ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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南アルプス国立公園

230件の記事があります。

2016年06月21日防鹿柵立ち上げシーズン突入!

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

南アルプスはなんと夏の花が咲き始めています。
(ミヤマキンバイ 北岳にて。6月6日撮影)














この冬は積雪が少なかったせいか高山植物の開花が10日~2週間ほど早いようです。
そして、高山植物の生長とともに現れるのは・・・そう、ニホンジカです!
(北岳山荘の下に居座るニホンジカ。6月7日仁田R撮影)



というわけで、今年も防鹿柵*立ち上げ作業のシーズンがやってきました!

南アルプスにはあちこちに防鹿柵が設置されていますが、設置主体は環境省だけ
ではありません。 県や市町村など様々な組織が設置しています。

南アルプス南部 茶臼岳では、静岡県が茶臼小屋のそばに季節型防鹿柵*を設置し、
維持管理を行っています。
この柵の立ち上げ作業が6月10日~11日にあったので状況確認に行ってきました。

作業は経験豊富なボランティアの皆さんによってサクサクと進められ、あっという間に
立ち上がってしまいました。
(上:手際よく作業するボランティアのみなさん
 下:あっという間に立ち上がった防鹿柵     6月10日撮影)



茶臼小屋の周辺では、ハクサンチドリやシナノキンバイなど様々な植物の開花を
確認できました。が、同時に、小屋周辺に夜な夜な響き渡る鳴き声や、多数の足跡
など、ニホンジカの気配もたくさん確認できてしまいました。

(茶臼岳からの景色。右手前が上河内岳、左奥が聖岳。6月11日撮影)













この景色のどこかにニホンジカがいるんですね。
今後も防鹿柵立ち上げ作業は、荒川岳、仙丈ヶ岳、聖平と続きます。

*防鹿柵
南アルプスでは、1990年頃から高山にニホンジカが姿を現すようになりました。
ニホンジカは群れで行動し、ひとところに長く滞在して植物を食べる習性があるため、
高山植物が食べ尽くされてしまうということが起こっています。
このため、高山植物を守るための柵(防鹿柵)が南アルプス各地に設置されています。

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2016年05月31日山の神さまに安全祈願

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

ここ最近、自然保護官事務所の周りに、私の大好きな動物「アナグマ」が
よく現れます。
(事務所前の道をうろうろしていたアナグマ)













大きさは50cmくらい。ぽってりしたお尻が可愛らしく、地面を掘る前脚の鋭い爪
からは野生のたくましさも感じられます。


ところで、林道バス運行開始前の時期に、南アルプス市芦安や夜叉神を目指したこと
のある方は、下記の表示を見たことがあるかもしれません。
(芦安へ向かう県道20号沿いの道路情報掲示板)













掲示板 の「山の神」は、南アルプス市営芦安駐車場から300mほど上ったところの
県営林道南アルプス線「山の神ゲート」を指します。
このゲート手前(市営駐車場側)の道を左に曲がって、100mほど進んだところに
「大石山の神」という祠があり、ここで5月28日(土)に、山小屋関係者等が集まって
今年の山の安全を祈願する神事が執り行われました。
(神事の様子)



















「山の神」は、山に入る者の安全を守護する神様だそうで、広河原へ向かう林道が
開通する以前から、芦安の人たちは「山の神」にお祈りをして南アルプスなどの山に
入ったそうです。


南アルプスも、もうじき夏の登山シーズンを迎えますね。
皆さん、今シーズンも安全に登山を楽しみましょう♪

*林道バス運行情報
長野県側:6月15日(水) 戸台口(伊那市長谷)~北沢峠の全線で運行開始予定。
山梨県側:6月25日(土) 奈良田(早川町)~広河原、芦安(南アルプス市)~広河原
             広河原~北沢峠の全線で運行開始予定。
             ※詳細は各路線をクリックしてください。

*お知らせ 「登山計画書の提出義務化(長野県)について」
長野県登山安全条例第20条第1項の規定により、遭難の発生のおそれが高いと認められる
山岳の登山道を指定登山道として指定しました。平成28年7月1日より指定登山道を通行
しようとするときは、登山計画書の提出が義務付けられます。
詳細は長野県のページをご覧ください。

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2016年05月12日焼印押してきました

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

5月8日(日)は芦安地区のお祭「芦安新緑・やまぶき祭」でした。
お天気にも恵まれ、たくさんの方が来てくださって大盛況でした。
(会場の様子)


南アルプス自然保護官事務所のブースでは、今年も焼印コースターを配布しました。

来てくださった皆さま、ありがとうございました!
(今年も真剣に焼きを入れる仁田自然保護官)



