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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島

49件の記事があります。

2020年10月09日新島の砂浜の色 新島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

先週、事務所の窓の外からモズの声が聞こえてきました。

(モズは秋に入ると一羽ずつの縄張りを持つようになり、縄張りを宣言してさえずります)

モズの声を聞くと、秋がやってきたなあと感じます。

さて、まだ暑かった9月の初め頃、施設の現況確認や写真撮影のため、新島へ行ってきました。

羽伏浦海岸

▲羽伏浦海岸(遠くに見えるのは三宅島)

新島は、東京から約160kmの距離にある伊豆諸島の島です。

東京からの交通は船と飛行機があり、東京竹芝から大型船で8時間30分、高速船で2時間30分、調布飛行場から35分でアクセスできます。

面積は23.87㎢、人口は約2,500人。

観光ではマリンスポーツ、特にサーフィンが盛んです。

上の写真は、島の東側に延びる羽伏浦海岸です。

島の南端まで続く広大な白い砂浜は、他の島にはない景色です。

新島南部の大峰展望台からの景色

▲島の中央東側に伸びる羽伏浦海岸は白色、西側に延びる前浜海岸は緑色、北部の山の向こう側にある若郷前浜海岸は黒色の砂浜(新島南部 大峰展望台からの景色)

新島と言えば、最初に紹介した白い砂浜の景色が有名なのですが、

実は、新島には黒色や緑色の砂浜もあるのです...!

一つの島の中に色の異なる砂浜があるのは、なぜなのでしょうか...?

若郷前浜(黒い砂浜)

▲若郷前浜海岸(黒い砂浜)

前浜海岸(緑の砂浜)

▲前浜海岸(緑の砂浜)緑色と言うよりも灰色に見えるかもしれません。

砂浜の砂をよく見てみると、一色に見える砂の中にも、様々な色の砂粒が入っています。

羽伏浦海岸はガラス質の透明な鉱物(石英)、若郷前浜海岸は黒色の岩石(玄武岩)、前浜海岸は緑色の岩石(変成火山岩)の含まれる割合が大きいそうです。

だから、砂浜全体を見ると、それぞれ白色、黒色、緑色に見えるのですね。

若郷前浜海岸(黒い砂浜)の砂

▲左から羽伏浦海岸(白い砂浜)、若郷前浜海岸(黒い砂浜)、前浜海岸(緑の砂浜)の砂

 (クリックすると、画像を拡大できます!)

これらの鉱物、岩石は、すべて火山に由来しています。

新島は、一つの大きな火山からできた島ではなく、いくつもの火山が次々に噴火して作られた島です。

新島を作った火山の中には、透明な鉱物(石英)を多く噴き出した火山、黒色の岩石(玄武岩)を多く噴き出した火山、緑色の岩石(変成火山岩)を多く噴き出した火山があり、それぞれの火山灰や火山岩が降り積もって地層を作りました。

地層は波に削られて砂粒となり、水流に乗って運ばれていきます。

透明な鉱物(石英)の多い地層から生まれた砂粒は羽伏浦海岸へ、黒色の岩石(玄武岩)の地層から生まれた砂粒は若郷前浜海岸へ、緑色の岩石(変成火山岩)の多い地層から生まれた砂粒は前浜海岸へ・・・。

・・・こうして一つの島の中に色の異なる砂浜ができたのでした。

新島を作った火山が、独特の景色を残してくれたのですね。

新島を訪れたら、ぜひ足下の砂に注目して、新島の成り立ちに思いを馳せてみてください。

【ご注意ください】

伊豆諸島では、自治体ごとに来島のガイドラインを掲げ、島内での感染拡大防止への協力を求めています(2020108日現在)。伊豆諸島へ旅行を計画されている方は、自治体のホームページで来島のガイドラインをよく読み、最新の情報を必ず確認してください。

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2020年08月21日今崎海岸 三宅島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

