ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年1月

13件の記事があります。

2021年01月08日大自然の満喫にイイ バイク「環境配慮型ツアーの実証実験」

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

明けましておめでとうございます。年越しの瞬間には地球から離れていた齋田です。

年越しジャンプは小学生の頃から続けているのですが、やめるタイミングがわかりません。

さて、みなさんは2021年のお正月をいかがお過ごしでしたか?

コロナ禍でのお正月ということもあり、身体が重たく感じてしまった方も多いのではないかと思います。

今回の日記では、そんな運動不足の解消におすすめしたい伊豆半島の新しい楽しみ方について、その実証実験の様子をご紹介します。

■電動アシスト付きスポーツ自転車E-BIKEを使ったガイドツアー

コロナ禍における環境省の支援事業の一つである「令和2年度 国立・国定公園への誘客・推進事業」に採択された『E-BIKEを活用した環境配慮型少人数ツアー(通称)』の実証実験が伊豆半島最南端の南伊豆町にて行われました。

◎支援事業の詳細はこちら:http://www.env.go.jp/nature/np/ryokakuzei00/index.html

こちらはツアー出発前の様子。自転車の専門的知識を有したガイドより、E-BIKEの特性や電動アシストの操作方法等、安全に走行するために必要な知識についてレクチャーを受けました。

自転車初心者の私を含め、観光関係者やジオガイドを中心としたモニター参加者の多くはE-BIKEに初めて乗車する方がほとんどで、みなさん緊張した面持ちでガイドの説明に耳を傾けます。

【出発前の様子 石廊崎オーシャンパークにて】

こちらの日記を見ているみなさんの中にも、E-BIKEを知らない・乗ったことがないという方が多いと思うので、この自転車について簡単にご説明します。

E-BIKEとは、スポーツバイク型の電動アシスト付き自転車の総称であり、一般的なシティサイクル(ママチャリ)型のそれよりもスポーティーにサイクリングを楽しむことができる自転車として注目されています。

実証実験にて使用したクロスバイク型の自転車では、一度の充電で最大100km程度の走行が可能であり、伊豆半島の海岸沿いを周遊するには十分なスペックでした。これならどこへだって行けそうですね!

一通りのレクチャーを受けた後は、石廊崎オーシャンパークを順調に出発し、海沿いを快走しながらジオスポットや観光名所として知られる弓ヶ浜海岸や中木海岸等を巡りました。

E-BIKEでゆっくりと走っていくと、普段は自動車で通過している見慣れた道も新鮮に感じられました。

そして、なんと言っても、ぽかぽかとした冬の柔らかい日差しの下でのサイクリングは最高でした!

コースの経由地点に設定されているジオスポットでは、現地の自然に精通したガイドによる解説が行われ、地形の成り立ちや人々の暮らしとの関わりについて学ぶことができます。

写真は弓ヶ浜にて海岸線の変遷について解説している様子です。図や写真、実際の景色を用いた説明はとても分かりやすく、伊豆半島の自然の素晴らしさについて再認識することができました。

【ガイドによる解説 弓ヶ浜海岸駐車場にて】

さて、気になるジオスポットの景色ですが、こちらはまた後日に写真を交えてご紹介できればと思います。

伊豆半島ジオパークや富士箱根伊豆国立公園の伊豆半島地域には素晴らしいスポットがたくさんありますので、どうぞご期待下さい。

今回の実証実験では、伊豆半島の豊かな自然を満喫しながら安全にコースをまわることができました。

坂道の多い伊豆半島においては、電動アシスト付きのE-BIKEが大活躍。自転車初心者の私でも景色や磯風を楽しみながら難なく走行することができ、とても良い勉強になりました。

近い将来には、E-BIKE等の自転車を活用したツアーが国立公園利用の新しい形態の一つとなることでしょう。

外出や旅行に大きな制限が生じている時期ではありますが、これを機に、環境配慮型少人数ツアーによってサステナイブルツーリズムが普及することを願っています。

※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、旅行を計画されている方は、各自治体のガイドライン等によく目を通し、最新の情報についてこまめに確認を行いましょう。

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2021年01月08日雪が降る日のトキたちは

佐渡 菅野萌

皆さんこんにちは。

佐渡自然保護官事務所の菅野です。

この冬は昨年と比べて雪が降る日がとても多く、東京生まれの私にとっては雪景色が見られるこの日常がとても新鮮に感じられます。

そんな中、初めて雪の中での野生下トキのモニタリングを経験しました。

行く先々の道が真っ白で、車を滑らせたり、側溝に落とさないよう慎重に運転しなければならず大変でしたが、いつもと違ったトキの様子を見ることができました。

今回は、雪の日のトキの様子を紹介します!

