ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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尾瀬国立公園

192件の記事があります。

2013年02月14日ニホンジカ移動遮断柵の管理

尾瀬国立公園 服部 恵子


山小屋もすっかり雪に埋もれた大清水から奥鬼怒林道をせっせと歩いて、

地元の業者さんとパークボランティアの方と一緒に
猟期終了に伴いニホンジカ移動遮断柵の網を下げてきました。


積もっていく雪に網が引っ張られて支柱が折れてしまったり、
フックが壊れてしまったりするのを防ぐためです。
すでに雪の重みで網がピーンと張られているため、
あの手この手で外していきました。

ふと下を見ると、
周りには木々が生い茂っているのに
何やら雪の上を歩いている虫が何匹か見受けられました。


「なぜこんな所に?」と不思議に思い調べてみると、
セッケイカワゲラという虫で、
雪氷プランクトンという雪の中に発育する藻類などを食べて
生活しているのだそうです。

暑い砂漠を好んで生活している生き物もいれば、
冷たい雪の中を好んで生活する生き物もいるのだと実感しました。

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2013年01月29日尾瀬の入山者数

尾瀬国立公園 長峯 彩

またもや最強寒波がやってきました。
檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。
本日も朝より雪が降り積もっています。



さて、1月16日に平成24年度尾瀬国立公園入山者数が発表されました。
[環境省関東地方環境事務所HP]
http://c-kanto.env.go.jp/pre_2013/0116a.html

東日本大震災の影響からか、一時は入山者数が落ち込みましたが、
徐々に戻りつつあるようです。

今話題のNHKドラマも近隣の会津若松が中心ということなので
これを機会に会津に注目が集まってくれればいいなと思っています。

実は尾瀬も戊辰戦争にも関係しているのですが・・・
また開山後のお楽しみということで!
(ヒント:湿原の中にあります。)

外に出れない冬の期間は、今の尾瀬の状況をお伝えできないので、
なかなか話題にならない、『現在の尾瀬の問題点と課題』というテーマで記事を書いてみようと思います。

私も勉強中ですが、子供でも分かるように書いていけたらいいなと思います。
お楽しみに!

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2013年01月21日ワカンとカメ

尾瀬国立公園 長峯 彩

先日の大雪で関東は大混乱だったとニュースで見て
さぞかしあちらの除雪は大変だろう(除雪車もないし)、と思ってしまった私は
すっかり大人の仲間入りをしてしまったんだなあと悲しくなりました。
檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

実はその日、檜枝岐でもひっそりと今年の最高積雪量(1m超)を観測していました。
そうは言っても、昔に比べるとだいぶ積雪量は減ったと聞きます。
家の屋根まで雪が積もってしまって、家に入るのに除雪しなくてはいけなかったという話も・・・。

冬になると常にそうした雪の脅威にさらされてきた地域ですから、檜枝岐には独特の文化が育ちました。
その一つ、『ワカン』と『カメ』をご紹介します。


左がワカン、右がカメ


山好きにはおなじみのワカンですが、このワカンは木材で出来ており、
樹木の中でも最も硬いミズナラがワカンの歯として使われています。
また、歯の部分には、どの家の持ち物か分かるよう屋号が刻まれています。

この製法は檜枝岐でしか作られていなかったそうですが、
残念ながら今はもう誰も作ることが出来ず、大変貴重なものだそうで
持ち主も壊れたところを補強しながら使用していました。

締まった雪では役にたつワカンですが、冬になるとほとんど毎日雪が降っているため、新雪の上では歯が立ちません。
そんなときに、昔はこちらを用いたと言います。


こちらは『カメ』と呼ばれていて、新雪専用です。
もちろん普通に歩くとカメ同士を踏んでしまうので、歌舞伎役者のように外から内へ足を回しながら歩くのだそうです。
主に猟の時に用いたとか。

うーん、考えただけでも足がつりそうです・・・。

雪国の文化は、雪との共存の歴史なんですね。
そのうち使用したレポートも書ければ良いなと思います。

さて、そんな雪を知り尽くした檜枝岐人でも恐れていたのが、檜枝岐弁でいう『ぼぼ』。表層雪崩です。

特に会津駒ヶ岳は表層雪崩が起きやすく、村人でさえ昔はよく巻き込まれていたということです。
また、登山口の入り口には雪崩れによって亡くなった登山者の慰霊の碑もあります。



山スキー客もちらほら見かけるようになってきましたが
くれぐれも天候、雪の状況を判断し安全な登山、スノースポーツをして頂くようお願いします。

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2013年01月17日奇跡の1枚?

