ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年1月 8日

3件の記事があります。

2021年01月08日アクティブレンジャー写真展、3国立公園合同で開催中です!

富士箱根伊豆国立公園 小西 美緒

明けましておめでとうございます。富士五湖の小西です。
2020年は世界的に大変な1年でしたが、2021年は全ての人にとって明るい1年になりますように。

先月までの富士山は雪が少なく黒々としていて、あまり冬らしい姿ではありませんでしたが(気温は十分すぎるほど寒かったです!)、ようやく年末の雪でいつもの姿になりました。やはり雪のついた富士山は美しいですね。

黒々とした富士山(2020年12月27日)       ようやく冬らしい装いに(2020年12月31日)*

(*インターネット自然研究所(富士山北麓フラックス観測サイト)映像を使用)

さて、アクティブレンジャー写真展開催のお知らせです。

下記の通り絶賛開催中です。

<開催期間>2021年1月7日 ~ 1月28日 11:00~20:00/土・日・祝日~19:00(火曜 定休)
<場  所>OUTING PRODUCTS ELK(山梨県甲府市徳行4-13-9)
 写真展の詳細についてはこちら

ELKでの写真展の様子

通常、写真展は関東地方環境事務所管内の13事務所がそれぞれ主催して1年かけて巡回していますが、今回は奥多摩、南アルプス、富士五湖の3事務所合同での開催です!

共通点は何かわかりますか?

ヒントは、、、、、「桃」「ぶどう」「ワイン」

3国立公園の位置図(これもヒントです)

答えは「山梨県です」!

秩父多摩甲斐国立公園、南アルプス国立公園、富士箱根伊豆国立公園は国立公園の一部が山梨県内に位置しているんです。

3事務所合同開催のきっかけは、今回の開催会場である甲府市内のアウトドアショップ「OUTING PRODUCTS ELK」さんが、環境省の「国立・国定公園への誘客の推進事業費及び国立・国定公園、温泉地でのワーケーションの推進事業費補助金」を活用して3国立公園を拠点とした事業を実施されることになったことでした。

せっかく山梨県内の3国立公園をPRしてくださるのであれば、我々環境省も3事務所合同でやってみてはどうかということで、初の試みとして実施することとなりました!

通常の業務は、どうしても国立公園単位になってしまいがちなので、こうやって公園の垣根を越えた試みをできたことは大きな収穫です。

今回は写真にプラスして、3国立公園の特別展示も行っています。

奥多摩、南アルプス、富士五湖事務所の特別展示

2枚の写真だけでは伝えきれない現場アクティブレンジャーのお気に入りの場所や生きもの、文化、また抱える問題点など、それぞれ3名のアクティブレンジャーが普段「知ってもらいたい!」と思っていることを形にしてみました。

展示物作成中も他公園の知らなかった情報はワクワクしました

各アクティブレンジャーの「見て欲しい!伝えたい!」ポイントは、、、、、、

【奥多摩自然保護官事務所:小林アクティブレンジャー】



秩父多摩甲斐国立公園は東京都・埼玉県・山梨県・長野県で構成されている、全国で5番目に大きい国立公園です。稜線を歩くと県境で植生が明らかに違っていたり、公園の代名詞と言える渓谷も、地質の違いにより西側はなめらか、東側はごつごつ、と表情が全然違います。そんな"違い"を知って「行きたい!」と思っていただければ幸いです。

【南アルプス自然保護官事務所:本堂アクティブレンジャー】



南アルプス国立公園は3,000m級の山々が連なる山岳公園です。登山をしなければ足を運ぶことができない場所が多いですが、この写真展を通して、南アルプスの豊かな自然や希少な生きもの、地質や信仰文化を知っていただき、南アルプスに興味を持っていただけると嬉しいです。

【富士五湖管理官事務所:小西アクティブレンジャー】



富士山は素晴らしい山です。ただ、多くの人が訪れる富士山だからこそ抱える問題もあります。普段の写真展ではなかなか伝えられない負の部分もお伝えすることで、一人一人が「日本の宝」をどうしていきたいか、そして守っていくために「できること」を考えるきっかけになると嬉しいです。

*写真展のアンケートにご記入いただいた方にはノベルティをお渡ししています!(かなりレアなノベルティも!)