7月上旬、梅雨の合間を縫って三宅島へ行きました。

気づけば一ヶ月以上経ってしまいましたが、巡視中に撮影した三宅島の景色を紹介したいと思います。

今崎海岸の海食洞

▲今崎海岸

今崎海岸は、三宅島の西側、阿古地区にある、溶岩流でできた海岸です。

写真右側の岬の下に、ぽっかりと穴が空いているのが見えるでしょうか。

長い年月の間に波が溶岩を削ってできた、アーチ状の海食洞です。

溶岩流を覆う植生とハマカンゾウ

▲溶岩流を覆う植生とハマカンゾウ

陸側へ目を向けると、溶岩流の上にたくさんのハマカンゾウが咲いていました。

こうして少しずつ、植生に覆われていくのだな、と感じます。

さて、ここでクイズです。

溶岩流でできている今崎海岸ですが、この溶岩流が実際に火口から流れ出したのは、今から何年前でしょうか?波の浸食や、植生の回復の度合いをヒントに考えてみてください。

①約20年前

②約80年前

③約400年前

答え:③約400年前

1643年(江戸時代)、今崎海岸の背後の火口で噴火が起き、大量の溶岩が流れ出して今崎海岸ができました。この時の噴火口は現在も残っていて、「コシキの穴」と呼ばれています。三宅島観光協会のホームページから写真を見ることができます。気になった方は、ぜひ検索してみてください。

【三宅島の観光情報】

三宅島観光協会

https://www.miyakejima.gr.jp/

・新型コロナウイルス感染症対策に関する情報 ※三宅島観光協会提供

新型コロナウイルス感染症に関する情報(三宅島観光協会提供)

三宅島における新型コロナウイルス感染症に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。

https://www.miyakejima.gr.jp/info/covid-19_information/

【三宅島の自然の情報】

アカコッコからの手紙 三宅島自然ふれあいセンターアカコッコ館

http://park10.wakwak.com/~miyakejima/

【ご注意ください】

令和2年5月25日に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が解除となりました。伊豆諸島では、自治体ごとに来島のガイドラインを掲げ、島内での感染拡大防止への協力を求めています(令和2年8月20日現在)。伊豆諸島へ旅行を計画されている方は、自治体のホームページで来島のガイドラインをよく読み、最新の情報を必ず確認してください。

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2020年06月11日オオルリ来島 大島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

蒸し暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

大島でも、気温と共に湿度が少しずつ高くなりはじめました。大島で春~夏に吹く南西の風が湿気を運んできて、三原山の山頂部は雲や霧に覆われることが多くなってきました。

さて、先日の巡視で林の中を歩いていると、どこからか清涼感のあるきれいなさえずりが聞こえてきました。これはもしや・・・と立ち止まって探してみると・・・いました!オオルリです!

枝にとまってさえずるオオルリ

▲枝の上でさえずるオオルリ(成鳥・雄)

オオルリは夏鳥で、繁殖のために東南アジアから日本へ渡ってきます。

はるばる東南アジアから、どのようなルートで大島まで渡ってくるのでしょうか。とても気になります。

大島では5月上旬頃からさえずりが聞こえていました。

夏の間にオオルリを写真に撮りたいと思い、さえずりを聞く度にカメラを構えて姿を探していましたが、なかなか見つけることができずにいました。すぐ近くからさえずりが聞こえているのに、瑠璃色と白色の体が薄暗い林の中に意外と上手く溶け込んで、どうしても姿が見えないのです。

反対側に移動してカメラを向けると、こちらをちらちら見ながらも、さえずり続けていた

▲そっと反対側へ移動してカメラを向けても、こちらをちらちら見ながらさえずり続けていた

今回出会ったオオルリは、比較的開けた場所の低い枝でさえずっていたので、すぐに見つけることができました。おまけに、かなり長い時間留まっていたので、ゆっくりと撮影することができました。

あとで図鑑を見てみると、繁殖期のオオルリは縄張りを持っていて、その周りにはいくつかの見張り場兼さえずり場があり、雄は一定時間さえずっては移動する、と書いてありました。このオオルリも、縄張りを守るための仕事をしていたのかもしれません。

蒸し暑い日でも、オオルリのきれいなさえずりを聞くと、すっと涼しい風が吹いたような気持ちになります。皆さんの周りにも、オオルリは来ているでしょうか?

