日光国立公園
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2016年10月26日紅葉!
日光国立公園 太田祐司
皆様こんにちは!
日光も朝晩はだいぶ冷え込み、そろそろペレットストーブが恋しい時期です。
奥日光の紅葉情報は、いろいろなところでご覧にはなっているかと思いますが、
やはり、外せない情報ですので紹介します。
今年の奥日光の紅葉は例年より遅れ気味と言われていますが、今週末は中禅寺湖周辺が、
見頃の様です。
中禅寺湖道路の展望台からはこんな感じで見えます。これは10月20日なので、今はもっと鮮やかです。
歌が浜の駐車場では、ナナカマドの赤とカツラの黄が綺麗でした。
紅葉時期のカツラは甘い香りも、漂わせています。色彩だけで無く香りも楽しんでください。
歌が浜の西の対岸の千手が浜周辺は、モミジ類の紅葉が綺麗でした。
この時期、赤沼から千手ケ浜へは低公害バスの早朝運行も行われています。
防寒着を持って、朝の散策はいかがでしょうか?
今週末の奥日光は、紅葉のピークで交通渋滞が予想されます。
時間に余裕を持ってお出かけください。
2016年10月03日那須平成の森5周年イベント
日光国立公園 吉川 美紀
最近は気温が下がり空気が澄んできた、すっかり秋の様相の那須よりお知らせです。
現在、那須岳の紅葉は6~7分程度、そろそろ見頃を迎えます。
時間帯によっては気温が10℃を下回ることもあるので、お越しの際は防寒具の準備をお忘れ無く!
(那須岳の紅葉状況:牛ヶ首から姥ヶ平を撮影)
さて、那須平成の森は今年で5周年を迎えたことから、9月26日に開園5周年記念イベントを開催いたしました。
イベントの内容はこちら↓
①5周年記念セレモニー
来賓の方々よりご挨拶をいただいたあと、那須平成の森の5年間の歩みをご紹介しました。
(関東地方環境事務所所長あいさつ)
②ワークショップ「消しゴムハンコでオリジナルしおりを作ろう!」
私たち職員が自作した那須地域、那須平成の森にちなんだ柄の「那須平成の森ハンコ」をしおりやコースターに押して、オリジナル作品を作ってみました。
(子どもたちがぺたぺたハンコを押しています)
③ガイドウォーク参加「レンジャーと歩く那須平成の森」
普段は「インタープリター」が案内している森を、今回はレンジャー&アクティブレンジャーがご案内しました。
(インタープリターは自然と人との橋渡し役。その時その場所の自然が発するメッセージを、人にわかりやすく伝える専門家のことです。)
(アクティブレンジャー解説中)
地元に支えられ成長してきた那須平成の森の今までを振り返り、これからをみなさんと考えるイベントとなりました。
これからもどうぞ那須平成の森をよろしくお願いいたします!
●那須平成の森HP●
2016年09月05日祝☆那須平成の森5周年!
日光国立公園 吉川 美紀
台風とともに夏も去ってしまったようで、ずいぶんと秋めいて涼しくなってきた那須よりお知らせです。
なんと今年、那須平成の森が開園から5周年の節目を迎えます!
もう5年?まだ5年?感じ方はそれぞれだと思いますが、地元に支えられて成長してきた那須平成の森は、この5年間で色々なことにチャレンジしてきました。
この5年間の歩みを、那須平成の森を見守ってくださった皆様と一緒に振り返ろう。
そのような気持ちで、
「那須平成の森5周年記念イベント」 を開催いたします!
<開催日時>
平成28年9月26日(月) 10:00~15:30
(記念セレモニーは、11:00~12:00)
<開催場所>
那須高原ビジターセンター(栃木県那須郡那須町湯本207―2)
※ガイドウォークのみ那須平成の森(栃木県那須郡那須町高久丙3254)
<内容>
10:00~11:00 ワークショップ「消しゴムハンコでオリジナルしおりを作ろう!」
11:00~12:00 記念セレモニー・パネル展示※
13:30~15:30 ガイドウォーク「レンジャーと歩く那須平成の森」
※その他、巡回パネル展示展を実施
申し込み方法等、詳細は日光国立公園HPをご覧ください。
http://kanto.env.go.jp/to_2016/post_69.html
あの時歩いた那須平成の森は今どうなっているのかな、と気になるみなさま
名前は聞いたことあるけど実は行ったことないんだよな、というみなさま
ぜひこの機会に那須平成の森へお越しになりませんか?
今までの5年間を振り返り、これからの那須平成の森について一緒に考えましょう!
