佐渡
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2020年06月11日第22回トキ放鳥が行われました!
佐渡 菅野萌
皆さんこんにちは。
佐渡自然保護官事務所の菅野です。
あっという間に6月ですね。夜は涼しくても、日中は蒸し暑く感じる事が多くなってきたので、そろそろ半袖のレンジャー服を着ようか、長袖のままでいようか毎日迷ってしまう今日この頃です。
▲見ごろを迎えたトビシマカンゾウの花
そんな中、6月5日に第22回トキ放鳥が行われました!
通常であれば、放鳥の日はモニタリングボランティアの方々と共に、放鳥されたトキの様子を観察します。
しかし、今回は新型コロナウイルス感染症対策のため、環境省職員等の少人数で見守りました。
新規放鳥されたトキは今年の3月12日から「順化ケージ」と呼ばれる、佐渡の里山を模した大きな施設の中で順化訓練を受け、野外で生きていくために必要な「飛翔」や「採餌」などの能力を身につけてきました。
トキたちが約3か月間過ごした順化ケージの扉を開けるのは朝の6時。
▲放鳥口を開きます
トキ保護センターの職員が放鳥口を開き、放鳥口付近の池にドジョウを給餌します。
その後は誰も順化ケージには近寄らず、管理棟内のモニターでトキの様子を見守ります。
どんな風にトキたちは飛び立つのでしょうか?
放鳥口付近に設置したカメラの画像でお見せしたいと思います!
▲放鳥口付近の池に給餌されたドジョウを食べに集まるトキ
▲何かの拍子に・・・
▲飛び立った!
私は野外で放鳥トキを観察する役割だったので、後でビデオの映像を見たのですが、何がきっかけで飛び立つのか全くわかりません。
もしもトキと話すことができたら「あの時、何がきっかけで飛んだの?」と聞いてみたいものです。
今回は順化ケージでソフトリリース方式による放鳥を行いました。トキが自ら順化ケージの外に出るのを待つため、放鳥終了までかかる時間や日数はわかりません。
前回のソフトリリース方式による放鳥では、放鳥初日に1羽だけ順化ケージ内に残ってしまい、翌日まで延びてしまいました。
ところが、今回は6時に扉を解放してから9時52分までに全羽が飛び立ったのです!
放鳥されたトキは順化ケージ周辺を飛翔したり、木にとまったりしており、特に事故等は確認されませんでした。
▲飛翔する放鳥トキNo.402
今のところ新規放鳥トキは順化ケージ周辺で見られることが多いですが、これからどのような動きをしていくのか、楽しみです!
2020年06月02日トキの卵についてきたミクロな生きもの
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
先日、回収したトキの卵殻(※)の写真を撮影していると、不思議な生きものがいるのに気が付きました。
<撮影していた卵殻。卵殻には土などが付着してきます。>
大きなハサミをもったミクロな生きもの。
アップで見てみると...
<青い目盛り1つが1mmです>
大きなハサミの他に脚は8本。サソリ?何だ、これ?
調べてみると、カニムシの仲間ということが分かりました。
カニムシは、地表や土の中にいて、ダニなどの小さな動物を補食するそうです。
ミクロの世界の捕食者、カニムシ。
生きものの世界の奥深さを垣間見たようでした。
アクシデントで採取してしまったカニムシは、心苦しいですが、トキの卵殻と一緒に佐渡自然保護官事務所の冷凍庫に保存されています。
※野生下のトキの卵殻回収について
野生下のトキが繁殖をやめてしまった場合等に巣の下へ行き、卵殻回収を行います。産卵数や有精卵率などを調べ、得たデータはトキ野生復帰事業に活用します。
2020年05月22日小さな侵入者
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
<佐渡自然保護官事務所へ続く道沿いに咲くトビシマカンゾウ>
先日、佐渡自然保護官事務所内で、床を横切る小さな影に気が付きました。
影は、どうやら職員のデスク下に逃げ込んだようです。
一体何が侵入したのか。
デスク下をのぞいてみました。
ウロコに覆われた、でもツルッとした長い尾。
長い尾の持ち主は私に驚き、今度は私のデスク下に逃げ込みました。
これは捕獲のチャンス!
