ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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南アルプス国立公園 南アルプス

189件の記事があります。

2020年05月12日#STAYHOME 山梨百名山って?

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

みなさんは山梨百名山をご存じですか?平成9年2月にできたもので、大菩薩・道志山系、南アルプス山系、富士・御坂山系、八ヶ岳・秩父山系の4エリアに分け、そのうちの100山を山梨県が選定したもので、南アルプス山系では27座が選定されています。今回はその一部を紹介します。

■日向山(ひなたやま) <標高 1,660m

樹林帯ではセンジュガンピやイワカガミなどの植物を楽しみながら、山頂では想像もしていなかった、一面に広がる砂浜!山にいるのに海に来たような気持ちになれます!山麓から見ると夏でも雪を被っているように白く見えます。甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山と同様、花崗岩が風化したできた白砂が広がり、甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳が一望できます。

■櫛形山(くしがたやま) <標高 2,052m

髪をとかす¨くし¨の形に似ていることから櫛形山と呼ばれるようになりました。主に北尾根、中尾根、南尾根、池の茶屋の4つの登山口があります。夏期はアヤメやマツムシソウなど数多くの高山植物が咲きます。コメツガやサルオガセなどが自生し、「これぞ、南アルプス!」といった雰囲気を楽しめます。また、富士山や白峰三山、甲府盆地などの眺望も楽しむことができます。

■アサヨ峰 <標高 2,799m


名前の由来は朝日が当たる峰から来ているのだとか。栗沢山と鳳凰三山を結ぶ早川尾根上にあり、甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳、北岳の展望を横目に2,700mの稜線歩きを楽しむことができます。南アルプス北部の主峰に囲まれながら歩く、なんとも贅沢ですね♪登山者があまり多くないエリアなので、静かな山歩きを楽しむことができます。

■北岳 <標高 3,193m

南アルプス国立公園を代表する高山、北岳。富士山に次ぎ、2番目に高い山として知られています。北岳にしか咲かないキタダケソウや南アルプス固有種のタカネマンテマやタカネビランジなどたくさんの高山植物が咲きます。また、ライチョウの生息地にもなっています。

他にも前衛峰では雨乞岳、甘利山、山伏、南アルプス国立公園内では鳳凰三山、間ノ岳、鋸岳などが選ばれています。選定されている27座の中には南アルプス国立公園はもちろん、南アルプスユネスコエコパーク内の山もあります。山梨百名山 詳しくはこちらから!

山梨百名山の他にも長野県では信州百名山、静岡県では静岡の百山などそれぞれで百山を選定しているようです(必ずしも県が選定しているわけではありません)。コロナウイルス感染拡大防止の為のため登山が困難な地域も多いなか、お住まいの県の百名山を調べるのも面白いですね。

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2020年05月07日#STAYHOME ニホンジカ被害状況確認 in 夜叉神峠

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

今回は先日の夜叉神峠巡視で確認したニホンジカの被害をお伝えします。普段の巡視はわたし一人ですが、今回は生態系保全等専門員の金丸さんと。専門的な知識をお持ちの金丸さんと巡視できることはとても心強いです。

登山道を歩き始めてすぐに新芽の食害を確認。状況把握のため、登山道を少し外れてみるとあちこちに糞を見つけ、金丸さんがニホンジカを発見!かなり遠くにいたので撮影はできませんでしたが、「ピィー、ピィー」と警戒音を出していました。

再び歩き始めると状況がかなりひどい樹皮剥ぎを見つけました。樹皮剥ぎをするのはだいたいクマかニホンジカのどちらかです。クマ剥ぎかシカ剥ぎかを見分けるポイントがあります。

●クマ剥ぎ

剥いだ樹皮と樹木が繋がっていること、樹木に残っている跡が垂直

●シカ剥ぎ

(今回発見した樹皮剥ぎ)

