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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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佐渡

141件の記事があります。

2019年08月07日佐渡のアクティブ・レンジャーの業務

佐渡 近藤陽子

皆様、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の近藤です。

今回は、佐渡のアクティブ・レンジャーの業務をご紹介します。

 佐渡自然保護官事務所は、一度絶滅したトキをもう一度自然に帰すことによって、自然環境の保全・再生を目指す取り組みを行っています。私、近藤を含む2名のアクティブ・レンジャー(略称AR)が勤務しており、主に野生下トキのモニタリングを行っています。

~春~

 春はトキの繁殖期。佐渡の自然界で繁殖しているトキの状況(ペア個体の識別、巣の位置情報、ふ化したヒナ・巣立ちしたヒナの羽数確認など)をモニタリングによって把握します。トキの繁殖に影響を与えないように、できるだけ離れて、原則として車内からモニタリングを行います。

 

<実際のモニタリングの様子>         <繁殖状況の確認:ARが撮影>

  春には、放鳥も行われます。放鳥トキ個体識別表の作成や放鳥トキのモニタリング等を行います。

   

<放鳥トキ識別表>    <放鳥トキモニタリングの様子>   <放鳥トキ:AR撮影>

※車外での観察は、トキを放つ場所から500メートル以上離れた場所で行っています。

~夏~

 夏、トキの繁殖期が終わり、モニタリング業務が落ち着いてきます。モニタリング業務の合間に学生への普及啓発活動や地域イベントへの参加を積極的に行います。

 

<小学生への普及啓発活動>          <地域イベントへの参加(写真は外来魚駆除の様子)>

~秋~

 秋には、もう一度、トキの放鳥が行われます。春の放鳥と同様の作業やモニタリングを行います。

また、秋はトキが群れで生活するようになるため、ねぐらに多数のトキが集結します。通常のモニタリングに加えて、佐渡島内の各ねぐらから出るトキの羽数を一斉にカウントし、佐渡に生息するトキの羽数を推定する調査「ねぐら出一斉カウント調査」を行います。

<群れになって飛翔するトキ>

 モニタリング業務の他、暑さが和らぐこの時期、佐渡の鳥獣保護区「国指定小佐渡東部鳥獣保護区」に設置されている制札の状況確認・メンテナンスを行います。

<制札まわりの草刈りを行う様子>

~冬~

 冬は、ガン・カモなどの渡り鳥によって運ばれる鳥インフルエンザが国内で発生することがあります。これまで佐渡での発生は確認されていませんが、普段のモニタリング時に、トキ以外の野鳥に異常がないかなども確認しています。

<冬、佐渡自然保護官事務所近くのため池に集まるカモ類>

ARは、こうした季節ごとの主な業務の他、会計や物品管理等に関する事務作業、インターネットでの情報発信、モニタリングボランティアや地域の方との調整等の業務も担っています。

同じ関東地方環境事務所管内のARでも業務が異なります。

他地域のARの活動に関するアクティブ・レンジャー日記も是非ご覧ください。

アクティブ・レンジャー日記[関東地区]

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2019年07月25日トキの顔

佐渡 近藤陽子

皆様、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の近藤です。

<佐渡市金井地区>

 新潟県佐渡市では、7/16(火)に今期最後の野生下のトキのヒナが巣立ち、繁殖期が終わりました。現在、佐渡の各地で今年誕生したトキの幼鳥たちが確認されています。

 今回は、「トキの顔」についてお話します。

 トキの顔、よく見ると案外いろいろなことが分かるんです。

たとえば、こちらの2枚。

 


 トキのモニタリングを行っている職員は、この写真から、どちらが野生下で生きているトキで、どちらが放鳥されたばかりのトキ(つい最近まで飼育されてたトキ)かが分かります。

何を基準に判断しているのか。判断の決め手は「眼の色」です。

 

<野生下トキ>              <放鳥されたばかりのトキ>

 野生下で生きているトキの眼("虹彩"と呼ばれる黒目の周りの色)は濃いオレンジ色をしています。一方、放鳥されたばかりのトキの眼にはほとんど色がありません。

 放鳥されたばかりのトキは、生存確認のため、特に注意してモニタリングされています。個体識別用の足環(あしわ)が草に隠れて見えなくても、顔を見れば注意して観察しなければいけない個体だと分かります。

