2022年3月31日
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2022年03月31日佐渡の春
佐渡 右田京子
皆さん、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の右田です。
佐渡にも春がやってきました。
トキが餌を採っていた田んぼの脇に「ミズバショウ」を発見! 調べてみると北海道や日本海側では平地でもみられるそうなのですが、尾瀬のイメージが強く、初夏に高層湿原に咲くものと思っていたので、春先に里地で見られるということに驚きました。
【佐渡の里地に自生しているミズバショウ】
尾瀬のミズバショウの様子は、下記のアクティブ・レンジャー日記で紹介していますので、ぜひご覧下さい。
アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]_ミズバショウの尾瀬 (env.go.jp)
さて、繁殖期を迎えた最近のトキの様子ですが、3月14日に今季初の営巣確認、25日には抱卵が確認されています。繁殖行動が活発になり、モニタリングにも力が入ります。
トキの巣作りは、まず巣の基礎となる枝を運び、造巣後期になってくると、雌の巣材運びが増え、巣材として柔らかい草や藁などを運び始めます。
条件が悪いと途中で巣作りをやめ引っ越してしまうこともあります。
【巣材を運ぶトキ(2021年3月撮影)】
造巣開始から産卵までの期間はペアごとに様々ですが、だいたいのペアは巣が完成に近づくと産卵、抱卵を始めます。(抱卵期や育雛期にも巣材を追加する習性があります)
野外では距離を取って観察しており、巣の中を覗いて卵があるかを確認することができないため、トキの行動を良く観察し抱卵開始を判断しています。
【抱卵するトキ(2022年3月撮影)】
※トキの繁殖に影響を与えないよう、できるだけ離れ、原則として車内から観察、撮影しています。
今年もたくさんのヒナが巣立つことを楽しみにしています。
観察の際は、不用意な行動でトキに影響を与えないよう、細心の注意を払いながら見守っていきたいと思います。
また、トキの繁殖期は観光シーズンとも重なりますので、一般の方にも適切なトキの観察方法がわかるように、リーフレットを配布したり、SNSで発信するなど、普及啓発にも努めています。
【トキの観察方法:「トキのみかた」リーフレットより】
※リーフレットは、トキのテラスやトキの森公園などのトキ関連施設、また一部の宿泊施設等で配布しています。
せっかくなので、野生トキを観察するための5つのマナーをご紹介します。
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①トキに近づかず、静かに見守る
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②観察する時は車内から
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③大きな音や光は出さない
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④繁殖期(2~6月)は巣に近づかない
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⑤地域に迷惑をかけない
ぜひ、佐渡へお越しの際は、「トキのみかた」を参考に、美しいトキの姿や佐渡の素晴らしい自然をご堪能下さい。
あなたも、やさしい見方でトキの味方に!!
前回の降雪から1週間でかなり雪が減りました(3月24日&31日)
(インターネット自然研究所(富士山北麓フラックス観測サイト)映像を使用)
こんにちは。つい最近大雪が降ったかと思えば、上着を脱ぎたくなるくらい暖かい日があったりと、日々気温差が激しい富士五湖ですが、着実に春が近づいてきています。ようやく梅も咲き始めました。
前回に引き続き、2021年度の印象深い活動を振り返ってみたいと思います。
登山道整備&草刈り 【精進パノラマ台周辺】(11月22日・23日)
精進湖と本栖湖の間にある精進パノラマ台周辺で地元の方々と登山道整備と草刈りを実施しました。
ここは富士山と麓の樹海を真正面に望むことのできるスポットです。3~4時間ほどで往復できるので、友人が遊びに来た時もよく連れて来る私の大好きな場所のひとつです。
今回は、無造作に伸びてしまい展望を遮っているススキなどの草刈りと、この精進パノラマ台と同じくらい絶景スポットである中ノ倉峠の展望台を結ぶ登山道の整備を実施しました。
指導役は身延町のシルバーセンターの皆さま。誰よりも元気です!
ガテン系作業大好きな小西です
<草刈り>
草刈り後、久しぶりに開けた眺望を見て、
『アクティブ・レンジャーに着任して初めて訪れた時にここから見て感動した景色はこれだった!』
と思い出しました。
草刈りだけでこれだけ変わるとは想像以上でした。(これに味をしめて、後日別の場所も草刈りをしました)
【Before】背より高くなったススキたち
(あいにくのお天気ですが、正面には富士山が隠れています)
【After】すっきりクッキリです
<登山道>
かなりの急こう配ですべりやすい箇所に周辺にある石や倒木などを使って階段を設置しました
【Before】急な上に、枯れ葉ですべりやすい
【After】数時間の作業で歩きやすくなりました!
国立公園というと「保護」のイメージが強いですが、「利用」も同じくらい重要です(*)。その場所が持っているポテンシャルを引き出し、利用する方々が安全に楽しく心身をリフレッシュできる環境を整えていく作業を地元の方々と協力してできることは、とても意味のあることだと感じています。
*優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的とする(自然公園法 第一条)
参加したみなさんと
新型コロナウィルスでみなさん大変な日々が長く続いていますが、個人的には地元の方やこの地域を想う方々とぐっと近づくことができた有意義な1年だったと感じています。
これからも、力を合わせてこの素晴らしい地域を盛り上げていけたらと思っています。