剥いだ樹皮が地面に散らばっている、いろんな方向に剥がれている、つるつるしている

南アルプス山域でよく見られるのはシカ剥ぎです。森や山に入るとき、探してみてください。

今回夜叉神峠の感想を金丸さんに聞いてみました。



今年は暖冬で雪が少ないと言われており、暖かい日が続いているので高山での残雪量が気になるところです。残雪量が少ないと植物の開花が早くなります。そして、ニホンジカが高山へ登っていく時期も早くなります。そうなると、ニホンジカに植物が食べられてしまう割合が多くなるかもしれません。場所によっては防鹿柵の設置も行っていますが、人間による作業のため、安全確保ができていないと作業が実施できません。大きな課題です。残雪量が少なくても高山へは登らず、里山でのんびりしていて欲しいものです。

◇ ◇ ◇ 芦安ニュースレターに掲載されました! ◇ ◇ ◇

芦安地域おこし協力隊の佐藤さんと芦安集落支援員の加賀美さんが作成しているこの芦安ニュースレター。芦安地域のイベントや地域おこし協力隊の活動についてなど芦安の情報がたっぷり詰まっています。4月号に南アルプス自然保護官事務所の職員や仕事内容について掲載していただきました。あまり人に直接会えない状況の中での地域おこし隊就任となったため、せめて紙面で地域の方に情報を発信したいという想いで今回作成されたそうです。

(クリックすると大きい画面で見られます♪)

南アルプスの山々への玄関口に位置する芦安の住民はこうした情報を知っておくべきだと感じたので、なるべく図や写真を多くしてわかりやすく表現することを心がけて作成されたそうです。説明がなかなか難しい国立公園の¨保護¨と¨利用¨についてとても分かりやすいですね!他にも2代目芦安地域おこし協力隊の佐藤さんの紹介や手作りマスクの作り方などが掲載されていますので、ぜひご覧ください。2020年4月 芦安ニュースレターはこちら!(容量が大きいのでご注意ください)

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2020年04月27日#STAYHOME 夜叉神峠で出会った生き物

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

先日、ニホンジカによる被害と利用状況確認のため、夜叉神峠へ巡視に行ってきました。利用者は7人ほどで平日にしては多かったです。先日の日記で葉桜になっているとお伝えしましたが、夜叉神峠付近ではまだ桜が咲いていました。事務所周辺に比べて、標高が高いので植物の開花が遅いようです。

登山口に着くと野鳥の鳴き声があちこちから聞こえました。「ツィッ、ツィッ」と鳴く声もあれば、「ツリー、ツリー」と鳴く声など。野鳥から大歓迎されて、ほっこり。¨よし、入山しよう!¨と思った矢先、とても近い場所に野鳥が飛んできました。

コガラです。コガラと言えば、黒い帽子に蝶ネクタイが特徴ですね。もう少しで繁殖期を迎えるため、活発に動いていたのでしょうか。連写していたところ、こんなに可愛らしい写真が撮れました!

プリティなおしり!!動物好き、野鳥好きにはたまらないワンショットではないでしょうか!!!野鳥は普段慌ただしく飛び回っているので、こんな無防備な姿を撮影できて嬉しい気持ちになりました。

嬉しさに浸っていると、、、山際から小さな黒い塊がこっちに向かってきました。

ホンドリスです!思いもよらぬ登場でした。実はわたし、野生のリスをちゃんと見たことがないのでここでもまた嬉しい気持ちになりました。¨小さくて可愛い¨というイメージですが、この個体は少し大きめで¨リスってこんなに大きいんだ!¨と驚かされました。

この日は天気がとてもよく、少し汗ばむほどでした。山頂につくと、この素晴らしい景色。

右から北岳(3,193m)、間ノ岳(3,190m)、農鳥岳(3,026m)です。最近の山梨は晴れが多いですが、南アルプスの山々は白く覆われていることが多々あります。覆われているときに雪が降っているのか、白峰三山は真っ白です。夜叉神峠にはライブカメラが設置されており、いつでも白峰三山のようすを見ることができます。登山者が写っていたり、朝焼けしていたり、夜には星空が見えることも!お家の中でも南アルプスを楽しんでください♪

