ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年4月27日

4件の記事があります。

2021年04月27日【小笠原】小笠原の生態系を守るために

小笠原国立公園 坂田彩

みなさんこんにちは。

小笠原の坂田です♪

だんだん日差しが強くなり、海に入りたい!!と思う季節が早くも訪れています。

【△昨年天気の良い日によく泳いでいた大村海岸(前浜)】

小笠原には通常一般の方が立ち入らない無人島が数多くあります。

その中でも兄島は、今も多くの固有の動植物が生息する小笠原固有種の宝庫です。

そのため、その生態系を守る活動が盛んな場所でもあり、そこには日々動植物の調査や、外来種の対策等、小笠原の固有種を守るために働いている方たちがいます。

【左上:コヘラナレン 右上:ヒメカタゾウムシ】

【左下:オガサワラハンミョウ 右下:アニジマカタマイマイ】

彼らの仕事場は無人島!!

無人島は救急車がすぐに来られる場所ではないので、安全面に関する配慮が必要です。

また、島に入る際には外来種を持ち込まないように、島内では在来種への様々な配慮も大切です。

今回は、無人島で働く方々を対象に定期的に実施されている、安全管理・環境配慮講習に参加してきました。

今年も去年に引き続き、コロナ対策や現場での実践を意識して実際に兄島での講習です。

【△出発前の全体ミーティングの様子】

【△ロープ場では前後の人が安全確認!!】

【△途中の台地上で解説中】

途中で固有の生き物の解説なども交えながら、実際に島内のルートを歩き、現場でどのようなことに配慮・注意が必要か確認していきます。

普段から様々な業務で無人島へ入っていく私たち。

日々実施している環境配慮や安全管理も、改めて確認することはとても大切なことですね。

"一人一人の意識や行動がこの固有種の宝庫を守ることにつながっている"

このことを忘れずに行動していきたいと思います。

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2021年04月27日仙石原湿原のニホンジカ対策

富士箱根伊豆国立公園 箱根 高木俊哉

AR日記をご覧の皆さま、こんにちは。

箱根事務所の高木です。

最近は暖かい日が続いています。

動物達もすでに活動を始めていますが、事務所の周りではこんな光景が広がっています。

このめちゃめちゃに掘り返したような跡はイノシシでしょう。

穴の深さは30cm以上もあり、他には木の根が浮いていたり歩道に土が溢れ出たりしている箇所もありました。

ビジターセンターも隣接していて昼間は人の営みがあるこの場所でも、こんなにも色濃く痕跡があることを考えると少し怖く感じます(ビジターセンターではイノシシとの遭遇に対して注意喚起を行っています)。

さて、動物の問題と言えば、箱根地域では仙石原湿原を守るために植生保護柵が設置されています。

シカなどによる採食や踏みつけによって、トキソウやモウセンゴケなど希少な湿原性植物を絶やしてしまわない様に、湿原を管理するための金網が仙石原の植生保護柵=シカ柵なのです。

現在は一部区間で未設置となっていますが、今後は柵を増設して湿原を一周させ完全に内部への侵入を防ぐものとする計画になっています。

このシカ柵の点検と補修を先日実施しましたので、ここでお話をさせて頂きます。

まずは現在のシカ柵の様子から。

支柱を軸として金網のパネルを連結させてあり、また柵下部には(写真では確認できませんが)スカートの様に斜めに張ったスカート部があります(スカート部によって水平面積を増やすことで、シカを寄せ付けにくくするという効果もあるようです)。

▲柵の様子(柵奥側が仙石原湿原内)

写真中央の柵が大きくへこんでしまっています。

これは恐らくシカによるアタック(衝突)が原因と考えられます。

好んでアタックをしているわけでは無いでしょうが、箱根地域で増えつつあるシカも自然の中で移動をするためにこの経路は避けて通れないのかもしれません。

それを裏付ける様に、付近の山と行き来する様子がモニタリング用に設置しているセンサーカメラで撮影されています。

▲仙石原湿原内で撮影されたニホンジカ

こちらは今回の点検で最も破損のひどかった金網を上から撮影した写真です。

衝撃で柵の針金の溶接が外れてしまっています。

1回のアタックでこのようになったわけでは無いと思いますが、その衝撃の大きさを物語っています。

このような破損は、溶接が外れて防護の機能を失った金網の隙間から動物が侵入することに繋がってしまいます。

そのため、今回は新しく溶接ではなく針金をクルクルと回し、撚った様に作られている金網を試験的に設置してみました。効果のほどはまだわかりませんが、柵そのものの破損が少なくなるよう期待をしています。

▲撚って合わされた針金

ところ変わって、南アルプス国立公園内(北岳や仙丈ヶ岳など一部の地域)では、ポリエチレン素材のネットを使用している様です(とは言っても、ステンレス線も編み込まれているので噛みちぎることが出来ない対策を取っています!)。