そーっと手を伸ばし、キャッチ!
影の正体は「ヒガシニホントカゲ」でした。
佐渡ではトキの繁殖期まっただ中ですが、このトカゲも繁殖期を迎えているようです。
のど元がオレンジ色の婚姻色に染まっていました。
小さな侵入者は私に捕まり、敷地内の草むらへ解放されました。
もう捕まるんじゃないよ。いい相手が見つかるといいね。
普段からよく目にするトカゲですが、婚姻色をじっくり見たことはありませんでした。
身近な自然に目を向け、耳を澄ましてみると、案外おもしろい発見があるかもしれません。
2020年05月13日野生下のトキのヒナへの足環(あしわ)装着
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
佐渡では田植えの最盛期を迎えています。
この時期のトキたちは子育て真っ最中!
トキのエサとなる生きものが豊富な時期でもあるので、ヒナを育てるには好都合なんです。
<モリアオガエルとサドガエルの2匹を同時に捕まえたNo.251>
そのような中、今期初となる「トキのヒナへの足環(あしわ)装着」を本日行いました。
野生下で誕生したトキのヒナに足環を装着することで、個体ごとの生存や繁殖の状況を追跡調査できるようになります。こうした調査で得られた情報はトキの野生復帰に活用されます。
それにしても、いったいどうやって野生下のトキのヒナに足環を装着するのでしょうか。
答えは、
「トキの巣がある木に登り、巣にいるトキのヒナを捕獲して足環を装着し、ヒナを再び巣に戻す」
です。
請負業者の方にトキの営巣木に登ってもらい、ヒナを捕獲して地上へ降ろします。
地上では、獣医師を含む職員が足環装着作業を行います。
<トキのヒナと装着された足環>
足環装着作業が終了したら、ヒナを再び巣に戻し、速やかに林を出ます。
<巣内のヒナ>
足環装着作業は2班に分かれて行います。
1班は林内で足環装着作業をする班、2班は林外の離れた位置から親鳥と巣の様子を広角で観察する班です。
親鳥は、オス・メス交替で巣にいてヒナを守っていますが、作業が始まると人が木に登って巣に近付くため、驚いて飛び立ってしまいます。
2班は作業後、この飛び立ってしまった親鳥が巣に戻り、ヒナの世話を始めるまで観察を続けます。親鳥が普段通りヒナの世話を始めたら、作業終了です。
(※野生下トキのヒナへの足環装着は2013年から行っていますが、親鳥が戻って来なかった事例はありません)
私たち佐渡のアクティブ・レンジャーは、ヒナが誕生する前の親鳥の動向から追跡し、ヒナ誕生から巣立ちまで見届けます。そして、ヒナが巣立って2年後、成鳥となり繁殖を始める様子を観察することがあります。
誕生したヒナは、巣立つ前に天敵に襲われたり、親鳥が何らかの理由で死亡し、ヒナまでも死んでしまったりと、巣立ちへの道のりは決して平坦ではありません。
<メスに羽繕いされるNo.136。2017年撮影(左)、No.136の死体回収現場。2019年撮影(右)>
(※No.136は2019年4月、天敵に襲われ、ペアの抱卵中止が確認されました。)
また、巣立って間もないトキは、上手く飛べなかったり、エサを見つけられなかったり、逃げ足が遅かったりするので、成鳥よりも生存率が下がります。
そうした困難をいくつも乗り越え、ヒナだったトキが親になり、新たに命をつなぐ様子は、観察する私たちに感動と励ましを与えてくれます。
佐渡の人たちの100年以上におよぶ熱心な保護により、約400羽のトキが佐渡の野生下で暮らしています。
来年の今頃は何羽のトキが佐渡の大空を飛んでいるのでしょうか。
引き続き、見守っていきたいと思います。
<トキのヒナ>
2020年04月30日制札調査って?
佐渡 菅野萌
皆さんこんにちは。
佐渡自然保護官事務所の菅野です。
佐渡では4月24日に今季初の野生下トキのヒナ誕生が確認されました。
▲静止画だとわかりにくいですが、黄色の丸で囲っているところにヒナがいます
昨年4月に着任した時は、すでに営巣・抱卵しているペアがほとんどであったように記憶していますが、今回はトキがペアで行動するようになる12月下旬頃から、ずっと見守ってきたので、喜びもひとしおです!