2016年08月30日タヒチ?いいえ、奥日光です。
日光国立公園 中野純
<ここはタヒチですか?それともオアフ島かな?
<いいえ、奥日光です。手前の湖は中禅寺湖、背景のそびえ立つ山容は男体山ですね。
ここは奥日光の中禅寺湖畔。ご覧のとおり、好天に恵まれれば、日本にいながらも南太平洋のリゾート地タヒチに訪れたと錯覚しかねません。(誇張しすぎ?)
日光の湖沼を代表する中禅寺湖は、男体山の噴火によってできた火山性せき止め湖で、周囲25㎞、最大水深163mあります。
明治時代から昭和初期にかけては、湖畔に欧米各国の大使館別荘が次々と建てられるとともに、フライフィッシングやヨットレースなど様々な西洋文化が持ち込まれ、国際避暑地として賑わった歴史があります。明治の開国以来、横浜等の居留地とその周辺に行動範囲が制限されていた各国外交官たちは、夏の高温多湿から逃れるため、避暑旅行に出かけ、日光にやってくるようになったそうです。
現在、イギリス、イタリア、フランス、ベルギーの4ヶ国の大使館別荘が湖畔に佇んでおり、イギリスとイタリアの両大使館別荘はその役目を終え、現在は記念公園として一般公開されています。(入場は有料)
旧イギリス大使館別荘は今年の7月に開園したばかりで、週末には多くの利用者で賑わっているようです。
往事の歴代大使が楽しんだ、中禅寺湖とおりなす背景の山々を眺望できる贅沢なくつろぎを追体験できます。
ぜひお越しください!
詳細は栃木県立日光自然博物館のホームページをご覧下さい。
http://www.nikko-nsm.co.jp/topics/?p=1734
夏休みも終わり間近となった8月26日、日光パークボランティア8名とともに中禅寺湖周回線歩道南岸で清掃活動と標識磨きを行いました。歌ヶ浜駐車場から千手ヶ浜までの約12㎞を7時間。
歴史を感じさせる空き瓶や湖畔に吹き寄せられたペットボトルなどの他、地面に顔をのぞかせたビニールもありました。
顔をのぞかせているビニールを引っ張ると、次々とゴミが出てくることがあります。昔は、ゴミを埋めることが一般的な処理だった時代もあるそうです。当然、回収しようと掘れば掘るほど次々とゴミが姿を現します。(笑)
現在はマナーも向上し、ゴミを埋める人や意図的に捨てる人はいない、少なくなったことは事実でしょう。しかし、歩けば必ずゴミは見つかります。奥日光をはじめ、みんなが気持ちよく過ごせるよう、ゴミ持ち帰りがさらに社会に浸透してほしいものです。
いざ、千手ヶ浜へ! 看板拭きもやりました!
2016年08月01日那須の自然を守ろう!~地元の高校生と一緒編~
日光国立公園 吉川 美紀
とうとう関東は梅雨が明け、那須でも本格的な夏シーズンが到来しました!
那須平成の森でも晴れるとセミが力いっぱい鳴き、クワガタやアサギマダラなども現れ、虫とり少年(時々青年)が駆け回っている姿が良く見られます。(那須平成の森では虫の持ち帰りはご遠慮いただいています。観察した後は森へ返してあげましょう。)
■ 那須平成の森HP ■
http://www.nasuheiseinomori.go.jp/
さて、こんな時期になると道路脇やあぜ道などで黄色い花を見かけたことはないでしょうか?
高さが2m近くになり、大きな黄色い花を咲かせ、すぐに自分のお花畑を作ろうとするあの植物...。そう、特定外来生物「オオハンゴンソウ」開花シーズンとなりました!
先週、栃木県立那須高校が実施する、那須町清掃ボランティア活動でオオハンゴンソウの駆除を行い、私も講師としてお手伝いさせてもらいました。
(現場でオオハンゴンソウについて説明中)
高校生たちは、作業前に行った外来生物についてのレクチャーを真剣に聞いてくれ、現場に着いたらすぐに「この黄色い花だよね?」とオオハンゴンソウを発見!やる気満々でオオハンゴンソウに立ち向かい始めました!
(オオハンゴンソウ駆除活動中)
あいにくの霧雨でしたが、高校生たちは楽しそうにオオハンゴンソウを引き抜いていきます。土で汚れながらもたくましい根っこに苦戦する子、トゲトゲのアザミと格闘する子...それでも楽しそうな姿を見て、大人たちも負けていられません!
みんなの努力の結晶がこちらです↓
(45Lゴミ袋約60袋分のオオハンゴンソウ)
那須高校のみなさん、悪天候の中本当にお疲れさまでした!