さて、今年の焼印は4種類の絵柄を用意したわけですが、一番人気は「ヤマトイワナ」でした。
(「ヤマトイワナ」の焼印コースター。右は「南アルプス国立公園シンボルマーク」)

「かわいい」「かっこいい」とお子さんから年配の方まで、皆さんに好評でした。

ヤマトイワナはイワナの日本固有亜種で、中部地方の太平洋側などのごく限られた地域に生息
する魚です。南アルプスでは、野呂川流域などに分布していることが確認されています。
また、南アルプス市や早川漁業協同組合では、ヤマトイワナが絶滅しないように保護を呼び
かけています。詳細はコチラ(南アルプス市ホームページ)

私は実物を見たことがないのですが、ニッコウイワナよりかなり体色が黒っぽいようですね。
写真をみると体格も心なしかがっちりしているように見えます。

ある地域に昔からいる生きものが、人間活動が原因でその地域から姿を消してしまうことが
ないように、自然と向き合っていかなければならないなとヤマトイワナの焼印コースターを
眺めながら考えさせられました。

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2016年04月28日パトロール 今年もやっています!

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。
先日、指定植物のパトロールに、山梨県警察南アルプス警察署と合同で行ってきました。

このパトロールは、南アルプス国立公園の指定植物ミヤマハタザオが、平成24年と25年に
二年連続で違法に採取されたことを受けて毎年実施しているものです。

長野県側の林道バスの運行が開始されたこと、今年は雪解けや芽吹きが早いことなどから
今年は少し早めの開始となりました。
(写真上:平成27年4月25日の北沢峠
 写真下:平成28年4月26日の北沢峠)


























尾瀬国立公園のアクティブ・レンジャー日記にもありましたが、南アルプスも
雪がとても少なくなっています。

さて、この日はパトロールとともに、植生やチョウの発生状況等の確認も行いました。
(パトロール中の警察官。4月26日撮影)













今年は南アルプス警察署、南アルプス市、環境省が協力してパトロールを行います。
平日はもちろん、土日もパトロールに入り、今年はGW中のパトロールも実施されます。

南アルプスに生きる貴重な動植物を将来の世代にも残し、公園を訪れる皆さんに楽しんで
いただくためにしっかり見回っていきますので、皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

(広河原からの北岳の眺め 4月26日撮影)














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5月8日は、芦安やまぶき新緑祭です。
「何それ?気になる!」という方は、4月25日の記事もご覧ください!

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2016年04月27日南アルプス林道バス 歌宿まで運行開始!

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

いよいよ南アルプス北部(長野県伊那市側)南アルプス林道バスの運行が
戸台口から歌宿(標高1,680m)までの区間で始まりました。

運行開始の4月25日に歌宿で毎年開催される、南アルプス林道バス安全祈願祭と
南アルプス北部開山祭に参列してきました。
(鋸岳が真正面の歌宿)














今年もお天気に恵まれ、やわらかな日差しのもと神事が執り行われ、山と

林道バスの安全を祈願しました。

開山祭に先だって、南アルプス林道バス営業所では新しいバスのお披露目

もありました。新しいバスには、南アルプスのひとコマがラッピングされて

います。
(地元で活躍された方が撮影した写真がラッピングされた車両。)














南アルプス林道バス(長野県側)は、6月15日に北沢峠まで全線開通予定です。
運行について詳細はコチラ(伊那市ホームページ)をご覧ください。

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2016年04月25日もうすぐ「芦安新緑・やまぶき祭」

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

芦安を流れる御勅使(みだい)川に今年もこいのぼりが飾られ、新緑の爽やかな

景色の中を 気持ちよさそうに泳ぎ始めました。
(こいのぼり)




















さて、今年も「芦安新緑・やまぶき祭」が開催されます!

☆ 「第6回 芦安新緑・やまぶき祭」
    主催:南アルプス市芦安新緑やまぶき祭実行委員会
    日時:2016年5月8日(日) 午前9時30分 ~ 午後2時
    会場:南アルプス市立芦安小学校校庭
    ※雨天決行 入場無料!
    ※お問い合わせ先  芦安窓口サービスセンター(TEL055-282-5577)

もちろん南アルプス自然保護官事務所も出店し、レンジャー(自然保護官)と
アクティブ・レンジャーが南アルプスの自然について解説します。
また、木のコースターに焼印を押したものを無料で配布するコーナーもあります。
みなさんにお好きな木のコースターと焼印の模様を選んでもらって、私たちが焼印を
押してお渡しします。

焼印の模様は全部で4種類。
 ・キタダケソウ
 ・ライチョウ
 ・ヤマトイワナ
 ・南アルプス国立公園シンボルマーク
ヤマトイワナとシンボルマークは今年から新しく加わりました。

(今年から新しく加わるのは中央2つの焼印。ピカピカです。)













伝統食「しょうゆの実」や手打ちそば、山菜、焼きそばやスイーツなど、様々な食べ物の
販売のほか、砂防の模型実験やクライミング体験など楽しいコーナーが今年もあるようです!