さて、佐渡のアクティブ・レンジャーの業務で「野外」といえば、ほとんど野生下トキのモニタリングなのですが、今回はちょっと違う「野外」での業務についてご紹介します。
その1つが国指定鳥獣保護区の制札(せいさつ)調査です。
制札?さて何のことやら?と思った方は下の写真をご覧ください。
山の中や道路脇で見たことがある方もいるのではないでしょうか。
制札とは、鳥獣保護区を示す看板のことなのです!
「鳥獣保護区」とはその名の通り、鳥獣の保護を図る区域であるため、狩猟が禁止されています。
また、佐渡にある「国指定小佐渡東部鳥獣保護区」の中には「特別保護地区」というものがあり、その区域では木や竹の伐採など、一定の開発行為が規制されます。
鳥獣保護区の制札は一般道路の脇などに設置されていることが多く、車を使って設置状況を調査することができるのですが、国指定小佐渡東部鳥獣保護区内の特別保護地区の制札は山の中にあります。
この時ばかりは、車を使ってのモニタリングで楽をしている足に鞭打って、歩かなくてはなりません・・・!
(楽をしているのは足だけで、モニタリング自体は楽な業務ではありませんよ・・・!)
▲道路沿いの制札調査の場合 ▲山の中の制札調査の場合(ひたすら歩きます・・・)
制札に辿り着いたら、設置状態や支柱・板面のサビ具合などをチェックし、記録を取っていきます。周りの雑草が伸びていたら草刈りをし、傾いたり、倒れてしまっている制札を直すこともあります。
▲支柱のぐらつき具合はどうかな・・・?
意外とやることが多いので、持ち物もたくさんあります。
かなづち、ドライバー、スコップ、草刈り鎌、ナタ、カメラ等々・・・
特に山の中に入るときは、救急箱や、飲み物・行動食も忘れてはいけません。
それから、制札調査中にトキを見つけた場合に観察記録を取れるように、トキ識別表や無線などのモニタリングセットも必ず持って行きます!
▲識別表や無線などのモニタリングセット
今回はモニタリング以外の野外業務についてご紹介しましたが、佐渡のアクティブ・レンジャーが野外に出るときには、いつでもトキのモニタリングができるよう準備をしているのです!
2020年04月14日とき色
佐渡 近藤陽子
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、佐渡自然保護官事務所でも交替での在宅勤務、いわゆるテレワークが始まりました。野生下トキのモニタリング業務は、職員同士の接触を減らした形で継続して行っています。
佐渡では桜が満開となり、見頃を迎えています。色が乏しい冬が終わり、春らしい桜色のアクセントが加わって、佐渡は華やかな雰囲気になりました。
この華やかさ...まるでトキが羽ばたいた時のよう!
と、ふと思い、今回は佐渡に咲く「とき色」をお届けしようと思います。
トキの羽の色は「とき色」と呼ばれ、日本では昔から着物の染め色として親しまれてきました。それほどまでに日本人にとってトキは身近な鳥だったようです。
「とき色」は、トキのエサとなるザリガニやサワガニなどの甲殻類に含まれる色素を羽に蓄えることで発現すると考えられています。
トキの羽は、年に1度、6月から9月に生え換わります。換羽後の9月から11月は、1年で最も鮮やかな「とき色」を見ることができます。「とき色」は紫外線で分解されるため、徐々に色あせていきます。
次の写真は、トキの幼鳥です。
トキの幼鳥の羽は灰色がかった白色です。「とき色」とは言いがたい色です。トキですが。
美しい「とき色」の羽になるまでには1年以上かかります。
1年で一番美しい「とき色」が見られる秋。
佐渡の野生下では、今年新たに誕生する幼鳥たちが飛び回っていることでしょう。
その頃には皆様が安心して佐渡に来島できますように。
1日も早い新型コロナウイルス感染症の終息を願います。
<1本ずつ枝を運び、巣作りにはげむトキ。2020年3月25日撮影>
2020年03月30日羽がカラフル?
