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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2007年7月18日

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2007年07月18日小笠原のネコ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

 こんにちは。小笠原ARの沼田です。
 今回から、小笠原の自然環境の保全と再生に関する基本計画について順序よくご説明しようと思ったのですが、ちょっと珍しいことが起きたのでその事件についてお話します。
 
 現在小笠原では父島と母島(と一部の無人島)にノネコがいて問題になっております。
 ノネコとはノラネコとは違い、人間から餌をもらったり町中をうろついているのではなく、主に山野にいてネズミや鳥などを捕獲して生活しています。
 特に母島のノネコは野性味溢れていて、まさに小さいトラ!って感じです。

 ノネコの捕食対象の大半は同じ外来種のクマネズミですが、メグロ、オガサワラカワラヒラ、アカガシラカラスバトなどの陸鳥類、カツオドリやミズナギドリ類などの海鳥類、オガサワラオオコウモリやオガサワラトカゲなどの固有種も捕食します。
 正?直、クマネズミだけを食べてくれるならありがたいのですが、貴重な鳥類も大打撃(平成17年には母島南崎の海鳥類のコロニーが消滅の危機にあった)を受けているので、かわいそうですけどノネコは外来種として捕獲されています。
 
 対策としては、条例をつくり飼い猫の登録を義務付けたり、野良猫なども捕獲して不妊去勢手術をしたり、コロニーに入れないよう侵入防止柵を設けたり、アカガシラカラスバトの繁殖地域に捕獲ワナを設けたりして、小笠原固有の生物を守っています。
 また捕獲したノネコは獣医師団体の協力を得ながら捕獲したノネコの島外搬出と終生飼養を前提とした引取りを実施しています。(小笠原 マイケルで検索するとその事例が出てきますよ。)

 さて、普段はノネコ捕獲→受け入れ先を見つけて→島外搬出なんですけど、何とっ、今回母島で捕獲したノネコがははじま丸に乗って父島に来る最中に出産してしまったのです!!
 母島を出たときは1匹だったのに父島に着いたら4匹になっていたのです!
 こりゃ大変だぁってことで、みんなあたふたあたふた・・・
 産まれたての赤ちゃんがいるので、一時飼育もいつも以上に神経を使います。
 先便で島外搬出する予定でしたが台風のうねりの影響もあり、ネコ達に余計な負担を与えたくないから搬出も延期しました。
 今でもここ小笠原自然保護官事務所で元気に育ってます。
 しかし、毎日見てるとだんだん可愛くみえてきて、離れるのが寂しい気がしてきます。
 内地にいったら早く人に慣れて幸せになるんだよーー

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