ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2009年10月21日

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2009年10月21日世界自然遺産候補地ツアー

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

小笠原諸島は世界自然遺産の登録候補地です。
平成22年2月に推薦書を提出し、平成22年度中にIUCNが小笠原諸島に視察に来て、平成23年度に開催される世界遺産委員会によって審査され、登録か否か決定します。
詳しくは、http://ogasawara-info.jp/index.htmlをご覧下さい。

先日、小笠原住人向けに小笠原の世界自然遺産の価値を知ってもらうために、スペシャリストをお呼びしてイベントを開催しました。
今回は『ボニナイト(※)を見に行こう!』です。

小笠原諸島は海洋性島弧の誕生から成熟した段階に至るまでの一連の成長過程を記録した地層が陸上に大規模に露出しており、これらを詳細に観察することができる世界で唯一の場所です。
小笠原諸島の地質は、大陸地殻がどのようにして形成され成長してきたかを示す地球の進化過程の記録にほからならないのです。

…と難しい説明・資料等は聞いたり読んだりしたことがあるけど理解しがたい分野なので、実際に現場に行き専門家による解説を聴こう!というイベントです。
小笠原諸島の地質に詳しい金沢大学の海野教授を講師に、船に乗って父島をぐるっと回りいろんな所の地層を見ながら説明して頂きました。

普段私は船に乗ると海ばっかり見てイルカやクジラを探していますが、今回は海に背を向けひたすら岩肌を眺めてました。
海野教授の説明を聞いていたら、何気なく眺めていた岩肌それぞれに個性・歴史があるんだなぁと感じました。
いろんな岩の見分け方なども聞いたので、今後も海に出た時は海だけでなく地層も眺めてみようと思います。


※ボニナイト
ボニナイトとは、海洋プレートの沈み込みが始まって間もない時期(島弧の誕生期)にのみ発生する特殊な安山岩の一種です。
このボニナイトには、『単斜エンスタタイト』という輝石類が含まれます。
他にこの鉱物がよく含まれているのは隕石です。地球上の岩石ではボニナイトだけ含まれているとっても珍しいものなのです!
小笠原諸島は、海底火山の衝突による隆起・陸化によりこのボニナイトが世界で最も大規模に露出し、良い保存状態で残され観察できる地球上で唯一の場所なのです。

普段何となく眺めていたものが、何気に貴重なものなのです。

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