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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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尾瀬国立公園

192件の記事があります。

2021年07月15日尾瀬の花リレーはニッコウキスゲへ

尾瀬国立公園 尾池こず江

こんにちは。片品自然保護官事務所の尾池です。

尾瀬では、夏の花々が見頃を迎えています。

白いワタスゲの見頃は終わりかけとなりましたが、尾瀬の花リレーのバトンは次々に夏のお花へと渡っています。今その中でも目立っているのは、ニッコウキスゲです。

ニホンジカの食害で数が減ったと言われるニッコウキスゲですが、実は尾瀬ヶ原の牛首分岐~ヨッピ吊橋の間でお花畑を見ることができます。黄色の絨毯とまではいきませんが、緑の湿原の中で鮮やかに咲いていました。牛首分岐~ヨッピ吊橋間のニッコウキスゲは、シカによる食害が目立ち初め、3年ほど前から環境省で植生保護柵を設置しています。今回調査に同行したところ、昨年よりは花芽の数は少ないようですが、柵の効果があってか年々復活しているように感じます。

▲尾瀬ヶ原の牛首分岐~ヨッピ吊橋間のニッコウキスゲ(7.12撮影)

他にもたくさんのお花が咲いていますので、ぜひ探してみて下さい。

また、先週の巡視でもたくさんの動植物が見られましたので、一部ご紹介します。

最後に、福島県と新潟県の県境に位置する三条ノ滝も巡視しましたので、ご紹介します。

三条ノ滝は、日本の滝百選に定められており、落差約80m、幅約30mほどで水量がとても多く、雨上がりや雪解け期は大迫力です。

尾瀬の水を集めて豪快に流れ落ちる三条ノ滝は、とても見応えがあります。

▲三条ノ滝(7.7撮影)

夏の尾瀬では熱中症対策や登山装備をしっかりして楽しんでくださいね。

小さな厄介者、ヌカカも出ていますので、ご注意を。

その他尾瀬の情報はこちら

【尾瀬保護財団HP】

<https://www.oze-fnd.or.jp/>

【新型コロナウイルス感染拡大防止についてのお願い】

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、お出かけの際は、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認ください。

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2021年06月30日山の花の都と言えば

尾瀬国立公園 前川公彦

みなさん、こんにちは。

檜枝岐自然保護官事務所の前川です。

花の都と言えば、東京かパリを思い浮かべる人が多いと思います。

では、山の花の都と言えば・・・?全国各地の山の名があがるものと思います。

先日、燧ヶ岳と会津駒ヶ岳に登る機会がありました。植物に詳しくない私ですが、途中たくさんの花々に出会うことができましたので、その一部をご紹介させていただきます。

まずは、赤系統の花からですが、イワカガミ(イワウメ科)は見るものをやさしく誘うように優美なビロードのドレスのようなヒラヒラが広がり、チョウやハチといった昆虫たちは思わず吸い寄せられて花の中心に集まってしまうのだろうなと思いました。

燧ヶ岳の湿原にて イワカガミ

 燧ヶ岳の湿原にて  イワカガミ

これはお分かりですね、有名な食虫植物のモウセンゴケ(モウセンゴケ科)です。尾瀬のような、酸性で貧栄養の湿原のミズゴケ群落の中に生育します。葉は円形で表面に赤褐色の腺毛が生え、粘液を出して小型の昆虫類を捕まえ、栄養としています。尾瀬のように栄養の少ない場所で生き残っていくための工夫だと思いますが、群生しているモウセンゴケを見ていると、栄養源となる昆虫類が少ないような気がして、少し心配になります。これ以外に本州では尾瀬だけに生育している葉の長さが4~5㎝もあるナガバノモウセンゴケがありますが、注意していなかったので見落としていたのかもしれません。

モウセンゴケ

 モウセンゴケ

花ではありませんが、山に登ると日当たりの良い場所でよく見かける「動く赤い点」です。ネットで調べてみるとタカラダニという名称が多いのですが、他にも名前が出ていました。基本的に人には無害と出ていましたが、確かにこのダニに噛まれたという話は聞いたことがありません。ただ、潰して服などに付着すると汚れたり不快な気分になったりするので注意が必要とのことです。

タカラダニ

 タカラダニ

ショウジョウバカマ(ユリ科)は紫の同系色でまとめた高級感あふれるユリ科の植物です。雪解け後すぐの枯れ色の湿原に急に出現するので、大変目立つ存在です。なんか近未来のデザインを予感させるような、ユニークな形です。

