ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2010年10月21日

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2010年10月21日カツオドリ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

春から秋にかけて小笠原でよくみられる海鳥のひとつにカツオドリがいます。

カツオドリ?
カツオ見たいな顔してる鳥?(想像すると怖い…)
カツオを食べる鳥?(どんだけ大きいんだろ…)

いえいえ、そんな恐ろしい鳥ではありません。
とても愛嬌のある顔をしている鳥ですよ。




ペリカンの仲間で、翼を広げると150cmぐらい
くちばしが青いのがオス、黄色いのがメスです

なぜ、カツオドリというのかと言うとカツオを食べるから…ではなく、カツオなどの大きい魚に追われて海面に上がってきた小さい魚を狙い集まるから、漁師たちからカツオなどの大きい魚の群の位置を知らせる鳥というのが由来だそうです。
しかし、そういう鳥は他にもいて、御蔵島などではオオミズナギドリの事をカツオドリと呼んでいます。
なぜかカツオドリだけ和名カツオドリになりました。

小笠原諸島では南島やその名の通り鰹鳥島などに営巣しています。
大体、春に繁殖行動を起こして、夏に真っ白な綿毛で被われたヒナが現れて、秋に巣立つような感じです。巣立ちしたばかりの若鳥はお腹が灰色をしています。







何で小笠原でよく見られるかと言うと、カツオドリ達は船の後によくついて飛んできます。
船に乗っている人間達の様子を見に飛んでくるのです!
そんなことはなく、船に驚いたトビウオが飛んでくるのを待ち構えているのです。
一度、飛んでいるトビウオを見事にキャッチした(くわえた)瞬間を見ました。
きっと、彼らは船が走るとトビウオが飛んでくるのが分かっているのでしょう。
あ、でも若鳥は好奇心旺盛で何だろ~と間近まで飛んでくることがあります。

とってもかわいらしいカツオドリですが、今年は数がとっても少ないです。
例年ですと、今の時期は巣立ったばかりの若鳥をたくさん見るはずなのですが、今年はちらほらとしか見られません。
原因は、今年の夏の小笠原の海水温がいつもより低かったことにあるようです。
8月になっても『冷た~い』と感じる時が多々ありました。
海が冷たいからかトビウオも例年より見られなかったです。
だからカツオドリも例年より少ないんだろうと研究者の人が言っていました。

小笠原周辺の海水温が低い

トビウオが小笠原周辺にいない

それを餌とするカツオドリもいない

一つの環境が変わったことで、いろんな生態をも変化させてしまう事例を目の当たりに見た気がします。

去年はなかなか海水温が下がらず、サンゴの白化現象が見られました。
今年はなかなか海水温が上がらす、カツオドリの数が減りました。
果たして来年は…
カツオドリがいっぱい戻ってくるのを祈りつつ、観察したいと思います。

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