【ご注意ください】

令和2525日に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が解除となりましたが、伊豆諸島では、自治体ごとに来島自粛の継続、緩和などの対応が異なっている状況です(610日時点)。伊豆諸島へ旅行を計画されている方は、自治体のホームページで現在の自粛状況や渡航の条件などを必ず確認してください。

大島町 https://town.oshima.tokyo.jp/soshiki/seisaku/mayor-news11.html 

利島村 http://www.toshimamura.org/news/1568

新島村 https://www.niijima.com/

神津島村 https://vill.kouzushima.tokyo.jp/

三宅村 https://www.vill.miyake.tokyo.jp/

御蔵島村 http://www.mikurasima.jp/ 

八丈町 http://www.town.hachijo.tokyo.jp/

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2020年05月27日オオシマツツジ開花 大島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

大島では、5月中頃からホトトギスの声が聞こえ始めました。新緑の季節になると、ホトトギスは東アジアから日本へ渡ってきます。皆さんの周りでも、「特許許可局!(トッキョキョカキョク!)」という声が聞こえていませんか?

さて、ちょうど大島にホトトギスがやってきた頃、三原山ではオオシマツツジが開花しました。

大島温泉ホテル付近つつじ園の展望台から眺めるオオシマツツジと三原山

▲オオシマツツジと三原山(大島温泉ホテル付近つつじ園)

オオシマツツジは本州のヤマツツジの海岸型で、冬でも一部の葉を残す、半常緑の性質を持っています。

伊豆諸島の他に、伊豆半島の海岸部、紀伊半島の一部にも分布しているそうです。

オオシマツツジの茂みにやってきたシチトウメジロ

▲オオシマツツジの茂みの中を飛び回るシチトウメジロ

大島温泉ホテル付近のつつじ園には、背丈よりも大きなオオシマツツジの株が立ち並んでいます。

大きなツツジの下をゆっくり歩いていると、シチトウメジロの群れに出会いました。

シチトウメジロは、日本に分布するメジロの亜種ですが、本州のメジロと羽の色は同じです。

さかんに鳴きながら茂みの中を飛び回ったり、花の蜜を吸ったりしていました。

新緑の茂みを写した写真の中には、何羽のシチトウメジロが写っているでしょうか?

▲問題. この写真の中には何羽のシチトウメジロが映っているでしょうか?

突然ですが、ここで問題です。

上の写真の中には何羽のシチトウメジロが映っているでしょうか?

新緑の茂みの中には、3羽のシチトウメジロが隠れていました。

▲答え:3

答えは、3羽です。ちょっと簡単だったでしょうか。

秋、冬の緑の少ない時期は、黄緑の体色が目立って見えますが、今の時期は、おなかの白、頭から背中の黄緑色、翼の縁の影の色が、光の反射や枝葉の色になじんでカモフラージュになるのですね。

【ご注意ください】

令和2年5月25日、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が解除となりましたが、伊豆諸島の多くの島では、引き続き観光など不要不急の目的での来島自粛を呼びかけています(5月27日時点)。伊豆諸島への旅行を計画されている方は、各自治体のホームページをご確認ください。

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2020年05月01日#STAYHOME 火山荒原に咲く春の花 大島 伊豆諸島地域

