ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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日光国立公園

154件の記事があります。

2015年09月11日初秋を過ぎた奥日光

日光国立公園 中野純

台風は、毎年のように日本に接近、上陸し、大小様々な影響をもたらします。

今回の台風18号では、日光地域でも大小様々な影響が発生しました。


国道120号の通称いろは坂と呼ばれる表日光と奥日光を繋ぐ山岳観光道路では、9日夕方頃に土砂崩れが発生し、一時的に通行止めになりましたが、関係機関の迅速な復旧作業の甲斐あって、現在は平常通りに通行できるようになっています。


いろは坂の通行止め解除に伴いさっそく環境省が整備、管理する歩道の安全確認に出かけました。


まずは戦場ヶ原自然研究路!


まぁ、なんということでしょう。






これは一体...                     ヒルムシロ科の水草が...


木道のロープ柵に水草が天日干しされているではありませんか。

ではなくて、湯川の水位が歩道を沈めた痕跡ですね。引っかかった水草は外来種のコカナダモも見受けられますが、在来種の貴重なヒルムシロ科(ササエビモ?)の水草も少なくありません。

そして木道では、あちこちで多少のガタつきが生じていました。

通行に大きな問題はありませんが、足下には注意して利用してください。


ホザキシモツケは戦場ヶ原の夏を象徴する植物の一つですが、初秋を過ぎたこの頃になると点々としか花は見られなくなります。戦場ヶ原の夏は終わりを迎えました。


ホザキシモツケ












ホザキシモツケ


次は小田代原!

まぁ、なんということでしょう。













幻の小田代湖!?

小田代原に水たまりができているではありませんか!

平成23年度にはもっと規模の大きな水たまりができたそうで、当時を見かけた方によると「まるで桃源郷のようだった」と絶賛していました。

何はともあれ小田代原内部での大きな攪乱になったでしょうから今後見られる植生に大きな影響があるかもしれません。


小田代原西側の木道を歩いていると、



















キュウリ!?                    ニッコウアザミに集まる昆虫達

キュウリを見つけました。いいえ、オオウバユリの果実です。

ときどき動物に被食された果実も見られるので、動物にとっては美味しいのかもしれません。

この時期になると開花中の植物が少なくなるためか、開花中の植物にはハエやチョウ、ハチなど多くの昆虫が吸蜜?しに集まっていました。

厳しい生存競争の下、昆虫達の日々を生きる必死さをひしひしと感じます(哀愁)。


ん!?













土砂流入跡

山側から土砂が流れ込んだようですが、幸いにも木道自体は大きなダメージを受けていないようです。

小田代原周回線は支障なく通行できますが、木道が敷かれていない区間の一部ではぬかるみとなっている部分もありますのでご注意のうえ、初秋過ぎの奥日光をお楽しみください。

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2015年09月07日オオハンゴンソウで学んで遊んで!

日光国立公園 吉川 美紀

突然夏が終わり、余韻を残すこともなく秋がやってきた那須の事務所では8月末からフリースを着るくらい気温が下がってきています。気の早い木の葉は赤くなり始めており、今年の紅葉が楽しみです。

7、8月は私生活でも黄色い花を見かけると気になってしまうくらいに、特定外来生物・オオハンゴンソウに構いっぱなしでした。(もちろん他の業務もありましたよ!)

8月末にはサッポロビール株式会社那須工場さんが社会貢献活動として開催したイベントにて、外来生物駆除活動にご協力いただきました。これは社員ご家族と一般公募の参加者たちと一緒に外来生物について学んだ後、オオハンゴンソウ駆除を行うイベントで、当事務所も講師としてお手伝いさせていただきました。












(開会式)

しかし、残念ながらイベント当日は雨...さすがに外へオオハンゴンソウを引っこ抜きに行けるような天気ではありません。でも、せっかくなのでオオハンゴンソウをよく知ってもらう機会にしよう!ということで屋内ワークショップを行うことにしました。












(ワークショップ「葉っぱのスタンプ」中)

事前に用意しておいたオオハンゴンソウの葉に絵の具を塗って、ハンカチ大の布にスタンプしていきます。

オオハンゴンソウの葉は成長段階によって形が様々で、一本の茎に同じ植物かわからないような形の葉がつくのです。葉をよく観察して、気に入った葉を選んで(若めの丸みを帯びた葉が人気でした)、スタンプして作り上げたオオハンゴンソウハンカチがこちら!