お時間があれば、ぜひ遊びにお越しください。お待ちしています!

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2016年04月12日誰のおしり?

南アルプス国立公園 大石佳織

こんにちは。
事務所のある芦安は、先日桜が満開となり、ケヤキの新芽がまぶしいです。

さて、春の陽気に誘われてという訳でもありませんが、4月1日に夜叉神峠へ巡視に
行ってきました。

夜叉神峠は、芦安から30分ほど林道を進んだところにある「夜叉神峠登山口」から
登ります。(甲府からだと車で1時間ちょっとかかります。)
登山口が標高1,380m、峠が標高1,770mなので、標高差は約400m。登山地図の
コースタイムは1時間なので、気軽に山登りを楽しめる場所です。

この日は、スミレの仲間など春の花はまだまだ咲いていませんでしたが、登山道には
雪はなく、快適に歩くことができました。

また、夜叉神峠からは雪をかぶった白峰(白根)三山を見ることができました。
(夜叉神峠から見る白峰三山。左から農鳥岳、間ノ岳、北岳。4月1日撮影)













さらに、この日は素敵な出会いがありました。
「おしり」との出会いです。
(おしり。4月1日撮影)













もふもふで丸っこくて可愛いこのおしりは、いったい誰のものなのか?
ひと目でわかった方はさすがです。

まだわからないという方、こちらでいかがでしょう?
(おしりとお顔を少し拝見。)














いかがですか?
そう、ニホンカモシカでした。
(こちらに気付き「なんだ?」と様子を窺うニホンカモシカ。)













距離は50mくらいあったでしょうか?木々に葉が茂る前で見通しがよかった
ため、離れた場所にいるカモシカを見つけることができました。

みなさんも春の登山に夜叉神峠はいかがでしょう?
運がよければ、あなたもカモシカに会えるかもしれませんよ!

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2016年03月22日春に舞うもの

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。
各地でソメイヨシノ開花のニュースが聞こえるようになってきましたね。
今日は少しひんやりしている南アルプス自然保護官事務所ですが、陽ざしは
すっかり春です。

先週3月14日は、夕方から雨が雪に変わり、予想に反して積もって驚きましたが、
翌15日のお昼前にはすっかり融けて、雪が積もったことを忘れそうになりました。
積もった雪の融ける早さにも春を感じます。
(朝だけ堪能できた銀世界。芦安から夜叉神峠方面。3月15日朝撮影)













さらに17日は、気温がぐんぐん上がったことと、よいお天気だったこともあり、
お昼には、事務所周辺であるものがたくさん舞っていました。

それは、花粉!ではなく、チョウです。(仁田自然保護官がくしゃみをして
いるので、花粉もたくさん舞っているようですが...。)

(梅の花とテングチョウ。3月17日撮影)













これはテングチョウ。天狗のように長い鼻*が特徴です!わかりやすさはダントツ。
(*実際は鼻ではなくて「下唇鬚(かしんしゅ)」という器官だそうです。)
チョウは(も?)見分けるのが難しい!と感じている私ですが、このチョウに関しては
シルエットで種類がわかるので、ありがたいです。

また、別の場所では、羽の擦り切れた少し大きめのチョウがいました。
(擦り切れた羽のチョウ。羽を広げた大きさは5cmくらい。3月17日撮影)













これはヒオドシチョウと言うそうで、成虫のまま冬を越すということでした。
擦り切れた羽は厳しい冬を耐えてきた証なのでしょうか。
ちなみに、戦国時代の武具「緋縅(ひおどし)」が名前の由来になっているそうです。

厳しい環境を生きのびて、自然の中を自由に舞うチョウの姿はとても綺麗だなと感じます。
南アルプスの山々はまだまだ雪の世界ですが、これからの季節、南アルプス国立公園周辺では
さまざまな生きものが活発になっていきます。
自然の中で懸命に生きる生きものを見かけたら、そっと見守ってあげてくださいね。

