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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年2月24日

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2021年02月24日【那須】冬、夜、森を歩く

日光国立公園 那須 菅野敬雅

 みなさんこんにちは!

 日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

 先日、那須平成の森にて地元の宿泊施設の方等を対象とした『星空観望会とナイトスノーシューハイキング』のモニターツアーが行われました。

 私も記録兼補助係として参加してまいりましたので、その様子をお届けしたいと思います。

■星空観望会

 はじめに、ウッドデッキで星空観望。

 今回はイヤフォンガイドを用いたレクチャーが試みられました。那須平成の森のインタープリター(自然と人との橋渡し役のこと)による星空のお話が、送信機を通して参加者が装着するイヤフォンに届きます。

▲イヤフォン装着状況

▲当日の星空。オリオン座も写っています(クリックで拡大)

 天候に恵まれ、上空には満点の星空が広がっていました(写真で表現しきれず心苦しいですが...)。耳元から聞こえるインタープリターの穏やかな語り口に、参加者も集中して聞き入っているようでした。

■ナイトスノーシュー

 つづいて、真っ暗な森の中をスノーシューで散策します。

▲はじめに明るい館内でスノーシューの履き方を教わります。

 外でスノーシューを履き、明かりをつけずに雪の積もった森の歩道を歩いていきます。カメラで撮影してもただ真っ黒な写真が撮れるだけでしたが、暗闇に段々と慣れてくるにつれ、「明るい雪」に対して「暗い樹木」というように、明暗差で周囲の様子がわかるようになってきました。動物の目はよくできていますね。そして何より、見上げると木々の影から覗く星空が一段ときれいでした。星が瞬くとはこのことか、と実感させられます。

 視覚情報が減ったことで、他の感覚が鋭くなることも感じられました。暗闇の中、足元に雪があることだけは見てわかりますが、スノーシューで踏んでみて初めて「今日はさらさらした雪質なんだな」と足裏から感じ取れ、触覚が鋭くなっていることにはっとさせられました。

 散策するだけでなく、ろうそくを使った視覚の実験や一人で森の中を過ごすソロ体験を通して、冬の夜の森をたっぷり体感することができました。終わった後に参加者のお話を聞くと、「森に棲む動物たちに思いを馳せられた」、「途中ぶわっと強く吹いた風が木々の上空を通り過ぎていくのが感じられた」、「ほかの参加者の人影がまるで"雪男"のように見えた」など、実に様々な感想があったことが印象的で、人それぞれに異なる感性が刺激されたようでした。

▲散策から帰ってきました。フィールドセンターの明かりが目に入ったとき、大きな安心感を抱きました。自然への"おそれ"を感じられることも夜のプログラムの魅力かもしれません。

■お茶とお菓子のおもてなし

 散策から戻りフィールドセンターに入った途端、館内に充満する香ばしいコーヒーの香りが身体の中にすーっと入ってきました。プログラムの最後には、国際バリスタによる淹れたてのコーヒーと那須町のパティシエによるスイーツが振舞われました。寒い外気で冷やされた体によく沁みます。どうやら嗅覚と味覚も鋭くなっていたようです。

 

▲淹れたての熱々のコーヒーのふるまい

 五感が刺激される大満足の体験でした。参加者の方々からもご好評をいただきました!

 今回のモニターツアーを踏まえ、来年度以降の本格的な実施に向けて準備が進められます。また、那須平成の森では通常のナイトスノーシュープログラムもありますので、みなさんもぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。

●那須平成の森HP●

https://nasuheisei-f.jp/

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