ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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小笠原国立公園 小笠原

257件の記事があります。

2012年02月07日国立公園・野生生物フォトコレクション開催中

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

1年かけて関東管轄内を順次巡ってきたH23年度国立公園・野生生物フォトコレクションがここ小笠原にて最後の展示を行っています。

父島・母島に来島の際には、ぜひ写真展会場にもご来場下さい。

●母島展示
日時:H24年2月4日(土)~H24年2月26日(日)
場所:沖港船客待合所

●父島展示
日時:H24年3月2日(金)~H24年3月31日(土)
場所:小笠原ビジターセンター

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2012年01月20日迎春

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

だいぶ新年のご挨拶が遅れましたが、明けましておめでとうございます。
2012年もアクティブレンジャー日記を宜しくお願い申し上げます。

日本各地で雪雪雪…の天気ですが、ここ小笠原では春を告げる花、サクラが咲きました!




桜と言っても寒緋桜(カンヒザクラ)です。
旧暦の正月あたりに咲くことから元日桜とも呼ばれることがあります。

数はそんなにありませんが園地にも何本かあり、満開になるとお花見をしている人を見かけます。
そんな姿を見ると、やはり日本人は桜が好きなんだなーと思います。


ちなみに、小笠原らしい「げいしゅん」は「鯨春」と書きます。
ザトウクジラもいっぱい見られるようになりましたよ。

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2011年12月26日今年1年を振り返って

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

2011年は小笠原にとって大きな出来事がありました。
何と言っても小笠原諸島が世界自然遺産に登録されました!




この写真はユネスコから届いた世界自然遺産の認定証です。
ビジターセンターに飾ってありますので、来島の際にはぜひご覧下さい。


また、アホウドリ新繁殖地形成事業は今年で4年目を迎えました。
今年は初めて聟島育ちのアホウドリが7羽も戻ってきました。




この写真のくちばしがピンクで体が黒いのが聟島育ちのアホウドリです。
その周りにいるのがデコイ(模型)です。
来年でアホウドリの引っ越しも最後。
後は自然に増えていくのを見守っていきます。


また今年はアカガシラカラスバト(通称:あかぽっぽ)の子供の目撃も増えました。
人とペットと野生生物の共生を目指して行っている活動の成果が出てきています。
山で捕獲されたノネコも東京都獣医師会の協力により、再びペットとして幸せに暮らしているという連絡も多々いただき、皆様の協力により小笠原の自然が守られているんだなと実感しました。

来年も更なる良いニュースを皆さまにお届けできるように、環境保全に精進したいと思います。
今年1年、アクティブレンジャー日記をお読み頂きありがとうございました。
来年もよろしくお願い申し上げます。


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2011年12月08日初観測

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

今年もあと1か月。師走ですね。
小笠原も冬を知らせにザトウクジラがやってきました。

先日船に乗っていたら、
『なんかデカいの飛んでいるっ!』
とキャプテンが騒いでいたので、この時期だったらアホウドリ類のどれかだろーなーと思っていたらっ!?







でけぇ~!!何だこいつはっ??
と興奮度MAXで写真を撮りまくりました。

島に戻り鳥の専門家に聞いてみたところグンカンドリの幼鳥であろうとのことでした。
グンカンドリの成鳥は稀に目撃されているけど、幼鳥は初めての目撃とのことでした。
他の人にも見たことあるか聞いてみたところ、誰も幼鳥を見たことはないとのことでした。

帰って図鑑とにらめっこしたら、コグンカンドリの幼鳥と判明しました(多分)。
日本では迷鳥として渡来する鳥です。
小笠原では台風の後とかに飛ばされてしまった親鳥の目撃もあります。

レアな迷鳥を見ることができてラッキーでした。
小笠原は海の中だけでなく、空も珍しい生き物でいっぱいですね!

