佐渡
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2015年02月12日2月の佐渡
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
まだまだ寒さが厳しい2月の佐渡です。
モニタリング業務では、日の出とともにねぐらを出るトキを追跡し、個体識別をします。
この時期のトキは繁殖に向け2羽のペアとなって行動します。
野生下のトキの繁殖状況を把握する上で、個体識別と識別場所は大変重要になります。
普段、白く比較的大きなトキを発見するのは難しいことではありません。
しかし、すべてが雪に覆われてしまうと、話は別です。
(この写真には3羽のトキが写っています)
雪原におりたトキたちを発見するのは容易ではなく、
朝のモニタリング業務中にトキを探し出すことができない日もあります。
私たちのまだまだ知らない餌場やねぐらがあるのでしょう。
放鳥後も野生下を生き抜き、雪の中へ飛び立って行くトキの姿はたくましく、
日々観察していますが、今でも感動を覚えます。
厳しい寒さが続きますが、春は近づいています。
トキのねぐらから出る時間が早くなり、日が長くなったことを実感します。
残りわずかとなった佐渡の冬を楽しみながら、トキとともに春が来るのを待ちたいと思います。
(朝日を浴びるツグミ)
2015年02月04日トキ野生復帰タウンミーティング開催
佐渡 後藤 由香
2015年になり早1ヶ月が経ちました。
佐渡自然保護官事務所では1月21日から29日にかけて、佐渡市に合併する前の旧市町村10カ所で「トキ野生復帰タウンミーティング」を開催しました。
2015年は、2003年に策定された「2015年頃に小佐渡東部に60羽を定着させる」といったトキ野生復帰の目標年を迎えるということで、これまでの取り組みを振り返り、次の目標へ向かうために市民の皆様にトキに関する現状をお伝えし、幅広いご意見をいただく機会として開いたものです。
<タウンミーティングの様子>
野生復帰の現状をお伝えするとともに、その中で皆様に再三お願いしたこととして「トキを見かけたらご連絡下さい」ということがあります。
今佐渡では、トキの数が増える一方で、モニタリングを行う人員数は変わらない状況となっているため、市民の方からの情報は喉から手が出るほどありがたいものです。しかし、数の増加とともにトキの姿を市民が見慣れてきていることもあってか、寄せられる情報は最近減る傾向にあるため、これから始まる繁殖期のペア行動の情報を是非いただきたいということで、以下のチラシとともに改めて呼びかけました。
また、今回のミーティングを通じて、情報をいただいた際の対応が大切だということを教えられました。
トキの情報のため電話をしたある方は、「その情報はもう必要ない」といった応対をされたため、今後連絡はしないと思ったということでした。情報がどんな内容でも感謝の心を忘れず対応することを一層心がけたいと思いました。
他にも、トキの営巣場所によっては、住民の方にお願いして敷地内に入らせていただき観察を行うこともあり、市民の方の協力なくては出来ないことが多くあります。今後もそのこと忘れず、感謝の気持ちを持って市民の方々と一緒にトキを見守っていきたいです。
今本州では、石川県珠洲市と新潟県村上市に1羽ずついることが確認されています。
皆様も是非、本州でも佐渡に来たときでも、トキをみかけましたら情報をお寄せ下さい!!
本年もよろしくお願いいたします。
2015年01月23日2015年1月佐渡でのトキの様子
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
佐渡島内のトキたちは繁殖に向けて羽根の着色が進んでいます。
この着色した羽根は「生殖羽」と呼ばれ、トキが繁殖可能な状態であることを表します。トキは繁殖期が近づくと首のあたりの黒い皮膚が厚くなり、粉状になってはがれ落ちます。これを水浴びの後にこすりつけることにより、頭から背中にかけて羽根の色が黒く変化します。これは巣で卵を抱く際の保護色の役目も果たすと考えられています。
(黒く着色したトキが顔を出しています。)
トキの行動にも変化があらわれています。最近のモニタリング業務中には、枝渡し、相互羽繕い、擬交尾といった求愛行動が観察されています。攻撃にも使う相手の嘴を受け止め羽繕いを許すことは、仲の良さの表れです。
(求愛行動の一つの擬交尾)
現在佐渡島内には137羽のトキが生存しています。2012年に野生下で36年ぶりに雛が誕生し、昨年にかけて3年連続で繁殖に成功しています。2015年も多くの雛が巣立ち佐渡の空を舞う姿が見られることを願いながら、私たちは日々モニタリング業務に取り組んでいます。
皆様、どうぞ本年もよろしくお願いいたします。
2014年11月05日はじめまして!