ショウジョウバカマ

 ショウジョウバカマ

尾瀬では森林内の日当たりの良いところに生息するオオタチツボスミレが最もよく見かけるスミレ類ということですが、名前のよく似たこのオオタチツボスミレ(スミレ科)は湿原に生息します。実際この写真も湿地の上の木道から撮ったものです。九州から北海道にかけて普通に分布するツボスミレに比べて、両者とも株全体が立っているためタチツボの名前が付けられたようです。ただ、スミレの分類は大変難しいと聞いていますので、今後スミレはあまり出現してほしくないなあと心の中では思っています。

オオバタチツボスミレ

 オオバタチツボスミレ

「竜胆」は何と読むでしょうか?「リンドウ」と読めた人はよほど植物か漢字に詳しい人だと思います。立山竜胆(タテヤマリンドウ:リンドウ科)も湿原を歩いているとよく見かける花です。なぜ、こんなに端正な花なのに「竜胆」なのかというと、姿形ではなく、根の苦みが強く、竜の胆ほどに苦いという例えから付けられた名前だそうです。竜の胆を嘗めた人はいないと思いますが、クマの胆を嘗めたことはありますか?私はかつて一度だけ、健康に良いからとツキノワグマの胆を嘗めさせてもらったことがあります。もう40年も前のことなのに、その強烈な苦味は今でも鮮明に覚えています。

タテヤマリンドウ

 タテヤマリンドウ

これはハウチワカエデ(カエデ科)のタネです。タネには羽のようなもの(翼果:よくか)が付いており、落下の際にタネ自体が回転して揚力が発生するため、遠くまで飛んでいくことができます。できるだけ遠くまで子孫を分散させて、より良い場所で生き残ろうという作戦ですね。

ハウチワカエデのタネ

 ハウチワカエデのタネ

タムシバ(モクレン科)も登山道を歩いていると巨大な白い花びらで目立つ存在です。花の大きさは拳ほどもあり、葉を噛むと甘みがあるためカムシバ(噛柴)と呼ばれたのが転訛してタムシバと呼ばれるようになったという説があります。遠くから見ると木にチリ紙がたくさん咲いているようにも見えることから、冗談でチリ紙の木と呼んだりする人もいます。花を近くで見ると大きくて迫力があります。

チリ紙が咲いているようなタムシバの木 迫力のあるタムシバの花

チリ紙が咲いているようなタムシバの木 迫力のあるタムシバの花

この可憐な白い花の群落を見たことがある人はいますか?オサバグサ(ケシ科)は日本の固有種で本州の中部地方以北に分布する1属1種のユニークな植物です。檜枝岐村の帝釈山や台倉高山では登山口付近から生息がみられ、毎年6月には尾瀬檜枝岐温泉観光協会主催の「オサバ草まつり」が開催されます。参加者には記念ピンバッチがプレゼントされ、多い日には数百人が訪れるほどの人気があります。以前より減少傾向にあるという話も聞きますが、この時期登山道を歩けばいくつも見つけることができます。特徴的なのは一緒に生息していることの多いシダ類と葉の形がそっくりなことです。

可憐なオサバグサの花  林床に生えるオサバグサ

可憐なオサバグサの花 林床に生えるオサバグサ

黄色円内がオサバグサの葉  オサバグサ記念ピンバッチ

黄色円内がオサバグサの葉        オサバグサ記念ピンバッチ

 今の時期、尾瀬やその周辺では山の花の都と言いたくなるような花々の開花が楽しめます。

次回は夏を迎えた尾瀬の様子をお伝えしたいと思います。

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2021年06月09日簡易誘導標識を設置しました

尾瀬国立公園 尾池こず江

尾瀬の環境省歩道に標識(誘導タイプ)を設置してきました。


尾瀬は有名なハイキングエリアで、一般的には誰でも、気軽に歩けるという印象だと思いますが、実は標高差もそこそこあり、歩く時間も最低半日はかかってしまう、意外としっかり歩く必要のある国立公園です。
もちろん歩いてしか行けない場所だからこそ、手つかずの自然や絶景スポットがあちこちにあるわけですね。

▲尾瀬沼ビジターセンター付近から見た燧ヶ岳(6/7撮影)