 眼の色は、トキが食べるエサによって変化していると考えられています。エサの種類が限られる飼育下トキに比べ、野生下トキは季節・環境に応じて様々な種類のエサを食べています。その結果、眼の色が濃く発色するようです。

 最後に、こちらの1枚をご覧ください。

 顔がオレンジ色で眼が黒く、後頭部の冠羽(かんう)が短いこのトキ。これは巣立って間もない幼鳥です。

 6~7月は、トキの巣立ちラッシュ。幼鳥たちが佐渡の各地で観察され始めます。

 水田でトキを見かけたら、遠くから静かに双眼鏡を使ってじっくり観察してみてください。幼鳥と出会えるかもしれません。

 観察を続けていると、様々なことが見えてきます。身近な生きものを継続して観察すると、思いがけない発見があるかもしれません。あなたのまわりの自然にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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2019年06月27日2019年「環境省 アクティブ・レンジャー写真展」開催中

佐渡 近藤陽子

皆様、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の近藤です。

新潟県佐渡市新穂青木(にいぼあおき)では、「朱鷺と暮らす郷」認証米PRのため、佐渡市と生産農家とがコラボレーションして企画された田んぼアートが見頃を迎えています。

<佐渡市新穂青木の田んぼアート 6/20撮影>


さて、今回の日記は、2019年「環境省 アクティブ・レンジャー写真展」についてです。

関東地方環境事務所では、平成22年度から、管内のアクティブ・レンジャーが撮影した動植物や風景の写真を多くの人々に紹介し、自然の素晴らしさ、大切さを伝え、自然保護や国立公園について普及啓発を行うことを目的とする巡回写真展「アクティブ・レンジャー写真展」を開催しています。 

佐渡島内では、6月21日(金)から7月10日(水)までの予定で、佐渡汽船両津港ターミナル2階待合室で開催しています。

展示する写真は、関東地方環境事務所管内の13の自然保護官事務所等に勤務する21名のアクティブ・レンジャーおよびアクティング・レンジャーが撮影した計28点の作品です。国立公園や国指定鳥獣保護区といった日本を代表する雄大な自然風景やそこに生きる貴重な動植物の活き活きとした姿をご紹介します。



<会場の様子>

両津港へお越しの際は、写真展へも足を運んでみてはいかがでしょうか。

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2019年06月17日佐渡の空へ!

佐渡 菅野萌

皆さまこんにちは。 

佐渡自然保護官事務所の菅野です。

佐渡では野生下のトキのヒナがすくすくと育っています!

▲幼鳥は顔がオレンジ色です

すでに畦などで採餌をしている幼鳥の姿も確認されるようになりました。

「お外デビュー」といったところでしょうか。

この先の成長が楽しみでしかたありません!

さて、「お外デビュー」をしたのは野生下のトキだけではありませんよ!

6/7に第20回放鳥があり、飼育下のトキ20羽が新たに佐渡の空へと飛び出していきました。

放鳥されたトキは3ヶ月前から「順化ケージ」という場所で過ごし、飛翔や採餌など、

野外で生きていくすべを学んできました。

▲順化ケージ内の様子(放鳥終了後に撮影)

今回の放鳥はソフトリリースという方式をとり、順化ケージの扉を開けておくことで

トキが自然に飛び立つのを待ちました。

放鳥する際に私たちアクティブ・レンジャーは何をしていたのかというと・・・

順化ケージから離れたところで、放鳥口から出て行ったトキたちがどこへ飛んでいったのか、

事故などがないかモニタリングできるようモニタリングチームの皆さんと一緒にスタンバイしていました。

▲モニタリングは大ベテランのメンバーも一緒で心強い

順化ケージ内の様子をモニターで確認している職員から「トキが放鳥口近くの池までおりてきました」

と連絡が入ると、「そろそろかな!?」とドキドキしながら順化ケージの方を見守ります。

「飛びました!」

その連絡を受けて、急いでスコープで姿を追います。

▲新規放鳥のトキたち

新規放鳥個体は翼にアニマルマーカーで色がつけられているので、色の組み合わせで

どの個体かを識別することができます。

ケージ外に飛び出したトキの動きは様々で、さっそく枯れ木にとまって休息しはじめたり、

しばらく順化ケージの上をぐるぐる回っていたり。

新規放鳥のトキたちの目に、初めて空から見る佐渡の景色はどう映っていたのでしょう。

地域の方々が温かく見守ってくれる佐渡で、力強く生きていってね!