一口にシカ柵と言っても、設置の方法や素材等色々なものがあり、状況に合わせたシカ柵を作ることが大事だと言えそうです。

(関連記事はこちら:南アルプスとニホンジカ問題 その3

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2021年04月27日春の訪れ 東海自然歩道

富士箱根伊豆国立公園 沼津 刑部美鈴

こんにちは!沼津管理官事務所の刑部です。

今年は全国的に桜の開花が早く、富士山地域でも例年より早く桜が咲きました。あっという間に春が来て終わっていくような感じがしますが、桜が咲いているのを見ると毎年四季のはっきりした国にいることの素晴らしさを感じます。

春は里だけでなく山にも桜にツツジ、新緑と色鮮やかな季節で山に登るのが楽しくなる季節ですね。ふと足下や上を見上げると普段気づかなかった物に目がいく楽しい季節でもあり、花粉がなければ一段と素晴らしい季節だと思います。

【今回ご紹介する東海自然歩道の豆桜】

今回は東海自然歩道と、そこからもアクセスできる竜ヶ岳をご紹介しようと思います。

東海自然歩道とは→http://www.tokai-walk.jp/about.html

東海自然歩道は自然に触れ、貴重な文化財に出会うことを条件に選定された総延長1697.2 kmにも及ぶ長距離自然歩道です。

今回ご紹介する場所は東海自然歩道の一部で山梨県と静岡県の県境に位置している青丸で

囲ってある場所です。

▲資料:東海自然歩道連絡協会公式HPより抜粋 (http://www.tokai-walk.jp/)

所処このような木橋や階段が有り整備された登山道になっていて、アップダウンはほとんどありません。

景色を見ながら歩く、というよりは林の中を歩くといった方がイメージに近く森林浴を楽しめます。

▲所処新芽が出ており春を感じました

東海自然歩道から外れ、端足峠に向かい登山道を上がっていくと竜ヶ岳につきます。

竜ヶ岳は1485mの静岡県と山梨県の県境にある山で時期によってはダイヤモンド富士が見られます。途中笹の登山道を上がりますが、端足峠まで上がってしまえば景色を見ながら歩くこともできますし、山頂からの富士山の眺めや南アルプスの眺めは非常に美しいです。

【竜ヶ岳山頂より】

竜ヶ岳は山梨県の本栖湖側からも登山道が有り、そちらからも登ることができます。体力に自信のない方は歩行時間が短くなるので、本栖湖側から上がってみるのもよいかもしれません。

【竜ヶ岳山頂手前より南アルプス】

なかなかコロナの影響で自由に移動することもはばかられるようになっていますが、是非山だけでなく、街で咲く花や通勤路の足下の草花からも春を感じてみてください!

▲カタクリ

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2021年04月27日箱根外輪山ハイキングコース(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

新年度もよろしくお願い致します。

とても良い季節がやってきましたが、4月中旬になって、箱根がある神奈川県では「まん延防止等重点措置」が適用されました。まずは新型コロナウイルス感染症がこれ以上広がらないように、感染症予防対策にご協力下さい。AR日記をご覧の皆さんは、巡視風景の写真にてこの春を感じていただければ幸いです。

今回は、箱根外輪山ハイキングコース【湖尻峠~山伏峠】についてです。

令和元年秋の台風被害で起きた崩落部の補修が完了し、【湖尻峠~山伏峠】間が1年半ぶりに歩けるようになりました。そこで3月下旬、歩道管理の神奈川県自然環境保全センターの方と一緒に、合同巡視を実施しました。

【海ノ平からの富士山 向かって左に南アルプスが見えます】

前半は、箱根外輪山の稜線を歩きながら、富士山を眺められる素晴らしいコースです。左側には南アルプスもうっすら見えています。この南アルプス、箱根の北側にある明神ヶ岳からは、富士山の右側に見えます。業務でよく明神ヶ岳に登る高木ARからは、不思議な眺めだと感想がありました。

足元を見ると、春の花も咲き初めており、とても可愛らしい花々に出会えました。

【ナガバノスミレサイシン】

【ハナネコノメ】

このコースの見所は、富士山と花々だけではありません。

道中、アカガシとブナの林の中を、歩くことが出来ます。

【ブナの巨樹 人と大きさを比べて下さい】

芽吹き間近のブナの巨樹たちが、とても印象に残った巡視になりました。もうすぐ見られる若葉の新緑が、楽しみに感じて仕方がありません。崩落前には「箱根地域親しむ運動」でハイキングコースとして使われていた理由がよく分かりました。

もちろん、崩落部の補修もしっかりと行われていました。

【崩落部を渡る木道が設置されていました】

補修が完了した登山道も使い、箱根峠パーキングから、湖尻水門まで約6時間の道のりを歩くことができます。ただし、いざ歩くとなると、このコースは途中バス等を利用することが出来ないため、ロングコースになります。利用の際には登山靴やしっかりとした山歩きの準備を行う必要がありますので、ご注意下さい。

駐車場は箱根町港の無料パーキングを使うことをおすすめします。箱根峠まではバスで10分の移動時間です。帰りは桃源台駅から海賊船で芦ノ湖クルージングを楽しんで箱根町港に戻ることができます。

「まん延防止等重点措置」が解除された後には、このようなコースで箱根の外輪山に挑戦してみてはいかがでしょう。お休み中にご自宅にて計画を良く練っていただき、準備万端で後日挑戦してみてください。

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