★ 夜叉神峠ライブカメラ https://www.minamialps-net.jp/

◇ ◇ ◇ タイトルの「#STAYHOME」について ◇ ◇ ◇

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため外出自粛がされることにより、一般の方に国立公園を訪れて自然・文化体験を楽しんでいただくことができなくなっています。そのため、南アルプス国立公園への来訪を楽しみにされていた方に向けて、また、収束後にはぜひ日本の美しい自然や文化を満喫したいと思っている多くの方に向けて、国立公園の魅力をインターネット上で広く情報発信することを目的とし、「#STAYHOME」のハッシュタグをつけています。詳しくはこちらから!

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2020年04月23日まだまだ白い!広河原へ行ってきました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

春らしい気候になり暖かさを感じるようになりましたね。芦安では葉桜になり、黄色のヤマブキが咲いています。

花びらが大きく、遠くから見ても咲いていることが分かります。よく見ると白っぽい色をした花びらもありました。植物を通じて四季を感じられるっていいですね。

さて、先日広河原の巡視に行ってきました。暖冬で雪が少ないと言われ、ここ数日暖かい日が続いていたのでさほど雪はないだろうと思っていたら・・・広河原に着く前の林道で雪!除雪車が作業した跡が残っていました。暖冬といえど、標高約1,500m付近ではこの時期でも雪がありますね。

広河原に着き、一番楽しみにしていたのが北岳の展望!ご覧ください、まだまだ白いです!

撮影日:2020.4.16

天候があまり良くない予報でしたが、予報に反し雲一つ無い青空が広がっていました。青い空と白い北岳、最高に映えますね!左側にある雪の斜面は大樺沢ルートの左俣です。北岳登山をされたことがある方は歩いたことがあるかもしれません。雪がびっしりです。この斜面でスキーをされる方がいると聞きますが、私は斜度がキツすぎて恐怖で足がすくみ滑れないと確信しています・・・。

ではここで昨年の5月中旬と比較してみましょう。

撮影日:2019.5.27

大樺沢に雪が残っているものの、全体的に白さは少なく下部は鮮やかな新緑が見えます。開山までにどのくらい雪が溶けるのか、楽しみですね。

北岳の登山口に繋がる吊り橋を渡り、広河原山荘のテント場へ向かうと一面の雪。4月とは思えない景色が広がっていました。

撮影日:2020.4.16

この先に見えるのは栗沢山(2,714m)とアサヨ峰(2,799m)です。北岳同様まだまだ雪山ですね。山は登るのも楽しいですが、眺めるのもいいですね♪

コロナウイルスによりマイカー規制や山小屋の営業に大きな影響が出ています。現在各機関が公開している情報を下記にまとめましたのでご覧ください。他情報も適宜まとめていきます。

●山梨県側

南アルプス市営山小屋の運営について

https://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/docs/7907.html

●長野県側

南アルプス林道運行状況

http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/minamialps_jikokuhyo.html

●静岡県側

茶臼小屋、聖平小屋の営業について

http://ikawa-minamialps.com/aspsrv/asp_news/news.asp?DATE=20200417&ID=2330

さわらじまロッジ営業開始延期について

https://www.t-forest.com/news/detail/29

例年通りの運営ではない小屋がとても多くなっています。コロナウイルスがいつ終息するか分かりませんが、外出自粛している間、南アルプスが掲載されている雑誌など見ながら登山計画を練るのも良い過ごし方ですね。さっそく実践しようと思います♪

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2020年04月15日事務所から見られる景色

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

コロナウイルスの影響によって外で思うように活動できない日が続いていますね。毎年5月に南アルプス市芦安で行われる「新緑・やまぶき祭」も中止になってしまいました。例年、南アルプス自然保護官事務所では芦安産の木材にオリジナルの焼き印コースターの配布や展示を行っています。¨今年はどんな展示にしようかな?¨など考えていたこともあり、中止になってしまい残念です。

