ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

小笠原国立公園 小笠原

257件の記事があります。

2011年05月31日おしらせ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

小笠原関連のテレビ放送・イベントのお知らせです。
日程・放映時間等は変更になる場合もありますので、ご了承ください。

【テレビ放映】
6月3日(金) 19:00~23:24
日本テレビ
本当のエコを考える地球旅行 ~明日へのチカラ~ 相葉雅紀が見た、感じた、これからの生き方

6月17日(金) 19:30~20:43
NHK
首都圏スペシャル「小笠原 いのちの森と海(仮題)」

【イベント】
東京愛らんどフェア
日時:6月25日(土)、26日(日)
時間:11:00~19:00(26日は18:00まで)
場所:新宿駅西口イベントコーナー

入場は無料です!!
皆さまお誘いあわせのうえ、ご来場下さい。

ページ先頭へ↑

2011年05月24日父島列島最北の島

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

今日は、自然再生事業のモニタリングで父島列島最北の島、孫島に行ってきました。




御覧の通り、断崖絶壁の島です。
プチロッククライミングを楽しみつつ登って行ったら、白い花が満開でした。




こちらの花は「オガサワラアザミ」。小笠原固有種でキク科の植物です。
島の方言では「カイガンゴボウ」といいます。
これは太平洋戦争時の食料不足の時にこれらの根を食べていて、ゴボウに似ていることからきているそうです。
今ではノヤギの食害にあっていて、父島での生育地はごく一部の地域です。
孫島にはノヤギがいないのですくすくと成長し、オガサワラアザミの群落がたくさんありました。




こちらの花は「テッポウユリ」。外来種のユリ科の植物。
明治の中ごろに園芸用に栽培されたものが広まったそうです。
見た目はキレイですし、いい香りがします。

花を見ながら頂上の方へ行くと、今度は可愛い雛達のお出迎え




こちらは「クロアシアホウドリ」
世界的見ると絶滅危惧種ですが、ここ小笠原では個体数が増えてきています。
昨年初めて孫島で繁殖が確認され、今年も順調に孫島で繁殖している模様です。

そして、モニタリングを終えて帰ろうとしていたら、こんな子にも出会いました。




メスのカツオドリです。

とても愛らしい顔をしているのですが…
そこを通らないと私達は帰れないです…
ストレスを与えないよう、そ~っと近づいていったら、50cm近くまで寄っても動いてくれませんでした。
でも、おかげでこんなアップの写真を撮ることが出来ました。

ページ先頭へ↑

2011年05月09日世界自然遺産登録へ前進!!

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

5月7日、世界自然遺産一覧表への記載を推薦している「小笠原諸島」について、自然遺産の評価を行う国際自然保護連合(IUCN)の評価結果が明らかとなり、世界遺産一覧表への「記載」が適当と勧告されました。

今後は6月19日から29日までパリで開催される第35回世界遺産委員会において、IUCNの勧告を踏まえ、「小笠原諸島」を含む各締約国からの推薦物件の記載の可否が決定されます。

分かりやすく言うと「内定」を貰ったということです。
世界自然遺産の島、小笠原諸島!!もうすぐです!!

下記のリンク先の小笠原自然情報センターのページのお知らせに詳細の資料がございます。
http://ogasawara-info.jp/index.html

ページ先頭へ↑

2011年04月22日春の花

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

常夏のイメージがある小笠原ですが、この島でも四季を感じることができます。
ザトウクジラが島に来ると冬が来たなーと思い、
ザトウクジラが北に帰ると春が終わるなーと思います。

もちろん、春の花もたくさんあります。
今日はその中の一つを紹介します。

その花は「ツルワダン(キク科)」
小笠原の固有種にしては珍しく?黄色い花を咲かせます。
内地でいうとタンポポみたいな感じでしょうか。

しかしこのツルワダン、ノヤギの好物らしく父島ではあまり見られません。
母島や母島属島ではノヤギがいないので、多く残っているらしいです。
ひょっとしたら、ノヤギも行けない海岸崖地にはまだあるかもしれませんね。

ツルワダン

ページ先頭へ↑

2011年03月25日4回目の引越し、そして… (最終回)

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

東北関東大震災により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
被災された皆様やそのご家族の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。  

また、日々の生活の中では節電にご協力いただきありがとうございます。
今後も引き続きご協力のほど宜しくお願い致します。


今年も無事ヒナの引越しも終わったーとホッとしながら、撮った写真などを整理をしていたら、2/10に現地にいる山階鳥類研究所の方から、2008年に飼育したアホウドリを飼育サイトで確認しました!と連絡が来ました。

