ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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尾瀬国立公園

192件の記事があります。

2013年09月11日裏燧林道

尾瀬国立公園 長峯 彩

だんだん事務所周辺の木々の色が変わってきました。
檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

この時期からのおすすめが、御池駐車場から尾瀬ヶ原の見晴に至る、燧裏林道です。

このルートは、御池田代、姫田代、上田代、横田代、西田代、天神田代、赤田代の湿原と、東北有数のブナ林を通り、尾瀬ヶ原の山小屋6軒が並ぶ見晴地区に到着します。

人通りも少なく、尾瀬ヶ原や大江湿原とはまた違った景観を見ることが出来ます。


天気が良ければ、新潟県域の山々が見えます。

さて、燧裏林道を巡視中、こんなものを見つけました。

紙ふうせんのようなフォルム!

オオツリバナの実です。
誰かに落とされてしまったのでしょうか?
9~10月になるとこの実が裂け、中から赤い種子を出してとても綺麗です!

ではこれは?

E.T.?はたまた、ロボット兵?

これはツルアリドオシ。
花は2個咲きますが、子房が1つの為、顔のように見えるのだそうです。
これから実が赤く熟してくると、丸い顔の宇宙人のようになっていきます。

湿原では、花のリレーはもう終盤になりましたが、森の中はこれから沢山の実やキノコが見られて面白いですよ。
皆さんも、また違った尾瀬を体験してみて下さい!

※国立公園内は、植物の採取は禁止されています。また、公園内で本来採取してはいけないキノコを食べ、食中毒になってしまったという例も多く聞きます。
国立公園のルール、マナーを守り登山して頂くようお願いします。

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2013年08月29日クマの気配

尾瀬国立公園 長峯 彩

日が落ちるのが早くなり、秋の雰囲気を感じるようになりました。
檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

尾瀬の湿原の花リレーももう終盤にさしかかり、草紅葉へのカウントダウンがはじまりました。


そんな中、気持ちよ~く湿原を歩いていると、こんな光景をよく目にします。



これは、ミズバショウの果実をツキノワグマが食べた跡です。
座って食べるので、ミズバショウの葉っぱはぺしゃんこです。

早朝には木道に糞が落ちていることもあり、ミズバショウの種が一杯含まれているのを見ることが出来ます。
クマはミズバショウの果実が大好きなんですね。

まさに食欲の秋。私と通じるものを感じます!!

さてこのクマ、薄暗い時間帯から活動を始めます。
日が短くなってきましたので、クマ鈴は必ず携帯をお願いします。

今年は食欲の秋らしく、ブナの実が豊作とのこと。
ブナの実が多い年はオコジョがよく見られるそうです。
ちなみにオコジョはクマ鈴の音が好きだとか・・・!?

クマ鈴を携帯していると、もしかしたらオコジョに遭遇できるかもしれません!!

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2013年08月29日夏から秋へ

尾瀬国立公園 服部 恵子


尾瀬の短い夏が終わりに近づき、
数週間前からすでに秋の気配が感じられます。
晴れた日の日中の気温は20℃近く、朝晩は10~15℃ぐらいまで冷え込みます。

湿原は少しずつオレンジ色に色づいてきました。
9月の中旬には草紅葉が見頃を迎えそうです。



尾瀬ヶ原で見かけるキリギリスも緑色の個体ばかりだったものが、
今は茶色い個体がほとんどです。

こちらの写真はキリギリスの交尾中の写真です。
左がメスで右の仰向けになっている個体がオスです。
オスが精球という白い物質をメスに渡すと、
そこから精子が放出されてメスの受精嚢に入ります。
その後、残った精球はメスが食べて卵を産むための栄養にするのだそうです。

富士見峠からアヤメ平へ向かう登山道の脇には、
尾瀬の花期終盤を飾るオヤマリンドウが開花していました。

マルハナバチが、狭い花の開口部を一生懸命こじ開けている姿が可愛らしかったです。

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2013年08月21日オオハンゴンソウ

尾瀬国立公園 長峯 彩

檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

暑い日が続く中、南会津町から檜枝岐村にかけての道路沿いに、黄色い花が一斉に咲いています。


一見コスモスのようで綺麗なこの植物。
特定外来生物のオオハンゴンソウです。

オオハンゴンソウは元々は明治時代に観賞用として北アメリカから輸入されました。
寒冷地に強く、北海道、福島県、長野県などで大群落が見られます。

外来生物は繁殖力が強く、増え始めると減らすのが大変で、元々あった在来生物の生育環境を脅かします。
特にオオハンゴンソウは、地上部が枯れたり刈り取られても、残った地下茎から再生するため、駆除して減らすのが簡単ではありません。