(参加者作成オオハンゴンソウハンカチ)

色使いや配置がみなさん個性的で、ステキな作品ばかりでした!参加者のみなさんはもうオオハンゴンソウの葉の形は覚えちゃいましたよね!


駆除活動ができなかったのは残念でしたが、多くの方にオオハンゴンソウを知ってもらい、外来生物について考えてもらう良い機会となりました。

これからも、当事務所は自分たちの周りの自然について学べる機会をお手伝いしていきたいと思います!ぜひ、みなさんも自分たちが生きる自然について一緒に考えてみませんか?












(参加者全員で記念写真)

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2015年08月28日山奥に潜む滝

日光国立公園 櫨木 めぐみ

 日光は、お盆を過ぎてから秋のような気候です。しとしとと秋雨のような天候が続き、ぱったりと扇風機は不要になりました。今年は二十四節気の通り、"立秋"とともに秋に入った感じで、空気も雨も冷たいです。


 そんな秋雨が続く中、束の間の晴れ間が見えた日、滝の巡視をしてきました。その滝は、度々民間のガイドツアーなどで案内されてはいるものの、地図では名前が載る程度でルートが記載されておらず、歩道は整備されていません。そのため事前に情報を集め、当日は国土地理院の地図やGPSなどを持って、時間や地形図などを確認しながら足を進めました。

 一部歩きやすい区間もありましたが、途中からは不明瞭になり、有志の者による目印はあるものの見落としもしやすく、わかりづらくなっています。そのため、地図と現地の地形を頼りに確認をしながら足を進めることが何より大切になります。歩道として整備されていない分、人の気配もあまりないので、道中、無邪気な動きをする黄テンに遭遇したり、ツキノワグマの糞を発見したりしました。

 滝への道中は自ずと沢を上るのですが、沢なため地形の変化もあり、右岸や左岸を行ったり来たり、途中渡渉もあります。そして、ゴーッという音がする滝に近づく間際にはちょっとした岩場を上る場面も...。

 岩を上るとゴォォーッと、滝の音は大きくなります。それでも姿は一切見えないから不思議です。「カクレ滝」、その名のとおり岩に隠れていました。滝を見るために渡渉は必須。膝丈まで水に浸って正面に立つと、目の前に白い滝と美しいブルーの滝つぼが、小雨のようなミストと共に現れます。神秘的であり、どこか人を寄せ付けない雰囲気がありました。その姿を見届けると、足場や戻る方向など十分に注意を払って帰路につきました。

 涼しくなって活動しやすい時期になりますが、歩道整備の有無に関わらず、地図や必要な装備をもって自然の中へお出かけください。便利な機械もありますが、バッテリーや衛星状況などどうなるかわかりません。アナログな地図やコンパスも持つこと、使い方を知ることをお勧めします。クマの生息域でもあり、単独行動は避け、経験不足な方は経験のある方との同行やガイドツアーに参加するなどして、安全に楽しく自然を満喫して頂きたいです。


【おまけ】

 休憩中、成獣の雌ジカ1頭と出会いました。とても人に馴れており、自ら距離を縮めてくるほど。追い払うように近づいてもほとんど逃げません。真相はわかりませんが、何か餌付けされてしまった個体である可能性も否定はできません。もしそうなら、それは野生動物の彼女にとってはとても不幸なことです。休憩された後は、餌付けはもちろん、食べたものが落ちていないか、汁など捨てていない(汁ものは空いたペットボトルなどに入れてお持ち帰り下さい)か、周りにそのような落としものをしていないかお気をつけください。

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2015年08月17日登山口でもオオハンゴンソウ駆除活動!