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2019年06月04日珍客「サドコブヤハズカミキリ」

佐渡 近藤陽子

皆様、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の近藤です。

新潟県佐渡市ではトビシマカンゾウやイワユリが見頃を迎えています。


<佐渡弥彦米山国定公園にも指定されている長手岬のイワユリ>

佐渡は朝晩涼しいですが、日中は30度近くになる日も多くなりました。

そんなある日、事務所1階の階段で、とある昆虫が発見されました。




カミキリムシの仲間の「サドコブヤハズカミキリ」と思われます。

日本海に浮かぶ佐渡島。

佐渡で暮らす昆虫の中には、こうした閉鎖的な環境で世代交代を繰り返し、翅が退化して飛ぶことができなくなった種も多いそうです。

サドコブヤハズカミキリも翅が退化し、飛ぶことができません。

事務所の階段に現れたサドコブヤハズカミキリ。林から出てきて、とことこと駐車場を横切り、事務所の建物の中までやって来たようです。

職員みんなで観察したのち、林へ返しました。

佐渡の生きものと言えばトキが思い浮かびますが、トキ以外にも多くの貴重な生き物がいることを思い起こさせる良い機会でした。

<佐渡固有種/固有亜種>

・サドノウサギ

・サドモグラ

・サドトガリネズミ

・サドカケス

・サドガエル

・サドマイマイ など

  

サドガエル            サドカケス

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2019年05月28日トキの巣の下に落ちているもの

佐渡 近藤陽子

皆様、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の近藤です。

新潟県佐渡市では、田植えが行われ、美しい田園風景が広がっています。

この時期、トキたちは子育てに大忙し。多くの巣でヒナの誕生が確認されています。

<巣で親鳥の帰りを待つヒナ2羽>

その一方で、巣作りしていたのにやめてしまったペア、卵を温めていたのにやめてしまったペアなども確認されるようになりました。このようにトキが繁殖を中止した場合、トキがいないのを確認してから、巣の下へ行き、落下物の回収を行います。

巣の下には、繁殖に関わるたくさんのヒントが落ちています。今回は巣の下に落ちている落下物3つをご紹介します。

1.卵の殻


巣の下に行くと、多くの場合、卵の殻が落ちています。卵の殻を用いて、トキが何個卵を産んだのか(産卵数)、卵は有精卵だったのか(有精卵率)、などを調べます。

有精卵を調べるためのルミノール反応検査の様子。検査液に卵殻を入れ、有精卵だと青白く光ります。

(※トキの卵の大きさ:6.7×4.5㎝、69gほど。ニワトリの卵よりも少し大きい。)

2.巣材

巣の直下は、巣材となる枝や枯草が落ちています。場合によっては、強風などで落下した巣そのものが落ちていることもあります。

3.ヒナの死体

できることなら発見したくない悲しい落下物がトキのヒナです。運悪く巣から落ちたのか、捕食者から逃げるうちに落ちたのか、または捕食されて落ちたのか、落下の要因はヒナの状態を確認して検討されます。ヒナの脚や翼の一部、骨しか残っていないこともありますが、体の一部でも残っていれば、落下原因や死因、捕食者の解明に役立ちます。

現在、佐渡で確認されているトキのペアは80を超えますが、例年繁殖を成功させ無事にヒナを巣立たせることができるペアは半分にも及びません。1巣1巣の状況を確認するモニタリングを行う中で、ヒナを巣立たせることがいかに難しいかを思い知らされます。多くの困難を乗り越えて巣立つトキのヒナたち。巣立ち後もたくましく生き抜いていってほしいと願います。

※巣から落ちたトキの卵の殻やヒナを見つけた場合は、佐渡自然保護官事務所にご連絡ください。

 電話:0259-22-3372

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2019年05月17日早く帰ってきてよー!