戻ってきたのは2008年5月20日に巣立った個体
そのとき付けた足環(Y01:雄)で確認することが出来ました。
なお、繁殖開始年齢は7歳頃のため、すぐに繁殖活動を行うものではありません。





写真提供:(財)山階鳥類研究所

Y01は飼育員達が飼育サイトに到着した7:30にはすでに降りており、9:20に飛び立つまで、雛のまわりをうろうろしながら歩きまわっていましたとのことでした。
また、人を極度に警戒する様子は見られなかったようです。

実は今年度から、戻ってくるであろう若鳥が人工給餌している人間達に警戒しないよう、ヒナ達がいる所とデコイが多くある所を簡易的な柵で分断していました。



(ホント簡易的ですが、無いよりはマシだろうと言うことで…)

でも、この若鳥は人間よりもヒナ達に興味があるのか、そばで人間が人工給餌しているにも関わらず警戒行動をすることもなく、1羽1羽順番にヒナ達の様子を見ていたそうです。
少しでも人工給餌している人間から警戒が薄れるように柵を設置したのに、アホウドリの方から柵を越えてきてびっくりしたと飼育員の方が言っていました。
また、ヒナもその若鳥に対して餌乞(えごい:餌を欲しがること)をしていたそうです。

そして、その2週間後の2/24にはY04(雄)も聟島に里帰りしてきました。
このY04はY01が聟島で見られたときには、鳥島で見られていました。
しかもこのY04は聟島で見られた翌日にはまた鳥島で見られていたそうです!
鳥島と聟島は約350kmもありますが、アホウドリにとってはちょいと散歩する距離なの
でしょうか!?

さらに、3/12にはY03(雌)が里帰り、3/17にはY06(雌)が里帰りしました。
何と何とっ!そのY03とY06が求愛ダンスをしていました~♪(雌同士ですけど…)

今の所10羽巣立って4羽が里帰りしています。
これからもっと戻ってくるかもしれません。
もしかしたら、そう遠くないうちに聟島で繁殖が確認されるかも知れませんね。


(おしまい)

ページ先頭へ↑

2011年03月07日4回目の引越し、そして… (第2話)

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

アホウドリのヒナを背負って30分ほどの山道を昇り降りしたら、飼育サイトに到着です。
飼育サイトの入口には門番(コアホウドリ)がいました。
その隣ではカップルが愛を育んでおられました♪






さらに先に進むと先住鳥たちがいました。
見慣れない顔がいるなぁ~とでも言いたげな顔。






おじゃましま~すと言って、アホウドリのヒナを背負子から降ろして御開帳!






まだ骨格がしっかり出来ていないので、毛布にくるんでそっと運びます。






これから私がパパですよ~




無事、全15羽の引越しが終わってホっとしていたら…
先住鳥のクロアシアホウドリが見慣れないヒナ達に威嚇してるっ!?




でもご安心下さい。
ヒナも対抗して威嚇して、クロアシアホウドリはすごすごとどこかへ行ってしまいました。

いよいよこれから人工飼育の始まりです。
5月中~下旬頃の巣立ちまで、山階鳥類研究所の方をはじめ飼育員の方が毎日子育てをします。
今年も無事にみんな巣立って欲しいですね!

私は引越し作業だけのお手伝いだったので夕方父島に戻りました。
そしたらその2日後に…


(つづく)

ページ先頭へ↑

2011年02月24日4回目の引越し、そして… (第1話)

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

今年もアホウドリのヒナ移送がやって来ました。
今回はどのようにヒナの引越しが行われているかご説明します。

まずは山階鳥類研究所などの鳥島メンバーが鳥島にて聟島に移送するヒナを選びます。
そして、鳥島の天気、聟島の天気、海況をみてから移送日の早朝にヒナを移送用の箱に入れ鳥島からヘリコプターで約350km離れた聟島に運びます。

私たちは、先に聟島に駐在している山階鳥類研究所の方々やボランティアの方々と合流し、ヘリコプターが来るのを待っています。




ヘリコプターが着陸したらヒナをそーと降ろして、背負子に固定します。
ヒナと箱を含めて大体7,8kg、2羽背負うので15,6kgになります。










背負って運ぶ人はその重さより、プライスレスな大変貴重なヒナを運ぶことに大変緊張を覚えるそうです。
さらに、箱を傾けることのないように(前のめりになったりしない)山を登り降りして運びます。
この体勢はかなり腰にきます。。。







そして、30分ほどの山道を昇り降りしたら…

(つづく)

ページ先頭へ↑

2011年02月15日イベントのおしらせ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

いのちつながれ小笠原

日時:2月20日(日)13:00~17:00
場所:東京大学農学部一条ホール
参加費無料!!