みなさんには毎年たくさんのオオハンゴンソウを駆除してもらっていますが、この外来植物は繁殖力と生命力が非常に強いので、来年もまた同じくらいのオオハンゴンソウが生えてくるかもしれません。それでも何年、何十年と駆除を続けることで根絶を目指すことはできるのです。
これからも地元のみなさんと一緒に那須の自然を守り続けていきたいと思います!
2016年07月21日ノアザミ、ホザキシモツケ花盛り!
日光国立公園 太田祐司
皆さんこんにちは!
西日本では梅雨が明けて、いよいよ夏本番のようですね!
関東はまだ梅雨明けとなっていませんが、奥日光では梅雨が無いと言われるように、いろは坂より下では雨でも戦場ヶ原では晴れていることがありますので、ぜひおいでください。
さて、小田代原では今ノアザミが見頃です、小田代展望台から小田代原を見ると貴婦人シラカバの手前の当たりが紅紫にかすむような花の量です。
戦場ヶ原や小田代原では、ホザキシモツケも花盛りです。
幼虫がホザキシモツケを食べて、栃木県では奥日光だけで見られるフタスジチョウもたくさん飛んでいます。
まもなく梅雨明けです、高原の花や蝶を見ながら、戦場ヶ原や小田代原の自然を楽しみに是非おいでください。
2016年06月27日霧降高原から女峰山へ
日光国立公園 太田祐司
日光オジイチャンレンジャーの太田です。
6月20,21日でやっと日光連山の山域の巡視に出かけることができましたので、報告です。
11月に女峰山周辺で予定されているトレイルランニングの大会コースの調査にTレンジャー(以下TR)が、霧降高原~赤薙山~女峰山~山内(東照宮等のある区域)を大会実行委員と歩くので、お供を募集とのこと。
日光に着任して通勤は、日光の杉並木を通って女峰山や男体山に向かって車で走っており、毎日が気持ちが良く、その山に出かけたい気持ちが募っていました。
女峰山は日帰り巡視ではなかなか行きづらい場所であり、頂上下の唐沢小屋1泊の予定で植生観察の時間もとれそうな計画です。同行をぜひにとお願いしました。ルート名が霧降、女峰というのも素敵です。
10:00スタートの霧降高原キスゲ平はニッコウキスゲが咲き始めです。天空回廊という1,445段の階段も迫力があります。キスゲ平はこれからがベストシーズンです。ぜひおいでください。
階段が終わると笹原の中の道、登山道の様子を確認したり、道幅を測定してみたりしながら進みます。
残念ながら複線化が進んでいたり、雨水の浸食が見られる所もあります。
赤薙山は鳥居のある樹林に囲まれた静かな山頂でした。
赤薙山からの尾根道は小さな起伏に富んだコメツガとハクサンシャクナゲの多い道です。
身軽に歩くTRを追います、後ろからはM大出身のヒマラヤニストがピッタリついて来て、追い立てられているような気分です。だんだん、登山道や植生の確認がおろそかになってきます。
赤薙山や赤薙奥社で会ったのは、平日でもあり仕事をリタイアした明らかに私より年配の方たちで、単独行の方は、霧降に下山して車中泊をして明日は大真名子に登るとのことで、私も頑張らねばと思いつつ歩きます。
登山道脇にもヒメイワカガミやイワカガミが見られます。開花の時期だったのかイワカガミはたくさんありました。
ゴゼンタチバナやマイヅルソウも多く見られ、亜高山の雰囲気が満点です。
一里ヶ曽根(2295m独立標高点)ではハイマツやコケモモも出て来て、高山に来たなと思わせます。
しかし下ったコルではダケカンバの巨木があり、平坦で歩きやすく、冷たい水場もありました。
この水場で小屋泊のための水を補給し、荷物が少し重くなります。
これからが女峰山への最後の登りで、ハイマツもたくさん出て来ます。このハイマツの中に中部山岳から岩手の焼石岳の間で、女峰山に隔離分布しているキバナシャクナゲがあるはずですが、ハクサンシャクナゲも多く歩きながらの観察では確認できませんでした。
山頂直下で急な岩尾根があり、古びたトラロープがぶら下がっています。そこを登り切ると目の前にミヤマダイコンソウがありました。この種も日光連山では分布が限られているようです。
ハイマツの中の道を辿るといよいよ山頂16:00着です。帝釈山や大真名子山がよく見えます。
山頂部では栃木県ではここだけでしか見られない、ウラシマツツジを探しましたが、見つけることはできませんでした。
この日は、頂上から30分ほど下った所にある、唐沢避難小屋で1泊。小屋にはトイレが無いので周囲の汚れ具合が気になっていましたが、以外にきれいでシカの糞の方が非常に多かった!!
