山口に駐車場があり、登山口までは車で行くことができます。歩き始めて1分程で、燧ヶ岳と尾瀬ヶ原に行く道の分岐があるので看板を見落とさないように注意してください。燧ヶ岳方面に進むと、最初に岩場の斜面があり急いで登ると疲れてしまうので自分のペースでゆっくり進みましょう。
<燧ヶ岳と尾瀬ヶ原に行く道の分岐>
<登りはじめの岩場>
②は長英新道と呼ばれる登山道で、今から約60年前に現在の長蔵小屋の主人の祖父にあたる平野長英氏が開拓しました。
他の登山道より滑らかに進むことができますが時間はかかります。山頂近くに尾瀬沼を臨めるミノブチ岳というスポットがあります。
<ミノブチ岳の展望>
③はナデックボと呼ばれる岩場を登るルートで、他の登山道より早く山頂に到着できますが、整地されておらず上級者向けの道なので初めての方は他の道を登ることをオススメします。ナデックボの由来は諸説ありますが、「なだれが多い窪んだ所」を略して呼ぶようになったとも考えられています。
<沼尻平から見たナデックボ登山道>
<俎嵓(2,346m)から臨む尾瀬沼>
④は見晴新道と呼ばれ、約3時間半で柴安嵓に到着します。最近に開拓された道のため、雨水が固まらず滑りやすい道となっており、雨の日やその翌日などは歩くと登山靴がどろどろになります。
思い切って折りたたみの長靴などを持って行くと良いでしょう。新しく木道階段が作られており、少しずつ歩きやすい道に変わってきています。
<見晴新道の新しい木道階段>
<柴安嵓(2,356m)から臨む尾瀬ヶ原>
今まで通りとはいかない半年でしたが、来年はより多くの方が来られることを祈っています。
2020年10月09日新島の砂浜の色 新島(伊豆諸島地域)
富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 竹下実生
こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。
先週、事務所の窓の外からモズの声が聞こえてきました。
(モズは秋に入ると一羽ずつの縄張りを持つようになり、縄張りを宣言してさえずります)
モズの声を聞くと、秋がやってきたなあと感じます。
さて、まだ暑かった9月の初め頃、施設の現況確認や写真撮影のため、新島へ行ってきました。
▲羽伏浦海岸(遠くに見えるのは三宅島)
新島は、東京から約160kmの距離にある伊豆諸島の島です。
東京からの交通は船と飛行機があり、東京竹芝から大型船で8時間30分、高速船で2時間30分、調布飛行場から35分でアクセスできます。
面積は23.87㎢、人口は約2,500人。
観光ではマリンスポーツ、特にサーフィンが盛んです。
上の写真は、島の東側に延びる羽伏浦海岸です。
島の南端まで続く広大な白い砂浜は、他の島にはない景色です。
▲島の中央東側に伸びる羽伏浦海岸は白色、西側に延びる前浜海岸は緑色、北部の山の向こう側にある若郷前浜海岸は黒色の砂浜(新島南部 大峰展望台からの景色)
新島と言えば、最初に紹介した白い砂浜の景色が有名なのですが、
実は、新島には黒色や緑色の砂浜もあるのです...!
一つの島の中に色の異なる砂浜があるのは、なぜなのでしょうか...?
▲若郷前浜海岸(黒い砂浜)
▲前浜海岸(緑の砂浜)緑色と言うよりも灰色に見えるかもしれません。
砂浜の砂をよく見てみると、一色に見える砂の中にも、様々な色の砂粒が入っています。
羽伏浦海岸はガラス質の透明な鉱物(石英)、若郷前浜海岸は黒色の岩石(玄武岩)、前浜海岸は緑色の岩石(変成火山岩)の含まれる割合が大きいそうです。
だから、砂浜全体を見ると、それぞれ白色、黒色、緑色に見えるのですね。
▲左から羽伏浦海岸(白い砂浜)、若郷前浜海岸(黒い砂浜)、前浜海岸(緑の砂浜)の砂
(クリックすると、画像を拡大できます!)
これらの鉱物、岩石は、すべて火山に由来しています。
新島は、一つの大きな火山からできた島ではなく、いくつもの火山が次々に噴火して作られた島です。
新島を作った火山の中には、透明な鉱物(石英)を多く噴き出した火山、黒色の岩石(玄武岩)を多く噴き出した火山、緑色の岩石(変成火山岩)を多く噴き出した火山があり、それぞれの火山灰や火山岩が降り積もって地層を作りました。
地層は波に削られて砂粒となり、水流に乗って運ばれていきます。
透明な鉱物(石英)の多い地層から生まれた砂粒は羽伏浦海岸へ、黒色の岩石(玄武岩)の地層から生まれた砂粒は若郷前浜海岸へ、緑色の岩石(変成火山岩)の多い地層から生まれた砂粒は前浜海岸へ・・・。
・・・こうして一つの島の中に色の異なる砂浜ができたのでした。
新島を作った火山が、独特の景色を残してくれたのですね。
新島を訪れたら、ぜひ足下の砂に注目して、新島の成り立ちに思いを馳せてみてください。
【ご注意ください】
伊豆諸島では、自治体ごとに来島のガイドラインを掲げ、島内での感染拡大防止への協力を求めています(2020年10月8日現在)。伊豆諸島へ旅行を計画されている方は、自治体のホームページで来島のガイドラインをよく読み、最新の情報を必ず確認してください。
こんにちは、日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。
肌寒い日が増えてきましたね。私は早くもひざ掛けともこもこの上履きを引っ張り出して勤務しています。
●那須連山の紅葉情報
さて、秋といえば紅葉。
那須地域の紅葉シーズンは那須連山から始まります!
去る10月7日、茶臼岳や朝日岳周辺の登山道を巡視してきましたので、見頃を迎えた紅葉や混雑具合の様子をご紹介したいと思います。
残念ながら巡視日は霧が深く、特に朝は視界が真っ白でした。
ただ、霧の晴れ間から時折覗く景色に期待が高まっていきます。
▲霧の晴れ間から...
そして、霧が流れた一瞬の隙に見えた景色がこちらです。
▲熊見曽根から茶臼岳・姥ヶ平方面
お昼頃になると、上空に分厚い雲が残るものの、周りの霧は大分晴れてきました。
この日の最終目的地として、有名な紅葉スポットの姥ヶ平を訪れました。
▲茶臼岳側から姥ヶ平方面
▲姥ヶ平から茶臼岳方面
シャッターを押す指が止まりません。
帰りの時間が迫り、名残惜しさを感じながら姥ヶ平を後にしました。
今週末の台風14号で葉があまり落ちないといいのですが...
なお、紅葉の時期は駐車場・登山道ともに混雑しますので、登山の際は余裕のある計画をお願いします。
▲狭い岩場の道が多く、渋滞になることも。
▲(左図)那須ロープウェイは8:00時点(始発30分前)で建物の外まで列が伸びていました。
(右図)峠の茶屋駐車場は8:15時点で満車。満車の際は大丸の駐車場をご利用ください。
●山の紅葉が終わっても...
那須地域の紅葉シーズンはまだまだ続きます。
紅葉前線が那須連山から麓に向かって下りてくると、那須平成の森でも紅葉が楽しめます!
オススメは駒止の滝。
那須平成の森のスタッフによると、今年の駒止の滝の紅葉のピークは10月20日以降になるのではないかとのこと。待ち遠しいですね。
▲駒止の滝の紅葉(2019年10月27日撮影、那須平成の森提供)