という事で、そんなハイキング中の安心につなげるため、見やすい場所に一定間隔で標識を設置しました。

区間は尾瀬ヶ原の山ノ鼻から、見晴や尾瀬沼を経由して、沼山峠の間です。


▲標識設置箇所

豪雪地帯の尾瀬では、杭タイプの標識は積雪で壊されてしまうので、今回は木道に貼り付けるシンプルなタイプの標識です。
地名も書かれていますので、行き先までの距離だけでなく、現在地の確認にも活用ください。

▲木道に設置した様子

木道に付けられているとはいえ、登山靴でふみふみしたり、ストックでグサッとやらないようにお願いします。

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2021年05月28日ミズバショウの尾瀬

尾瀬国立公園 檜枝岐 前川公彦

みなさん、こんにちは。

檜枝岐自然保護官事務所の前川です。

檜枝岐村の桜もほとんどは散ってしまいましたが、尾瀬ではミズバショウの花が咲き始めました。なんと言っても尾瀬のシンボルはミズバショウですので、シンボル化されたミズバショウは村内のいたる所で一年中目にすることができます。ちなみに事務所に飾られている尾瀬国立公園の旗はミズバショウですし、環境省の尾瀬のパンフレットにも同じシンボルマークが使われています。そういえば旧檜枝岐村役場の正面に掲げられているのもミズバショウですので、尾瀬にとってミズバショウはとても大切な存在です。

檜枝岐村入口に立つ尾瀬のシンボル 事務所に飾られている尾瀬国立公園の旗

檜枝岐村入口に立つ尾瀬のシンボル     事務所に飾られている尾瀬国立公園の旗

先週、尾瀬の中央にある尾瀬沼地区に行く機会があり、歩いている途中で咲き始めのミズバショウを見ることができました。雪の残る沼山峠から大江湿原に降りた頃には雪はほとんどなくなり、川や水たまりにたくさんのミズバショウが出てきていました。木道に沿ってミズバショウが生えているのは歩く人を歓迎してくれているように思え、何ともうれしい気持ちにさせられます。ここでは時期がまだ早いのか、小ぶりの花が多いと思いました。

木道の脇に咲くミズバショウ 樹木の下の水たまりに顔を出したミズバショウ

木道の脇に咲くミズバショウ        樹木の水たまりに顔を出したミズバショウ

また、御池から燧ヶ岳の裏側を通って見晴地区(尾瀬ヶ原)に行った際にも、途中の温泉地区を過ぎてからはたくさんのミズバショウに出会いました。尾瀬沼と比べて、見晴地区では開花が早いのか、こちらの花の方が大きく咲いていました。草原が広がる尾瀬ヶ原では、あたり一面に広がるミズバショウを楽しむことができました。特に見晴地区から至仏山に向かって歩くと、木道の周りのミズバショウに極楽浄土への道へと誘われているような気分になり、「至仏山の名前の由来はこういうことだったのか」と勝手に納得していました。

至仏山に至る木道周辺に咲くミズバショウ

至仏山に至る木道周辺に咲くミズバショウ

一面に咲くミズバショウの群落

一面に咲くミズバショウの群落

今回は動物に食べられたミズバショウを見ることはなかったのですが、調べてみると冬眠明けのツキノワグマは根茎を食べることがあるそうです。ただ、アルカロイド(毒性があり、服用すると吐き気、脈拍の低下、呼吸困難、心臓麻痺などを起こす)が含まれているので、食料というより、体内にたまった老廃物を排出するための嘔吐剤や下剤として利用しているようです。サトイモ科とはいえ、食用にはならないようです。

檜枝岐村を尾瀬方面に向かう途中に中土合公園があり、以前訪れた際には尾瀬沼よりも一足早くミズバショウが咲いていました。久しぶりに訪れてみると花はすっかり落ち、巨大なバナナのような葉が生い茂っていました。その迫力にミズバショウの生命力を感じました。

花が落ちたミズバショウの葉が茂る中土合公園の池

花が落ちたミズバショウの葉が茂る中土合公園の池

次回はシーズンを迎えた尾瀬の様子をお伝えしたいと思います。

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2021年05月28日5月の尾瀬は・・・

尾瀬国立公園 尾池こず江

こんにちは。片品自然保護官事務所の尾池です。

新緑が眩しい季節を迎え、尾瀬では雪解けも進み、生き物たちが活発に動きだしています。今週の尾瀬ヶ原巡視では、たくさんの動植物が見られましたので一部ご紹介します。

 尾瀬と言えば「ミズバショウ」ですが、この時期を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。今年は例年に比べ全体的に少し早く咲いているようです。