翌朝は霧がかかり涼しい中を、日光東照宮等のある山内地区へ長い尾根道を下山します。途中にはこんなガレ場が何カ所かあり、落石注意です。
下山途中には、快適な笹原の中の道もありますが、対岸を見るとシカ道がはっきりと見えて、日光のシカ問題のことを考えながら歩くことになりました。
この後、山内が近づいた樹林地でも登山道を横断して走り回るシカに遭遇しました。
今回の巡視は、登山道の状態や隣接部の地被植物の状態を見ることに留意しましたが、植生に対するシカの影響を感じることが多く、やはり日光国立公園の重要課題の一つであると認識しました。
2016年06月14日アクティブ・レンジャー写真展開催中!(日光湯元VC ~7月3日)
日光国立公園 太田祐司
日光湯元ビジターセンターで関東地区のアクティブ・レンジャーによる写真展が開催中です。
関東地方の国立公園/国指定鳥獣保護区で活動するアクティブ・レンジャーが撮影した写真で、雄大な自然や動植物など各地域の様子をご紹介します。
4月の小笠原母島をスタートし、来年3月の那須高原ビジターセンターまで、関東地区の主としてビジターセンターで開催されます。
日光湯元VCでは 6月11日(土)から7月3日(日)まで開催します。
http://www.nikkoyumoto-vc.com/
写真のほか、国立公園や生物多様性についてのパンフレットが無償配布されています。まとまって手に入りますお得です!!
現在、湯元VCの周りでは、シウリザクラが満開です。
梅雨時、表日光が雨でも奥日光が晴れということがあります。ぜひ、湯元にきてください。
雨でも、シウリザクラやVCの展示・アクティブレンジャーの写真展を見て、日帰り入浴を楽しむなどはいかがでしょうか?
ぜひ、おいでください。
2016年05月30日外国からやって来た植物
日光国立公園 中野純
今日(24日)の最高気温は、気象庁データによると、石川県小松で33.8℃を記録したそうです。本州はまだ梅雨を迎えていませんが、なんだか真夏を連想させますね。
日本の蒸し暑い夏、外出が億劫になりがちの方は多いと思いますが、蒸し暑い夏だからこそオススメな場所は・・・・
もちろん奥日光です!
明治時代、外国人の国内旅行が徐々に自由になり、欧米諸国の外交官たちの避暑地として注目されたのが奥日光でした。
次々と大使館などの別荘が建てられ、日本の皇族や貴族なども訪れるようになりました。やがて、外交の中枢を担う人たちの多くが、蒸し暑い時期には奥日光で静養するようになり、大正から昭和初期にかけて奥日光は「夏場の外務省」と呼ばれていた時期もありました。
奥日光は100年以上前から避暑地として有名な場所です。
今年の夏は、奥日光に避暑を兼ねて観光やハイキングの予定を立ててはいかがでしょうか?
ところで、外国から奥日光にやって来たのは人だけではありません。
現在では、外国を原産地とするさまざまな植物が奥日光の各所に分布しています。
その1種がハルザキヤマガラシです。
ハルザキヤマガラシは、ヨーロッパ原産の多年生草本で、日本には、明治末に渡来しました。
現在では、本州以北を中心に定着し、牧草地、畑地、水田、荒れ地、道端などに広がっています。
奥日光では、5月中旬頃から黄色の花を咲かせ始め、国道120号沿いでは、とても目立つ存在です。
道路沿いに群生するハルザキヤマガラシ
ハルザキヤマガラシは、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(通称:生態系被害防止外来種リスト)」の総合対策外来種(その他の総合対策外来種)に指定されています。
総合対策外来種:国内に定着が確認されているもの。生態系等への被害を及ぼしている又はそのおそれがあるため、国、地方公共団体、国民など各主体がそれぞれの役割において、防除(野外での取り除き、分布拡大の防止等)、遺棄、導入、逸出防止等のための普及啓発など総合的に対策が必要な外来種。
戦場ヶ原は標高1400mにあり広大な湿原には貴重な湿性植物の群落があり、景観も非常に優れていることから、国立公園の特別保護地区に指定されていますが、ここにもハルザキヤマガラシが侵入しています。
環境省では、戦場ヶ原の景観を守るため、日光パークボランティアの協力のもと、平成20年から戦場ヶ原上流部に流入する逆川を中心にハルザキヤマガラシの除去活動を継続して行っています。
除去活動の様子
除去活動が始まった当初は、ハルザキヤマガラシが真っ黄色に染め上げた光景が見られましたが、現在ではぽつぽつと点在する程度になっています。
しかし油断はできません。除去圧を緩めれば、また生育範囲を拡大することでしょう。
これからも除去圧をガンガンかけていきます!