佐渡 菅野萌
皆さんこんにちは。佐渡自然保護官事務所の菅野です。
佐渡でも梅や菜の花が咲き始め、いよいよ春だ!と感じるようになってきました。
そんな中、第22回放鳥予定のトキ18羽の「順化訓練」が3月12日からスタートしました!
「順化訓練」では、放鳥されたトキが野外で生きていけるよう、「順化ケージ」という佐渡の自然に近い環境を再現した広いケージの中で、飛翔能力や採餌能力などを身につけていきます。
▲順化ケージへの放鳥のようす
さて皆さん、上の写真をよく見てください。放鳥箱から飛び出したトキたちの羽が、なんだかカラフルだと思いませんか?
実は順化ケージに放す前に、個体識別できるようにアニマルマーカー(生物に有害な物質が含まれていないマーカー)で羽に色を塗っているのです!
マーカーは赤・オレンジ・黄・緑・青の5色あります。
▲目隠しでおとなしくなったトキにマーカーで着色する様子。1羽につき2人で色を塗っていきます。
マーカーは基本的に片方の羽につき2か所塗っており、個体ごとに色の組み合わせが決まっています。
ちなみに、色を塗る場所も放鳥時期によって異なっており、春放鳥個体はパターン①、秋放鳥個体はパターン②で着色します(たまに例外もあります)。
▲パターン① ▲パターン②
トキの羽は抜けかわってしまうため、マーカーによって識別できるのは放鳥から一定の期間に限られてしまいますが、足環以外の識別方法があることで、個体ごとの情報をより多く集めることができます。
▲あ!色がついている!この色の組み合わせは・・・
皆さんも佐渡でトキが飛んでいるところを見かけたら、羽をよく見てみてください。
カラフルな羽のトキなら、順化訓練を経て佐渡の空を飛んでいる新規放鳥のトキです!
2020年03月17日お洒落な鳥は電線に
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
先日、トキのモニタリングを終えて事務所に戻る途中、見慣れない鳥が電線にとまっていました。ムクドリくらいの大きさですが、顔に赤みがあるように見え、飛び方もムクドリとは違います。
双眼鏡を向けてみると、なんと!「キレンジャク」の群れ!
佐渡では毎年、秋から春にかけて飛来する冬鳥ですが、私は見たことがありませんでした。佐渡6年度目にしてようやく出会えたキレンジャクでした。
すらっと伸びた冠羽、顔には黒マスク、翼には黄色と赤のアクセント。羽毛感のないつるりとした体。
図鑑で見るたびに、洗練されたお洒落な鳥だなあ、一度見てみたいなあ、と思っていましたが、まさか電線を見たらとまっているとは。簡単に見つけられたことに拍子抜けしてしまい、なんだかおかしくて笑ってしまいました。
お洒落な鳥は、スズメやムクドリのように、普通に電線にとまっていました。
翌日、同じ場所を通ったら、尾羽の先が黄色のキレンジャクに加え、赤色をした「ヒレンジャク」も複数入っている40羽ほどの群れが電線にとまっていました。
これからさらに北を目指して海を渡っていくのでしょう。美しいこの小鳥たちが無事繁殖地にたどり着き、子孫を残せることを願い、私も電線から離れて事務所へ向かいました。
~レンジャク豆知識~
レンジャクの英名は Waxwing(ワックスウィング)=蝋の翼です。
キレンジャクの写真をもう1度ご覧ください。
キレンジャクの次列風切と三列風切の羽軸の先に、赤い蝋を塗ったような突起物があります。これが、英名の由来です。ちなみに、ヒレンジャクにこの突起物はありません。
2020年03月09日野生下で生きる
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
佐渡自然保護官事務所では、関係機関や地域の方々とともに、一度絶滅したトキをもう一度日本の空に帰す取り組みを行っています。
取り組みの一環として、年に2回、日本各地の飼育施設で誕生し育ったトキを放す「放鳥」を佐渡で行っています。(※)
<ケージから佐渡の空へ飛び立つトキ>