日光国立公園 吉川 美紀

前回のAR日記(8/3)では、「那須高原も30℃近くなって暑いです!」とお知らせしましたが、少し天気が悪くなるととたんに25℃以下にまで気温が下がり肌寒ささえ感じるようになりました。リンドウやトリカブトも蕾をつけ始め、もう秋が近づいてきていますね。



さて、今回も特定外来生物・オオハンゴンソウのお話です。

標高1100m地点に位置する那須岳登山口の1つである「三斗小屋宿跡」、那須塩原市指定の史跡にもなっている場所に、なんとオオハンゴンソウの大群落があります。

登山口にオオハンゴンソウが生えていると、種子が登山者にくっついて運ばれ、山の上に外来生物のお花畑ができてしまう恐れがあります。

那須岳の貴重な自然を守るためにも、優先的に駆除を行いたい場所の1つです。














(三斗小屋宿跡・作業前)

一面が、まさにオオハンゴンソウの黄色いお花畑。

これを一つ一つ手で抜いていくのはムリ!ということで、今回は草刈り機で全て刈り払ってしまいます!

今回の駆除活動も、地元のボランティアさんたちにご協力いただき実現することができました。みなさんで一斉に草刈り機で刈っていただいた結果...!

(←駆除活動前/駆除活動後→)

高さ1~2mを誇るオオハンゴンソウ花畑は、見事なぎ倒されました。スッキリです。

駆除活動は丸1日行ったのですが、お昼ご飯はなんと、ボランティアさんの1人・お茶屋のお母さんが色々とお弁当を作ってきてくれました!みんなで机を囲んでまるでピクニック!こんな楽しい時間を過ごすきっかけになったオオハンゴンソウには少し感謝してもいいかな...。駆除はするけどね。














(お昼休憩♪)


草刈り機での駆除は地中に根っこが残るため、来年にはまた根から再生したオオハンゴンソウが生えてきます。これを衰退させていくためには、この先10年以上の駆除活動の継続が必要となるでしょう。今年はその一歩を踏み出せたところです。


『標高1100m地点に位置する那須岳登山口の1つである「三斗小屋宿跡」、那須塩原市指定の史跡にもなっている場所に、なんとオオハンゴンソウの大群落がありました。』

そう言える日を目指して、地元の方と一緒に那須の自然を守り続けていきたいです。

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2015年08月03日地元の高校生と一緒に那須の自然を守ろう!

日光国立公園 吉川 美紀

とうとう那須高原の標高880m地点にある当事務所でも、30℃近い気温を記録するような天気になってまいりました。

晴れるとセミたちが力いっぱい鳴き始め、夏!って感じです。(この辺ではエゾゼミやヒグラシが鳴いているので、セミらしい「ミンミン」ではないのですけどね)



こんな時期になると道路脇やあぜ道などで黄色い花を見かけたことはないでしょうか?

高さが2m近くにもなるような、大きな黄色い花をつける、すぐに自分のお花畑を作ろうとするあの植物...。そう、特定外来生物「オオハンゴンソウ」の開花の季節となりました!



先週、栃木県立那須高校が実施する那須町清掃ボランティア活動でオオハンゴンソウの駆除を行い、当事務所も講師としてお手伝いさせてもらいました。

事前に「外来生物」についてレクチャーを行い、当日にはオオハンゴンソウ判別カードを配布して高校生のみんなは駆除活動の準備万端です!












(現地でオオハンゴンソウについて説明中)

誰かがぼそっとつぶやきました。「花咲いてるし、こんな背の高い植物他にないし、判別するまでもなくオオハンゴンソウわかるね」みんな先ほど配った判別カードをポケットへ...。

皆さん事前レクチャーを良く聴いて、オオハンゴンソウの花を覚えてくれていたようで嬉しいです!ただ、判別カードは全て私の手作りなので、捨てないでね!