尾瀬国立公園 服部 恵子


最近よく頭の中で『津軽海峡冬景色』が流れます。
常に周りに雪がある環境にいるせいでしょうか。
片品自然保護官事務所近辺では、14日の雪で40㎝程積もりました。

そんな真冬の時期に暖かい季節を思い出すべく、
シーズン中に撮影した写真をいくつかご紹介したいと思います。

まずはツマグロヒョウモン(♀)というチョウの仲間です。

(平成24年7月24日撮影)
このチョウはもともと温暖な地域に分布しており、
日本では1980年代まで近畿地方より西においてしか確認されていませんでした。
しかし、近年は地球温暖化などの影響により分布が北へ広がっていると言われています。
この写真は、標高1600mの尾瀬沼付近で撮影しましたが、
その後は1度も見かけませんでした。

つづいての写真は、ハッチョウトンボのメスです。

(平成24年7月26日撮影)
写真で見ても背景の色に紛れてよく分かりませんよね?
ハッチョウトンボというと赤いオスが有名ですが、メスはこのような色をしているのです。
体長2㎝程しかないハッチョウトンボが余計に見つけにくくなります。



(平成24年9月21日撮影)
木道から下を眺めているのはアカハライモリです。
池塘で泳いでいる姿はよく見かけますが、この時初めて木道の上で遭遇しました。
冬眠するための寝床を探して移動中でしょうか。

開山まであと4ヵ月ありますが、
今年も目を凝らして歩き回りますのでよろしくお願いいたします。

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2013年01月07日2013年もよろしくお願いします。

尾瀬国立公園 長峯 彩

明けましておめでとうございます!
檜枝岐事務所から、新年初のAR日記更新になります。長峯です。

大型連休の間雪が心配でしたが、
後半の晴れ続きのお陰で、思いの外、雪が少なかったため
事務所が埋まった写真を載せられず、大変残念です・・・。

今日は晴れていたので、正月で鈍った体に鞭打って七入まで巡視に行ってみました!


今日は当たり!燧ヶ岳が綺麗に見えました

七入から先は通行止めになっていて、現在はクロスカントリーコースになっています。

ここでよく高校生の団体が練習している姿を見かけます。
秘境の地のクロスカントリーコースなんて、なかなか穴場ですよね。


雪の銀世界でひときわ目立つのが

動物の足跡。(写真中央あたり)
あちらこちらでウサギの足跡が見れます。
こんなにはっきり分かったら、狩猟者に巣穴がすぐばれてしまうのでは無いかとこちらが心配してしまいます・・・。

ちなみに檜枝岐村では、数年前まで冬は軒先にウサギ(食料用)が吊されているのが普通だったとか。
今でもウサギが好物だと言う人は結構居たりします。


今日は事務所の近くにこんな来客も。

間5m程ですがこちらには気づいていません

親子猿の集団でした

今年は昨年よりも更新回数を増やしたいですね!
今年もよろしくお願い致します。

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2012年12月26日尾瀬沼ライブカメラ

尾瀬国立公園 長峯 彩

現在気温-8℃、吹雪で視界真っ白、荒れ模様の檜枝岐からお送りします。
檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

本日のようす

クリスマスも終わり、残すところ12月もあと5日になりました。
事務所も28日までとなりますが、無人となった事務所で何よりも危惧しているのが雪。

たった3日空けただけでもこんな状態なので
年始には事務所は雪で埋まっているかも知れませんね!?

尾瀬のふもとの檜枝岐でもこの雪量。
今頃尾瀬の中はどうなっているのだろう・・・?