事務所にこもりがちになりちょっぴり憂鬱な気持ちになりますが、自然に囲まれた芦安では事務所の中にいてもステキな景色や動物に出会えます。事務所の南側には御勅使(みだい)川が流れています。芦安地域にはたくさんの動物が生息しています。

【ヒヨドリ】   

【カワウ】

普段は小さめの鳥類が遊びに来ますが、まれに大きいものも来ます。中でもカワウは大きく、黒い塊が飛んできたかと思いました。羽を広げた時は大きさが倍増して遠くからでも迫力がありました。

【サル】

地元の人は農作物を食べられないように電気柵を立てたり、ネットで囲ったりと対策をしています。1頭でいることはあまりなく、群れで過ごし、子ザルも元気に走り回っています。母サルに寄り添う子ザルを見ると、地域に支障をもたらしているサルでも¨かわいい¨と思ってしまいます。

動物のみならず、季節によって雰囲気がぐっと変わります。


冬のある日。事務所の東側に大きなカツラの木がそびえたっており、前日の降雪により枝にたくさんの雪が!!お昼頃には溶けてしまいましたが、早朝しか楽しむことができない貴重な景色でした。

続いては紅葉の時期。晴れて色鮮やかな紅葉もいいですが、霧が漂っているのも味があっていいなぁ、と思いました。言葉に表すのは難しいですが、なんだか心が癒やされました。

コロナウイルスが世界中に猛威をふるっていますが、季節は着々と進んでいます。家の中から見られる景色もきっと変化があるはずです。身近なものに目を向けてみるのもいいですね♪

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2020年04月08日南アルプス自然保護官事務所新体制!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

街では早くも葉桜になっていますが、芦安では見頃を迎えています。

これまで、自然保護官と自然保護官補佐の2人体制で業務を行ってきましたが、今年度から生態系保全等専門員が配置されることになりました。また、4月から自然保護官も変わりました。新体制になった南アルプス自然保護官事務所のメンバーを紹介します。

◆雨宮 俊 自然保護官

南アルプス自然保護官(レンジャー)の雨宮です。日本の多様な自然と、自然環境に根ざした地域の暮らしと文化を知りたい、守りたいという想いで環境省レンジャーになり、日光、箱根、伊勢志摩の国立公園の現場管理に携わってきました。南アルプス市出身です(地元出身のレンジャーは初!)。小さい頃は南アルプスを「きっぽし(干し芋)山」と呼んでいました。櫛形山の奥に、遠く、白く雪化粧している南アルプスが印象的だったのだと思います。その山をフィールドにレンジャーとして働けることをとても楽しみにしています。

◆金丸 太一 生態系保全等専門員

4月から南アルプス自然保護官事務所で勤務します、生態系保全等専門員の金丸太一です。

国立公園内のニホンジカ対策の取組強化のため、初めて南アルプス地域に配置されました。これまで北海道や四国でニホンジカ対策の仕事をしてきましたが、南アルプスの事をあまり知らないので、早く地域のことを知りたいと思っています。ニホンジカ被害対策に向けて、被害現場などにたくさん足を運んで、地域の方々のお話を聞きながら、少しでも貢献出来ればと思っています。よろしくお願いいたします。

最後にわたしの紹介もちょこっと。

南アルプス自然保護官事務所の自然保護官補佐(アクティブ・レンジャー)、4年目の本堂舞華です。山や自然が好きで、南アルプス山域がとても大好きです。南アルプスを彩る高山植物や特徴的な地質・地形、山深く原生的な森林に住む動物たちなど、南アルプスにはたくさんの魅力があります。その反面、ニホンジカによる影響も多く見られます。南アルプス国立公園の魅力や状況をアクティブ・レンジャー日記やSNSなど私の活動を通して、たくさんの方に知っていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