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

あっという間に4月も過ぎ、暖かい日も増えてきましたね。

4月中旬の三原山では、溶岩流や火山礫の隙間のあちこちで、スミレやリンドウが咲いていました。

荒涼とした風景の中で咲く小さな花を見つけると、あまりのかわいらしさに思わず笑顔になります。

今回は、火山荒原に咲く小さな春の花の写真をお届けします。

フデリンドウの花。花弁の青色と花粉の黄色が鮮やかで美しい。

▲フデリンドウ

ススキなどの株の中や陰に咲いています。

黒、茶、緑の景色の中で鮮やかな青い花がぱっと目を引きます。

コケリンドウの花。淡い水色の小さな花。

▲コケリンドウ

火山礫の隙間に顔を出していることが多く、狭い範囲に群生していることもあります。

花の大きさは1cmほどで、淡い水色のかわいい花です。

シチトウスミレの花。花弁は薄い青紫色。

▲シチトウスミレ

本州に分布するタチツボスミレが伊豆諸島に渡り、島の環境に適応した、島嶼変異型と呼ばれるタイプです。

一般的なタチツボスミレと比べて葉が厚く、大きいと言われています。

葉はハート型、花は淡い青紫です。

アツバスミレの花。三原山では濃い紫色のタイプが多かった。

▲アツバスミレ

スミレが海岸に適応したもので、伊豆諸島、小笠原諸島、太平洋岸にも分布しています。

矢印のような形の葉が特徴的です。

三原山のカルデラ内では、花の色が濃い紫のタイプが多く見られました。

溶岩に覆われた三原山内輪山の斜面。溶岩の隙間には先駆植物であるススキやイタドリなどが生えている。

▲三原山中央火口の西側斜面。斜面を覆う溶岩流の隙間にはススキなどが生えている。

中央火口丘の周りは、百数十年周期で繰り返し噴き出す溶岩流や火山礫の影響を受け続けています。土には養分が無く、乾燥していて、日差しや風も強く、植物にとっては厳しい環境です。こうした環境では、厳しい条件で生き抜く戦略を持ったススキやイタドリ、ヤシャブシなどの植物(先駆植物)が最初に芽を出して育ちます。

初めて三原山を歩いた時は、カルデラ内には先駆植物だけが生育しているというイメージを持っていたので、スミレやリンドウなどの可憐な花が咲いているのを見て驚いたことを覚えています。

先駆植物の周りでは、植物の死骸が養分になる、強い日差しや風が少しさえぎられる、種子や花粉を運ぶ鳥や虫が行き来するようになる、などの環境変化が生まれ、スミレやリンドウなどの植物が入りやすくなるのかもしれません。

【ご注意ください】

伊豆諸島では新型コロナウイルス感染拡大への対応のため、すべての島で観光施設などを閉鎖し、来島の自粛を強く呼びかけています(430日時点)。観光産業の盛んな伊豆諸島地域としては、とても苦しい状況での呼びかけですが、伊豆諸島で暮らす人々を守るために、今は来島をお控えくださるようお願いします。

#STAYHOMEについて】

信越自然環境事務所から動き出した「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に賛同して、今回より、ハッシュタグ#STAYHOMEをつけて投稿しています。

現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛により、一般の方に国立公園を訪れていただくことができない状況が続いています。このプロジェクトは、国立公園への来訪を楽しみにされていた方、収束後には国立公園を楽しみたい!という方へ向けて国立公園の魅力をインターネット上で発信し、自宅で国立公園を楽しんでいただこうというものです。

当日記でも、大島の自然の風景をおうちで楽しんでいただけるよう、発信を続けていきたいと思っています。

#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」

http://chubu.env.go.jp/shinetsu/pre_2020/stayhome.html

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2020年04月16日オオシマザクラ満開 大島 伊豆諸島地域

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

みなさんの地域では、もう桜は咲いたでしょうか。

大島では、早咲きのオオシマザクラが3月中旬に開花し、先週、島全体の桜が満開となりました。

青空の下、満開のオオシマザクラ

▲青空の下、満開のオオシマザクラ

オオシマザクラは葉が開くと同時に花が咲く

▲オオシマザクラは葉が開くと同時に花が咲く

オオシマザクラは、房総半島から伊豆半島、伊豆諸島に分布しています。

葉が開くと同時に花が咲くという特徴を持っています。

(本州の公園などでよく見るソメイヨシノは、まず花が咲き、花が終わってから葉が出ます。)

三原山外輪山の南西斜面。緑の森の中にオオシマザクラの桜色が点在する。

▲三原山外輪山の斜面に点在して咲くオオシマザクラ

画像の正面奥に見えているのは三原山内輪山、手前が外輪山の南西斜面です。

三原山のカルデラ内や外輪山の斜面には、たくさんのオオシマザクラが生育しています。

常緑の森林に桜色が点在する様子はとてもきれいです。

画像をクリックして、少し拡大して見てみてください!