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2011年11月18日実りの秋

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

北海道では雪が降ったみたいですが、ここ小笠原も暑さが和らぎ、朝晩は肌寒く感じてきました。
夏も終わり、植物たちも実りの秋を迎えました。





左はタチテンノウメ、右はシラゲテンノウメ。
両方とも小笠原固有種。
見分け方はその名の通りで、
立っているのがタチテンノウメ(シラゲテンノウメは、ほふくする)
葉が白い毛で覆われているのがシラゲテンノウメ(タチテンノウメは光沢がある)
です。
なんとなくシラゲテンノウメの実も白い毛でおおわれている気がしますね。





左はチチジマクロキ、右はウチダシクロキ。
両方とも固有種。ウチダシクロキは国内希少野生動植物種にも指定されています。
『うちだす』とは「金属などを裏から打って模様を表に出す」の意。
葉脈がはっきり見えていることから、ウチダシクロキと名付けたのでしょう。
この2つはもともと同じ植物。
小笠原の自然環境の中で、その場所に合った特徴をもった種に分化していきました。
このようなことを『適応放散』といいます。
チチジマクロキの実はナスに見えてきませんか?!





左はシマムラサキ、右はウラジロコムラサキ。
両方とも固有種。ウラジロコムラサキは国内希少野生動植物種にも指定されています。
この2つも、小笠原の自然環境の中で適応放散した種です。
ウラジロコムラサキはその名の通り、葉の裏が白い毛で覆われています。
生息環境も林内と岩石風衝地とそれぞれ違います。


その他にも色々と実がなっていました。
この時期は花は少ないですが、ゆっくりじっくりと実を観察するのもいいですね。
森歩きに適した気候でもあるので、カメラやスケッチブック片手に散歩してみませんか。

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2011年10月24日銀座に小笠原が出現!?

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

今日から、銀座にあるソニービルで小笠原諸島の迫力ある映像を3Dで楽しめます!
私は3D映像って未だ見たことないので、いったいどんな風に見えるのか不思議でしょうがないです。

まさに小笠原の森の中にいるような
まさに海の中でイルカや魚と一緒に泳いでいるような
そんな体験が出来ると思うので、ぜひご来場下さい。

<開催概要>
世界自然遺産・小笠原諸島 in 3D
~世界に誇る感動がある~

日時:2011年10月24日(月)~11月6日(日) 11:00~19:00
場所:東京・銀座 ソニービル
   8階コミュニケーションゾーン OPUS(オーパス)
   1階エントランスホール
共催:ソニー企業株式会社(ソニービル)、小笠原村
後援:東京都、環境省、林野庁
協力:小笠原村観光局、ソニー株式会社

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2011年09月21日見るイルカ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

小笠原諸島の沿岸には、よく見られるイルカが2種類います。
ミナミハンドウイルカとハシナガイルカです。

今回はハシナガイルカを紹介します。
ハシナガイルカ(Stenella longirostris、嘴長海豚)
学名も和名も”口ばし”が長いことから由来しています。




英名はSpinner Dolphin
その名の通りスピンジャンプを見せてくれます。
なぜスピンジャンプするのかは、
・ジャンプすることにより、群れの中での反響定位(分かりやすく言うと、こうもりが超音波を飛ばして、その物の位置や距離を知ること)の目標物とする説
・体についている何かをたたき落とすためのジャンプする説
・ただ単に遊んでいる説
・オレの華麗なジャンプを見てくれっ!と披露している説
などありますが、真相はイルカに聞いてみないと分かりません。

つい先日、海の中に浮いている藻などを口ばしで投げ飛ばしているシーンを見ました!!




大きさは2mぐらいで、背中からお腹にかけて黒→灰→白とキレイなストライプ模様です。




大体、数十頭から多い時には数千頭!の群れを作り行動しています。




日中は沿岸で寝ていて(半休睡眠:右脳と左脳を交互に休ませている)、夕方になると活発に動いて先ほどのジャンプなどを見せてくれます。そして夜間に沖で餌取りをしていると考えられています。

ハシナガイルカは船の引き波で波乗りしたりして遊んでいますが、大抵、人間が海に入ると一目散に潜ってしまうのでドルフィンスイムには向いていません。
ごく稀に逃げずにのんびりと一緒に泳いでくれるイルカもいます。

ベタ凪の時にハシナガイルカに会うと、まるで空を飛んでいるかのようですよ!!


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2011年08月16日小笠原ならではの巡視

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

残暑見舞い申し上げます。
ここ数日の天気予報を見ていると、南の島小笠原より都会の方が暑いですね。
避暑地小笠原に来ませんか~

さて、小笠原国立公園には海域公園地区が14か所あります。
今回は、父島製氷海岸海域公園地区に巡視に行ってきました。
この場所は港の近くにも関わらず、スギノキミドリイシ(通称:枝サンゴ)の大群落があります。街の中心部から近いので、シュノーケルするおススメポイントですよ!

