関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、日光、尾瀬、秩父多摩甲斐、小笠原、富士箱根伊豆、南アルプス国立公園があります。
城ヶ崎海岸
この景観を保全するため、地元の方々は定期的に清掃活動をおこなうなど様々な作業を実施しています。
しかし、数十年前、城ヶ崎海岸の松に異常が確認されました。
「マツノザイセンチュウ」の感染による松枯れです。
※マツノザイセンチュウは、カミキリムシの体に付いて移動し、カミキリムシが松の幹を食べたところから木の中に侵入します。
このことから、地元の方々は薬剤散布などの対策を始め、10年ほど前からは「樹幹注入」を行うようになりました。
「樹幹注入」は、松の幹に直接薬剤を注入して、マツノザイセンチュウの侵入・感染を防ぐというものです。
毎年冬に行われる「樹幹注入」作業。
今年は1月19日の早朝から実施され、私も参加してきました。
「樹幹注入」が冬の寒い時期に行われるのは、マツノザイセンチュウが侵入する春~夏になる前に、松の木全体に薬剤が行き渡るようにするためです。
また、松の木の蒸散が盛んになり、薬剤を吸いやすくなるのが太陽の光を浴びる頃なので、作業は早朝の暗い内から始まります。
そんな寒い時期の早朝から始まる作業には、多くの地元の方が参加します。
作業は、樹木医の先生の指導のもと行われます。
と言っても、みなさんはすでに何度も行っていることなので、手早く「作業確認」をして各自作業場所へと散らばっていきます。
実際に作業の様子を見ていると、みなさん手際よく次々に薬剤を取り付けていきます。
取り付けられた薬剤
薬剤を取り付けた後は、松の木が吸収するのを待ってから容器を取り外し、開いた穴を専用の殺菌剤と粘土で埋めていきます。
ここまでの作業を確実に行うことで、今後も松の木は元気よく成長することができます。
早朝から始まった作業が終わるのは午後3時前後。
朝早くからの作業にもかかわらずみなさんの様子はとても元気で、「地元の自然環境を守っていく」という熱意を感じた1日となりました。
この「樹幹注入」により、枯れてしまう松の木が見られなくなったことから今後も続けられていく予定です。