拡大すると斜面のオオシマザクラ一本一本の色と形がよりはっきり見えるので、株の多さを感じていただけるのではないかと思います。

【ご注意ください】

伊豆諸島の各島では新型コロナウイルスへの対応のため、残念ですが、すべての島で不要不急の来島の自粛をお願いしていて、多くの観光施設などが閉鎖されています(416日時点)。伊豆諸島への来島を計画されている方は、各島の自治体のホームページをご確認ください。

感染拡大が終息し、たくさんの方に来島いただける日常が早く戻ってくることを祈っています。

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2020年04月13日アクティブ・レンジャー写真展を開催しました!(2月・3月) 大島 伊豆諸島地域

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

いつの間にか、春がやってきましたね。大島では、今日はちょっと暑いな、という日が増えてきました。

さて、今回は2月から3月にかけて開催したアクティブ・レンジャー写真展についてご報告します。

大島で例年2月~3月中旬にかけて開催される「椿まつり」の期間に合わせて、岡田港船客待合所で写真展を開催しました!

アクティブ・レンジャー写真展では、関東地方の国立公園や国指定鳥獣保護区で活動するアクティブ・レンジャーが撮影した、各地域の自然の風景や動植物の写真を紹介しています。一年をかけて関東地方の各地を巡回しているので、もしかしたら、どこかで出会ったことのある方もいらっしゃるかもしれません。

伊豆諸島管理官事務所から提出した二作品をご紹介します!

火山荒原に咲くシチトウスミレ

▲「火山荒原に咲く」(平成30年度在任椋本AR撮影)

 大島の中央にそびえる三原山の周囲には、火口から噴き出した火山礫や火山灰などが積もってできた黒色の火山荒原が拡がっています。水分や養分が少なく、植物が生きていくには厳しい環境ですが、よく見ると火山礫の隙間からシチトウスミレが顔を出しています。

神津島天上山の山頂部へと続く、豊かな植物に囲まれた道。

▲「天上へ続く道」(平成30年度在任椋本AR撮影)

 神津島の天上山は、「花の百名山」にも数えられている山です。

台のような形の山は山頂が広く、伊豆諸島の神様が集ったという窪地や、白い砂漠、緑の火口原などの美しい景色が拡がっています。山頂へと続く1時間ほどの登山道は、豊かな植物に囲まれ、木漏れ日に照らされています。

大島岡田港船客待合所2階のジオステーションおかた港の様子

▲「ジオステーションおかた港」と「アクティブ・レンジャー写真展」の様子

船の待ち時間にたくさんの方にご覧いただけたようです。

観光の方だけでなく、島内でも多くの方から「見たよ!」という声を聞くことができて、嬉しかったです。

今回スペースをお借りした、岡田港船客待合所2階の「ジオステーションおかた港」では、「伊豆大島ジオパーク」の見どころを写真や地図を使って楽しく紹介しています。大島にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

なお、伊豆諸島の各島では新型コロナウイルスへの対応のため、残念ですが、すべての島で一部観光施設などを閉鎖し、不要不急・観光目的の来島の自粛をお願いしています(413日時点)。伊豆諸島への来島を計画されている方は、各島の自治体のホームページをご確認ください。

感染拡大が終息し、たくさんの方に来島いただける日常が早く戻ってくることを祈っています。

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2020年01月24日三原山に雪が! 大島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

先週末、三原山に雪が降りました!!

