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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

サドガエル

2021年05月25日
佐渡

皆様、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の近藤です。

先日、トキのモニタリングボランティアさんの水田にお邪魔して、「サドガエル」を見せてもらいました。

あぜの草刈りをすると、驚いて草むらから水田に飛び出してきます。

<草刈りするボランティアさんの後ろについて、飛び出すサドガエルを見つけます>



この佐渡の名前を冠する「サドガエル」、いったいどんなカエルなのでしょうか?



<サドガエル 横から>


<サドガエル 前から>


<サドガエル 上から>

サドガエルはツチガエルの仲間で(ツチガエル属)、環境省レッドリストで絶滅危惧IB類※に選定されている新潟県佐渡島の固有種です。アマガエルの喉のように鳴くときに膨らむ鳴嚢(めいのう)を持たず、小さくジージーと機械のような音で鳴きます。サドガエルの学名、Glandirana susurraの「susurra」は、ラテン語で「ささやく」を意味します。ツチガエルに似ていますが、おなか側が濃い黄色をしているのが特徴です。水田やため池などの流れのない水辺に生息し、5月中旬から8月上旬に繁殖します。オタマジャクシのまま冬を越し、翌年に成体になります。近代的農法による水管理や圃場整備、管理放棄による植生遷移の進行などは、サドガエルの生息に大きな影響を与えると考えられています。また、ウシガエルなどの外来種がいるところでサドガエルの確認はなく、ウシガエルが住まない水深の浅い湿地環境が主な生息地となっています。

絶滅危惧IB類:IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの

参考:環境省レッドリスト2018 補遺資料 p22



この日、ボランティアさんの水田では7匹のサドガエルを確認することができました。


うち1匹を捕獲して短時間観察しました。


<サドガエルの特徴、黄色の腹部>

<水田にリリースしたサドガエル>



サドガエルが生息するボランティアさんの水田には、トキもよく飛来します。

<ボランティアさんが農作業するすぐ横で餌を探すトキたち>

佐渡では、一度絶滅したトキを再び佐渡の自然に帰すため、農薬や化学肥料を使わない、または、使う量を減らすなど生きものに配慮した農法が進められ、水田にはサドガエルを含むトキの餌となる多くの生きものが育まれてきました。

参考:佐渡市認証米「朱鷺と暮らす郷」



人の生活を支える自然が守られることで、私たちは自然の恵みを継続していただくことができます。

トキやサドガエルの存在は、生きものと人がともに生きる豊かな里山環境の象徴と言えるのではないでしょうか。

これからも、こうした生きものが生き生きと暮らす佐渡であってほしいと願います。