今日の成果 ハルザキヤマガラシ4.5㎏
※参考文献
日本帰化植物写真図鑑(著:清水、広田、森田)
日光パーフェクトガイド(著:日光観光協会)
<いざ、大真名子山(おおまなごさん)へ>
10月27日(木)、登山道や自然環境などの現状把握を目的に表日光連山の中央に位置する標高2,375mの大真名子山に行きました。
戦場ヶ原から見る(右から)男体山、大真名子山、小真名子山
<車両通行規制>
梵字飯場跡駐車場に駐車し、徒歩で裏男体林道~志津峠~大真名子山山頂に向かいました。以前は、志津峠までの裏男体林道は一般車両の通行も可能でしたが、現在では通行は禁止されていますのでご注意ください。
車両通行ゲート
<舗装路が秋模様へ>
主観になりますが、奥日光全体としては、紅葉の見頃は終盤となりました。落葉樹は寒さの厳しい冬に備え、葉に蓄えられた栄養分を樹幹に移動させ、矢継ぎ早の様にヒラヒラ葉を落としています。生葉を失くした樹木や地面に積もった落葉を見るとなんだか心寂しさを感じます。一方で、今の季節ならではの気分が少し上がる発見をしました。
裏男体林道の本区間は普遍的で殺風景なアスファルト舗装路ですが、様々な樹種のカラフルに彩られた落葉が散りばめられたことで、秋を感じさせる模様になっていました。
オシャレな舗装路
<雪山の住人>
しばらく歩いていると、小さい鳥が立木から立木へせわしく活発に動いていました。コガラです。ゴジュウカラとともに早春の山を代表するさえずりの主です。近縁のカラ類に比べ、季節移動をほとんどせず、雪山で春を待つ個体も珍しくないそうです。雪山に残れる秘訣は、植物の種子や実などの食料を貯蔵する習性です。かつて志賀高原で行われた調査によれば、10月に採った食物の9割近くは蓄え、冬の間の食料の7割が秋に蓄えてあったものということが分かったそうです。長い進化の歴史で会得した冬を生き抜く知恵ですね。
シジュウカラ科コガラ
<信仰の歴史と行者の足跡>
1時間15分かけて志津峠までを登りきったところで休憩。ここまでは通過点に過ぎません。(そこそこ疲れますが)志津峠から山頂までの急坂な林内ルートが本番です。
ところで、大真名子山の信仰の歴史は古く、鎌倉中期には日光修験の秋の入峰修行コースに入っていました。行者たちは、今の二荒山神社から女峰山を経て、峰筋を駆け登り、この山頂から千鳥返し(日光三険の一つ、鎖場)を駆け下って男体山へと修行しました。この峰修行は明治初年途絶えましたが、山伏の足跡は現在の登山道として生きています。
志津峠から大真名子山を望む
<登山者を阻む千鳥返し>
志津峠から登り始めて1時間40分が過ぎた頃、最大の難所に辿り着きました。女峰山の馬の背渡り、太郎山の新薙とともに数えられる日光三険の一つ、大真名子山の千鳥返しです。高さ10mほどのほぼ直角の岩場が登山者の通行を阻みます。といっても今は、鎖やはしごが設置されているので、行く手を拒まれると云うことはありませんが、慎重な行動が必要です。
千鳥返し
<標高2375mからの眺望>
志津峠から登り始めて2時間後、山頂に到着。山頂付近は大きな露岩が見られ、周辺をハクサンシャクナゲ、マルバシモツケ、ミヤマハンノキ、オオシラビソ等が茂っています。南西~北西~北東の180°方向に向けての見晴らしは申し分ないです。普段は戦場ヶ原や小田代原などから大真名子山を見上げていましたが、今回はその逆ですね。「いつもあそこから見上げてたんだなぁ」と、おにぎりを頬張りながら感慨深い気持ちになりました。
山頂の状況 戦場ヶ原方面を望む
<最後に>
今日は天候に恵まれたこともあり、ポカポカ陽気の下での山行となりました。登山道には、目印となる標識やリボンが設置されており、道に迷うことはないと思いますが、道中は急坂やガレ場、鎖場などいくつかの難所を越える必要があります。登山にあたっては、十分に体力を高めておくことと、温かい服装、しっかりした登山靴などの装備を十分に準備したうえで登山を楽しんでください。
<参考文献>
改訂版鳥のおもしろ私生活(ピッキオ)
栃木百名山ガイドブック改訂新版(下野新聞社)