ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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小笠原国立公園 小笠原

257件の記事があります。

2013年12月02日ヒトとペットと野生動物が共存できる社会を作るために

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

以前に島ネコマイケルについてご紹介しました。
その取り組みについて絵本があります。
http://c-kanto.env.go.jp/to_2008/0423a.html

今回は小笠原のノネコ問題について、中央大学の方々が取材をして、それをまとめた映像をご紹介します。

・多摩探検隊HP
http://www.tamatan.tv/
・Youtube
http://www.youtube.com/watch?v=JLdTLoo2kMQ

本当にノネコが飼いネコになるのか?
絵本や写真や文章では伝えきれなかったことが分かりやすく映像化されています。
映像を見ていて、さすがプロ!さすが獣医師!!と思いました。

小笠原のノネコに関わる方々のおかげで、アカガシラカラスバトの目撃がだいぶ増えましたし、海鳥たちの営巣数も増えてきました。

ヒトとペットと野生動物が共存できる社会を作るために、皆様のご協力を宜しくお願い致します。

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2013年08月15日大発見っ!

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

先日、希少植物の巡視に行ってきました。
見てきた植物はムニンツツジ(ツツジ科ツツジ属)
固有種で小笠原諸島父島のみ自生します。
そして野生株は何と、1株しかないという大変希少な植物です。



1980年代に、小石川植物園を中心に増殖栽培を確立して、自生地などへの植え戻しを行いました。
今では父島で数カ所で生育して毎年よく開花・結実しているのですが、今まで自然実生が見られることはありませんでした。


それが何とっ!


ムニンツツジの実生を発見したのですっ!!!



写真を撮り専門家に見てもらったところ、発芽してから5年以上は経っているとのことでした。
1968年の調査で4本の老木と幼苗株が確認されていて、その後台風や干ばつの影響により1987年に野生株1株を残すのみとなりました。
それ以来の新規発見ができて大変うれしかったです。
意外なところで見つかったので、今度歩く時も気をつけていきたいと思います。
すくすくと成長して大きくなって欲しいですね!


世界で2個目の野生株!

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2013年05月14日春の訪れ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

という題名ですが、小笠原は梅雨入りした模様です。
(正確には、梅雨前線は小笠原の北に現れることが多いため、梅雨はないと言われています。が、大体5月ごろから雨の多い時期なので、この時期に雨が降ると梅雨が来たと言います。)

ちょっと前に撮った、春の訪れを感じる写真をご覧ください。



こちらは、シマイスノキ(マンサク科:固有種)
乾性低木林の主要な木です。
緑の世界の中に小さな赤い花を咲かせるので良く目立ちます。
この花は春と秋に咲きます。




こちらは、ムニンネズミモチ(モクセイ科:固有種)
これも乾性低木林の主要な木です。
小さい白い花が咲きます。
ちなみに、名前の由来は果実がネズミの糞に似ているからです。




こちらは、イソヒヨドリ(ツグミ科)のヒナ
オスの体毛の色から、島の言い方では「ルリチョウ」と呼ばれています。
メスは地味です。
この子は巣立ったばかりなので、頭がまだモヒカンですね。
今はまだ一人立ちの練習期間なので、巣から出ているとはいえまだ親鳥から餌
を貰っている模様です。
無事一人立ちするのを楽しみに毎日観察しています。

残りのものは、次回をお楽しみに。

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2012年12月06日ビックニュース

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

12月5日にうれしいニュースが飛び込んできました!

何度もこのアクティブレンジャー日記に登場したアホウドリ
第3の繁殖地を作るために2008年から2012年の5年間、伊豆鳥島からアホウドリのヒナを小笠原諸島聟島に運んで、山階鳥類研究所をはじめいろんなの方々が毎年約4か月ほど無人島で生活をしながら、アホウドリの飼育を行ってきました。

最初の頃は本当に戻って来てくれるのかいろいろ不安がありましたが、3年後には最初に巣立ったアホウドリたちが戻って来てくれました。
そして、その後も続々と帰ってきて何組かカップルも誕生しました。


そしたらっ!

何とっ!


最初に巣立ったアホウドリがとうとうお父さんになりました!
遠隔操作できるカメラで観察・確認したところ、このアホウドリの卵であろうとのこと。
あと2か月ほどで初☆聟島産まれのヒナが誕生します!!