雪の日でもトキはエサを探しにねぐらから飛び立ちました。私は毎朝布団の中から出るのに時間がかかってしまうので、寒い中飛び立っていくトキを見て感心してしまいました。

▲左の写真のトキは羽にマーカーがついているので去年の秋に放鳥されたトキです

写真ではなかなか伝わりにくいのですが、この写真を撮った日は雪に加えて風もかなり強い日でした。

ねぐらから飛び立ったものの、向かい風が強すぎて全く前へ進めていないトキたちをみて、つい小声で「頑張ってー!」とエールを送ってしまいました。

ねぐら出が終わった後にエサ場でトキを探してみると、凍った水田の横にたたずむトキが1羽・・・

畦に立ち尽くす姿から「凍っている・・・どうしょう・・・」という声が聞こえてくるような気がしました。

▲あれれ・・・いつもと違う・・・

さて、トキたちは一体どこでエサを食べているのでしょうか。

もう少し探してみると・・・トキが2羽いました!さかんに嘴で地面をつついています。

どうやら足下近くに水路があるようです。

多くのエサ場が凍りついてしまうなか、水の流れがある場所は凍っておらず、トキたちの貴重なエサ場になっているのです。

この他にも、トキがよく利用する場所として「江(え)」があります。

「江」は水田や水路に設けられた深みのことで、ここも凍りにくいのでトキにとって大切なエサ場になっています。

▲トキが江を利用している様子です

この「江」は、夏場に水田の中干しをする際に生きものの避難場所にもなります。

佐渡では「生きものを育む農法」として江を設置したり、冬の間も生きものが生息できるように田んぼに水を張っておく「冬期湛水(とうきたんすい)」を行ったりと、生物多様性に配慮した取組みが続けられています。

雪の多い冬はどの生きものにとっても厳しい時期ですが、その中でも懸命に生きているトキの姿を見て、野生生物のたくましさを改めて感じました。

どうか無事にこの冬を乗り切ってほしいと願うばかりです。

▲おまけ 強風にあおられて、頭のうしろの冠羽(かんう)が逆立っています

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2021年01月05日南アルプスで見られる「丑」さん

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、あけましておめでとうございます。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。本年もどうぞ、よろしくお願いします。

今年は丑年!!丑といえば・・・ニホンカモシカ(以下、カモシカ)!


¨え、カモシカはシカじゃないの?¨と思われた方もいらっしゃるかと思います。名前にシカとありますが、カモシカとニホンジカではなにが違うのでしょう。そこで!カモシカとニホンジカの違いをまとめてみました。

見比べてみると、違う部分がたくさんありますね。

カモシカは日本固有種としての学術的価値から、1934年(昭和9年)、天然記念物に、1955年(昭和30年)特別天然記念物に指定されました。山梨県、長野県、静岡県で成る南アルプス地域では1980年(昭和55年)にカモシカ保護地域に指定されており、希少な地域個体群として、生息状況と生息環境のモニタリングなどが行われています。

全国的にも、南アルプス地域でも大切にされているカモシカですが、農作物及び幼齢造林木への被害が目立つようになり、1979年(昭和54年)にカモシカ保護管理方針の大幅な改正により、長野県、静岡県など限られた地域での捕獲が認められるようになりました。捕獲するにあたり、長野県や静岡県では特定鳥獣管理計画が策定されています。自然の中で生きる動物とのバランスを保つのは簡単なことではありませんが、よい方向に、よりよい方法を見つけていきたいですね。

南アルプス自然保護官事務所ではニホンジカ動向調査のために自動撮影カメラを設置しています。ニホンジカ以外にもツキノワグマやノウサギなどが撮影され、カモシカも写っています。

どアップで写っている子もいれば、どこか遠くを見ている子。右下は事務所がある南アルプス市芦安地域で見られたカモシカです。

みなさんは今年の目標、決まっていますか?わたしの今年の密かな目標の1つとして、「カモシカをたくさん見つけること」です・・・♪

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