事務所は山梨県南アルプス市芦安にあります。山に囲まれた集落で、南アルプス市側から広河原へ行く際には必ず通過する場所です。夏場は北岳や広河原など現場での仕事がとても多いです。夏場は黄色いレンジャー服を着ています。南アルプス山域で登山をしているとき、広河原でバスを待っているとき見かけたらお気軽に声をかけてください♪コロナウイルスが落ち着いたら、南アルプスの山々や芦安へぜひ、お越しください。

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2020年03月31日令和元年度をふり返る 【景色編】

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

前回の「令和元年度をふり返る【動植物編】」に続いて、景色編です。今年は悪天候が続きましたが、天気の良い日を狙って巡視に行っていたせいか、綺麗な景色をたくさん撮影することができました。たくさんの写真を載せたい気持ちでいっぱいですが、4枚に絞りました。その時のエピソードやおすすめポイントもあわせてお伝えしたいと思います。

■鳳凰三山・地蔵ヶ岳

南アルプスの中で特にお気に入りの場所です。そのお気に入りの場所で(個人的に)綺麗に撮ることができました。カメラの設定をマニュアルにして撮影にじっくり打ち込みました。手前に見えるお地蔵さんは「子授け地蔵」と呼ばれ、古くから親しまれています。最近は各登山口から日帰りで三山縦走される方が多くなってきていますが、ゆっくりまったり12日コースで高山植物(鳳凰三山にしか咲かない花もあります)や花崗岩で作られた砂浜の稜線から見る360度パノラマを楽しんでいただきたいです。

■荒川三山・悪沢岳

中岳を少し悪沢岳方面へ下った場所で撮影しました。奥に写る大きな山が悪沢岳です。¨南アルプスの山は大きい¨と言われますが、この写真に写る悪沢岳、とても大きく見えませんか?普段は横で撮影することが多いですが、縦で撮影したところ、山の大きさがよく分かるような気がします!手前に写っている登山者がとても小さく見えますね。山が大きい=時間がかかるのは間違いありませんが、今年は4連休が多いので時間が確保できる方はぜひ挑戦してみてください。

■北岳

北岳・二俣で撮影しました。登山者カウンターの点検で6月から月1で巡視していますが、今年度は7月も8月も天候が悪く長時間の巡視ができずにいました。9月初旬の晴れ間を狙って撮影したもので、秋の花を代表するキオンが大群落を作っていました。北岳とお花、双方が揃うとさらに映えますね。ニホンジカの影響があり、昔の北岳のようすから変わっている箇所もありますが、まだまだ高山植物を楽しむことはできますよ!

■兎岳、中盛丸山

聖岳から撮影しました。兎岳、中盛丸山ってあまり聞かない名前ですよね。この2つは赤石岳から聖岳の間にあり、縦走するときには必ず通過する場所です。この写真から南アルプスの奥深さが感じられます。聖岳から中盛丸山に続く登山道を辿ってみるとあまりの距離に気が遠くなりそうですね。と言っても、実際に歩いてみると4時間程度です。(この4時間を遠いととるか、近いととるかはあなた次第です。)南部は登山者が少ないので、静かな山歩きを楽しむことができます。

これまでの日記にも積雪の時期から紅葉の時期まで、わたしが大好きな南アルプスの景色がたくさんあります。さかのぼってご覧いただいて、行ってみたい場所を見つけてみてください。早いもので今年度も終わろうとしています。来年度もアクティブ・レンジャー日記の更新、頑張ります!