(社)東京都獣医師会主催のシンポジウムです。
人間とペットと野生動物みんなが共生できる環境づくりの為に、今まで取り組んできた活動を東京都獣医師会の獣医師や小笠原の自然環境保全活動に取り組んでいる関係機関の方々から、今の小笠原の現状を皆様に紹介するシンポジウムです。

小笠原からネコを内地に運び出すことは鳥だけでなく、小笠原の植物などその他の自然環境も守られているのです。
そういった内容を細かく、面白く聞けるシンポジウムです。
最新の小笠原の自然の状態について分かりますよ。

また、会場ではここでしか買えないレアな小笠原グッズなども販売しておりますので、皆さまお誘い合わせのうえ、是非お立ち寄りください。


皆様のご来場お待ちしております

ページ先頭へ↑

2010年11月11日今年も行ってきました。

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

夏が終わり冬が近づいてくるこの頃、毎年恒例の泊まり聟島の仕事に行ってきました。
鳥島からアホウドリを移住させる作戦の準備です。
アホウドリを誘致させるために、音声装置とデコイを設置してきました。
この事業も4年目。

毎年、雛移送の日にはデコイのそばにアホウドリがいて見守っています。
最近では繁殖行動も見られ、ひょっとしたら今年はつがいをつくり卵を産むかも知れません。
また、遠い北の海では最初に人工飼育して巣立ったアホウドリがすくすくと成長している様子が見受けられ、もしかしたら今回聟島に戻ってきてくれるかも知れません。
この子は11月13日(土)NHK総合テレビ20:00~20:44に放映されます。

果たして今シーズンはどんな事が起きるか、今から楽しみです。


クロアシアホウドリはもう帰ってきていました


音声装置とデコイの設置完了!


早く帰ってきてね☆

ページ先頭へ↑

2010年10月21日カツオドリ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

春から秋にかけて小笠原でよくみられる海鳥のひとつにカツオドリがいます。

カツオドリ?
カツオ見たいな顔してる鳥?(想像すると怖い…)
カツオを食べる鳥?(どんだけ大きいんだろ…)

いえいえ、そんな恐ろしい鳥ではありません。
とても愛嬌のある顔をしている鳥ですよ。




ペリカンの仲間で、翼を広げると150cmぐらい
くちばしが青いのがオス、黄色いのがメスです

なぜ、カツオドリというのかと言うとカツオを食べるから…ではなく、カツオなどの大きい魚に追われて海面に上がってきた小さい魚を狙い集まるから、漁師たちからカツオなどの大きい魚の群の位置を知らせる鳥というのが由来だそうです。
しかし、そういう鳥は他にもいて、御蔵島などではオオミズナギドリの事をカツオドリと呼んでいます。
なぜかカツオドリだけ和名カツオドリになりました。

小笠原諸島では南島やその名の通り鰹鳥島などに営巣しています。
大体、春に繁殖行動を起こして、夏に真っ白な綿毛で被われたヒナが現れて、秋に巣立つような感じです。巣立ちしたばかりの若鳥はお腹が灰色をしています。







何で小笠原でよく見られるかと言うと、カツオドリ達は船の後によくついて飛んできます。
船に乗っている人間達の様子を見に飛んでくるのです!
そんなことはなく、船に驚いたトビウオが飛んでくるのを待ち構えているのです。
一度、飛んでいるトビウオを見事にキャッチした(くわえた)瞬間を見ました。
きっと、彼らは船が走るとトビウオが飛んでくるのが分かっているのでしょう。
あ、でも若鳥は好奇心旺盛で何だろ~と間近まで飛んでくることがあります。

とってもかわいらしいカツオドリですが、今年は数がとっても少ないです。
例年ですと、今の時期は巣立ったばかりの若鳥をたくさん見るはずなのですが、今年はちらほらとしか見られません。
原因は、今年の夏の小笠原の海水温がいつもより低かったことにあるようです。
8月になっても『冷た~い』と感じる時が多々ありました。
海が冷たいからかトビウオも例年より見られなかったです。
だからカツオドリも例年より少ないんだろうと研究者の人が言っていました。

小笠原周辺の海水温が低い

トビウオが小笠原周辺にいない

それを餌とするカツオドリもいない

一つの環境が変わったことで、いろんな生態をも変化させてしまう事例を目の当たりに見た気がします。

去年はなかなか海水温が下がらず、サンゴの白化現象が見られました。
今年はなかなか海水温が上がらす、カツオドリの数が減りました。
果たして来年は…
カツオドリがいっぱい戻ってくるのを祈りつつ、観察したいと思います。

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