佐渡 近藤陽子
佐渡自然保護官事務所の近藤陽子と申します。
10月1日付けで自然保護官補佐に着任しました。
どうぞよろしくお願いします。
トキのモニタリング業務を始めて約一ヶ月が経ちました。トキの識別ではトキの脚についているナンバーリングの数字とカラーリングの色を見ます。これがなかなか難しいのです。トキたちは稲刈りの終わった田んぼやあぜで餌をさがしていることが多く、ちょうどリングが草や刈り終わった稲に隠れてしまい見えません。見えても動きまわっているので、識別するチャンスは脚を上げた一瞬だったり立ち止まった瞬間だったりとかなりの集中力を要します。しかし、識別できたときの喜びは格別!もっともっと修行を積んで、トキの野生復帰に貢献していきたいです。
モニタリング中にはトキの他、様々な野鳥を見ることができます。
オオヒシクイ
コハクチョウ
マガン
2014年08月06日トキの野生復帰特別展
佐渡 平野 邦典
佐渡では、連日30℃を超える真夏日が続いており、トキも木陰などで休息をとることが多くなっています。皆様も体調管理には充分ご注意下さい。
休息するトキ2羽
現在、山梨県にある環境省生物多様性センターにて、「トキの野生復帰特別展」が開催されています。
■場所:環境省生物多様性センター
■期間:7月15日(火)~9月30日(火) 9時~17時
トキがどんな鳥なのか、どのような取り組みが行われているかを紹介する特別展です。
展示の様子1
展示の様子2
展示の様子3
8月3日には、私も特別展に参加し、トキの野生復帰についての講義を行ってきました。
トキに興味がある方が多く、佐渡以外でもトキへの注目度が高いことを認識しました。
質問やクイズにも積極的に応えてくれる方も多く、意識の高さにびっくりすると同時に嬉しくもありました。短い時間でしたが、とても貴重な経験をさせていただきました。
講義中
特別展は9月30日まで開催していますので、皆様も是非足をお運び下さい。
http://www.biodic.go.jp/event/2014/nipponia.pdf
(トキの野生復帰特別展パンフレット)
2014年07月25日2014年野生下のトキの繁殖期報告
佐渡 後藤 由香
日記の更新が滞ってしまいすみません。
今回は、その間めまぐるしくあっという間に過ぎたトキの繁殖期について報告したいと思います。
2014年の繁殖期は、35組が営巣し、そのうち14組から36羽のヒナが誕生、さらにそのうち11組から31羽が巣立つという結果となりました。
野生下のトキの全体数が増えたこともあるとは思いますが、巣立ちまで至った羽数は一昨年の8羽、昨年の4羽と比べかなりの好成績となりました。嬉しい限りです。
今年最初に巣立った幼鳥
今年は、2012年に野外で生まれた個体が繁殖可能な2歳になるということで、野生下のトキで3世代目となる「3世」とも呼ばれるヒナの誕生が期待されていました。
結果は、野外生まれのオス(2歳)/放鳥トキのメス(3歳・№127 )ペアと放鳥トキのオス(5歳・№74)/野外生まれのメス(2歳)ペアの2組からそれぞれ2羽、3羽の合計5羽が巣立ちました。
しかし、既にその5羽のうち1羽の死亡が確認されており、その他にも1羽の幼鳥の死亡が確認されています。
去年一昨年の幼鳥は、巣立ち後1年近く全羽が確認されていました。巣立ち数が増えればそれだけ事故などに遭う個体が出てくるのは仕方がないことだと思いますが、野外で生きていくことの厳しさを改めて実感させられました。
畑で餌を探すトキ「3世」
巣立ち率が上がったことの他にも、嬉しいことがありました。
これまで、一度営巣を放棄し、2回目に作った巣では繁殖は成功しないとみられていましたが、それを覆すペアが出てきたのです。
そのペアは、1度は産卵までしたものの何らかの理由で巣を放棄しましたが、再び場所を変えて営巣し産卵しました。そして、3羽をふ化させ、最終的に3羽とも巣立たせました。このペアは、過去5回の繁殖期でもペアを形成し産卵はするものの、1度もふ化を成功させていなかったため、今回の成功には、皆驚き、喜びました。