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2020年03月24日令和元年度をふり返る 【動植物編】

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

さて、タイトルの通り令和元年度に撮りためた写真を動植物編と景色編に分けてふり返りたいと思います。今回は動植物編です!南アルプスにはたくさんの動植物が生息・生育しています。その中のいくつかをわたしの個人的なエピソードを交えて紹介したいと思います。

■ミヤマハナシノブ

なんでミヤマハナシノブ?と思われる方もいらっしゃるかと思います。アクティブ・レンジャー3年目になるまでミヤマハナシノブを見たことがなく、『この花を見たいな~』とずっと思っていたところでやっと見つけることができた花でした。わたしにとって思い入れがある花です。北岳と北アルプスの白馬岳にしか咲いていない希少な花です。

■ニホンザル

北岳の標高約2,700m地点で撮影しました。芦安では昼夜問わずよく見かけますが、まさか高標高でも見ることになるとは、、、撮影したときはライチョウをケージ保護しているときでちょうど夕方のお散歩をしている最中でした。こちらに登ってくることはなく、足早に降りていきました。撮影できたのは1頭だけでしたが、続けて23頭ほど走り去っていきました。お散歩の見張りを人間がしていたから近寄らなかったのでしょうか?人間がいなくてもライチョウへの害がないことを願います。

■ライチョウ


ライチョウを見る機会は多くあるのですが、私はオスをあまり見たことがありません。卵が孵化するまではオスも見張りをしますが、子育ては基本的にメスのみです。ケージ保護の時は子育ての段階なので、残念ながら父親を見る機会はありません。この写真はちょうど見張りをしているときで、「ゲロゲロ」とカエルのような鳴き声を出していました。かわいい見た目に反して、衝撃的な鳴き声をするのでぜひ聞いてみてください。天候が良くても運が良ければ出会うことができますよ♪

<おまけ>

どこに何がいるかわかりますか?ピントが合っておらずブレブレの茶色の物体、なにか分かりますか?・・・オコジョです。仙丈ヶ岳の山頂で撮影しました。急に出てきて急にいなくなるという瞬間的な出会いでしたが、何枚かシャッターを切る中で撮影できた1枚です。カメラを向けても逃げないライチョウと異なり、カメラを向けなくてもどんどん逃げていってしまうオコジョの撮影は難しすぎました。人生初オコジョ。顔が全く見えずに可愛いかどうかの確認もできませんでした。次見たときはピントがしっかり合って可愛らしいお顔を撮影できるように頑張ります。

次回は景色編です。登ったことがある場所が出てくるかもしれません!お楽しみに♪

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2020年03月18日人による希少な動植物への被害

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

南アルプス山域には数多くの動植物が生息・生育しており、南アルプスでしか見ることができない希少なものもあります。その動植物の生息・生育地において、人による盗掘や踏み荒らしがされている場所が見られます。ほんの一例ですが、被害の状況をお伝えしたいと思います。

■盗掘による被害

昨年、南アルプス山域を歩いていてひっそりと咲くカモメランを見つけました。

カモメランは深山の森の中に生育しています。条件が良いと咲き、まれに群落を作ります。茎は細く、短いため、よく目をこらさないと見つけられません。

このカモメラン、環境省レッドデータブックでは準絶滅危惧(現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種)に指定されています。沖縄を除き日本全国で生育していますが、近年、数が減っています。原因はニホンジカによる食害ではなく、人間による盗掘です。

△南アルプスの山小屋スタッフより提供(撮影日:2019.6.19

根を掘り起こし、抜き取られた跡が丁寧に残されています。シカはこんなに丁寧に食べません。盗掘の被害はカモメランだけでなく、アツモリソウやホテイラン、キタダケソウも同じです。人間が人目を盗んで土を掘り返して植物を採る、非常に悲しいことです。カモメランは山梨県の指定および特定希少野生動植物種に指定されていること、また、南アルプス国立公園の指定植物なので、採取した場合は罰則があります。

■踏み荒らしによる被害

キタダケソウの生育地ではロープを設置しています。キタダケソウを見たことがある方はご存じかと思います。きれいな花や珍しい花を目の前にして、「ロープがあるけど近くで接写したいから乗り越えちゃえ!!」・・・なんのためにロープが張ってあるのでしょう。「乗り越えたい!」と思った時、考えてみてください。