この他にもエコバッグ、カレンダーもあります!(数に限りがあります)

そして今回はさらにELKさんからのお声がけでトークイベントを実施することとなりました。日本のトレイルランナーの第一人者である山本健一氏と環境省レンジャーが「山梨の国立公園」について語ります!

コロナ禍ですので、対策を万全にした上でごく少数にて開催します。(状況によっては中止する場合もございます)

日時 :1月28日(木)19~20時
場所 :OUTING PRODUCTS ELK(山梨県甲府市徳行4-13-9)
定員 :15名(山梨県在住者のみ)
申込 :ELK店頭、電話055-222-1991、 メール elk@elkinc.co.jp 
HP  :https://www.elkinc.co.jp/

詳細については、主催であるOUTING PRODUCTS ELKにお問合せください。

コロナ禍で外出も簡単ではない状況ではありますが、お近くにお越しの際はぜひELKに足をお運びください。
(緊急事態宣言対象地域の皆さまは、宣言に則ったご対応をお願いいたします)

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2021年01月08日大自然の満喫にイイ バイク「環境配慮型ツアーの実証実験」

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

明けましておめでとうございます。年越しの瞬間には地球から離れていた齋田です。

年越しジャンプは小学生の頃から続けているのですが、やめるタイミングがわかりません。

さて、みなさんは2021年のお正月をいかがお過ごしでしたか?

コロナ禍でのお正月ということもあり、身体が重たく感じてしまった方も多いのではないかと思います。

今回の日記では、そんな運動不足の解消におすすめしたい伊豆半島の新しい楽しみ方について、その実証実験の様子をご紹介します。

■電動アシスト付きスポーツ自転車E-BIKEを使ったガイドツアー

コロナ禍における環境省の支援事業の一つである「令和2年度 国立・国定公園への誘客・推進事業」に採択された『E-BIKEを活用した環境配慮型少人数ツアー(通称)』の実証実験が伊豆半島最南端の南伊豆町にて行われました。

◎支援事業の詳細はこちら:http://www.env.go.jp/nature/np/ryokakuzei00/index.html

こちらはツアー出発前の様子。自転車の専門的知識を有したガイドより、E-BIKEの特性や電動アシストの操作方法等、安全に走行するために必要な知識についてレクチャーを受けました。

自転車初心者の私を含め、観光関係者やジオガイドを中心としたモニター参加者の多くはE-BIKEに初めて乗車する方がほとんどで、みなさん緊張した面持ちでガイドの説明に耳を傾けます。

【出発前の様子 石廊崎オーシャンパークにて】

こちらの日記を見ているみなさんの中にも、E-BIKEを知らない・乗ったことがないという方が多いと思うので、この自転車について簡単にご説明します。

E-BIKEとは、スポーツバイク型の電動アシスト付き自転車の総称であり、一般的なシティサイクル(ママチャリ)型のそれよりもスポーティーにサイクリングを楽しむことができる自転車として注目されています。

実証実験にて使用したクロスバイク型の自転車では、一度の充電で最大100km程度の走行が可能であり、伊豆半島の海岸沿いを周遊するには十分なスペックでした。これならどこへだって行けそうですね!

一通りのレクチャーを受けた後は、石廊崎オーシャンパークを順調に出発し、海沿いを快走しながらジオスポットや観光名所として知られる弓ヶ浜海岸や中木海岸等を巡りました。

E-BIKEでゆっくりと走っていくと、普段は自動車で通過している見慣れた道も新鮮に感じられました。

そして、なんと言っても、ぽかぽかとした冬の柔らかい日差しの下でのサイクリングは最高でした!