(オオハンゴンソウ駆除活動中)

そして、高校生たちはカンカン照りの中、一生懸命オオハンゴンソウを引っこ抜いていきます。たくましい根っこに苦戦しながら、トゲトゲのアザミをかき分けながら、汗と土で汚れながら。みんなの努力の結晶がこちらです。












(駆除したオオハンゴンソウと集合写真)

この写真の外には、駆除したオオハンゴンソウの山がもう1つできています。全て袋詰めしてトラックに積み込んだら、2tトラック1台分の量になりました。



那須高校の皆さんにはたくさんのオオハンゴンソウを抜いてもらいました。しかし、この植物は恐ろしい程の生命力と繁殖力を持っているのできっと来年、また今日抜いたのと同じくらいオオハンゴンソウは生えてくるでしょう。それでも、何年、何十年と駆除を続けていくことで根絶を目指すことはできます。

また来年、那須高校の皆さんと活動できる日を楽しみにしています!

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2015年07月15日クマ目撃情報

日光国立公園 櫨木 めぐみ

 今年も春先から少しずつですが、奥日光地域でのクマ(ツキノワグマ)目撃情報が入ってきています。戦場ヶ原周回線歩道付近では、6月から泉門池、湿原内の目撃が数件あり、また湿原園地近くの歩道脇には6月後半のものといわれるクマの樹皮剥ぎも確認されています。先週末には、歩道を横切るクマ、Uターンしてくれたからよかったものの走って向かってくるクマの目撃があったようで、ハラハラする情報が寄せられています。

 あらためて、日光国立公園は元々クマの生息地です。クマは「いる」ものとして、そこへ散策等をしに入って行くということを再認識し、こちらをご確認ください。

【奥日光クマ対策】国立公園利用者へお願い.pdf 
【奥日光クマ対策】ツキノワグマの性質、生態.pdf

 ちなみに、シカ侵入防止柵外のもの(小田代原周辺にて)ではありますが、赤外線カメラに映ったツキノワグマの連写写真を掲載します。このクマは移動中と見られ、優に体高60cmはある成獣です。このクマが通ろうとしているところは林道で、その林道を横切り、ほぼ正面に設置してあったカメラにより激写されたというものです。


 この姿を見ると、正面で遭遇したらこんな感じなのだろうかと想像できる写真です。これまでにも赤外線カメラで撮影されたクマの写真はありましたが、初めて写真で恐怖を覚えました。よくよく見ると、立派な鋭いツメが見えます。こんなもので触れられたら、深傷を負うのは間違いないでしょう。正直、怖いです。そして、この恐怖心が重要ではないかと個人的には思います。ただし、むやみに怖れるでもなく、理解した上で怖れ敬うこと、かつてからあった自然に対する畏敬の念に近いものかもしれません。

 奥日光の自然散策をされる場合、事前に最寄りのビジターセンターへ立ち寄るかホームページで最新の目撃情報(日光湯元ビジターセンタークマ目撃情報http://www.nikkoyumoto-vc.com/nature/kuma_d.html)を確認し、頻出箇所は回避する、単独行動は避けるなどご理解とご協力をお願いします。また、目撃した際は最寄りのビジターセンターへの立ち寄り、もしくは一報を頂けると幸いです。

【クマ目撃情報発信・受付】
◆日光湯元ビジターセンター(TEL 0288-62-2321) 
◆赤沼自然情報センター   (TEL 0288-55-0880)

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2015年06月23日那須岳登山は雷にご用心!

日光国立公園 吉川 美紀

先週、那須連山主脈縦走線の巡視に行ってきました!
茶臼岳~大白森山までの縦走線は現在環境省の管理となっており、時々この登山道や施設の状況を確認しています。

今回はこの栃木県と福島県にまたがるロングコースの南側半分(茶臼岳~朝日岳~三本槍岳)を、今月中にはさらに北側半分(三本槍岳~甲子山~甲子峠)を予定しています。


最近は不安定な天気が続き、巡視当日も夕方から雨の予報が出ていました。那須岳の、特に三本槍岳は雷雲の通り道であるため「大気状態が不安定」と予報される日は雷注意の日なのです。