このような繁殖力の強い植物は、尾瀬に自生する希少植物にとって大変な脅威になります。
すでに、田代山に至る林道でオオハンゴンソウを見たという報告もあり、今後、尾瀬国立公園内に侵入してくるのが心配されます。

そこで、檜枝岐自然保護官事務所では、オオハンゴンソウのリーフレットを作成し配布しています。




オオハンゴンソウの拡大を防ぐためには、種子を付ける前に駆除するのが効果的です。
山村に生育する貴重な植物を守るためにも、駆除へのご協力よろしくおねがいします。

なお、駆除を行う際は、必ず土地所有者の許可を得るようお願いします。

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2013年07月25日大雨後の尾瀬ヶ原

尾瀬国立公園 服部 恵子


尾瀬地域では7月22日の夜に大雨が降りました。
その影響で、群馬県側では牛首~ヨッピ吊り橋間が一時通行止めとなりました。
7月23日に巡視に行った時の様子をお伝えしたいと思います。

AM11:57
通行止めとなった牛首~ヨッピ吊り橋間

木道は冠水して軽く浮いていました。
浮いた木道の上を歩くのは、足元が不安定になり非常に危険です。
私もここで引き返しました。

ニッコウキスゲも冠水です。

これはこれできれいな気がしました。

ビュウポイントもこの通り、
ミズバショウの葉がすっぽりと水に飲みこまれていました。

(左)7月12日撮影 (右)7月23日撮影

現在、尾瀬ヶ原エリアでの通行止め区間はありません。
その他の最新情報については、
すいすい尾瀬ナビ(http://ozenavi.blog85.fc2.com/)をご覧ください。

山の天気は変わりやすいです。
天候が悪くなったときは無理せず、建物内に避難してください。

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2013年07月23日尾瀬沼のニッコウキスゲ

尾瀬国立公園 長峯 彩

檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

ついこの間開山したばかりと思っていたのもつかの間、あっという間に尾瀬沼ではニッコウキスゲがピークを迎えています。
20日(土)には一目尾瀬沼のニッコウキスゲを見ようと、木道に登山客が溢れました。


近年、尾瀬沼では、ニホンジカによる湿原植生への被害が顕著になってきており、この被害を食い止めるために、先月6月6日に南会津尾瀬ニホンジカ対策協議会が設立されました。

7月1日~7月28日迄、協議会のニッコウキスゲ食害防止対策事業として、福島県を初め、尾瀬保護財団、檜枝岐村、林野庁、環境省の各機関が連携して、18:00~翌朝5:00の間、ニホンジカの追い払いを行っています。

その成果もあったのか!?今年は昨年よりもニッコウキスゲが多く咲いたようです。
もちろん、花芽の数が昨年に比べると全然違うのですが・・・。



巡視をしていると、10年ぶり、20年ぶりに来たという登山客とお話する機会があります。
口を揃えて、「昔は湿原の入り口から一面ニッコウキスゲだったのに・・・」「噂には聞いていたけど、ここまでシカの被害がすごいと思わなかった」と言われます。

果たして、ニッコウキスゲが減ったのはシカの食害の影響だけでしょうか?

植物も環境の生き物。私たちの分からないところで、もしかしたら自然環境が変わっているのかも知れません。
私たちがすばらしいと思う景色を残して行くためには、どうしたら良いか考えなければいけませんね。

さて、現在尾瀬沼ビジターセンターでは企画展『知って欲しい燧ヶ岳のあれこれ!』を行っています。

燧ヶ岳に登る前、登った後、今後登りに来ようと思っている方、是非ビジターセンターに寄って、東北最高峰の燧ヶ岳について学んでいって下さい!

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2013年07月16日森林教室と燧ヶ岳山開き

尾瀬国立公園 長峯 彩

檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

先日、会津森林管理署南会津支署が行っている森林教室に、環境省として参加してきました。

今回お邪魔したのは、伊南小学校の小学1年生6名。
鋸ややすりなどを使って、箸置きとコースターを作りました。




今回コースター用に使用したのは、薬にもなるというキハダという木です。
名前の通りキハダは材木が黄色く、舐めると苦い味がします。
子供達も舐めては大はしゃぎ!
お母さんやお父さんに見せるんだ~と喜んでいました。

次回の伊南小での森林教室は、私が担当します。
どんな回になるか楽しみです!

さて、先週7/6に会津駒ヶ岳、7/7に燧ヶ岳の山開きが行われ、尾瀬国立公園内の山は全て開山されました。


7/7燧ヶ岳山頂のようす。雨にも関わらず大混雑!