と思われた方!
こちらから尾瀬沼の様子がリアルタイムでチェックできます。

[インターネット自然研究所]
http://www.sizenken.biodic.go.jp/live/view.php?camera_no=92

さて、このライブカメラ、2002年から稼働しているのですが
写真を見ていてふと気が付きました。


2003年12月15日

2012年12月23日

カメラ正面の樹木が成長して、ライブカメラから尾瀬沼が見えなくなりつつあります。
貧栄養で植物が育ちにくいと言われる湿原でも、樹木は少しずつ成長しているんですね。

改めて植物の生命力に感心してしまいました。

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2012年12月20日尾瀬への冬期入山計画を立てている皆様へ

尾瀬国立公園 服部 恵子


尾瀬の麓片品村では尾瀬の観光シーズンが終わり、
スキー・スノーボードシーズンがやって参りました。
実は片品村内には7つもスキー場があるのです!

スキー場に向かう車が行き交う中、
鳩待峠へと続く道を封鎖する戸倉のゲートはガッチリと閉められています。


また、尾瀬国立公園の特別保護地区内では、
許可車両以外のスノーモービルによる乗入れが法律により禁止されています。
そのため入山ルート各所に看板を設置しました。


尾瀬は国内有数の豪雪地域で安易な冬期の入山は危険です。
なお、道路上は道路法によりすべての通行が禁止されているため、
基本的に入山することはできません。

合法の範囲内でウィンタースポーツをお楽しみください。

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2012年12月17日冬将軍到来

尾瀬国立公園 長峯 彩

檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

先日の大雪で、檜枝岐事務所はすっかり雪の中。


12月上旬にこの様に降るのは数十年ぶりだそうです。

大雪後の官用車はこんな状況。※矢印が官用車(窓)です!


車を見たときには気が遠くなりましたが・・・
村役場の人たちに手伝って頂いて、なんとか救出。


事務所の入り口も慣れた手つきであっという間に除雪。


雪国の人たちは我慢強いと言われますが、毎日こうした雪と格闘しながらの生活は大変ですよね。
私もこの一年で除雪のスキルをつけるべく・・・頑張ろうと思います。

役場の方々、どうもありがとうございました!!!

晴れた日には放射冷却で気温が-10℃近くになることもあり、これからさらに冬の厳しい時期に入っていくことでしょう。



この気温計の温度がどこまで下がるのか楽しみです!?

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2012年11月29日尾瀬の野生動物事情

尾瀬国立公園 服部 恵子

野生動物を調査する道具の1つにセンサーカメラというものがあります。
これは、カメラの前で動いたものにセンサーが反応して写真が撮れるという道具です。
センサーカメラを仕掛けることによって、
動物の存在の有無や動物が多く出現する時期・時間帯などを調べることが出来ます。

片品自然保護官事務所でも尾瀬国立公園界隈にこのセンサーカメラをいくつか仕掛けており、
様々な野生動物が撮影されています。

カモシカや



ツキノワグマ、



そして大量のニホンジカ



尾瀬でもニホンジカによる食害や掘り起しが問題となっていますが、
近年、全国的に野生鳥獣による生態系および農林水産業被害が深刻化しています。
それと同時に狩猟者の減少や高齢化も進んでいます。
現状では、鳥獣の保護管理に狩猟者の存在が欠かせません。

また、狩猟は文化です。
狩猟者の減少は1つの文化の衰退をも意味しています。

現在、全国各地で環境省主催の「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」が
開催されています。
関東地方では、12月8日(土)に東京で開催されます。
ご興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか?
詳細は下記URLをご覧ください。
http://www.env.go.jp/press/15935.html(環境省報道発表資料)

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2012年11月20日冬支度

尾瀬国立公園 長峯 彩

檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

そろそろ初霜のニュースが出てくる時期ですが、
ここ檜枝岐は初霜を超えて、雪とみぞれが降り続いています。

昨晩は-6℃(!!)を記録し、今季一番の冷え込みとなったようです。
夕方の天気予報で雪マークが付くことも多くなってきました。

雪は溶けたり積もったりを繰り返していますが、
朝や夜は冷え込んで路面が凍結していますので、
スタッドレスタイヤが必要です。


11月16日の村のようす


燧も白くなってきました


さて、檜枝岐自然保護官事務所は10/25に新事務所に移転しました。

お洒落な外観!?

事務所向かいの渓谷には時々こんなお客さんも。

ササの葉を厳選して食べるグルメなカモシカくん

昨日は雪に備えて、新事務所の雪囲いをしました。


雪囲いをすると、いよいよ冬という感じがしますね。
根雪になるのは例年12月からだそうですが、
初雪国暮らしの私は、しばらく心配が尽きない日々を送りそうです。

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