ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年03月15日尾瀬新ビジターセンターの除雪作業

尾瀬国立公園 檜枝岐 前川公彦

みなさん、こんにちは。

檜枝岐自然保護官事務所の前川です。

先日、初めて尾瀬沼に行き、新設なったビジターセンター(開所式は7月の予定)での雪下ろし作業を視察しました。

檜枝岐村から尾瀬沼の入り口である沼山峠までは雪上車で移動しました。関係者8人が檜枝岐村の外れにあるミニ尾瀬公園駐車場に集合し、ここから先は除雪されていない国道を進みました。初めて乗る雪上車は絶えずキャタピラーの振動が伝わり、乗り心地が良いとは言えませんが、どんな雪道でも進めるという安心感がありました。途中、カモシカが道路を横切り、少し上がった所からじっと見下ろしていました。カモシカをみるのは初めてですが、案外人を怖がらないなという印象でした。以前、同じ雪上車でこの道を行くのに3時間もかかることがあったそうですが、今回は雪が締まっていたせいか1時間弱で沼山峠駐車場に到着しました。

ミニ尾瀬公園駐車場にて、出発前の準備中

     ミニ尾瀬公園駐車場にて、出発前の準備中

沼山峠駐車場で各人、スキーやスノーシューをはいて出発しました。歩き始めは登りですが、すぐに峠に到着し、そこからは下りとなりました。峠から大江湿原にはそのまま下っていきますが、スキーチームは右側に迂回しながら緩斜面を下りました。大江湿原に入ると平坦な雪原が広がっており、尾瀬沼もすぐそこでした。開放感に包まれ、尾瀬に来た喜びを実感しました。大江湿原を横切って沼に近づくと左手にいくつかの建物が見えてきました。最初に出会うのは長蔵小屋。尾瀬の自然に魅せられて、尾瀬に移り住み、その後は自然保護の大切さを強く訴えた平野長蔵さんのひ孫さんが経営されています。

雪の大江湿原を行く

     雪の大江湿原を行く

長蔵小屋の隣に立つのが新旧の尾瀬沼ビジターセンターです。積雪の状況から、今回は新ビジターセンターの屋根の雪下ろしをすることになりました。地上からの積雪は3m位ありましたが、屋根の上にも2mは積もっているように見えました。屋根の雪はまるでキノコの傘のように新ビジターセンターの屋根に覆いかぶさっていました。建物の周りは雪が少なく、屋根の雪は雪庇となっているので、下から近づくのは危険な状態でした。

新ビジターセンターの屋根に積もった雪の状態

     新ビジターセンターの屋根に積もった雪の状態

ワイヤーソーを用いて端から徐々に切断しながら、屋根の雪を下ろすことになりました。ワイヤーソーといっても、ここでは30㎝程度の間隔でインシュロックを固定(ノコギリの歯の役割を果たします)した30mくらいの化学繊維のロープを用いて、切りたい雪の両側からロープをノコギリのように動かして切断を行いました。大変力のいる作業で、ロープの両側2人ずつで作業を行いました。

ワイヤーソーを屋根の雪の上に回して作業開始

     ワイヤーソーを屋根の雪の上に回して作業開始

両側からワイヤーソーを互いに引き合うこと数分間、引き手の体力も限界に近づいてきた頃、突然屋根の雪が切断され、落下しました。数m離れて撮影していた私にもすごい風圧で飛び散った雪の断片が吹き飛ばされてきました。雪崩の風圧はすごいと聞いたことがありましたが、こんな小規模な雪の落下でもあれほどの風圧を感じたので、本格的な雪崩ではどれほどのものになるのか想像もつきませんでした。

積雪の一部をワーヤーソーで切断したあとの状態

     積雪の一部をワーヤーソーで切断したあとの状態

写真を見ていただくとお分かりになると思いますが、1回の作業で切断できる雪の量は全体からみるとほんのわずかです。これから4日間にわたり新ビジターセンターの雪下ろし作業が続きます。私たちは積雪状況や作業手順の確認を行ったので帰途につきましたが、残る方は旧ビジターセンターに泊まり込みで雪下ろし作業をします。これから帰途につくという時、尾瀬沼の上にも青空が広がり、その向こうには東北地方最高峰の燧ヶ岳がくっきりとその姿を見せてくれました。いよいよこれから尾瀬の春が訪れかと思うと、早くこの尾瀬沼を再訪したい気持ちでいっぱいになりました。

尾瀬沼の向こうに姿を現した燧ヶ岳

     尾瀬沼の向こうに姿を現した燧ヶ岳

次回は尾瀬沼の初春について報告の予定です。

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