まぁ今回はそんなに帰りが遅くならないだろうし、雨が降る前に行っちゃいましょう!...という甘い考えが危ないのでした。



那須岳では花のシーズンが始まりました。今はイワカガミやアカモノといった小さな花から、ウラジロヨウラクやサラサドウダンといった変わったツツジが満開です。












(左上から時計回りに白いイワカガミ、アカモノ、ウラジロヨウラク、ベニサラサドウダン)


登山道の状況を確認しながら、手入れできる部分は処理しながら順調に進んで行きます...が、昼過ぎ頃、雨が降ってきてしまいました。

空模様が怪しくなったのは三本槍岳山頂。この周辺は稜線上のルートしかなく、エスケープルートもありません。

そしてとうとう雷の音が聞こえ始めてしまいました。これは稜線上にいるのはまずい!急いでとにかく尾根から脱出するために降りよう!そしたら大粒のひょうが降ってきた!

雷鳴とひょうに追いかけられながら大急ぎで下山。稜線から離れ鏡ヶ沼まで降りてきたら少し天候が落ち着いてきて一息つけました。モリアオガエルの声が安心します...。












(今の時期の鏡ヶ沼はモリアオガエルの卵がたくさん)


今回は悪天候を想定して雨具等を装備していたこと、何度も通ったことがある知った道であったおかげでスムーズな回避行動が取れました。しかしこれが知らない道だったら?霧で何も見えなかったら?雷が近くに落ちていたら?



悪天候の登山は危険がいっぱいだということを身をもって実感しました。

事前の準備、情報収集は怠らず!

引き返す勇気を持って!

もしもの際のエスケープルートの確認はしっかりと!

安全で楽しい登山をしましょう!

↓那須高原ビジターセンターでも登山道情報を発信しています↓

http://www.nasuheiseinomori.go.jp/vc/

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2015年06月19日茶ノ木平巡視

日光国立公園 櫨木 めぐみ

 先日、茶ノ木平を巡視してきました。明智平ロープウェイからのスタート。この日いろは坂の下は晴れていたのですが、坂を上るごとに曇天に...。しかし、なんとか天気がもち、ポスターや観光雑誌で見る華厳の滝と中禅寺湖のショットを拝むことができました。さすが、日本三大瀑布の一つ、遠くからでも迫力がありました。

途中、足下には咲き始めのギンリョウソウ、シカの痕跡(足跡や糞、樹皮剥ぎ)、そして踏み固められたであろう歩道上の土から出てきたばかりのセミの幼虫と遭遇しました。また、戦場ヶ原周辺の森ではあまり見かけないブナ林も広がっていました。
ギンリョウソウ、地上界へ出たてのセミ、ブナ林
 それらを通過した先、茶ノ木平にはササ原が広がっていました。茶ノ木平は、かつて自然植物園があったようで、そこに繋がる中禅寺湖温泉ロープウェイもあったようです。なお、常設されている看板の中には、旧い情報のままの地図を掲載したものもありますのでご注意下さい。

 また、道中、歩道と送電線巡視路が交差している箇所がいくつかありました。私たちが片道切符だったこともあり、ロープウェイの方が道迷い防止の地図を渡してくれたのですが、確かに迷いやすい道でした。もらった地図も参考に、持参した地図と道標を確認しながら、足を進めたものです。

 今回の巡視中、一時霧がかることがあったのですが、そのように天候により道中をはばまれることや、現地の地図情報が旧いこともあります。そのため、これから登山や自然散策にむく季節になりますが、お出かけの際は地図を持参し、また地図はできるだけ最新のものをご利用下さい。

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2015年06月12日一面

日光国立公園 櫨木 めぐみ

 交通規制がかかっていて低公害バスや徒歩、もしくは遊覧船からでないと行けない1002号線。その奥には小田代原、西ノ湖、千手ヶ浜などの自然が保全されています。

 その千手ヶ浜はこの時期、たくさんの利用者で溢れています。そのお目当てが...