聟島がアホウドリ類の楽園になるものもう少しですね♪


写真は2008年に運ばれてきたアホウドリのヒナ。
もしかしたら、この中に写っているのが親かも!?

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2012年11月08日夏から秋へ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

他の地区の方々が冬支度の様子を日記にしているので小笠原の冬支度の話を

父島では11月1日~3日に行われる大神山神社例大祭が終わると冬の始まりだなーと感じます。
そろそろTシャツ一丁じゃ肌寒くなり(笑)
そろそろ夜窓全開だと寒く感じるようになり(笑)
島の人々もあいさつ代わりに「今日は寒いねー」という言葉が多くなってきます。
(それでも足元は裸足で漁サンですが…)
だいたい島では25℃を切ると寒いといい、20℃を切ると極寒と言います(笑)
ごくまれに15℃を切るときはありますが、その時はストーブをつけます!?

山の様子の方は、ただ今シマモクセイの花が満開になって来ています。
小さな花ですがとてもいい香りがするので、山歩きしていてこの香りがすると、何だか幸せな気分になります。
その他、小さい黄色い花が咲くムニンアオガンピ、淡い薄いピンク色の花が咲くシマザクラ(桜の仲間ではないですけど、桜色の花が咲くことから名づけられたと考えられています)、ウチダシクロキなどが咲いています。

その他いろんな花も咲いているので、この時期からの小笠原は山歩きがおすすめですよ。


ムニンアオガンピ


シマザクラ


ウチダシクロキ


秋晴れの清々しい景色も

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2012年05月31日こちらも巣立ちました

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

みなさまこんにちは
新聞等ではトキの巣立ちの記事が載っていましたが、ここ小笠原でもアホウドリのヒナたちが全て巣立ちました。

今年も2月11日にヒナを15羽(雄5羽、雌9羽、不明1羽)を鳥島から聟島に移送し、最初のヒナが5月15日に巣立ちました。
そして順次巣立っていて、24日に全羽巣立ちました。

これで平成20年から始まったアホウドリのヒナの引っ越しは終了しました。
合計69羽聟島育ちのアホウドリが世界を飛び回っています。

ただ、今年はヒナ1羽が飼育中に死亡してしまいました。
山階鳥類研究所によると、直接的な死因は、消化されず胃に残っていた食べ物が、何か事故的な原因により、それを吐き戻した際に気管内混入したことによる窒息と推測されたそうです。
野生生物を人工飼育するのはとても難しいことなのです。

今年もアホウドリの亜成鳥がたくさん見られていました。
聟島育ちももちろん、尖閣諸島、鳥島育ちのアホウドリたちも見られました。
これからは、このアホウドリたちが繁殖・子育てするのをモニタリングしていきます。
彼らが安心して過ごせる環境は維持しつつ(デコイと音声装置は毎年設置する)見守っていきたいです。

来年は聟島で繁殖・子育てが始まりましたっ!ってニュースがお届けできるとイイですね


巣立ち間際。みんな崖ぎわに集まって羽ばきの練習をしています。



今年1番に巣立ったヒナ。まだ飛ぶのが上手ではないので近くて漂ってました。

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2012年05月09日毎年恒例!春の巡視

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

毎年恒例のこの時期にしか(歩いて)行けない場所へ巡視に行きました。
春の大潮だと濡れずに(泳がずに)いけるからです。

潮が引いてサンゴが出ちゃってます。



春の麗らかな陽気のせいなのか?!オカヤドカリ達は昼寝をしていました。




そして現場に到着
まずはこの花



テッポウユリ
これは園芸で持ち込まれて野生化したものです。
この時期になると島のあちこちで見られます。


巡視目的の花はこちら



ツルワダン(キク科。固有種。VU:絶滅危惧Ⅱ類)
海岸近くに見られます。
草丈は20cm前後で、かわいらしい黄色い花を咲かせます。




次の花はこちら



オガサワラアザミ(キク科。固有種。VU:絶滅危惧Ⅱ類)
こちらも海岸付近で見られます。
根茎がゴボウのように似ていて、戦前は食用に用いられたそうです。
そのことから、島名はカイガンゴボウと呼ばれています。
草丈は1m前後で、真っ白な花を咲かせます。