山頂口から眺めた雪の三原山

▲山頂口から眺めた三原山

先週の土曜は気温が低く、大島にしてはかなり寒い日でした。

麓の市街地では雨が降っていましたが、土曜の夕方時点で山の斜面の高いところに少し雪が付いていました。

雨風が止んだ日曜、さっそく三原山へ出かけてみると、見たことのない景色が・・・!

黒い砂漠の上に、黒くゴツゴツした溶岩の上に、白い雪が降り積もっていました。

麓の市街地には積雪がなく、山の斜面の雪はほとんど溶けていたので、カルデラ内だけが雪のある世界になっていました。

三原山北側の溶岩流(手前)の上から眺めた櫛形山(左)、三原山中央火口丘(右)

▲三原山北側の溶岩流(手前)の上から眺めた櫛形山(左)、三原山中央火口丘(右)

1986年の割れ目噴火口から流れ出た溶岩流

1986年の割れ目噴火口から流れ出た溶岩流

歩道部分の積雪は5cm程度、凍結も無く、登山靴だけで快適に歩くことが出来ました。

雪を被った溶岩流は、遠くから見ると、粉糖のかかったチョコレートのようです。

お鉢巡りコース東側から眺めた中央火口(右側手前の白いもやは湯気)

▲お鉢巡りコース東側から眺めた中央火口(右側手前の白いもやは湯気)

中央火口を一周する歩道(お鉢巡りコース)には、所により吹きだまりができており、そのような場所では30cmほどの積雪がありました。凍結は無く、登山靴だけでも歩ける状態でしたが、足下はスパッツを付けるか長靴、雪の状態によっては軽アイゼン、手にはストックがあった方が歩きやすいかもしれません。(強風の場合は立ち入り禁止となっています。凍結時は滑落に注意が必要です。)

▲お鉢巡りコース上、三原新山東側から眺めた中央火口(積雪時)

▲お鉢巡りコース上、三原新山東側から眺めた中央火口(通常時:秋)

上の写真が積雪した時、下の写真が通常(秋)の中央火口です。

通常はダイナミックな火口の壁面がはっきり見えていて、壮大さや厳しさを感じるような景色ですが、白い雪が降り積もっただけで、なんとなく柔らかな優しい印象になるのはなぜでしょうか。

大島では積雪自体が珍しく、この日のような真っ白の雪景色は、雪の降った後数日間だけのものです。

見たことのない景色に興奮しつつ、雪の三原山を楽しみました。

【22日時点の道路状況】

山頂口から山頂までの舗装路(山頂遊歩道)の雪は無くなり、足下を気にせず山頂まで登れるようになっています。お鉢巡りコースや表砂漠では、ところにより30cmほどの積雪が残っています。特にお鉢巡りコースでは、晴れた日の日中に歩道が凍結することはまず無いと思いますが、早朝など気温の低い時に雪が固くなる可能性もあるので、足下に注意が必要です。

【伊豆大島への交通・観光情報】

伊豆大島観光協会http://www.izu-oshima.or.jp/

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2020年01月15日三原山山頂口展望台から眺める富士山と伊豆半島の山々 大島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

先週は、新年最初の巡視で三原山へ行ってきました。

三原山山頂口の駐車場付近にある展望スポット「三原山山頂口展望台」では、この冬一番の景色を見ることができました! 今回は、この三原山山頂口展望台から見える山々を紹介します。

三原山山頂口展望台からの景色(写真左下は元町港

▲三原山山頂口展望台からの景色(写真左下は元町港)

三原山山頂口展望台から見える主な山と街

▲三原山山頂口展望台から見える主な山と街

展望台からは富士山が大きく見えるほか、箱根~伊豆半島東部の山並みを見渡すことができます。

この日は前日の嵐で空気が掃除されたのか、南アルプス赤石山脈まではっきりと見えました。

離れた場所から本州の起伏を眺めてみると、改めて富士山の高さ、大きさを感じます。

三原山山頂口からの風景は「富士山がある風景100選」に選ばれています。「富士山がある風景100選」とは富士箱根伊豆国立公園の指定80周年を記念して選出された展望地です。伊豆大島からは、

・三原山山頂口展望台

・港の見える丘

・万立浜

の三地点が選ばれています。他のポイントにも、ぜひ足を運んでみてください。

【富士山がある風景100選】http://kanto.env.go.jp/to_2017/post_94.html

富士山宝永火口

▲大島からは富士山宝永火口がよく見える!

