報道発表資料

2013年12月13日

報道発表:
アホウドリ新繁殖地形成事業による聟島での人工飼育個体の産卵について(お知らせ)

<(公財)山階鳥類研究所 同時発表> 関東地方環境事務所 野生生物課
電話:048-600-0817
課  長:徳田 裕之
課長補佐:仁田 晃司

 小笠原群島聟島(むこじま)におけるアホウドリの新繁殖地形成事業(伊豆諸島鳥島のアホウドリのヒナを小笠原諸島聟島に移送し、新しい繁殖地を形成する事業(2008(平成20)年から実施)において、2008年に聟島を巣立った個体1羽と野生個体のつがいの間で、1卵の産卵が確認されましたのでお知らせします。

この事業は、(公財)山階鳥類研究所が、環境省、東京都、米国魚類野生生物局、三井物産環境基金、公益信託サントリー世界愛鳥基金等の支援を得て実施しているものです。

Ⅰ 産卵したつがい

 2008(平成20)年に巣立った個体 Y01(5歳、雄)と野生個体(雌)で、昨年産卵したつがいと同じ個体と判断されます。

Ⅱ 産卵場所

 聟島の北西部でヒナを飼育し巣立ちをしたところ。このつがいは、一昨年の繁殖期である2012(平成24)年2月から同じ場所に定着しており、昨年と同じ場所で産卵しました。

Ⅲ 確認の状況

 NHKと(公財)山階鳥類研究所が共同で設置している監視カメラによって動画を撮影し精査したところ、11月9日の映像でこのつがいの巣内に1卵あるのが確認されました。

確認場所地図

<つがいの足下に見えるのが卵。手前側が足環なし個体、奥側がY01> 監視カメラによって撮影されたつがいの写真
※いずれの写真も提供:NHK

<参考>アホウドリについて

アホウドリ(Diomedea albatrus ) ミズナギドリ目アホウドリ科
絶滅危惧Ⅱ類(環境省レッドリスト2012)

分布及び個体数

  • 繁殖地は、日本の伊豆諸島鳥島と尖閣諸島のみ。
  • 非繁殖期には、北太平洋のベーリング海やアリューシャン列島、アラスカ沿岸まで移動する。
  • 1949年の調査で1度絶滅宣言が出されたが、1951年に約10羽が鳥島で再発見された。
  • 減少要因は、1890~1900年代に羽毛採取のために大量に捕獲されたことによる。

形態及び生物学的特性

  • 成熟個体で全長が84~94cm。
  • 繁殖活動は10月~翌年5月。
  • 7歳頃から繁殖に参加し、巣立った場所に戻ってきて繁殖を行う傾向が強い。

保護の対策

  • 種の保存法に基づく「国内希少野生動植物種」に指定(平成5年)
  • 国の特別天然記念物

●これまでの経過

<2007(平成19)年>

3月~6月
近縁種のクロアシアホウドリによる飼育試験を実施。

<2008(平成20)年>

2月19日
伊豆諸島鳥島において捕獲したヒナ10羽(雄4羽、雌6羽)をヘリコプターに載せて、小笠原群島聟島まで移送。
   ↓
(山階鳥類研究所の職員が聟島に滞在し、ヒナの人工飼育を実施。)
5月19日~25日 
ヒナの巣立ち(10羽)
5月~9月
人工衛星追跡を実施し、追跡できた4羽がベーリング海へ到達。
聟島の飼育ヒナと鳥島の野生ヒナの巣立ち後の行動に大きな違いは見られなかった。

<2009(平成21)年>

2月5日
伊豆諸島鳥島において捕獲したヒナ15羽(雄10羽、雌5羽)をヘリコプターに載せて、小笠原群島聟島まで移送。
   ↓
(山階鳥類研究所の職員が聟島に滞在し、ヒナの人工飼育を実施。)
5月11日~25日
ヒナの巣立ち(15羽)

<2010(平成22)年>

2月8日
伊豆諸島鳥島において捕獲したヒナ15羽(雄11羽、雌4羽)をヘリコプターに載せて、小笠原群島聟島まで移送。
   ↓
(山階鳥類研究所の職員が聟島に滞在し、ヒナの人工飼育を実施。)
5月18日~29日
ヒナの巣立ち(15羽)

<2011(平成23)年>

2月8日
伊豆諸島鳥島において捕獲したヒナ15羽(雄8羽、雌7羽)をヘリコプターに載せて、小笠原群島聟島まで移送。
   ↓
(山階鳥類研究所の職員が聟島に滞在し、ヒナの人工飼育を実施。)
2月10日
平成20年に巣立ちした個体(3歳、雄)の聟島への帰還を確認。
5月12日~25日
ヒナの巣立ち(15羽)
平成23年5月25日までに、聟島を巣立った個体7羽の帰還を確認。

<2012(平成24)年>

2月11日
伊豆諸島鳥島において捕獲したヒナ15羽(雄5羽、雌9羽、不明1羽)をヘリコプターに載せて、小笠原群島聟島まで移送。
   ↓
(山階鳥類研究所の職員が聟島に滞在し、ヒナの人工飼育を実施。)
3月8日
移送したヒナ1羽(雄)の死亡を確認
5月15日~25日
ヒナの巣立ち(14羽)
平成24年5月25日まで、聟島を巣立った個体6羽の帰還を確認。

この結果、平成20〜24年の5年間でヒナ70羽を移送し、69羽を巣立たせることに成功

地域環境データベース
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