踏み込まれた部分は植物がなくなり、土が流れ出しています。また、踏み込みのいちばん上では、土が流れ出したために、キタダケソウの株ごと土壌が落下してしまう恐れがあります。乗り越えたい気持ちをぐっと抑えて登山道から外れずに愛でていただけると幸いです。

南アルプスだけに限らず、全国に生息・生育するライチョウ、タカネキマダラセセリ、キタダケソウやホテイラン、ホテイアツモリなど293種(平成312月時点)が環境省が指定する「種の保存法」に基づき、採取、損傷、譲渡等が禁止されています。また、南アルプス国立公園の指定植物になっている植物の採取および損傷も禁止です。違反した場合、どちらも懲役または罰金が科されます。

希少種にかかる規制を行っているのは国だけではありません。カモメランの例にも記載しましたが、各都道府県においても希少野生動植物の保護に関する条例が定められています。長野県、静岡県、山梨県で指定されている動植物や罰則が異なります。このほかにも文化財保護条例等による規制があります。

なぜその場所に生息・生育しているのか。その個体に合う場所だからです。わざわざ人間が移動させてあげる必要はないのです。踏み荒らしてまで撮影したいですか?その個体が咲いたその場所で、自然体を楽しんでください。多くの皆さんがマナーを守って登山されています。南アルプスの素晴らしい自然を守るためにはみなさんのご理解とご協力が必要です。みなさんでマナーを守って美しい自然を守っていきましょう。

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2020年03月09日この足跡は誰??

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

雪が積もった登山道を歩いていると動物の足跡を見かけることがあると思います。土や落ち葉が見えている時期は足跡の識別がとても難しいですが、雪の上ではとても分かりやすくなります。今回は南アルプス山域で見られた足跡をセンサーカメラに写る足跡の持ち主とともに解説します。積雪量が少なくて動物の足跡なんてもう見られない!という場所もあるかと思いますが、、、お付き合いいただけると幸いです。

さて、クイズです!これは誰の足跡でしょうか?一列になってまるでモデルさんのような歩き方ですね。

答えはキツネです!

なぜ一直線の足跡がつくのでしょう?そのワケは、前足をついたところに後ろ足を重ねてつくため、前足の足跡は後ろ足の足跡で消されてしまうからなのです!!駆け足の場合は前足と後ろ足が対に並びます。足跡によってそのときの状況が分かりますね。

次はこちらです。『分かるよ!』という方が多いかと思います。こちらもキツネのように一直線に足跡が付いています。



みなさんご存じの通り、ノウサギです。

小さい足跡が前足、細長い足跡が後ろ足です。ノウサギは後ろ足が前に出る足跡が特徴的です。前足をついた後に後ろ足を広げて前に出るので、後ろ足が前に出ちゃうのです。にしても後ろ足、細長く大きいですね。リスも同じような足跡をつけます。先日、山で人生初のノウサギを見ました。あちらのほうが私よりも先に気づいたようですぐ逃げてしまいましたが、野生のウサギを見ることができて嬉しい気持ちになりました♪

最後はこの足跡!南アルプス山域に限らず、よく見かけるこの足跡。最近では昼夜問わず見られる動物になってきました。

ニホンジカです。

カモシカと似ているので区別がしづらいですが、カモシカは先端が若干丸みおびています。子鹿だと足跡の大きさは一回りほど小さくなります。個体数がキツネやノウサギよりも圧倒的に多いので、足跡は雪の上でなくても土の上や水たまりが乾いた泥の上でもよく見られます。

他にも南アルプス山域にはたくさんの動物が生息しています。四足歩行する動物だけでなく、鳥類の可愛らしい小さな足跡もまれに見ることができます。足跡の向きを観察すると登っているのか、下っているのかが分かり、その動物の生活のようすが見えてきます。よ~く注目して観察してみてください!!

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