巡視の目的は、製氷海岸にオニヒトデがいると情報を得たのでその状況確認です。
沖縄などではオニヒトデが大発生し、サンゴに大被害をもたらしています。
また、そのトゲに刺されると激しい痛みや腫れたりします。
サンゴを食べるし触ると痛いし、何とも厄介な生物です。

けれども、オニヒトデも海の中の生態系の一つなのです。
オニヒトデは成長の早いミドリイシ類を好むので、サンゴ礁の多様性を維持する役目を追っていると考えられています。

ここ製氷海岸ではまだ数匹しか確認されていません。
何かの要因で大発生をしない限りは、このまま観察を続けて行きます。
個人的にはこの仕事は毎日でもいいです(笑)

皆さんは海でオニヒトデを見たら決して触らないで下さい。
もし刺されたら、簡単に取れそうな棘はピンセットなどで取り除き、刺された所を熱めのお湯で浸して下さい。
何より、素早く病院で治療してもらって下さい。


サンゴ☆パラダイス


オニヒトデ


こんな生物にも出会えます

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2011年07月20日日本一の星空

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

世界自然遺産の島、小笠原にまた新たな称号が得られました。
それは、星空の美しさ日本一です!!

環境省が呼びかけの中心となり多くの団体の協力や個人の参加を得て、全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)を行っています。これは、光害や大気汚染などのない清澄な大気への関心を高めてもらうことを目的に、全国各地で一斉に肉眼や双眼鏡、カメラを使った身近な方法によって星空観察を行うとともに、夜空の明るさについて継続的なデータを収集するものです。
昭和63年(1988年)から、環境省の呼びかけにより、全国様々な団体・個人の協力を得て、毎年2回(夏期及び冬期)、23年間継続して実施されてきました。

平成22年度からは、小笠原の星好きの同好会・小笠原天文倶楽部も参加し、データ収集を行いました。
その結果、のべ627団体の観測実施団体の中で、小笠原が全国の夜空が暗かった場所のランキング1位という結果になりました!

街中からバイクで15分行ったところの海岸で、日本一の星空が見えるんです!
また、風のない日にはその近くの川面にも満天の星空が映るのです!!

昼は世界自然遺産の自然環境に触れて、夜は日本一の夜空を眺めに来ませんか。

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2011年06月28日世界自然遺産 小笠原諸島

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

日本時間の6月24日22:50、パリのユネスコ本部で行われている第35回世界遺産委員会において、小笠原諸島が世界遺産一覧表に記載されることが決定しました!!!

白神山地、屋久島、知床に続き、日本で4番目の世界自然遺産の誕生です。
平成15年5月に世界自然遺産候補地に選定され、ついに世界自然遺産登録となりました。

世界遺産の登録には「自然景観」、「地形・地質」、「生態系」、「生物多様性」の4つの評価基準があります。そのうち『生態系』が記載基準と適合されました。
小笠原諸島においては、固有性の密度の高さと適応放散(適応放散については、6/23の菅生ARの日記をご覧ください。)の証拠の多いことの組み合わせが他の所より際立っていて、かつ、小面積であることを考慮すると、小笠原諸島は陸産貝類と維管束植物において並はずれた高いレベルの固有性を示しています。

ぜひ一度、世界自然遺産の島、小笠原諸島に足を運んで豊かな森や海に触れて見て下さい。
そして、その豊かな自然を後世に伝えていくために、訪れる際にはみなさまにいくつかのご協力をお願い致します。
・小笠原では自然を守るために様々なルールが定められています。歩道を外れないなどのルールを守って自然に親しみましょう。
小笠原ルールブック
http://tcvb.or.jp/book/0007-001-ja/

・小笠原に訪れる際には、小笠原にはいない生物を持ち込んだり、他の島や山の中に広げたりしないよう注意して下さい。おがさわら丸に乗る前や海や山のツアーに行く時は、靴底の泥や服・かばんに種や虫が付いていないかチェックしましょう。

一人一人、みんなが気をつけるとことにより、小笠原の自然環境が守られます。
何年たっても変わらぬ自然環境を維持するためにご協力お願い致します。

【参照】
小笠原自然情報センター
http://ogasawara-info.jp/index.html






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