一面クリンソウに覆われています

そう、クリンソウです。

クリンソウで覆われた一面のピンクや紫、白色は確かにきれいでした。ただ、それよりも普段のこの辺りの静かな姿を知っているためか、山間の奥地とは思えない人の多さに圧倒されてしまいました。そして、このクリンソウはというと...

ご覧のとおりクリンソウ専用の防鹿柵に囲まれております。このあたりは、シカが群れをなして生息する場所でもあるのです。

 クリンソウ柵の外はというと、青々とした緑。なんて豊かな自然がひろがっているのだろう!と思われるかも知れませんが、よくその緑色を見ると同じ種類の植物でこちらも一面覆われているのです。

その代表格として、マルバダケブキ、シロヨメナ、キオン、イケマ...これらは、シカの忌避植物です。しかし、かつてはこんな単一な姿ではなかったようです。シカも食べ物の好き嫌いがあるわけですが、彼らも今のような嫌いなものに囲まれるのもあまり嬉しくないでしょうね。しかし、そうせざるを得ない状況や環境になったとも言えるのではないかと思います。

 千手ヶ浜から西の林内へ足をのばすと、ひっそりと西ノ湖が佇んでいます。私が訪れたこの時期は、だいぶ干上がっていました。西ノ湖は独立した湖で、降水量により貯水量が左右されるのですが、いかにここのところ雨が少なかったがわかります。しかし水分を多く含む湖の土壌。そのため、ここにもそこら中にシカの足跡が...。そして、西ノ湖の周りの防鹿柵により行き場がなく、ハイカーの中に登場せざるをえなくなったシカもいました。
西ノ湖。 逃げ惑うシカ。

柵や交通規制などの保全等により保たれている自然の豊かさはありますが、偏りがあるのも事実です。一面だけでなく多面的にみること、バランスをとることの難しさなど、そんなことを改めて再確認した巡視でした。

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2015年06月09日那須の自然情報~今年も「あの植物」が...!~

日光国立公園 廣瀬勇二

5/8に開山祭が行われ本格的な登山シーズンに入った那須よりお知らせです。

6月に入りようやく毎年雪が残る登山道からも全ての雪がなくなりました。これから那須岳は雷が多い季節になりますので、事前の情報収集や準備は万全に!引き返す勇気を持って登山をお楽しみください。



また、今年は季節の移り変わりが例年に比べ1週間以上早く、新緑は深緑に変わり、ヤマツツジやシロヤシオ、ミネザクラ、シャクナゲは開花を終えました。

現在はサラサドウダンやウラジロヨウラクなどのちょっと変わったツツジや、山に小さく差し色を入れてくれるイワカガミなどを楽しむことができます。












(イワカガミ 茶臼岳にて撮影)

最新の自然情報については、那須高原ビジターセンターなどでチェック!

■那須高原ビジターセンター

http://www.nasuheiseinomori.go.jp/vc/

■那須平成の森

http://www.nasuheiseinomori.go.jp/




さて、色々な生きものが活動を始める陽気となり、当事務所とも関わりの深い「あの植物」も芽吹いてすくすくと成長を始めました。












(「あの植物」の今の姿)

そう、特定外来生物の「オオハンゴンソウ」です!

(わかった方は相当マニアックです。ぜひ駆除活動に力を貸してください!)



今年度も、5月末から地元のボランティアさんや地元企業の方にご協力いただき駆除活動を開始しました。毎年駆除活動を行っている場所では年々駆除数が減少してきており、活動の成果が実感できるようになってきています!











(右:ビジターセンターにて開会式・左:駆除活動の様子)


外来生物対策で最も大切なことは継続することです。那須の外来生物対策は「那須の元々ある自然を守りたい」という思いを持った地元の方々のご協力に支えられています。この活動は5~9月の間、月1回行っています。

当事務所の活動に興味のある方、日光国立公園那須甲子・塩原地域にて外来生物を見かけた方は 那須自然保護官事務所 までご連絡ください。



さぁ、覚悟しろオオハンゴンソウたち!今年もいっぱい引っこ抜くぞ!

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