▲研究見本園のミズバショウ(5.24撮影)

 そんなミズバショウですが、尾瀬ではシカによる被害が確認されています。

土壌を掘り起こして泥浴びをしたり、踏み荒らしてしまうことで湿原が露出してしまったり、採食被害もあります。尾瀬では、そういった被害に対し様々な対策を進めています。ここ数年では、植生保護や景観維持のため、柵を設置していますが、今年度は、環境省と連携協定を結んでいる地元の尾瀬高等学校の理科部の皆さんと一緒に植生保護柵を設置してきました。専門業者の方々のご協力をいただきながら無事に設置でき、高校生も体験することで色々感じていただけたものと思います。

▲植生保護柵を設置する様子(5.14撮影)

▲ミズバショウで有名な下ノ大堀川周辺(5.14撮影)

いつまでも綺麗なミズバショウが見られますように。

尾瀬入山にあたって

【新型コロナウイルス感染拡大防止についてのお願い】

1.緊急事態宣言区域やまん延防止等重点措置区域にお住まいの皆様は、お住まいの自治体からの外出自粛要請等をご確認いただくとともに訪問先自治体の状況も併せてご確認ください。

2.その他の区域にお住まいの皆様におかれましても、お住まいの自治体及び訪問先自治体からの要請等に協力をお願いいたします。

その他尾瀬の情報はこちら

【尾瀬保護財団HP】

<https://www.oze-fnd.or.jp/>

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2021年03月12日尾瀬の福島側入山口、檜枝岐村

尾瀬国立公園 檜枝岐 前川公彦

みなさん、こんにちは。

檜枝岐自然保護官事務所に着任しました前川と申します、よろしくお願いします。

2月に着任しましたが、初めてのアクティブ・レンジャー日記を書かせてもらいます。

檜枝岐村は福島県西部の山合いにあり、尾瀬国立公園の福島側の入山口です。豪雪地帯で、この時期は雪深い閉ざされた環境になります。檜枝岐に来て最初に感じたのは積雪の多さです。朝起きたら、村人はまずスコップやスノーダンプで玄関前の除雪を行います。これは雪国の人々の一日の始まりの習慣です。除雪車も朝から除雪を行うので、車の通行には問題がありません。屋根に積もった大量の雪は時に一晩で1m近くにもなり、家がつぶれないように除雪をします。

朝早くから活躍する除雪車

朝早くから活躍する除雪車

雪下ろしをしない屋根にはこんなに積っています

雪下ろしをしない屋根にはこんなに積っています

檜枝岐のメインロードを歩いていて目立つのは、村の象徴でもあるカラフルな衣装をまとった六地蔵です。碑文を読むと、米もできないこの地では、かつての凶作時には餓死者が出て、たくさんの子供が含まれていたため、その霊を弔い、母の嘆きを慰めるために建立されたとあります。今では子宝、子育ての守護として参拝する人も多いそうです。通りがかりに六地蔵を拝む村人の姿を見ることもあります。話は変わりますが、檜枝岐村に来て感心したのは、通りを歩いていると、老若男女の村人から挨拶されることです。今の日本のほとんどの所では廃れてしまった古き良き習慣がここには息づいているように感じました。

通りに面して建つ六地蔵、時折拝んでから通り過ぎる村人の姿も目にします

通りに面して建つ六地蔵、時折拝んでから通り過ぎる村人の姿も目にします

村に来て、一番うれしかったのは温泉に恵まれていることです。村営の公衆温泉が3つもあり(一軒は現在休業中ですが)、しかも村内全戸に温泉水が供給されているということです。事実、私の入居する村営アパートの風呂も蛇口をひねると温泉が出てきます。雪景色を見ながらゆったり温泉につかっていると、自然を含めて檜枝岐村の豊かさを実感できるような気になります。

通りに面して建つ六地蔵、時折拝んでから通り過ぎる村人の姿も目にします

檜枝岐自然保護官事務所の隣にある「駒の湯」、暖まります

30分も歩けば、村落の端から端まで歩けてしまう檜枝岐村ですが、谷間にあるためなかなか全景が見渡せません。村の南にある中土合公園の展望台に登ると村全体が見渡せます。写真を見ていただくと檜枝岐村がいかに狭隘な山間部に位置しているかが分かるかと思います。

