ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年10月11日

2件の記事があります。

2021年10月11日第25回放鳥 ー順化訓練を経て、いざ大空へー

佐渡 右田京子

皆様、はじめまして!
佐渡自然保護官事務所に9月よりアクティブ・レンジャーとして着任しました右田 京子(みぎた きょうこ)と申します。素晴らしい佐渡の魅力やトキの野生復帰に向けた私たちの活動について、少しでも皆様にお伝えできるよう、業務に励みたいと思います。これから、どうぞよろしくお願いします。

早速ですが、第25回トキ放鳥が行われましたので、その様子についてお伝えします。

9月17日に佐渡市野浦地区にて5羽を放鳥し、9月28日~29日に佐渡市新穂地区にある野生復帰ステーションの順化ケージより9羽の放鳥を行いました。

【9月17日 佐渡市野浦地区での放鳥の様子】

▲トキの生息環境整備に取り組む野浦地区の住民の皆さんと一緒に放鳥しました。当日は小雨まじりの曇り空でしたが、放鳥の際はぴたりと雨もやみ、5羽のトキたちは一斉に飛び立って行きました。放鳥場所上空を旋回したのち、山側の谷へ。

【9月28日~29日 野生復帰ステーション順化ケージからの放鳥の様子】

                     

▲順化ケージの放鳥口付近に集まってきて・・・  飛び立ちました!

初日は9時に放鳥口を解放したもののなかなか動きはなく、夕方やっと1羽が飛び立ちました。2日目は6時に放鳥口を解放し、7時半頃に7羽が一斉に飛び立ちました。残り1羽も放鳥口の外の池に歩いて出て採餌をしばらく続けた後、14時半頃に無事に飛び立ちました。

これから新しい世界で生活をしていくトキたちと自分を重ね、「頑張れよ-!」という思いもひとしおです。

さて放鳥前のトキたちが、どのように過ごしているかご存じでしょうか?

いきなり野外での生活は難しいので放鳥前は3か月間、採餌・飛翔・群れ行動・人への慣れなどの順化訓練を行います。

今回は、トキが訓練を行っていた順化ケージの環境の一部を紹介したいと思います。

【トキたちが訓練していた順化ケージ】

▲順化ケージ内部(奥行き80m×幅50m×高さ15m)

とても広々としていて、奥に向かって傾斜があります。そして奥側半分は飼育員も立ち入らないトキたちの聖域(草ボウボウの自然のままの状態)になっています。安心できる場所を確保しつつ様々な状況に慣れる訓練ができるように工夫されています。

 

▲トキたちの痕跡

いたるところにトキたちの痕跡が残っていました。ちなみに田んぼなどで見られるトキの足跡のそばには、餌を探したクチバシの跡が点々と穴になって残っています。

▲ケージ内の生き物

ケージ内をほんの数分探索しただけで様々な生き物に遭遇しました。

ドジョウなどの給餌も行われていますが、自然の中でこういった生き物を捕って食べる方法も覚えます。

訓練を経て大きく羽ばたいていったトキたち、今後、地域の方々に見守られながらうまく定着してくれることを期待したいと思います。

(参考)トキの放鳥方法

9月17日に佐渡市野浦地区にて箱からトキを放鳥した方法は、ハードリリース方式と呼ばれています。順化訓練後のトキを放鳥場所に移動し、直ちに放鳥する方式で、既存の群れサイズの拡大とトキの分布拡大を促すことを目的としています。

9月28日~29日に野生復帰ステーションの順化ケージからトキを放鳥した方法は、ソフトリリース方式と呼ばれています。

放鳥場所で飼育し、トキが環境に順化したのちに放鳥する方式で、分散を抑制し、放鳥場所周辺での群れ形成を目的としています。

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2021年10月11日【小笠原】ここから次世代へ!!

小笠原国立公園 坂田彩

みなさんこんにちは。小笠原の坂田です。

日中はまだまだ暑さが感じられますが、朝晩は過ごしやすく散歩するのも気持ちよい小笠原です。

△ 散歩で見られた夕焼け

この時期、小笠原の固有種でもあるオガサワラハンミョウは成虫となり、羽化して地上へと出てきます。

△オガサワラハンミョウ

以前は父島にも生息していたオガサワラハンミョウですが、現在は兄島のごく限られた場所でしか見られなくなっています。

そのため、保護増殖事業の一環として、小笠原世界遺産センターでは1年を通してオガサワラハンミョウの飼育を行い、羽化時期である秋に兄島への移殖を行っています。

今回は野生のオガサワラハンミョウをファウンダー(次世代の始祖)として捕獲する為に兄島に行ってきました!!

飼育している個体だけで世代交代が進むと遺伝子が劣化してしまうことがあるので、野生個体群の維持に配慮しつつ、その遺伝子を取り入れることがとても重要です。

兄島では、大きな網を持って体長1cmほどのオガサワラハンミョウを捕獲していきます。

野生のオガサワラハンミョウは動きが素早く、捕まえた!!と思っても逃げられることも・・・。

△オガサワラハンミョウ捕獲中

私たちは運良く、個体を捕獲することが出来ました!!

こんなところで幼少時代に鍛えた虫取り能力が生かされましたね~

△雄雌を識別中

捕獲後は雄雌の識別を行いますが、動きが速すぎて・・・・識別するのも一苦労。

識別が出来たら搬送容器に入れ、移動のストレス軽減のためクーラーボックスへ。

適時空気の入れ換え等行いながら、状態観察しつつ小笠原世界遺産センターまで搬送します。

△搬送途中のオガサワラハンミョウ

この小さな命が次世代を生み出すことを考えると、とてもワクワクしますね!!

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