関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、日光、尾瀬、秩父多摩甲斐、小笠原、富士箱根伊豆、南アルプス国立公園があります。
さぞかしあちらの除雪は大変だろう(除雪車もないし)、と思ってしまった私は
すっかり大人の仲間入りをしてしまったんだなあと悲しくなりました。
檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。
実はその日、檜枝岐でもひっそりと今年の最高積雪量(1m超)を観測していました。
そうは言っても、昔に比べるとだいぶ積雪量は減ったと聞きます。
家の屋根まで雪が積もってしまって、家に入るのに除雪しなくてはいけなかったという話も・・・。
冬になると常にそうした雪の脅威にさらされてきた地域ですから、檜枝岐には独特の文化が育ちました。
その一つ、『ワカン』と『カメ』をご紹介します。
左がワカン、右がカメ
山好きにはおなじみのワカンですが、このワカンは木材で出来ており、
樹木の中でも最も硬いミズナラがワカンの歯として使われています。
また、歯の部分には、どの家の持ち物か分かるよう屋号が刻まれています。
この製法は檜枝岐でしか作られていなかったそうですが、
残念ながら今はもう誰も作ることが出来ず、大変貴重なものだそうで
持ち主も壊れたところを補強しながら使用していました。
締まった雪では役にたつワカンですが、冬になるとほとんど毎日雪が降っているため、新雪の上では歯が立ちません。
そんなときに、昔はこちらを用いたと言います。
こちらは『カメ』と呼ばれていて、新雪専用です。
もちろん普通に歩くとカメ同士を踏んでしまうので、歌舞伎役者のように外から内へ足を回しながら歩くのだそうです。
主に猟の時に用いたとか。
うーん、考えただけでも足がつりそうです・・・。
雪国の文化は、雪との共存の歴史なんですね。
そのうち使用したレポートも書ければ良いなと思います。
さて、そんな雪を知り尽くした檜枝岐人でも恐れていたのが、檜枝岐弁でいう『ぼぼ』。表層雪崩です。
特に会津駒ヶ岳は表層雪崩が起きやすく、村人でさえ昔はよく巻き込まれていたということです。
また、登山口の入り口には雪崩れによって亡くなった登山者の慰霊の碑もあります。
山スキー客もちらほら見かけるようになってきましたが
くれぐれも天候、雪の状況を判断し安全な登山、スノースポーツをして頂くようお願いします。