ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年8月13日

2件の記事があります。

2021年08月13日鳳凰三山にて、新たな取り組み

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

7月中旬に鳳凰三山に設置された防鹿柵設置現場の巡視に行ってきました。南アルプス山域ではニホンジカ対策を関係者で積極的に取り組んでおり、対策の1つとして、防鹿柵が設置されています。環境省では今年度より南アルプスユネスコエコパーク韮崎市地域推進協議会と連携し、新たに鳳凰三山で防鹿柵を設置しました。

防鹿柵は南御室小屋、薬師岳小屋、地蔵ヶ岳直下・賽の河原、鳳凰小屋の4か所に設置されています。¨これまで守ってきた高山植物を引き続き守ろう¨、¨柵を設置して、昔の植生を取り戻そう¨など、それぞれの設置場所で目的や意図は異なりますが、今回の設置が良い傾向に向かうといいな、と思います。

鳳凰三山は「花の百名山」にも選定されており、この時期はさまざまな高山植物が咲きます。


巡視に行った7月中旬はクルマユリ、ヤナギラン(つぼみ)、キソチドリ、テガタチドリ、そして、南アルプス山域固有種のタカネビランジが咲いていました。中でも、オレンジ色が鮮やかなクルマユリがとても印象に残りました。ちょうど今はヤナギランや鳳凰三山の固有種・ホウオウシャジンが咲いているのではないでしょうか♪

今回の巡視はこれまでの防鹿柵設置のガスガスの天気と打って変わって、日差しが眩しい夏らしい巡視になりました。

■鳳凰三山の登山を計画されている方へ

1.今年度、鳳凰三山山域のテント場の営業は南御室小屋のみとなります。(完全予約制)

2.8月23日まで韮崎駅-御座石温泉・青木鉱泉の登山バスは運休しています。(8月13日現在)

3.広河原峠、白鳳峠から入下山される場合、コースタイムやご自身の体力とよく相談してください。

◎各小屋でコロナ対策が異なるため、必ず確認をしてください。

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2021年08月13日伊豆半島で出会える夏の昆虫たち -カワトンボ科編-

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。私が作った竹とんぼだけ上手く飛ばない齋田です。

さて、伊豆半島の夏も後半戦に差し掛かり、国立公園内では多くの動植物が観察できる季節となりました。

山や河川、草原や湿地、どこへ行っても生き物たちと出会うことのできる、自然観察にはもってこいの季節ではありますが、コロナ禍が続くなか泣く泣く外出を自粛している方も多いのではないでしょうか?

そんな生き物好きのみなさんに伊豆半島の夏の雰囲気をお伝えするべく、前回の日記に引き続き、巡視(国立公園を構成する施設の点検や利用状況の把握等を行う業務)の際に見かけた昆虫たちをご紹介します。

まずはこちら、河津七滝から浄蓮の滝を結ぶ踊子歩道で出会った「ミヤマカワトンボ」です。

【ミヤマカワトンボ】

写真ではとても小さく見えてしまいますが、腹長60mm前後と大きく(みなさんが都市部で見かけるハグロトンボは45mm前後)、カワトンボ科の中では世界でも屈指の大きさを誇るトンボです。

後翅の濃い褐色帯や体サイズ等の特徴から、遠目でも識別しやすく、比較的覚えやすい種類かと思います。

富士箱根伊豆国立公園では、山地の樹林に囲まれた渓流を中心に多くのエリアにて観察することができます。

初めて出会う方は、腹部を碧く光らせながら渓流沿いを優雅に飛ぶ姿に思わず見とれてしまうことでしょう。

続いて、こちらも同じく踊子歩道で出会った「アサヒナカワトンボ」です。

【アサヒナカワトンボ(伊豆個体群)】

写真を見て「ニホンカワトンボに見えるけど?アサヒナカワトンボの色とはちょっと違うよなあ」と思ったみなさんは流石です。そこそこのトンボ好きですね。

たしかにニホンカワトンボの橙色翅型に酷似していますが、残念ながら伊豆半島には生息していません。

ちなみに、アサヒナカワトンボとニホンカワトンボの間では両者の中間的特徴を持つ種間雑種が知られていますが、文献によると伊豆(単独生息域)個体群はニホンカワトンボとの雑種由来集団と考えられているようです。

さて、気になる見分け方ですが、アサヒナカワトンボの胸部はニホンカワトンボのそれよりもわずかに小さいらしく、一般的には「頭でっかち(頭部が相対的に大きく見える)がアサヒナ」と言われています。トンボ屋の友人に貰った様々な写真を見比べましたが、私はあまりピンときませんでした。

富士箱根伊豆国立公園では、踊子歩道や伊豆山稜線歩道等の渓流や細流にて観察することができます。

今回は、夏の季節に富士箱根伊豆国立公園にて観察できるカワトンボ科の昆虫のうち、代表的な2種について紹介しました。

先週よりまん延防止等重点措置の実施区域が拡大され、地域によっては一層の外出自粛が呼びかけられていますが、この日記を通じて少しでも伊豆半島の夏を感じて頂ければうれしく思います。

次回も伊豆半島で出会った昆虫たちを紹介します!虫好きの方もそうでない方もお楽しみに!

※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、各自治体のガイドライン等によく目を通し、責任ある行動を心掛けましょう。

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