中土合公園展望台からの檜枝岐村全景

中土合公園展望台からの檜枝岐村全景

まだ雪の残る中土合公園に登ってみましたが、誰も登っていないため新雪のラッセルが大変でした。天気も良く、素晴らしい展望でしたが、ふと足下を見ると動物の足跡が・・・。誰もいない公園から村を静かに見下ろす動物の姿を想像すると、檜枝岐村が山の動物に見守られているような気になってきます。

中土合公園に残されていた足跡

中土合公園に残されていた足跡

次回は尾瀬沼に開設中のビジターセンターの雪下ろしについて報告します。

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2020年10月09日東北最高峰「燧ヶ岳」の登山道紹介!

尾瀬国立公園 檜枝岐 細川有希

みなさんこんにちは!

尾瀬国立公園 檜枝岐自然保護官事務所の細川です。

感染症の影響で開山が遅れた尾瀬でしたが、シーズンも終わりに近づき段々と草木が紅葉を始めました。

今年も、季節ごとに様々な姿を見せてくれた尾瀬ですが、今回は燧ヶ岳について紹介しようと思います。

一般に燧ヶ岳と呼ばれている山頂は2,356mの柴安嵓(しばやすぐら)のことを言いますが、すぐ隣に俎嵓(まないたぐら)と呼ばれる標高2,346mの山があります。標高差が10m程度で2つの山の間を20分程度で行き来できるのでふたつをまとめて燧ヶ岳と呼ぶこともあります。

燧ヶ岳に登るには4つのルートがあります。

①御池から熊沢田代を通り俎嵓に到着するルート(コースタイム3時間30分)

②尾瀬沼の浅湖湿原から俎嵓に到着するルート(コースタイム4時間)

③沼尻から俎嵓に到着するルート(コースタイム3時間)

④尾瀬ヶ原見晴地区から柴安嵓に到着するルート(コースタイム3時間30分)

<燧ヶ岳を登る4つのルートの色別>

①は檜枝岐村の御池登山口に駐車場があり、登山口までは車で行くことができます。歩き始めて1分程で、燧ヶ岳と尾瀬ヶ原に行く道の分岐があるので看板を見落とさないように注意してください。燧ヶ岳方面に進むと、最初に岩場の斜面があり急いで登ると疲れてしまうので自分のペースでゆっくり進みましょう。

<燧ヶ岳と尾瀬ヶ原に行く道の分岐>

<登りはじめの岩場>

②は長英新道と呼ばれる登山道で、今から約60年前に現在の長蔵小屋の主人の祖父にあたる平野長英氏が開拓しました。

他の登山道より滑らかに進むことができますが時間はかかります。山頂近くに尾瀬沼を臨めるミノブチ岳というスポットがあります。

<ミノブチ岳の展望>

③はナデックボと呼ばれる岩場を登るルートで、他の登山道より早く山頂に到着できますが、整地されておらず上級者向けの道なので初めての方は他の道を登ることをオススメします。ナデックボの由来は諸説ありますが、「なだれが多い窪んだ所」を略して呼ぶようになったとも考えられています。

<沼尻平から見たナデックボ登山道>

<俎嵓(2,346m)から臨む尾瀬沼>

④は見晴新道と呼ばれ、約3時間半で柴安嵓に到着します。最近に開拓された道のため、雨水が固まらず滑りやすい道となっており、雨の日やその翌日などは歩くと登山靴がどろどろになります。

思い切って折りたたみの長靴などを持って行くと良いでしょう。新しく木道階段が作られており、少しずつ歩きやすい道に変わってきています。

<見晴新道の新しい木道階段>

<柴安嵓(2,356m)から臨む尾瀬ヶ原>

今まで通りとはいかない半年でしたが、来年はより多くの方が来られることを祈っています。

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2020年08月29日アクティブレンジャー写真展のお知らせ

尾瀬国立公園 尾池こず江

  尾瀬国立公園片品地区では、令和2年8月29日(土)から9月27日(日)まで「道の駅尾瀬かたしな」(片品村役場隣)でアクティブレンジャー写真展-国立公園・野生生物の姿-」を開催します。

