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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2014年7月25日

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2014年07月25日2014年野生下のトキの繁殖期報告

佐渡 後藤 由香

皆様こんにちは。佐渡の後藤です。
日記の更新が滞ってしまいすみません。
今回は、その間めまぐるしくあっという間に過ぎたトキの繁殖期について報告したいと思います。

2014年の繁殖期は、35組が営巣し、そのうち14組から36羽のヒナが誕生、さらにそのうち11組から31羽が巣立つという結果となりました。
野生下のトキの全体数が増えたこともあるとは思いますが、巣立ちまで至った羽数は一昨年の8羽、昨年の4羽と比べかなりの好成績となりました。嬉しい限りです。

今年最初に巣立った幼鳥

今年は、2012年に野外で生まれた個体が繁殖可能な2歳になるということで、野生下のトキで3世代目となる「3世」とも呼ばれるヒナの誕生が期待されていました。
結果は、野外生まれのオス(2歳)/放鳥トキのメス(3歳・№127 )ペアと放鳥トキのオス(5歳・№74)/野外生まれのメス(2歳)ペアの2組からそれぞれ2羽、3羽の合計5羽が巣立ちました。
しかし、既にその5羽のうち1羽の死亡が確認されており、その他にも1羽の幼鳥の死亡が確認されています。
去年一昨年の幼鳥は、巣立ち後1年近く全羽が確認されていました。巣立ち数が増えればそれだけ事故などに遭う個体が出てくるのは仕方がないことだと思いますが、野外で生きていくことの厳しさを改めて実感させられました。

畑で餌を探すトキ「3世」

巣立ち率が上がったことの他にも、嬉しいことがありました。
これまで、一度営巣を放棄し、2回目に作った巣では繁殖は成功しないとみられていましたが、それを覆すペアが出てきたのです。
そのペアは、1度は産卵までしたものの何らかの理由で巣を放棄しましたが、再び場所を変えて営巣し産卵しました。そして、3羽をふ化させ、最終的に3羽とも巣立たせました。このペアは、過去5回の繁殖期でもペアを形成し産卵はするものの、1度もふ化を成功させていなかったため、今回の成功には、皆驚き、喜びました。

また、幼鳥は巣立ち後も1ヶ月間ほどは親の給餌を受けるのですが、今期の繁殖期では、実親でないトキからも給餌を受けているとみられる様子が観察されました。トキの謎は増えるばかりです・・・

今後も、4世5世と続いていき、さらに多くの幼鳥が空を飛ぶ日が来ることが楽しみです。
幼鳥たちがどのように成長していくか、しっかりモニタリングしていきたいです。

親鳥に餌をねだる幼鳥




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