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2016年02月23日保護官事務所の裏のニホンザル

南アルプス国立公園 大石佳織

こんにちは。
みなさん、お気づきでしょうか?
「アクティブ・レンジャー日記―関東地区―」のバナー(関東地区の各国立公園のページ
から日記へリンクするときのボタン)に使われている写真が2月3日に変わりました。
赤石岳とお花畑の景色になり、南アルプス国立公園のアクティブ・レンジャーとしては
とても嬉しいです。ぜひ南アルプスへ想いを馳せながらクリックしてください(笑)

さて、年が明けてからずいぶん経ちましたが、今年は申年ですね。
ということで、今日は事務所周辺に現れるニホンザルについて、ちょっとご紹介します。

事務所のある芦安にはニホンザルの群れが暮らしていて、事務所の裏には毎日のように姿を
現します。
食べ物の少ない冬の時期、サルたちは落ち葉を掘り返してその下にあるものを食べたり、
木の皮を食べたりしています。
(落ち葉を掘り返して食べ物を探すサル。何を食べているのかは観察できませんでした。)
















(サルによって樹皮を剥かれた木の枝。樹皮の下の白い部分が遠くからでも目立ちます。)


写真では分かりにくいのですが、よく見ると外側の硬い皮が枝からぷらぷら垂れ下がっ
ています。どうやら硬い皮は残して、内側の柔らかい部分だけを食べているようです。
食べ物の少ない季節をたくましく生きているんですね。
春はすぐそこ、サルたちにとって待ちに待った季節はもうすぐです。

一方で、人の生活とぶつかってしまう場面もあります。先日はどこかのお宅から
大根を引き抜いてきて、片手で抱えてかじりながら歩く姿を見かけました。
(大根片手に歩くサル)








 
南アルプス市周辺では農作物への被害もあり、人とサルの摩擦が起こっています。

標高3,000mを超える稜線でも、夏季にニホンザルを見かけることがあります。
私も昨年、荒川三山の東岳(悪沢岳)標高3,100m付近で約17頭の群れを見かけました。
また、北岳でも多くのサルが観察されており、その様子を撮影した写真が北岳の登山口の広河原
にある「野呂川広河原インフォメーションセンター」(夏季のみ開館)に展示されています。
山に登ったけどサルは見なかったという方は、インフォメーションセンターで写真を見てみてください。

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2016年02月08日ニホンジカ、来ています

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。
陽射しが日ごとにあたたかさを増してきましたね。
(事務所は建物の北側で北向きの窓しかないため、相変わらず室内は底冷えし、
 タイツやレッグウォーマ、もこもこ防寒靴は相変わらず手放せませんが...)

少し前になりますが、1月18日の大雪では芦安も雪に覆われました。
(スノーシューで出勤したくなる雪原)

この雪の影響で、鳳凰三山への登山口である夜叉神峠へ向かう県営林道南アルプス線は
積雪や凍結のため、今も通行止めが続いています。(2月8日現在)
(※3月25日まで平日は工事のため通行止めです。
  詳しくは山梨県のホームページ 県営林道通行規制情報をご覧ください。)

それでも、芦安地区周辺の日当たりのよい斜面は雪が融けているので、そのような斜面には
暗くなるとニホンジカが草を食べにやってきます。
帰宅の際、そんな場所の前を通ると、シカは「ピャッ!」と大音量で警戒の鳴き声を上げて
林の中へ逃げ込みます。私はその大声にしょっちゅう驚かされています。
(こちらの様子をうかがうニホンジカ)


南アルプスで夏に高山植物を食べているニホンジカは、冬になると標高の低い場所へ
移動すると言われています。どこまで山を下りるかは、個々のシカによって違うそうで、
標高1,500mという比較的高い場所で過ごすシカや、人里近くまで下りてくるシカなど、
その行動は様々だということが研究者等の調査でわかってきました。
私を驚かせたシカも、もしかすると夏の間、お花畑に出没しているのかもしれません。

お花畑の季節までは、まだまだ時間がありますが、南アルプスの高山帯に現れるニホン
ジカについて、2月11日にシンポジウムが開催されます。
 
☆シンポジウム 「南アルプス高山帯のニホンジカをどう管理するか」
     主催:山梨県森林総合研究所
     日時:2016年2月11日(木・祝) 13:30から
     会場:山梨県立大学飯田キャンパス
     ※入場無料!申込み不要!
     詳細はコチラ

当事務所のレンジャーも南アルプス国立公園ニホンジカ対策方針について説明しますので、
ニホンジカ問題に関心をお持ちの方は是非お越しください。

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