天候が不安定な日が続いていますが、尾瀬国立公園内の木道部分は雨の時は大変滑りやすく、滑って怪我をされる方々が増えています。
足元に注意するとともに、自分の体力にあったルートを選択して登山して頂くようお願いします。

尾瀬保護財団のホームページや、尾瀬沼ビジターセンターのfacebookページでも登山道の情報を発信していますので、参考にしてください。

[すいすい尾瀬なび]尾瀬の残雪状況(燧ケ岳・至仏山・会津駒ヶ岳/2013年7月12日現在)
http://ozenavi.blog85.fc2.com/blog-entry-3299.html

尾瀬沼ビジターセンターfacebookページ

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2013年06月28日尾瀬ヶ原の開花状況

尾瀬国立公園 服部 恵子

6月27日(木)、梅雨の晴れ間に尾瀬ヶ原へ巡視に行って来ました。
ミズバショウシーズンが終わり、
ニッコウキスゲの開花を待つこの季節。
暑くもなく、寒くもなく、混雑もしていないので、
ゆっくりと花を楽しむにはおススメの季節です。

尾瀬では、ニッコウキスゲのように年によって豊凶のある花があります。
今年は猛毒で有名なコバイケイソウが4~5年に1度の豊作年を迎えています。

猛毒とは言え花はきれいです。背丈が1m程あるので、なかなかの迫力で見応えがあります。

湿原の主役と言わんばかりに咲き誇っている紫色の花は、
カキツバタとヒオウギアヤメです。
下の写真はカキツバタです。

ヒオウギアヤメは花びらの付け根が黄味を帯びているので見分けがつきます。
フォトアルバム参照(http://www.env.go.jp/park/oze/photo/

ニッコウキスゲも早いものは、すでに1~2本咲いていました。
ニッコウキスゲは木道沿いに生えていることが多いので、踏みつけないようにしてあげてください・・。



7月1日には、いよいよ至仏山が開山します!
まだ残雪があることが予想されますので、こちらも雪を避けて植物を踏むことのないようお願いいたします。

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2013年06月19日ちりも積もれば山となる

尾瀬国立公園 服部 恵子

鳩待峠の入山口で目を引く『尾瀬ごみ持ち帰り運動』と書かれた横断幕。


尾瀬はゴミ持ち帰り運動の発祥地と言われています。
尾瀬にも以前は数百台ものゴミ箱が設置されていました。
しかし、ゴミ箱のゴミはあふれかえって散乱していました。

そこで、ゴミ箱を無くせばゴミを捨てなくなるのではないかという逆転の発想により、
1972年(昭和47年)からゴミ箱は撤去されていきました。

そして現在、尾瀬にはほとんどゴミが落ちておらず、自然豊かな美しい景色を楽しむことが出来ます。


それでも私は巡視のたびにコンビニの袋半分ぐらいの量のゴミを拾ってかえります。
残念ながら人が歩けばゴミが出るのです。

気付かぬうちにポケットやリュックから落ちてしまったであろう飴玉の袋や空のペットボトル、ティッシュペーパーなど、通称『うっかりゴミ』と呼ばれるゴミの数々。

ゴミのない尾瀬は、山小屋さんやガイドさん、ボランティアさんなど関係者の努力で保たれています。
少しでもゴミを落とさないようお気遣いいただければ幸いです。

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2013年06月13日帝釈山、田代山の山開き

尾瀬国立公園 長峯 彩

檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

檜枝岐自然保護官事務所は、檜枝岐村の他の民家同様、段丘崖のすぐ横に建っていて、川を挟んで向かい側が切り立った斜面になっています。
冬の間は樹の葉が落ち、カモシカやニホンザルを見ることができたのですが、今はすっかり緑が鬱蒼と茂り、エゾハルゼミの声が響いています。

エゾハルゼミの声が響き始めたら、南会津地方の山々は立て続けに開山シーズンを迎えます!

尾瀬国立公園でも6/8(土)帝釈山・台倉高山、6/9(日)田代山の開山祭が開催されました。



帝釈山~台倉高山一帯では、オサバグサ(筬葉草)が開花を迎えています。

オサバグサという名前は、葉が機織りで使う「筬(おさ)」に似ていることからついたとか・・・。
機織りに触れる機会のない私たちにとっては、なかなかピンとこないかも知れませんね。


田代山の開山祭は絶好の天気に恵まれ、600人を超える登山客で溢れました。

田代山山頂では、今年度より簡易水洗トイレが新設されています。
雨水に頼っており水が貴重なため、節水にご理解、ご協力をお願い致します。

山頂湿原でも、ミズバショウやチングルマ、ヒメシャクナゲ、ワタスゲなど様々な植物が一斉に咲き出しています。



湿原内には雪はありませんが、帝釈山~田代山の登山道に一部残雪が残っていますので、通行には気をつけて下さい。

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