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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年10月14日

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2021年10月14日防鹿柵の冬支度

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

9月下旬から10月上旬にかけて、環境省事業で行っている仙丈ヶ岳、荒川岳に設置されている防鹿柵の撤去に行ってきました。環境省では、北岳、仙丈ヶ岳、荒川岳に季節型の柵(*)を設置しています。

(*)季節型の柵

杭の中にポールを差し込み、ニホンジカが噛みちぎれない繊維のネットをポールにかけます。積雪量が多く、設置したまま越冬すると雪圧で杭やポールが曲がってしまうので、初夏に立ち上げ作業、秋に撤去作業を行います。

仙丈ヶ岳の作業は南アルプス食害対策協議会のみなさんと行いました。環境省の柵は5か所にありますが、協議会のみなさんのおかげであっという間に撤去ができました。

今年度、劣化したネットを新調したおかげで網目の絡まりがなくなり、かなり見た目が良くなりました!柵の中を見ると、オヤマノリンドウやバイケイソウの実がなっていました。まだまだ¨花の仙丈¨には遠いですが、柵の中だけでも、たくさんの高山植物が見られるようになるといいなと思います。

今回の作業は天候に恵まれ、甲斐駒ヶ岳を横目に作業。


なんて贅沢な時間でしょう。山梨県側はきれいに雲海が広がり、空を見上げるとハロ現象。


見つけたときは、「珍しい現象かな?綺麗~」と心弾ませていましたが、調べてみるとハロ現象が見られるときは、天気下り坂のサインといわれており、低気圧や前線が接近して天気が崩れる前触れと言われているそう・・。案の定、翌日は強風と雨でしたが、ステキな光景が見られたのでヨシとします!!

仙丈ヶ岳から下山し、次の日から荒川岳作業へ移動。

荒川岳作業の3日間は雨に降られることなく、3日間カンカン照り!

荒川岳には西カールに2箇所、前岳南東斜面に1箇所防鹿柵を設置しています。前岳南東斜面の防鹿柵は前岳・中岳分岐から荒川小屋の間に設置されており、登山道を含む大きな防鹿柵です。

傾斜がきつい斜面へ設置していて、落石もあるため、ヘルメットをつけて作業です。西カールの底から柵を見上げると。

こんなに広大で傾斜がある場所で作業しているということを改めて感じました。設置時の作業にすると、斜面いっぱいに広がる高山植物を見ることができ、その光景に毎回感動します。今年も無事にいっぱい花をつけてくれてありがとうと言いたいです。

防鹿柵を設置しても、すぐに植生は戻りません。ですが、設置するかしないかでは大きな差が生まれます。すぐに効果が出るわけではなく、地道な作業ではありますが、続けていくことに意味があると思っています。仙丈ヶ岳はニホンジカの食害を受ける前のお花畑が戻ってきてくれること、荒川岳は後世にもこの素晴らしい景色を残していけるようにと祈りながら、今後の植生復元活動に取り組んでいこうと思います。

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