佐渡 菅野萌

皆さま初めまして。

4月1日より佐渡自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーに着任しました菅野萌です。

魅力いっぱいの佐渡やトキの事などを発信していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

今、佐渡ではトキたちの繁殖期真っ只中です。

今年も無事に野生下のトキのペアからヒナが誕生しました。

滞巣する親鳥とヒナ1羽(2019年5月8日撮影)

(巣内の親とヒナ:5月8日撮影 

※横枝のすぐ下に親鳥の顔があります。中央の白っぽいかたまりがヒナです。)

佐渡自然保護官事務所では、アクティブ・レンジャーの業務として野生下のトキのモニタリング調査を行っており、地域のボランティアさんなどと協力してトキの行動を観察します。

今は繁殖期なので、トキが巣で卵を抱いているかどうか、ヒナがいるかどうかなどを調査して回っています。

トキはオスとメスとで交代しながら卵を温めるので、通常はどちらかが巣にいるはずなのです。

抱卵交代するペア

(抱卵を交代するペア:4月24日撮影)

「今日もきちんと卵を抱いているな」と、遠くから観察していると、時々そのトキが大きな声で「タアーオ!!」と鳴くときがあります。

どうやら、なかなか自分のつがい相手が帰ってきてくれないようなのです。

いくらお腹が空いていても、大事な卵があるのでつがい相手が帰ってきてくれるまで巣を離れるわけにはいきません。

「どこ行っているのよ-!早く帰ってきてよ-!!」と呼びかけているのでしょうか。

抱卵は空腹との闘いなのかもしれませんね。

トキの子育てシーズンはまだまだ続きます。

この先も無事に野生下のヒナが孵ってくれることを願うばかりです。

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2019年04月11日トキ、繁殖中

佐渡 近藤陽子

皆様、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の近藤です。

<サクラと大佐渡山脈 2019.4.5. 撮影>

新潟県佐渡市では、4月に入っても雪が降る不安定な天気が続いていましたがが、ここ数日、だいぶ暖かくなってきました。トキの繁殖も順調に進んでいます。

今年は、佐渡の自然界で巣を作り、産卵の準備をしているペアが14組、すでに産卵し卵を温めているペアが7組確認されています。これから、ますます増えていくと予想されます。

<巣を整えているトキのペア 2019.3.25 撮影>

佐渡の自然界には、345羽のトキが生息していると推定されており、トキの巣立ち数は年々増加傾向にあります。今年の繁殖期は何羽のヒナが巣立つのでしょうか。引き続き、観察を続けていきます。

~おまけ~

渡りの途中、佐渡に立ち寄った旅鳥の「シマアジ」が加茂湖にいました。

佐渡の豊かな自然は、トキだけでなく、こうした渡り鳥たちも支えているようです。

<シマアジのオス 2019.4.2 撮影>

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2019年03月08日第20回放鳥訓練開始!

佐渡 原奈緒子

みなさんこんにちは、佐渡自然保護官事務所の原です。

各地でウメやサクラの開花状況が話題になっており、春の訪れを感じます。

佐渡の羽茂(はもち)地区にある度津(わだつ)神社では一本だけ気が早いサクラがいて、3分咲きを楽しむことができました。

▲羽茂 度津神社のサクラ 3月3日撮影

3月5日(火)に第20回放鳥に向けた訓練が始まりました。

訓練個体はオス14羽、メス6羽の合計20羽です。

放鳥のための準備として、野外における個体識別用の足環を装着し、放鳥直後の個体であることが識別できるように羽にアニマルマーカーを塗ります。準備を終えたトキたちは、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションにある順化ケージの中に放されて、飛翔・採餌などの野生下で生きていくために必要な力を身につけていきます。

▲羽への着色はアクティブレンジャーもお手伝いします。

▲順化ケージへ放鳥される様子

▲順化ケージに放されたトキ

順化ケージに放されたトキたちはこれから約3ヶ月間ケージ内で様々な訓練をしていきますが、ちょうど今はトキの繁殖期にあたります。順化ケージ内で繁殖が行われないように、メスは繁殖齢に達していない1歳の若鳥のみを選んでいます。飼育下の個体は野生下に比べて成長が遅いため、この時期には野生下で見ることができない幼顔のトキも含まれています。

▲順化ケージでの訓練が始まったばかりのトキ(左:メス、右:オス)

順化ケージがある佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションは一般には公開しておりませんが、敷地内に順化ケージを見下ろすことができる観察棟があり、こちらは無料で一般公開しています。周りの林では小鳥のさえずりも聞こえ、トキ以外の野鳥観察にもおすすめですし、2階からは佐渡の美しい田園風景が一望可能なスポットです。佐渡にお越しの際は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