続いての花はこちら



オオハマボッス(サクラソウ科。固有種)
こちらも海岸付近に見られますが、ときどき山の中の裸地化した岩場でも見られます。
日本、東南アジア、インドなどにみられるハマボッスの大型化したものです。
ちなみにボッスとは漢字では『払子』
花序の姿が、仏教の儀式で使うはたきのような形をした法具に似ていることが由来だそうです。


ツルワダン、オガサワラアザミ、オオハマボッスともノヤギの食害があるので、父島で生育している地域はごく一部です。
最近ではノヤギの駆除も進んで、数も減ってきているので、所々見られるようになってきました。

何年か経ったら父島でも、春になったら白い花(+少しの黄色い花)で覆われる姿が見られそうですね!!

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2012年04月17日お知らせ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

内地でのイベントのお知らせです。


2012新宿御苑みどりフェスタ
 ~みどりフェア&国立公園フェア~

日時:平成24年4月29日(日・祝日)9:00~16:00
場所:国民公園 新宿御苑(東京都新宿区) ※当日無料開園日
主唱:環境省
主催:2012新宿御苑みどりフェスタ実行委員会

「みどりの月間」(4月15日から5月14日まで)の期間中である4月29日、新宿御苑で「2012新宿御苑みどりフェスタ」を開催します。
各地の国立公園等の自然を紹介するパネル展示、自然観察会やクラフト教室などの自然ふれあいプログラムの実施、ステージイベント、地元特産品の販売などを行い、自然とのふれあいや生物多様性保全の大切さ、全国の国立公園や自然の魅力を様々な視点から伝えます。

この日は新宿御苑も無料で入場できますので、都心の自然の空気の中で、全国の国立公園の素晴らしい自然を体験して下さい。

おいしい小笠原の食べ物も出ますよ!!

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2012年04月02日自然再生の成果

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

年度も新しくなり、2012年度のスタートです。
内地ではそろそろ桜の花見の時期ですね。
ここ小笠原ではカンヒザクラはもう散ってサクランボができています。

そんな春の花の一つがこちら




シマツレサギソウ
小笠原の固有種で、環境省のレッドリストはEN(絶滅危惧ⅠB類)

父島の林内や林縁で見られるのですが、ヤギの好物らしく芽が出て穂が伸び始めたらいつも食べられていました。
私も今まで父島でシマツレサギソウの葉は見たことはありますが、花を見たことはなかったです。

でも今年は父島で花を見ることが出来ました!!
どうして見られるようになったかというと、現在父島の貴重な動植物が生息するエリアにノヤギ・ノネコの侵入防止柵を作り、ノヤギ駆除とノネコ捕獲を進めているからです。
(ノヤギ・ノネコは父島全島からいなくなることを目指しています。)

まだ根絶とまではいっていませんが、ノヤギの数はかなり減ったように思えます。
その効果があってか、ヤギの食害にあっていた植物たちが今年は元気に育っています。
このシマツレサギソウもその一つです。
いつしかレッドリストから外れる日がくるといいですね。

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2012年02月15日アホウドリの引っ越し THE LAST

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

アホウドリの新繁殖地形成事業も最後の年となりました。
2008年に10羽、2009~2012年15羽ずつと、合計70羽のアホウドリが聟島に引っ越しをしたことになります。

今年は11月ごろから2008年に引っ越してきたアホウドリが帰って来てました。
また、雛を運んでいる日は足環のついていない若鳥と別の2008年生まれのアホウドリがいました。




今年も無事、全15羽が巣立つことを願っています。
今回で鳥島から聟島への引っ越しは終了となります。
これからはまずこの雛たちを無事に巣立たせ、来年からはモニタリングを行っていきます。
そしていつの日か聟島育ちの子供たちが生まれ、孫が生まれ、、、聟島がアホウドリでいっぱいになる日が来るまで見届けていきたいと思います。(あと何年だ!?)




他にも、5年も引っ越しを見ていてクロアシアホウドリ・コアホウドリも年々増えているなと思いました。
彼らにとってもだんだん住みやすくなってきているのでしょう。

↓クロアシアホウドリ







↓コアホウドリ








北半球で見られるアホウドリ全種類が全部見られる所が、ここ小笠原だけです!!!
冬の時期はザトウクジラもいっぱい見られますが、アホウドリ類もいっぱい見られますよ!

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