望遠レンズで撮影すると、富士山の表面の形がよく見えます。

山腹の正面には、宝永火口が見えています。この火口は、富士山の一番最近の噴火、江戸時代の1707年(宝永4年)に起きた宝永噴火によってできました。都内から富士山を見ると、この火口を横から見る形になるため、富士山の稜線がでこぼこしているように見えます。大島から見ると宝永火口が真正面に来るため、綺麗な形の富士山が見えるのです。

大室山と赤石山脈(南アルプス)

▲大室山と赤石山脈(南アルプス)

 富士山から左へ視線を移していくと、個性的な形の大室山(580m)が見えます。約4000年前の噴火でできた火山で、直径250300mほどの火口を擁しています。表面が滑らかに見えるのは、伝統的な山焼きによって、斜面が草原の状態に保たれているからです。山全体が国の天然記念物の指定を受けているため、現在は徒歩での登山は禁止となっていて、山頂へはリフトでアクセスできるようです。

 大室山の背景には、雪を被った赤石山脈が壁のように連なっています。春~秋にかけてはぼんやりとしか見えず、初めて見た時は横長になびく雲かと思いました。大島から見える峰の名前が分かるようになりたいです。

伊豆半島にそびえ立つ天城山

▲伊豆半島にそびえ立つ天城山

展望台のほぼ正面には、天城の山々、伊豆半島最高峰の万三郎岳(1,406m)、万二郎岳(1,299m)、遠笠山(1197m)、矢筈山(816m)などが見えます。天城山は、格好良く尖った万二郎岳、万三郎岳を中心に、稜線が左右に大きく広がっています。伊豆半島にどっしりとそびえ立つ姿は、海を挟んで見ても迫力があります。展望台から見ると、天城山は距離的に一番近いように感じられるので、勝手に親近感を持っていつも眺めています。

天城山の様子については、沼津管理官事務所 山田さんのアクティブ・レンジャー日記で紹介されています。

http://kanto.env.go.jp/blog/2019/11/post-785.html

遠くに見える山を知っている人が歩いているかもと思うだけで、なんだか嬉しいような感じがしませんか?

三原山山頂口展望台は、バスや車で簡単にアクセスできます。

大島にお越しの際、晴れた日には、ぜひお立ち寄りください。

 

【大島へのアクセス情報】

大島観光協会 http://www.izu-oshima.or.jp/

【三原山山頂口展望台へのアクセス情報】

・大島バス http://oshima-bus.com/

「元町港」より乗車→「三原山山頂口」で下車(約25分)

・展望スポットは駐車場海側。

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2019年11月12日泉津海岸遊歩道 大島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 竹下実生

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

だんだんと気温が下がり、風が吹くと寒く感じるようになってきました。

さて、先週は「泉津海岸遊歩道」の巡視に行ってきました。

泉津海岸遊歩道は、大島の東に位置する泉津集落の二本松~行者トンネルまで、海岸沿いに続く5.5kmのコースです。今回は、二本松~行者トンネルの間にある東京都立大島公園からスタートし、泉津集落までの約2時間半~3時間程の道のりを歩きました。波の音を聴きながら歩く気持ちの良い道で、天気の良い日は海の向こうに房総半島を眺めることができます。