【写真展の様子】

 本写真展では、関東地方の国立公園や国指定鳥獣保護区の自然豊かなフィールドで、自然保護官補佐(アクティブレンジャー)が、日々の業務で撮影した一コマを紹介しています。動植物や四季折々の写真を展示していますので、お立ち寄りの際は是非一度ご覧下さい。

【写真展チラシ】

 また8月30日は、尾瀬国立公園指定日になっており、恵まれた自然をいつくしみ感謝する日として片品村では「尾瀬の日」として定めています。

 自然のすばらしさ、大切さを伝え、自然保護や国立公園について知っていただきたいと思います。

※「道の駅尾瀬かたしな」は、2018年7月21日にオープンしました。

尾瀬の入り口、片品村の道の駅へ足を運んでみてはいかがでしょうか?

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2020年07月13日檜枝岐小学校in尾瀬!

尾瀬国立公園 檜枝岐 細川有希

みなさんこんにちは!

尾瀬国立公園檜枝岐自然保護官事務所の細川です。

7月1日から尾瀬の入山自粛が解除され、御池から沼山峠までのシャトルバスも運行を始めています。

あいにく、天気が雨模様ですが、大江湿原にはワタスゲが咲き誇り、ニッコウキスゲも蕾が多いですが元気に咲いてきています。

△大江湿原のニッコウキスゲ

先週、檜枝岐小学校の皆さんと尾瀬自然体験学習のガイドとして参加しました。

小学生の人数が少ないので全体の1から6年生を3つにして3人のガイドをそれぞれ付けます。

どんなことを話すかいろいろ考えていたのですが、いざガイドをすると緊張してしまい頭から飛んでしまったこともありました・・・

△ギンリョウソウ

しかし、皆が聞き入ってくれたので、尾瀬の歩道は昔には無かったことや尾瀬はゴミ持ち帰り運動発祥の地であることなど、私が今まで尾瀬で経験したことなども交えて話しました。

子どもたちはこの後に尾瀬についての作文を書くらしいので少しでも力になれたら嬉しいです。

子どもたちは、小さい頃から学校の行事で尾瀬に行く機会が多く、小学校に上がる前は山小屋で過ごしていた子もいます。今回の経験をずっと覚えていることは難しいかもしれませんが尾瀬は楽しかったという記憶はどこかに残っていて欲しいなと思います。

△燧ヶ岳

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2019年09月04日尾瀬サミット2019

尾瀬国立公園 尾池こず江

 先日9月3日に、尾瀬の保全や利用推進について話し合う「尾瀬サミット2019」が開催されました。「尾瀬サミット」は、平成8年から新潟、福島、群馬の3県が毎年持ち回りで開催しており、今回は新潟県魚沼市が会場となりました。3県知事のほか、林野庁や環境省などの関係者らおよそ160人が出席しました。

環境省からは、菅家環境大臣政務官と関東地方環境事務所長が出席しました。

 政務官は、昨年度策定した「新・尾瀬ビジョン」で掲げている「みんなで守る」観点から、ニホンジカ対策を強化するため今年の8月に尾瀬・日光国立公園ニホンジカ対策広域協議会を新設したことや、「みんなで楽しむ」観点から、利用施設の再整備を進めるとともに、尾瀬の地域資源を活かしたエコツーリズムの推進をしていくことなどを説明し、シカ対策を一層強化していくことや尾瀬の多様な楽しみ方の提案を進めていくことを話されました。

 今回は、「新・尾瀬ビジョン」の中の行動理念の一つとして掲げている「みんなの尾瀬」をテーマに、尾瀬の魅力の再発見と情報の発信の在り方について魚沼市の女性2名が女性からの視点で発表し、尾瀬での自然体験学習に取り組む魚沼市の小学生らが尾瀬学習で感じた様々なことを発表をしました。

▲尾瀬サミットの様子

▲集合写真

 「新・尾瀬ビジョン」の「みんなの尾瀬を みんなで守り みんなで楽しむ」を行動理念に、これからも「みんなに愛され続ける尾瀬」でありますように。

▲奥只見湖の遊覧船

 新潟県からの尾瀬の入山口は、魚沼市の奥只見から入るのが唯一のルートで、船とバスを乗り継いで入ります。奥只見湖は、紅葉スポットにもなっているようですのでぜひ遊覧船で尾瀬に行ってみてはいかがでしょうか。

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