放鳥されたトキとその子孫は、私たちアクティブ・レンジャーを含むモニタリングチームによって日々観察され、こうした観察から得られたトキの生存率や繁殖成績など様々なデータは、より良い野生復帰の取り組みへと活かされています。
このように、佐渡のアクティブ・レンジャーの主な仕事は、野生下トキの観察です。日々観察を続けていると、記憶に残りやすいトキが出てきます。
今回は、身体的特徴があるため記憶に残りやすいトキ2羽をご紹介します。
■No.179
No.179は2012年佐渡トキ保護センター生まれのオスで、私たちの事務所がある新穂(にいぼ)地区で頻繁に確認されています。No.179は、2016年9月から原因不明の左眼の白濁が確認されています。最初は大変心配しましたが、その後の観察で生活に大きな支障がないことが分かり、私たちも一安心です。ちなみにNo.179はメスにモテます。これはあくまでもモニタリングチームの私見ですが、眼の白濁はモテ要素の阻害にはならないようです。
<No.179>
■No.B01
No.B01は2017年佐渡の野生下(新穂地区)で生まれたメスで、現在は主に両津(りょうつ)地区で確認されています。No.B01は2018年6月に、なんと、上くちばしが3分の1も欠損しているのが確認されました。その後も2019年1月には左腹部に血痕があるのが確認され、観察している私たちをヒヤヒヤさせましたが、継続して生存が確認され、腹部の血痕も美しいとき色の羽に生えかわり、しっかりエサもとれているようです。
<左から2枚:上くちばし欠損、一番右:左腹部の血痕>
No.B01は野生下生まれの個体なので、誕生した時からモニタリングチームによって観察されています。
<左から、B01の親鳥ときょうだい、B01ときょうだい2羽、B01の足環装着の様子>
野生下には様々な危険があり、命を落とす個体もいます。私たちが日頃見かけるトキたちも、こうした危険を乗り越えて今があります。トキを観察する際は、そんなことを心に留め、温かい気持ちで見ていただけると嬉しいです。
※トキ保護増殖事業計画に基づき、環境変動や高病原性鳥インフルエンザ等の感染症に備えるため、佐渡トキ保護センターの他に国内5カ所でトキの分散飼育が行われています。(飼育地:佐渡市トキふれあいプラザ、長岡市トキ分散飼育センター、いしかわ動物園、多摩動物公園、出雲市トキ分散飼育センター)
皆さんこんにちは。
佐渡自然保護官事務所の菅野です。
つい先日、今年初めての野生下のトキのヒナ誕生に喜んでいたような気がしますが、あっという間にヒナたちは巣立ちを迎え、飛び回りながら少しずつ行動範囲を広げています。
▲餌をねだる幼鳥(左)と親鳥(右)
巣立ったばかりの幼鳥は目が黒っぽく、オレンジ色の顔をしています。巣立ちから一ヶ月程度は親鳥と共に営巣林の近くで過ごします。
幼鳥が親鳥の後ろについて田んぼで餌を採っている姿や、木にとまろうとして「おっとっと」とバランスを崩している姿は微笑ましいです。
モニタリング中にふと顔をあげると、あんなところに幼鳥が・・・!
つぶらな瞳が何とも可愛らしい・・・・
でも何か違和感があるような・・・
トキらしくないような・・・
皆さん、お気づきでしょうか?
なんと、この幼鳥は神社の屋根にとまっているのです!
トキは人の暮らしに近いところで生活していますが、普段は人工物にはとまらず、休息する時も塒をとる時も、木にとまります。
▲木にとまる成鳥
しかし、巣立ったばかりの幼鳥は屋根や電柱など「なぜそこに!?」と思わされるようなところにとまることがあるのです。
まだ十分な運動能力がない幼鳥にとっては、細い枯れ木や葉が生い茂る木よりも、屋根のような安定した場所にとまる方が楽なのかもしれません。
場合によっては、来る日も来る日も同じ場所にとまり続け、地元の方々から心配されてしまうことも・・・
もし佐渡で屋根などにとまっている幼鳥をみかけても、怪我をしているようでなければ問題ないので、そっと見守ってもらえると嬉しいです。