▲観察棟から見える順化ケージ

◇新潟県佐渡トキ保護センター 野生復帰ステーション

http://tokihogocenter.ec-net.jp/station/index.html

◇放鳥トキ情報 野生下のトキに関する最新情報を毎週更新中!

http://blog.goo.ne.jp/tokimaster

◇公式ツイッター 「佐渡の車窓から」好評連載中!

https://twitter.com/kankyoshosado01?s=09

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2019年02月13日佐渡のアクティブ・レンジャーの一日

佐渡 原奈緒子

みなさん、こんにちは 佐渡自然保護官事務所の原です。

▲身を寄せ合って風に耐えるトキ(2018年12月28日撮影)

皆さんはアクティブ・レンジャー(以降AR)と聞くと、どんなイメージを持ちますか?

今日は少し他の地域とは異なる業務を行う、佐渡のAR のお仕事について紹介したいと思います。

・お日さまよりも早起き!

通常の業務は8時30分からですが、週に2回程度、繁殖期(2~6月)には週3回程の頻度で、他の職員や地域のボランティアさんと協力してトキのモニタリングを行います。モニタリングではトキのねぐら出やえさ場の利用状況、足環の判読による個体識別等を行うためトキがねぐら出する時間よりも前にスタンバイします。トキのねぐら出時刻は季節によって異なりますが、大体日の出と同じくらい。

つまり私が家を出るのは日の出前、真っ暗な時間に出勤するのもすっかり慣れてしまいました。

▲6:15頃 朝日が昇り始める頃からトキのねぐら出を待ちます。

・フィールドは里地!足は車!

学生時代、調査で山に行くと登山道で黄緑色の制服を着たレンジャーさんを見かけることがあったので、当時私が持っていたARのイメージは山登りでした。しかし、所変われば業務内容も変わるものです。佐渡のフィールドは小佐渡東部鳥獣保護区を含む全佐渡島内。そして、トキがいる場所、利用する場所は里地が主なので、山登りはめったにありません。それに加えて、トキを観察するときは影響がないように車内から観察するという地域ルールがあるため、モニタリングでの移動手段は車です。車の移動距離は1日で100kmを超えることもありますが、おそらく関東管内で一番歩かないARかもしれません。

▲車内からフィールドスコープを使ってトキの観察をする様子

こんな風に観察していると通りすがりの人に「あそこにトキがいたよ」と

話しかけられることもしばしばあります。

・トキの声がBGM

佐渡自然保護官事務所はトキの順化訓練施設である佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションの管理棟内にあります。新潟県の職員であるトキの獣医さんや飼育員さんと同じフロアにいるため、部屋の中には順化訓練・飼育繁殖ケージのモニタリング用モニターがあります。ケージにはマイクもついているため、机で仕事をしているとモニタリング用モニターのスピーカーを介して「コッコッコ、タァーーー」とケージ内のトキの鳴き声を聞くことができます。ここで、トキの様々な声を覚えました。春になると野生下ではほとんど聞くことができない、ふ化直後のヒナの鳴き声も聞くことができます。

▲手前が環境省、奧が新潟県となっていて同じフロアで仕事をしています。

▲獣医さんや飼育員さんはモニターを通して、トキに影響を与えないように観察をします。

・普及啓発業務などその他もろもろ

佐渡のARはモニタリング以外にも、様々な業務を行います。

夏には子ども向けのトキ観察会を開催したり、地元の小学校で行われる生きもの調査にボランティアティーチャーとして参加します。他にも普及啓発グッズの作成やパンフレットの更新なども行います。他にも会計や備品管理、官用車の管理など業務は多岐にわたります。

▲佐渡自然保護官事務所が作成したパンフレットやポスター、エコバック

着任したばかりの頃は、鳥の足環の番号なんて読めるのか?と思っていましたが、周りの方々にも助けられ、足環の識別だけでなく個体ごとの生息域も自然と身につくようになりました。それだけでなく、トキを通して地域の方と交流する機会をたくさん持つことができて、充実した佐渡AR生活を送っています。

また、モニタリング中に職員が撮影したトキの写真は毎週更新しているホームページやツイッターでもご覧頂くことができます。

○放鳥トキ情報 トキの最新情報はこちら

→ http://blog.goo.ne.jp/tokimaster

○公式ツイッター 「佐渡の車窓から」好評連載中!

→ https://twitter.com/kankyoshosado01?s=09

▲おまけ 朝日でとき色になった大佐渡の山

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