コースの経由地点に設定されているジオスポットでは、現地の自然に精通したガイドによる解説が行われ、地形の成り立ちや人々の暮らしとの関わりについて学ぶことができます。

写真は弓ヶ浜にて海岸線の変遷について解説している様子です。図や写真、実際の景色を用いた説明はとても分かりやすく、伊豆半島の自然の素晴らしさについて再認識することができました。

【ガイドによる解説 弓ヶ浜海岸駐車場にて】

さて、気になるジオスポットの景色ですが、こちらはまた後日に写真を交えてご紹介できればと思います。

伊豆半島ジオパークや富士箱根伊豆国立公園の伊豆半島地域には素晴らしいスポットがたくさんありますので、どうぞご期待下さい。

今回の実証実験では、伊豆半島の豊かな自然を満喫しながら安全にコースをまわることができました。

坂道の多い伊豆半島においては、電動アシスト付きのE-BIKEが大活躍。自転車初心者の私でも景色や磯風を楽しみながら難なく走行することができ、とても良い勉強になりました。

近い将来には、E-BIKE等の自転車を活用したツアーが国立公園利用の新しい形態の一つとなることでしょう。

外出や旅行に大きな制限が生じている時期ではありますが、これを機に、環境配慮型少人数ツアーによってサステナイブルツーリズムが普及することを願っています。

※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、旅行を計画されている方は、各自治体のガイドライン等によく目を通し、最新の情報についてこまめに確認を行いましょう。

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2021年01月08日雪が降る日のトキたちは

佐渡 菅野萌

皆さんこんにちは。

佐渡自然保護官事務所の菅野です。

この冬は昨年と比べて雪が降る日がとても多く、東京生まれの私にとっては雪景色が見られるこの日常がとても新鮮に感じられます。

そんな中、初めて雪の中での野生下トキのモニタリングを経験しました。

行く先々の道が真っ白で、車を滑らせたり、側溝に落とさないよう慎重に運転しなければならず大変でしたが、いつもと違ったトキの様子を見ることができました。

今回は、雪の日のトキの様子を紹介します!

雪の日でもトキはエサを探しにねぐらから飛び立ちました。私は毎朝布団の中から出るのに時間がかかってしまうので、寒い中飛び立っていくトキを見て感心してしまいました。

▲左の写真のトキは羽にマーカーがついているので去年の秋に放鳥されたトキです

写真ではなかなか伝わりにくいのですが、この写真を撮った日は雪に加えて風もかなり強い日でした。

ねぐらから飛び立ったものの、向かい風が強すぎて全く前へ進めていないトキたちをみて、つい小声で「頑張ってー!」とエールを送ってしまいました。

ねぐら出が終わった後にエサ場でトキを探してみると、凍った水田の横にたたずむトキが1羽・・・

畦に立ち尽くす姿から「凍っている・・・どうしょう・・・」という声が聞こえてくるような気がしました。

▲あれれ・・・いつもと違う・・・

さて、トキたちは一体どこでエサを食べているのでしょうか。

もう少し探してみると・・・トキが2羽いました!さかんに嘴で地面をつついています。

どうやら足下近くに水路があるようです。

多くのエサ場が凍りついてしまうなか、水の流れがある場所は凍っておらず、トキたちの貴重なエサ場になっているのです。

この他にも、トキがよく利用する場所として「江(え)」があります。

「江」は水田や水路に設けられた深みのことで、ここも凍りにくいのでトキにとって大切なエサ場になっています。

▲トキが江を利用している様子です

この「江」は、夏場に水田の中干しをする際に生きものの避難場所にもなります。

佐渡では「生きものを育む農法」として江を設置したり、冬の間も生きものが生息できるように田んぼに水を張っておく「冬期湛水(とうきたんすい)」を行ったりと、生物多様性に配慮した取組みが続けられています。

雪の多い冬はどの生きものにとっても厳しい時期ですが、その中でも懸命に生きているトキの姿を見て、野生生物のたくましさを改めて感じました。

どうか無事にこの冬を乗り切ってほしいと願うばかりです。

▲おまけ 強風にあおられて、頭のうしろの冠羽(かんう)が逆立っています

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