また、幼鳥は巣立ち後も1ヶ月間ほどは親の給餌を受けるのですが、今期の繁殖期では、実親でないトキからも給餌を受けているとみられる様子が観察されました。トキの謎は増えるばかりです・・・
今後も、4世5世と続いていき、さらに多くの幼鳥が空を飛ぶ日が来ることが楽しみです。
幼鳥たちがどのように成長していくか、しっかりモニタリングしていきたいです。
親鳥に餌をねだる幼鳥
2014年01月21日本年もよろしくお願いします
佐渡 後藤 由香
さて、佐渡自然保護官事務所では新年早々の1月7日、とても嬉しいニュースが飛び込んできました。
なんと、去年9月末の放鳥直後から行方が分からなくなっていたトキが、本州で見つかったというものです。
年末からトキらしき鳥がいるという目撃情報は何件か入っていましたが、まさか本当に、という感じでした。
(2014年1月7日 環境省 新潟事務所撮影)
本州に渡った個体は実に3年ぶりです。
今回渡った個体はメスです。これまで渡った10羽の内8羽がメスということになります。
本州に渡る個体にメスが多いのは、繁殖期によりよいオスを求めてのことだとも言われていますが、詳しいことは分かっていません。
これから少しずつ本州でもトキが増えていけばいいというのが願いです。
2013年12月16日冬にむけて
佐渡 後藤 由香
先週行ったモニタリング時もかなり天気が荒れていて、トキ達もねぐらを出たはいいが強風で押し戻されながら必死に飛んでいました。
さて、報道発表もされましたが、トキの中には羽色が黒くなってきたものが出てきて、繁殖期への準備が着々と進んでいるようです。
(2013年12月11日に撮影された写真)
このように、黒い「化粧」をする鳥は世界中探してもトキだけです。
繁殖期には、耳周りから顎の下にかけての皮膚脱落物を、水浴び時などに羽に塗りつけ、頭、翼、背が灰黒色になります。
色づくことにより自分は繁殖期に入ったことを示すとともに、抱卵時には保護色の役割を果たすということです。
今年は例年に比べ早い色づきだということで、トキ達も本格的な冬を前に早めの準備に入ったということでしょうか。
2013年12月03日AR写真展開催
佐渡 平野 邦典
トキも色を黒く染め始め、繁殖期に向けて着々と準備を始めているようです。
金北山
さて、毎年恒例となりました「国立公園・野生生物フォトコレクション」が
トキの森公園資料展示館にて開催されています。
場所:トキの森公園資料展示館
開催期間:11月30日~12月23日
開館時間:8:30~17:00
定休日:毎週月曜日(但し、月曜日が国民の祝日にあたるときは火曜日)
及び年末年始(今年は12月26日から1月7日)
協力費:大人 400円
子人 100円
関東地方の国立公園と国指定鳥獣保護区で活動するアクティブ・レンジャーが撮影した、雄大な自然や動植物の写真で、各地の様子を紹介します。
皆様のお越しをお待ちしております。
写真展会場の様子
皆様、こんにちは。
佐渡でも晴れて暖かな日が増え、フキノトウがあちこちから顔を出し、
ようやく春の訪れを感じられるようになりました。
トキの繁殖行動も活発になり、
3月15日には今期最初の営巣(巣作り)が確認されました。
(巣を挟むようにとまるトキのペア)
現在佐渡では、このペア以外にも、約40組あまりのペアが形成されようとしており、
各地でトキが巣材となる枝を運ぶ様子が観察されています。
佐渡の方々のトキに対するあたたかなご支援・ご協力により、トキの数が順調に増え、
モニタリングチームはトキのペア追跡に苦労しながら、嬉しい悲鳴をあげています。
今期は、野生下生まれの個体同士のペアからの雛誕生に期待がかかりますが、
良いご報告ができることを願いつつ、日々のモニタリング業務に励んでまいります。
(愛情表現の「枝渡し」をするペア)