東京都立大島公園ハイキングコースマップより引用・改変した泉津海岸遊歩道コースマップ

▲今回のコース

東京都大島支庁ホームページ_東京都立大島公園ハイキングコースマップより引用・改変

http://www.soumu.metro.tokyo.jp/11osima/park/www/htdocs/nature/hiking.html

今回コースのスタート地点、大島公園までは元町港から車で約30分、あるいは岡田港・元町港から出ている路線バスで行くことができます。

大島公園入口付近にある椿資料館の脇から公園内の散策路に入り、「海岸遊歩道」の道標に沿って進むと、5分ほどで海岸遊歩道に突き当たります。

椿の花をモチーフにした大島公園バス停

▲大島公園バス停。ツバキの花がモチーフになっている。

大島公園内の散策路。「海岸遊歩道」の道標に従って進む

▲泉津海岸遊歩道へ続く、大島公園内の散策路。

林床に立っていたテンナンショウの仲間。茎の紫色、葉の緑色、実のオレンジ色が綺麗。

▲園内の散策路で見つけたテンナンショウの仲間。茎の紫、葉の緑、実のオレンジが綺麗。

海岸遊歩道に出てからしばらくは、海岸の内陸側に生育するヒメユズリハやヤブツバキなどの高木林の中を歩きます。林の梢には、ヒメユズリハの黒い実か、そこに付いている虫を食べに、シチトウメジロやカラ類の群れがやってきていました。賑やかに鳴きながら餌をついばんでは通り過ぎて行く群れを道ばたにしゃがんでゆっくり観察できました。

ヒメユズリハの黒い実あるいは、そこに付いた虫を食べにきたシチトウメジロ

▲ヒメユズリハの実を食べにきたシチトウメジロ

群れが通り過ぎた後、静かになった梢をふと見上げると、二羽のシチトウメジロが枝の上に残って、静かに寄り添っているのを見つけました。互いに羽繕いをしている姿が可愛らしく、幸せな気持ちになりました。

海岸遊歩道の全般を通して、メジロやカラ類の群れには頻繁に遭遇しました。双眼鏡やカメラを持って、小鳥の観察を楽しみながら歩くのも良さそうです。

ヒメユズリハの枝の上で寄り添う二羽のシチトウメジロ

▲ヒメユズリハの枝にとまるシチトウメジロ

林を抜けると、急に波の音が近くに聞こえ、歩道が海に近づきます。海沿いの歩道からは、透き通る海、水平線、遠くに見える房総半島など、すばらしい眺望を楽しむことができます。

休憩スポットからの眺め。青い海と空、水平線が見える。

▲水平線の見える休憩ポイント

歩道から見える海の景色。透き通る海。遠くに房総半島が見える。

▲海岸遊歩道からの景色

海岸遊歩道の笠松周辺では、貴重な海浜植生群落が残されていて、国の天然記念物にも指定されています。ここでは、林床を覆うオオシマハイネズの見事な群落や、イソギク、ツワブキなどの海岸植物を観察することができます。 海岸遊歩道は、海に近づいたり林の中に入ったり、海岸沿いの複雑な地形の上を、アップダウンを繰り返しながら続いていきます。

オオシマハイネズとイソギク

▲オオシマハイネズ(左)とイソギク(右)。イソギクはまだ開花していなかった。

ツワブキの花

▲ツワブキの花

終点付近の潮吹き崎では、泉津漁港の長閑な景色と富士山の姿を眺めることができます。

これから冬にかけて、イソギクやツワブキの開花シーズンが続きます。また、気温が低くて空気の澄んだ日が増えて、伊豆半島や房総半島、富士山がよく見えるようになってきました。泉津海岸遊歩道を楽しむにはちょうど良い季節ですので、みなさんもぜひ、歩きにきてください。

終点付近の潮吹き崎から見える景色。泉津漁港の長閑な景色と富士山。

▲泉津漁港と富士山。潮吹き崎からの景色。

【コースマップ】

東京都大島支庁ホームページ_都立大島公園ハイキングコースマップ

http://www.soumu.metro.tokyo.jp/11osima/park/www/htdocs/parkindex.html

伊豆大島ナビ_大島公園海岸遊歩道

https://www.oshima-navi.com/senzu/coastal_promenade.html

【アクセス情報】

大島バス

http://oshima-bus.com/rosen-bus.html

東海汽船

https://www.tokaikisen.co.jp/boarding/timetable/

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